弱虫ペダルチーム・欧州シクロクロス遠征記<8終>遠征最終戦の大舞台で個々の課題を実感 唐見実世子は練習中の落車で苦渋のDNS

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 年末年始、オランダを拠点に2週間のシクロクロス欧州遠征に臨んだ「弱虫ペダル サイクリングチーム」は1月1日、今回の遠征で最後のレースとなるベルギーのUCIレース「DVV Verzekeringen Trofee GP Sven Nys Baal(スヴェン・ネイス バール)」に参戦した。プレイングコーチの唐見実世子選手がレースレポートとともに、遠征の成果を振り返ります。

<7>遠征も残り1戦、もっと上手くなりたい!

どのレースでも、同じようなポジションを走っている前田公平(左)と小坂光 Photo: Shigehiko SATOどのレースでも、同じようなポジションを走っている前田公平(左)と小坂光 Photo: Shigehiko SATO

◇         ◇

頭を打って数時間の“記憶喪失”

 1月1日。2017年は例年と異なる特別な幕開けとなった。そして、今日が今回の遠征での最終レース。約2週間の遠征で学んだ全ての事を出し尽くして終わりたいところ。

 6時45分、ステイ先を出発。マイナス2℃。すごく寒い。会場までの往復はいつもハリーさんの助手席。今日がラストレースかと思うといつもに増して感慨深い。納得のいく走りができた時も上手く走れなかった時もいつもポジティブワード。こちらのレースに早く馴染めるよう、いつものジョークであまりシリアスになりすぎないように場を和ませてくれた。オランダ語が分からない私達は、こちらに来たら子供と同じで誰かのサポートを受けなければレース活動は成り立たない。言葉もろくに理解できない私達を2週間も受け入れて下さって大感謝だし、大リスペクトしている。

 9時、会場到着。急いで着替えてみんなでライセンスコントロールへ行き、織田聖選手と私はそのまま試走へ。気温はマイナスのままなので、泥が凍結してカチカチしている。私は広島出身なので凍結路面を走った事がない。

レース会場到着後、すぐにライセンスコントロールを済ませる Photo: Shigehiko SATOレース会場到着後、すぐにライセンスコントロールを済ませる Photo: Shigehiko SATO
いつ雨が降ってもおかしくないような曇天の中、信じられないほど人の密度を感じるレース会場 Photo: Shigehiko SATOいつ雨が降ってもおかしくないような曇天の中、信じられないほど人の密度を感じるレース会場 Photo: Shigehiko SATO

 試走中、落車してしまって、ひどく頭を打ったらしくそこから数時間の記憶がない。記憶喪失はナショナルチームとしてオーストラリア・キャンベラのミルクレースを走った時以来。同じ事を何度も話したり、聞いたりするらしい。頭痛が止まなかったこともあり、苦渋の決断だが今回のレースはDNSを選択した。少なくとも、病院に担ぎ込まるなどしてチーム員に迷惑をかけずに済んで良かった。

 12時からアンダー23のレースがスタート。織田選手が出走。例年苦しめられる泥が今年は凍ってしまって、ハイスピードの展開。アップダウンが多く、地足も必要とされるコースだった。スタートからハイスピードだが、織田選手は大集団の中で耐える。フライオーバーを越えてからの下りで、一列棒状になり、そこで集団がばらけ始める。

一つ一つの動作のロスをなくすことに集中しながら走る織田聖選手。 Photo: Shigehiko SATO一つ一つの動作のロスをなくすことに集中しながら走る織田聖選手。 Photo: Shigehiko SATO

 その後のアップダウンでさらにバラバラになり、織田選手は4人パックを形成。パックのまま、レースを展開しようとするもなかなか脚が揃わず、そのうち2人になり、粘り続ける。前の選手を追いつつ、後ろからキャッチしてくる選手に食らいついて一人にならないようにしてゴールを目指した。結果、トップと同一周回の25位でのゴールとなった。

遠征中のUCIレースは全てほぼ同じメンバー。世界のトップ選手と走ることになる Photo: Shigehiko SATO遠征中のUCIレースは全てほぼ同じメンバー。世界のトップ選手と走ることになる Photo: Shigehiko SATO
遠征最後のレースを、トップと同一周回の24位フィニッシュで締めくくった織田選手 Photo: Shigehiko SATO遠征最後のレースを、トップと同一周回の24位フィニッシュで締めくくった織田選手 Photo: Shigehiko SATO

同じパックで走る前田公平と小坂光

 15時からは前田公平選手の出走する男子エリート。各国のナショナル選手権を翌週に控え、豪華な顔ぶれが揃う。前田選手は最後尾からのスタートとなった。スタートの迫力、すごいの一言。

男子エリートレース出走の前田公平選手。宇都宮ブリッツェンの小坂光選手も同じレースを走る Photo: Shigehiko SATO男子エリートレース出走の前田公平選手。宇都宮ブリッツェンの小坂光選手も同じレースを走る Photo: Shigehiko SATO
今日もまた豪華メンバーが一堂に揃う「男子エリート」レースのスタートグリッド Photo: Shigehiko SATO今日もまた豪華メンバーが一堂に揃う「男子エリート」レースのスタートグリッド Photo: Shigehiko SATO
前田選手の得意なシケイン。丁寧に、スピードを殺さずにクリアしていく Photo: Shigehiko SATO前田選手の得意なシケイン。丁寧に、スピードを殺さずにクリアしていく Photo: Shigehiko SATO

 1周目からAERTSToon(トゥーン・アーツ)が飛び出し、常に数人が追う展開。後方集団がいつか追いつくであろうと思っていたが、それどころか一時は後続を20秒くらい離して周回を重ねていく。前田選手は、後方のパックに取り残されてしまうが、我慢して周回を重ねる。小坂光選手(宇都宮ブリッツェン)も同じパックに乗っている。

 しかし徐々に先頭を走るアーツとのタイムギャップが開いてしまい、マイナス2ラップでレースを終了する事となった。レースとしては、最終的に世界チャンピオンのVAN AERT Wout(ワウト・ファンアールト)に8秒差まで詰められるもアーツの逃げ切り勝利となった。

チームスポンサー変更に伴い、世界王者ワウト・ファンアールトのバイクがコルナゴからフェルトに変わっていた。ジャージから、何から何まで一昨日のレースと全く違うものになっている Photo: Shigehiko SATOチームスポンサー変更に伴い、世界王者ワウト・ファンアールトのバイクがコルナゴからフェルトに変わっていた。ジャージから、何から何まで一昨日のレースと全く違うものになっている Photo: Shigehiko SATO
フライオーバーでも同じポジション。実力が拮抗しているのだと思える展開だった Photo: Shigehiko SATOフライオーバーでも同じポジション。実力が拮抗しているのだと思える展開だった Photo: Shigehiko SATO

 個人的にはこの大舞台のDNSは残念の一言だったが、実力がなかったから落車してしまったので、今の気持ちを忘れる事なく次につなげたい。こちらにきてからは体調も良く、レースを重ねる毎に調子が上がっていき、だんだん踏めるようになった。技術的には自分としては良くなったがレースで戦えるレベルには達していなかった。ただこの2週間は充実していて、レース自体も本当に楽しかった。早い段階でシクロクロスという種目を自分のテリトリー内に持ち込んで、再度チャレンジできるようになりたいと思った。

 また、この2週間はチーム全員がヨーロッパのレースで手応えを感じ、また選手としての課題も個々で実感することができた。このような貴重な体験ができたのは、多大なるご支援、たくさんの応援があってこそです。帰国してからは、各々の課題に向けて取り組んで参ります。帰国後の初戦は私(唐見)だけの出走となりますが、JCX第10戦山口下関です。今後ともよろしくお願いいたします。

弱虫ペダル サイクリングチーム弱虫ペダル サイクリングチーム(よわむしぺだる さいくりんぐちーむ)

2014年から活動を開始した「弱虫ペダル シクロクロスチーム」をベースに、2016年からはロード・MTB・シクロクロス・BMXの本格的な活動を開始。2020年に開催される東京オリンピックを見据え、チームからオリンピアンを輩出する事を前提としたアグレッシブな活動を行う。日々更新されるチーム公式Facebookページが充実。参戦スケジュール・レースレポートなどは公式ホームページに随時アップ

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