title banner

福光俊介の「週刊サイクルワールド」<190>気になる1位は? 2016年シーズンを振り返る、サイクルロードレース界10大ニュース

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
  • 一覧

 2016年は残りわずか。年が変わると同時に、新たなシーズンの幕開けだ。そこで、今年サイクルロードレース界に起きた数々のニュースの中から、筆者が特にビッグだと感じた10の出来事をピックアップ。レース内外問わず、ハッピーなものからショッキングなもの、サプライズなことまで一気に挙げてみたい。

北のクラシックで数々の名勝負を繰り広げたファビアン・カンチェッラーラ(左)とペテル・サガン。2016年シーズンの中心人物でもあった =パリ~ルーベ2016、2016年4月10日 Photo: Yuzuru SUNADA北のクラシックで数々の名勝負を繰り広げたファビアン・カンチェッラーラ(左)とペテル・サガン。2016年シーズンの中心人物でもあった =パリ~ルーベ2016、2016年4月10日 Photo: Yuzuru SUNADA

2016年サイクルロードレース界10大ニュース カウントダウン

 早速、2016年シーズンに起きた10の大きな出来事を、独断でランキング。カウントダウン形式でお届けしたい。

10:ディスクブレーキの導入トライアル中止(4月14日)

一度中止となったディスクブレーキのトライアルだが、2017年シーズンから再開される Photo: Yuzuru SUNADA一度中止となったディスクブレーキのトライアルだが、2017年シーズンから再開される Photo: Yuzuru SUNADA

 バイクメーカーやパーツブランドの強い要望を受け入れる形で解禁されたディスクブレーキ。2015年8~9月開催のレースにおける試験導入で手ごたえをつかみ、満を持して2016年シーズンでのトライアルスタート、のはずだった。

 しかし、4月10日に行われたパリ~ルーベでフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター チーム)が、他チームの選手が使用していたディスクブレーキのローター部分に接触。脚に深い傷を負うという、誰もが恐れていた事態が発生した。

 国際プロ自転車競技チーム協会(AIGCP)が要求したトライアル中止を、国際自転車競技連合(UCI)が受け入れて今に至っているが、2017年シーズン開幕と同時に導入再開となる運び。「ローターのエッジを90度にしない」との決まり事をもとに、レースでの活用法を探っていく。

9:「ファンシーベアー」のハッキングによるTUE問題の表面化(9月13日)

2012年のツール・ド・フランスでワンツーフィニッシュを果たしたブラッドリー・ウィギンス(左)とクリストファー・フルーム。ともにTUE申請をして大会に臨んでいた =ツール・ド・フランス2012第17ステージ、2012年7月19日 Photo: Yuzuru SUNADA2012年のツール・ド・フランスでワンツーフィニッシュを果たしたブラッドリー・ウィギンス(左)とクリストファー・フルーム。ともにTUE申請をして大会に臨んでいた =ツール・ド・フランス2012第17ステージ、2012年7月19日 Photo: Yuzuru SUNADA

 ロシアのハッカー集団「ファンシーベアー」によるWADA(世界アンチ・ドーピング機関)へのサイバー攻撃をきっかけに、TUE(治療目的使用に係る除外措置)申請に関する問題が表面化した。TUEとは、医療上の理由によって禁止物質や禁止方法の使用が必要な際、競技前に所定の手続きを行うことで例外的に用いることができるというもの。サイクルロードレース界でも多くの選手が、さまざまな理由で申請をしているが、その実態が明るみとなったのがこのハッキングだった。

 なかでも話題となったのが、ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、ウィギンス)とクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)の事例だ。両者がチームメートだった2012年には、TUE申請をしたうえでツール・ド・フランスに出場し、総合ワンツーフィニッシュをしていたことが判明した。

 ウィギンスにおいては、グランツールに臨むたびに必要量を上回って薬品を注射していたことが分かっている。数週間の効果が見込まれ、競技をするうえでの“後押し”になっていたのではないか、というのだ。

 ウィギンスはここ数ヶ月でイギリス国内のメディアに登場し、その正当性を主張し続けている。イギリスのアンチ・ドーピング機構も調査に動いており、結果が待たれる。

 ちなみに、サイクルロードレースにおけるTUE申請の多くは、喘息やアレルギーに対応するものとの実情がある。

8:UCIシクロクロス世界選手権でモータードーピングが発覚(1月30日)

ツール・ド・フランス2016で行われた抜き打ちバイク検査の様子 Photo: Shusaku MATSUOツール・ド・フランス2016で行われた抜き打ちバイク検査の様子 Photo: Shusaku MATSUO

 ベルギーで開催された、UCIシクロクロス世界選手権女子アンダー23において、フェムケ・ヴァンデンドリーシュ(ベルギー)が「技術的な詐欺行為」をしていたことがレース後に明らかとなった。技術的な詐欺行為、つまりは電動モーターによる補助動力の不正使用であり、彼女のバイクには“隠しモーター”が搭載されていた、というわけだ。

 発覚後、「私が友人に譲ったものであり、日頃私が使用しているバイクと同じものだ。トラックに一緒に搭載していたため、メカニックが私のバイクと勘違いしたのだと思う」と弁明していたヴァンデンドリーシュだが、4月に6年間の出場停止と2万スイスフラン(約230万円)の罰金との処分が下った。また、これに前後して本人の口から競技から身を引くことが語られた。

 近年、ロードレースシーンで話題になっていたモータードーピング。ツールなどのビッグレースのスタート前に念入りなバイク検査を行い、関係者が不正防止に努める姿からは、ヴァンデンドリーシュの一件がきっかけの1つであったことをうかがわせた。

7:フルームの新戦術? 下りと平坦で決定的アタック(7月10日、13日)

ツール・ド・フランス第8ステージ。ダウンヒルで加速したクリストファー・フルームはステージ優勝と同時に、マイヨジョーヌを獲得 =2016年7月9日 Photo: Yuzuru SUNADAツール・ド・フランス第8ステージ。ダウンヒルで加速したクリストファー・フルームはステージ優勝と同時に、マイヨジョーヌを獲得 =2016年7月9日 Photo: Yuzuru SUNADA

 ツール2016を制し、3度目の王者となったフルーム。山岳や個人タイムトライアルでの圧倒的な強さは誰もが知るところだが、今年のツールでは一味も二味も違った彼の姿があった。

 第8ステージ、この日最後の山岳は1級のコルド・ペイルスルド。頂上を目前に、有力選手たちが次々と前方に位置取りし、仕掛けどころを探る。そして山岳ポイント通過を前に猛然とペースアップしたのはフルームだった。勢いそのままにダウンヒルでさらなる加速。ライバルが必死に追うが、なりふり構わずペダリングするフルームのスピードに、誰も手が届かなかった。このステージを制したフルームはマイヨジョーヌを手にし、最後まで明け渡すことはなかった。

 その3日後の第11ステージ。この日は平坦にカテゴライズされ、主役はスプリンターのはずだった。だが、強い横風が波乱を呼んだ。フィニッシュまで残り12km。アシストを利用して集団から抜け出しを図ろうとするペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)にフルームが同調。両者にはアシストが1人ずつ付き、合わせて4人が利害を一致させた。その後はチームの垣根を越えた“チームTT”に。ステージはサガンに譲ったが、フルームは総合タイムでアドバンテージを得ることに成功。

 この2ステージで確保したタイムは決して大きくはなかった。それでも、ライバルの焦りを呼び、フルームの戦い方が幅広いことを知らしめるには十分な“奇襲”だった。

6:グランツールが1チーム8選手に? レース主催団体が出場選手数縮小に合意(11月25日)

ツール・デ・フランドル2016のスタート。200人が出走していたこのレースも対象となっている =2016年4月3日 Photo: Yuzuru SUNADAツール・デ・フランドル2016のスタート。200人が出走していたこのレースも対象となっている =2016年4月3日 Photo: Yuzuru SUNADA

 ツール・ド・フランスなどを主催するアモリ・スポル・オルガニザシオン(A.S.O.)、ジロ・デ・イタリアなどを主催するRCSスポルト、ツール・デ・フランドルなどを主催するフランダースクラシックの三者が、来季からの主催レースにおける1チームあたりの出場人数を縮小すると連名で発表。合計27レース、UCIワールドツアーの多くが対象となった。

 これは、1チームあたりのロースター(出走人数)が1枠減るというもので、グランツールでは9から8へ、その他のレースでは8から7へと変わる。

 レースでの安全性とエキサイティングさを理由に掲げたこの措置だが、多くのチーム関係者の反応は「NO」。UCIもこの決定を認めないと明言した。

 2017年開幕に向けて、その方向性をどう定めるかが急がれるところ。最終的な判断が待たれる。

5:日本女子ロード界躍進の1年に 来季は5人がトップシーンへ

2016年は世界の舞台に立った吉川美穂。スペイン強豪チームへの加入を決めた =UCIロード世界選手権女子エリートロードレース、2016年10月15日 Photo: Yuzuru SUNADA2016年は世界の舞台に立った吉川美穂。スペイン強豪チームへの加入を決めた =UCIロード世界選手権女子エリートロードレース、2016年10月15日 Photo: Yuzuru SUNADA

 競技全体のメジャー化に向けて、近年劇的に動きを見せている女子ロードレース界。それに呼応するかのごとく、日本の女子選手たちも世界を見据えて活発に動いている。

 沖美穂(現・日本競輪学校教員)、唐見実世子(現・弱虫ペダル サイクリングチーム)に続き、萩原麻由子がウィグル・ハイファイブに2013年から所属し(当時はウィグル・ホンダ)、女子ロードレースの最高峰を舞台に活躍してきた。

 今年からは與那嶺恵理が海外を拠点に活動を開始。4月にアメリカ籍のハーゲンスベルマン・スーパーミント プロサイクリングチームに加入し、複数の上位フィニッシュ。7月にはグランツールの1つであるジロ・ローザに出場。萩原もウィグル・ハイファイブの一員としてメンバー入りし、日本人選手2人が参戦した。

 與那嶺はリオデジャネイロ五輪後の8月中旬に、フランス籍のポワトゥー-シャラント・フュテュホスコープ・86へ移籍。9月にはブエルタ・ア・エスパーニャと同時開催された「マドリードチャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ」に臨み、逃げグループでレースを展開した。

 そんな躍進の1年を経て、坂口聖香(パナソニックレディース)と牧瀬翼(あさひミュールゼロ)が、オランダ拠点のマースランドスター・ニッチリビング・CCN インターナショナルサイクリングチーム入りを決めた。吉川美穂(Live GARDEN Bici Stelle)はスペインの強豪チームであるビスカヤ・ドゥランゴに加わる。合計5人が本場ヨーロッパをメインに走ることとなる。

 エリート・ジュニアともに有望選手が台頭している日本の女子ロードレース界。世界を舞台に戦う姿はもちろん、全日本選手権を筆頭に女王争いの注目度も増すことだろう。

4:ペテル・サガン UCIロード世界選手権2連覇(10月16日)

劣勢をものともせずUCIロード世界選手権を2連覇したペテル・サガン =2016年10月16日 Photo: Yuzuru SUNADA劣勢をものともせずUCIロード世界選手権を2連覇したペテル・サガン =2016年10月16日 Photo: Yuzuru SUNADA

 2015年にアメリカで開催されたUCIロード世界選手権で、鮮烈な勝利を挙げたサガン。世界王者の証であるマイヨジョーヌをまとうと不運が訪れるとのジンクス、「アルカンシエルの呪い」などどこ吹く風。今年は14勝を挙げ、UCIワールドツアー個人ランキングでも年間1位に輝いた。

 極めつけは、10月にカタール・ドーハで行われたUCIロード世界選手権。砂漠地帯特有の強風で優勝争いの人数が絞られる中、アシストを失いながらも単騎でレースを展開。トレインを形成し万全の体制に持ち込む強豪国を相手に、スプリントを制したのだ。

 堂々の2連覇で、アルカンシエルを防衛。2017年からは、ボーラ・ハンスグローエに移籍するが、純白に虹色の美しいジャージを新チームにもたらすこととなる。

3:新城幸也、別府史之 グランツールで敢闘賞を獲得

ツールとブエルタでそれぞれ敢闘賞を獲得した新城幸也(左)と別府史之 =ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第10ステージ、2016年8月29日 Photo: Yuzuru SUNADAツールとブエルタでそれぞれ敢闘賞を獲得した新城幸也(左)と別府史之 =ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第10ステージ、2016年8月29日 Photo: Yuzuru SUNADA

 今年は3つのグランツールすべてに日本人選手が出場。ジロ・デ・イタリアに山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、ツールに新城幸也(ランプレ・メリダ)、ブエルタに新城と別府史之(トレック・セガフレード)が参戦。いずれも完走を果たした。

 新城はツール第6ステージ(7月7日)に敢闘賞を獲得。スタート直後から2人で飛び出し、終盤まで逃げ続けた。受賞は2012年第4ステージ以来、4年ぶり2度目。

 これに続いたのが別府。ブエルタ第18ステージ(9月8日)で5人の逃げに乗り、粘った末に敢闘賞を手にした。ブエルタの敢闘賞選出システムは、主にツイッターによるファン投票。レース中に主催者が候補3人をピックアップし、もっとも票数を得た選手が受賞する。別府にとってグランツールの敢闘賞は、2009年ツール第21ステージ、2011年ジロ第10ステージフーガ賞に続く3回目。

 日本人選手によるグランツールでのステージ優勝が期待されて久しいが、敢闘賞も大きな名誉である。チームの方針や戦術をもとにしたオーダーに忠実に、職人としての走りを見せた末の勲章であることを、いま一度理解しておきたい。

2:山岳でフルームがまさかのランニング 見せた勝利への執念(7月14日)

ツール・ド・フランス第12ステージで破損したバイクを置いて走り出したクリストファー・フルーム。勝利への執念を見せた =2016年7月14日 Photo: Yuzuru SUNADAツール・ド・フランス第12ステージで破損したバイクを置いて走り出したクリストファー・フルーム。勝利への執念を見せた =2016年7月14日 Photo: Yuzuru SUNADA

 フランス革命記念日に行われたツール第12ステージ。“魔の山”モン・ヴァントゥー登頂が予定されていたが、強風と悪天候により、6km手前のシャレ・レナールへフィニッシュ地点が変更となった。

 それが波乱の前触れだったのか。フィニッシュへの上りは選手とファンが入り混じる大混乱。興奮した沿道の観客がコースをふさぎ、選手たちはわずかな幅を縫うようにして上り続けた。

 そしてハプニングの瞬間が訪れる。逃げグループに先を急がせ、その後ろで競っていた総合上位陣。コースをふさがれ立ち往生となってしまったモトバイクに、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、フルームの3人が突っ込む形で落車してしまった。

 モレマはすぐに再スタートを切ったが、ポートはバイクを直しタイムロス。フルームに至っては、フレームが破損し走行不能に。その瞬間、バイクをその場に置いて走り出した。

 約1kmにわたるランニング劇。その後渡されたニュートラルバイクも合わず、後方から追い上げてきたチームカーからスペアバイクを受け取ったときには、ライバルから大きく遅れを取ってしまっていた。

 結果的にフルームとポートには救済措置が与えられ、総合争いに影響を及ぼすことはなかったが、絶対王者が見せた決死のランニングはまさに勝利への執念。同時に、伝説のシーンとしてツール史に刻まれることとなった。

1:カンチェッラーラ有終の美 リオ五輪個人TT金メダル(8月10日)

リオデジャネイロ五輪個人タイムトライアルを走るファビアン・カンチェッラーラ。事実上最後の勇姿となった =2016年8月10日 Photo: Yuzuru SUNADAリオデジャネイロ五輪個人タイムトライアルを走るファビアン・カンチェッラーラ。事実上最後の勇姿となった =2016年8月10日 Photo: Yuzuru SUNADA

 かねてから2016年シーズン限りでの現役引退を発表していたファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック・セガフレード)。最後の大舞台として選んだのは、リオ五輪だった。

 キャリア最後のシーズンは、序盤からエンジン全開。主戦場の1つである北のクラシックでの優勝は逃したが、2009年以来となるジロにも出場(第10ステージ未出走)。6月までに6勝を挙げた。

 ツールに出場する頃にはリオ五輪を意識した走りとなっており、地元スイスを巡った第17ステージを最後に大会を去って、調整に専念。万全な準備を施してリオ入りした。

 4日前のロードレースは34位で終え、迎えた個人タイムトライアル。急坂とテクニカルな下りが含まれた54.6kmのコースで序盤からトップタイムを刻み続け、最後は圧倒的なタイムでフィニッシュ。優勝候補筆頭に挙げられていたトム・デュムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン)やフルームをも寄せ付けなかった。優勝決定の瞬間、感情を爆発させ涙したカンチェッラーラ。2008年の北京大会以来、実に8年ぶりの五輪金メダル獲得。

 その後は10月のジャパンカップクリテリウムには出走したが、事実上の最終レースがリオ五輪個人TTとなった。“持ち場”である個人TTで金メダルを手にしての現役引退。これ以上ないキャリアの幕引きは、「持っている男」にしか成せない業であるといえよう。

数々の歴史を塗り替えてきたファビアン・カンチェッラーラ。長いキャリアの最後を五輪金メダルで飾った =リオデジャネイロ五輪・男子個人タイムトライアル、2016年8月10日 Photo: Yuzuru SUNADA数々の歴史を塗り替えてきたファビアン・カンチェッラーラ。長いキャリアの最後を五輪金メダルで飾った =リオデジャネイロ五輪・男子個人タイムトライアル、2016年8月10日 Photo: Yuzuru SUNADA

 2016年サイクルロードレース界10大ニュース、いかがだろうか。もちろん、1つ1つに賛否両論あるだろうが、みなさんが印象に残っているニュースと照らし合わせつつ読んでいただけるとうれしい。

 2017年シーズンの開幕は、もうまもなく。今年を凌駕するできごとは待ち受けているだろうか。喜びと驚きに満ちたドラマが、きっとすぐそこに迫っているはずだ。

 今年も「週刊サイクルワールド」をお楽しみいただき、ありがとうございました。来年も引き続きよろしくお願いします。これからも一緒にサイクルロードレースを楽しみ、盛り上げていきましょう!

今週の爆走ライダー-ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシスト や逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 2016年最後の爆走ライダーは、“改めて”引退を決定したロドリゲスをピックアップ。

2013年のUCIロード世界選手権では、チーム内連携が上手くいかず銀メダル。悔し涙に暮れた =2013年9月29日 Photo: Yuzuru SUNADA2013年のUCIロード世界選手権では、チーム内連携が上手くいかず銀メダル。悔し涙に暮れた =2013年9月29日 Photo: Yuzuru SUNADA

 今年のツール休息日に発表した現役引退。一度は撤回しレースへも参戦。来季からのバーレーン・メリダ入りも決まっていた。チームビルディングキャンプにも臨み、新たな仲間とのコミュニケーションも上々だったが、何よりも気持ちが付いてこなかった。「精神的に100%じゃない限り、走ることは難しい」と述べ、競技を続けることを断念した。

 長年親しまれた“プリート”のニックネームは、「葉巻」を意味する。オンセ・エロスキでデビューした2001年、悠々と登坂しながら葉巻を吸う仕草を見せた彼にチームメートが付けた呼び名なのだとか。以来、山岳やクラシックを中心に大活躍。激坂ハンターの名をほしいままにし、イル・ロンバルディア2勝、ツールでもステージ3勝を挙げた。

 一方で、グランツールのタイトルとは無縁だった。2012年のジロでは最終日に逆転され総合2位。2015年のブエルタも総合2位で終えた。また、世界選手権では2009年に銅メダル、2013年はチーム内連携が上手くいかず銀メダル。勝利を逃し表彰台で涙に暮れた。

 ビッグレースになればなるほど、勝っても負けてもその姿は印象的だった。それだけ彼の存在は大きく、期待に違わない成績を残し続けてきたことを意味する。UCIワールドツアー個人ランキングで1位になること3回。シーズンを通してハイクオリティの走りを貫いたことも一因だ。

 年が明けると、一度はジャージを着る予定だったバーレーン・メリダのテクニカルスタッフとしてチームに携わる。期待されるのは“ポスト・プリート”の養成。長きにわたって培われた経験と知識を自転車界に還元する日々が始まる。

2017年からはバーレーン・メリダのテクニカルスタッフとなるホアキン・ロドリゲス。“ポスト・プリート”の養成に力を注ぐ =ツール・ド・フランス2016第20ステージ、2016年7月23日 Photo: Yuzuru SUNADA2017年からはバーレーン・メリダのテクニカルスタッフとなるホアキン・ロドリゲス。“ポスト・プリート”の養成に力を注ぐ =ツール・ド・フランス2016第20ステージ、2016年7月23日 Photo: Yuzuru SUNADA
福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、今ではロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。自転車情報のFacebookページ「suke’scycling world」も充実。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。ウェブサイト「The Syunsuke FUKUMITSU

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ロードレース 週刊サイクルワールド

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載