弱虫ペダルチーム・欧州シクロクロス遠征記<2>初戦はベルギーでナイトレース スーパープレステージのスピードに翻弄も大きな経験

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 年末年始にかけ、オランダを拠点に2週間のシクロクロス欧州遠征を行う「弱虫ペダル サイクリングチーム」の戦いが始まりました。プレイングコーチの唐見実世子選手と、昨シーズン全日本ジュニア王者の織田聖選手が最初に挑んだのは、12月23日、ベルギーのディーヘムで行われた大会。唐見選手が奮戦ぶりをリポートします。

<1>本場欧州シクロクロスに挑戦!

最終周回、ゴールに向かって最後のフライオーバー(立体交差)からのテクニカルコーナーに挑む唐見選手 Photo: Shigehiko SATO最終周回、ゴールに向かって最後のフライオーバー(立体交差)からのテクニカルコーナーに挑む唐見選手 Photo: Shigehiko SATO

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3時間で国境を越えベルギーへ

朝は朝食&補給食作りからスタート Photo: Shigehiko SATO朝は朝食&補給食作りからスタート Photo: Shigehiko SATO

 初戦からいきなりスーパープレステージに出場となる。スーパープレステージはベルギーとオランダで行われる世界最高クラスのシリーズ戦の一つで、3大シリーズと並び称されるUCIシクロクロスワールドカップや、GvAトロフェーよりも歴史があるシリーズだ。

 ナイトレースではあったが、国境を越えてベルギーまで行くので、ホームステイ先のハリーさんのお宅を午前11時頃出発。長い一日になるである事を覚悟した。

 国境を越えるとはいえ、陸続きだし3時間弱のドライブなので、お隣の国に行ってる気がしない。それに気温は高くはないけれど、時折太陽が見えて絶好のシクロクロス日和。欧州遠征初戦なので助かる。

 予定通り午後2時前に到着。まだレースは始まっていないのにすでに会場は盛り上がっていて、メディアも観客もチームや選手スタッフもたくさんいる。専用バスやキャンピングカーで来ているチームが多く、シクロクロス人気をうかがい知る事ができた。

スーパーで購入したパンと具材でサンドイッチを大量に作った Photo: Shigehiko SATOスーパーで購入したパンと具材でサンドイッチを大量に作った Photo: Shigehiko SATO
ナショナルチームでもお世話になっているランジットさんがサポートに来てくれた Photo: Shigehiko SATOナショナルチームでもお世話になっているランジットさんがサポートに来てくれた Photo: Shigehiko SATO
日比谷メカはレース前のバイクセッティング Photo: Shigehiko SATO日比谷メカはレース前のバイクセッティング Photo: Shigehiko SATO

 コースは舗装路の長い上り、スピードの出る長い下り、泥の区間やキャンバー、フカフカの砂区間などから形成されており、スピードコースのような印象。試走をしていると他の選手と自分を比較してしまい、実力のなさを思い知る。大変なレースになりそう。そうこうしていると、ハリーさんのチームの女子選手と一緒にコースを走らせてもらう事になった。かなりの実力者ではあるが、私のレベルまで視線を落としてくれて走ってくれたので、気分的に楽になった。

本場シクロクロス会場ではビールを飲みながら応援するのがスタンダード?! Photo: Shigehiko SATO本場シクロクロス会場ではビールを飲みながら応援するのがスタンダード?! Photo: Shigehiko SATO
会場ではルクセンブルクで行われる世界シクロクロス選手権大会のリーフレットが配布されていた Photo: Shigehiko SATO会場ではルクセンブルクで行われる世界シクロクロス選手権大会のリーフレットが配布されていた Photo: Shigehiko SATO

ほろ苦い初戦になった織田聖選手

男子U23レース前、織田選手の表情に緊張感が漂う Photo: Shigehiko SATO男子U23レース前、織田選手の表情に緊張感が漂う Photo: Shigehiko SATO

 午後3時スタートのジュニアカテゴリーが終了し、いよいよU23(23歳未満)の織田聖選手の出番。入念にウォーミングアップをこなし、いざスタートラインへ。彼のゼッケンナンバーは48。後方からのスタートとなったが、落ち着いて並んでくれているので、こちらも安心して見ていられる。

 スタート2分前。寒そうだけど、ジャケットやタイツを脱いで受け取る。すでに全選手が戦闘モード。シクロクロスはシングルトラックに入るまでに集団前方に位置する事が大切なので、スタートがとても速い。そしてシグナルが赤から青に変わり、一斉にスタート。ゼロからの加速、それに上り区間とは思えない速さ。織田選手といえば、ビンディングペダルのクリートキャッチを失敗してしまって一度足を地面についてしまったが、そこから何とか前に食らいついて走り抜けていった。

男子U23レースのスタートグリッド Photo: Shigehiko SATO男子U23レースのスタートグリッド Photo: Shigehiko SATO
難易度の高いキャンバー区間 Photo: Shigehiko SATO難易度の高いキャンバー区間 Photo: Shigehiko SATO
パックから抜け出しを図る織田選手 Photo: Shigehiko SATOパックから抜け出しを図る織田選手 Photo: Shigehiko SATO

 U23とはいえ、舗装路の区間のスピードはもちろんのこと、テクニカルな区間もコーナリングも全て速い。今まで日本で見てきたものとは全く異次元の迫力だった。思考回路をクリアにして新しく作り変える必要があるとさえ思った。

 織田選手の欧州遠征第1戦目は、もらい落車をしてエンドを曲げてしまったり、チェーントラブルに見舞われたりと不運が続き、先頭から2ラップ遅れでDNF(Did Not Finish=未完走)。ほろ苦い思い出となってしまった。

 しかし彼はまだ高校生。このような大舞台を経験する事は彼にとって今後の大きな財産となるので、この悔しさをバネに次に繋げてもらいたい。

スリッピーな上り区間 Photo: Shigehiko SATOスリッピーな上り区間 Photo: Shigehiko SATO
路面状況を見極め、乗る箇所と降りる箇所のメリハリをつけて走る Photo: Shigehiko SATO路面状況を見極め、乗る箇所と降りる箇所のメリハリをつけて走る Photo: Shigehiko SATO

女子も猛烈なスタート

 そして太陽が完全に沈んでしまった午後6時15分、女子のレースがスタート。私のゼッケンは61番。最後尾かと思ったが、国内レースでUCIポイントを獲得する事ができたので4列目あたりからのスタートとなった。

 女子のスタートも男子顔負けの速さ。私はといえば、苦手なクリートキャッチに手こずり、上り区間の頂上あたりまで、クリートキャッチできないまま走る事になってしまう。クリートがペダルにはまった頃には、先頭は遥か彼方。そこからはもう、前を追っていくしかなかった。キャンバーや泥、砂などの多くのセクションに手こずりながらも、一人ずつ前の選手をキャッチする作業を続け、最後は37番まで順位を上げる事ができた。

女子レースの時間帯には、歩くのも困難になるほどの観客が来場 Photo: Shigehiko SATO女子レースの時間帯には、歩くのも困難になるほどの観客が来場 Photo: Shigehiko SATO
巨大ビジョン前に観客が群がる Photo: Shigehiko SATO巨大ビジョン前に観客が群がる Photo: Shigehiko SATO
欧州遠征前に練習を重ねて精度を高めた唐見選手の飛び乗り乗車 Photo: Shigehiko SATO欧州遠征前に練習を重ねて精度を高めた唐見選手の飛び乗り乗車 Photo: Shigehiko SATO

 良かった事といえば、ゴールまで体力と集中力が切れなかった事くらいかな。

 今は世界との大きく高い壁を実感じている。遠征中に少しでも多くの経験を積み、その差を詰めていくしかない。遠征は始まったばかり。明日からもレースが続くので、気持ちを切り替えて今出せる最大限の力で戦っていこうと思った。

<3>クリスマスイブはクラブチーム主催のレースに参戦

弱虫ペダル サイクリングチーム弱虫ペダル サイクリングチーム(よわむしぺだる さいくりんぐちーむ)

2014年から活動を開始した「弱虫ペダル シクロクロスチーム」をベースに、2016年からはロード・MTB・シクロクロス・BMXの本格的な活動を開始。2020年に開催される東京オリンピックを見据え、チームからオリンピアンを輩出する事を前提としたアグレッシブな活動を行う。日々更新されるチーム公式Facebookページが充実。参戦スケジュール・レースレポートなどは公式ホームページに随時アップ

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