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栗村修の“輪”生相談<90>40代男性「自分がレースを作ったら、レースに出る事ができなくなってしまいました」

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若い頃から様々なホビーレースに参加し、楽しんできました。レースに参加しながら「こんなレースで走りたい」という希望を仲間と話していたのですが、ひょんなことからホビーレース運営者になってしまいました。

 自分の理想のレースコースを追い求めて作り、そこを選手たちが走る姿を見て嬉しいと思う反面、自分もまだ走りたいという気持ちもあり、複雑な心境です。

 しかし、安全なレースを運営するために様々な事をこなさなくてはならず、平日は仕事後夜中まで準備し、休日返上の毎日です。当然、走る時間も作れず、ストレスは溜まり、体重も増加の一途です。

 今では落胆するほど走れなくなり、他のレースにも参加できなくなってきています。

 覚悟が足りなかったといえばそれまでですが、やはりレースを運営する立場は、レースを走る事を諦めるべきなのでしょうか。

(40代男性)

 個人的に、とっても共感を持てる質問です。正直、すごくわかります。その気持ち。おっしゃる通りレース開催は大変なのですが、こればかりは、経験者じゃないとわからないですよね…。

 レース参加者がレースに苦情を言うのを、よく目にしますよね。ホビーレーサーばかりか、日本を代表するような選手の口からそういう言葉が出ることもあります。

 でも、その逆ってまずないじゃないですか。「このレースは素晴らしかった」という評価を聞く機会もなくはないですが、苦情に比べたらずっと少ない。

 レースを主催するというのは、そんなものです。減点だけがあって、加点はない。すべてを100%、完璧にこなしてようやく「苦情が出ない」レベルです。何かあれば、クレームの嵐となります。

全国各地でさまざまなホビーレースが開催されている Photo: Ikki YONEYAMA全国各地でさまざまなホビーレースが開催されている Photo: Ikki YONEYAMA

 レースに対していろいろな意見を頂戴することも多いんですが、ぶっちゃけ、主催者たちが検討済みの内容がほとんどです。でも、無数の制限があって現状に落ち着いている(そうせざるを得ない)わけです。「理想のレースがほしいなら、自分で作ってみろ」というのは、かなりの主催者の偽らざる本音だと思いますね。もっとも、手を抜いている危険な主催者がそれなりにいるのも事実でしょうが…。

 ところが、質問者さんは実際にレースを作ってしまった。頭が下がります。しかし、レースを走ることができなくなってしまったと。

 レースを走ることが好きでレースを作ったのに、走れなくなってしまった。動機がピュアなだけに、よけい切なく感じます。

 あきらめるべきか、とのことですが、夢は実現してほしいです。が、主催のお仕事をしている限りはたぶん、そのレースに出るのは難しいでしょう。

栗村さんも「悩める40代男性」の一人? Photo: Ikki YONEYAMA栗村さんも「悩める40代男性」の一人? Photo: Ikki YONEYAMA

 実務面を別の方に任せ、ご自身が名誉会長(?)などの立場になればレースに参加することもできるかもしれませんが、主催サイドのメンバーがレースに出ると、周りの目は厳しくなるかもしれません。方法があるとすれば、レース主催を後任に譲ることでしょう。

 明確なお答えにならずすみません。でも、僕は質問者さんに覚悟がないとはまったく思いませんし、ここまでレースを作ってこられた努力には、敬意を表します。

 この記事を読まれた方が、日本でレースを開催することの難しさを少しでも理解した上でレースに参加してくれれば、僕としてもうれしいですね。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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