ミネアポリスの新興ブランド一行が来日オールシティーが日本を走って伝えた世界観「スピードとは速さでなく風が顔に当たる気持ち良さ」

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
  • 一覧

 アメリカ・ミネアポリスに本拠地を置くバイクブランド「ALL-CITY CYCLES」(オールシティーサイクルズ)をご存じだろうか。11月末~12月上旬にかけて、ブランドマネージャーのジェフ・フレインさんと、セールスマネージャーのネイト・チョマさんが来日。「AC ジャパンツアー2016」と称して関西から関東へと取扱店を巡り、東京都内ではリラックスしたプレゼンテーション&パーティを行った。「秋ヶ瀬の森 バイクロア6」にも参加した一行の模様を織り交ぜながら、ブランドの由来や魅力に迫った。

ALL-CITY Cyclesのブランドマネージャーのジェフ・フレインさん(右)とグローバルセールスマネージャーのネイト・チョマさん Photo: Kenta SAWANOALL-CITY Cyclesのブランドマネージャーのジェフ・フレインさん(右)とグローバルセールスマネージャーのネイト・チョマさん Photo: Kenta SAWANO

マニア心くすぐる細身バイク

 町を歩いていると、時折「オールシティー」のクロモリの細身なトラックバイクやシクロクロスバイクを見かけるようになってきた。だが、個人的に知っているのは、2009年にジェフさんが立ち上げたミネアポリスのブランドということだけ。興味はあるが予備知識はさほどないまま、12月2日に東京・代官山で開かれたプレゼンテーションに臨んだ。会場のカフェ&ダイナー「UNICE」の地下へと階段を下ると、シングルギアのバイク、シクロクロス、マウンテンバイクなどクロモリの細身のバイクがズラリと並んでいた。

会場には街乗り用のPONY EXPRESSからレース用バイクまでラインナップがずらり Photo: Kenta SAWANO会場には街乗り用のPONY EXPRESSからレース用バイクまでラインナップがずらり Photo: Kenta SAWANO
オールシティーの筆記体のロゴ Photo: Kenta SAWANOオールシティーの筆記体のロゴ Photo: Kenta SAWANO
フレームのエンド部分にはミネアポリスの象徴という「ヘネピン橋」が肉抜きであしらわれている Photo: Kenta SAWANOフレームのエンド部分にはミネアポリスの象徴という「ヘネピン橋」が肉抜きであしらわれている Photo: Kenta SAWANO

 開始までまだ時間があり、参加者は、まだ集まり切っていなかったので、ミネアポリスのヘネピン橋をモチーフにしたリアエンドやオールシティーが独自開発したというオリジナルパイプ「SELECT 612」のステッカーなど、マニア心をくすぐるような細工に見入っていた。すると、長髪の大柄な外国人が英語で話しかけてきた。

 「よく来てくれたね。君はどんなバイクに乗ってどんな乗り方をしているの? この中だとどのバイクに乗ってみたい?」とフレンドリーに、かつ矢継ぎ早に尋ねてくる。名刺を渡されると、その人がグローバルセールスマネージャーのネイト・チョマさんだった。

NATURE BOY853にはWHISKY PARTSのカーボンフォークが標準採用 Photo: Kenta SAWANONATURE BOY853にはWHISKY PARTSのカーボンフォークが標準採用 Photo: Kenta SAWANO
オールシティーが独自開発したパイプ「612セレクト」 Photo: Kenta SAWANO オールシティーが独自開発したパイプ「612セレクト」 Photo: Kenta SAWANO 

トップが直接プレゼン

 筆者は「どのバイクも懐かしい感じがするけど、WHISKYの太いカーボンフォークだったり、オールシティーのロゴがおしゃれだったり、新しい感じがしてどれも興味深いバイクですね」と率直に感想を伝えた。すると、「そうでしょ。そうなんだよ」と、うれしそうにうなずく。セールスマネージャーというより、友達の家に呼ばれ、自転車の自慢話を聞いているような雰囲気だ。楽しいおしゃべりに花を咲かせていると、ジェフさんのプレゼンテーションが始まった。

販売店の関係者などの来場者が熱心にジェフさんのプレゼンテーションに聞き入った Photo: Kenta SAWANO販売店の関係者などの来場者が熱心にジェフさんのプレゼンテーションに聞き入った Photo: Kenta SAWANO

自分たちが乗りたいバイクがなかった

ジェフさん:私はミネアポリス郊外の町で生まれ、森を走るためにマウンテンバイク(MTB)に乗り始め、大きくなってミネアポリスに出てきてからフィックスド・ギア(固定ギア)のバイクに乗り始めました。メッセンジャーとも交流しながら「オール・シティー・チャンピオンシップ」というアレーキャット・レース(決められたポイントを回りながら与えられたミッションをこなしゴールを目指すレース)を行っていました。そのレース名が今のブランド名になっています。なかなか自分たちが乗りたいというバイクがなかったので、ならば作ってしまおうという感じで最初の1台ができました。

ALL-CITY Cyclesのバイクを並べて、プロジェクターを使い社員一人一人の説明をするジェフ・フレインさん Photo: Kenta SAWANOALL-CITY Cyclesのバイクを並べて、プロジェクターを使い社員一人一人の説明をするジェフ・フレインさん Photo: Kenta SAWANO

 ジェフさんは2009年にブランドを創設。トラックバイクに始まり、ロードバイク、シクロクロスバイクとジャンルを問わずシンプルなバイクをリリース。ネイトさんと二人三脚でブランドを世界にアピールしながら、社員5人の少数精鋭で自転車の楽しさを世界に広めている。

 今回の来日でも、同ブランドを取り扱うモトクロスインターナショナルの一行と一緒に神戸、大阪、名古屋、横浜、東京の取り扱い店を足しげく回り、交流を深めた。「どのお店も私たちの作ったフレームをとても趣味の良い組み方で完成車にしてくれていて、本当にうれしかった」と褒めちぎる。

平日の日中にもかかわらずSPARK Scone & Bicycleにやってきた熱烈なALL-CITYファンとスタッフで記念撮影 Photo: Motocross international平日の日中にもかかわらずSPARK Scone & Bicycleにやってきた熱烈なALL-CITYファンとスタッフで記念撮影 Photo: Motocross international
熱烈歓迎してくれたブルーラグ幡ヶ谷店にて。彼らは、この店のオリジナルグッズをお土産にたくさん買っていた Photo: Motocross international熱烈歓迎してくれたブルーラグ幡ヶ谷店にて。彼らは、この店のオリジナルグッズをお土産にたくさん買っていた Photo: Motocross international

 自転車ブランドのプレゼンテーションにもかかわらず、自社の自転車の説明はほとんどない。ジェフさんはオールシティーのバイクを買って初めてシクロクロスのレースにはまっていった女性のエピソードを披露したかと思うと、毎年2月にミネアポリスで雪合戦とともに行われる自転車レース「Stupor Bowl」(ステューパーボウル)、さらには市民が気軽に参加できるシクロクロスイベント「Bandit cross」(バンディットクロス)など、地域の自転車の楽しみ方を次々と紹介していった。

明確な言葉でALL-CITY のブランドイメージを話すジェフ・フレインさん Photo: Kenta SAWANO明確な言葉でALL-CITY のブランドイメージを話すジェフ・フレインさん Photo: Kenta SAWANO

ジェフさん:自転車は私たちにとって道具ではありません。人生でありコミュニティーなんです。自転車を通して見えてくること、人とつながってくることが重要で、私たちが作る自転車はみなさんへのラブレターなんです。

 自転車への熱い思いが続いた。一番ジェフさんが力説したのは、オールシティーのポリシーについてだった。

ジェフさん:私たちが重要視するのは「スピード&スタイル」です。スピードとは、ただ単にレースで速さを求めるのでなく、コーナーを回るときに風を顔で受けるときの気持ち良さなんです。スタイルというのは、今かっこ良いだけでなく、時代を超えた格好の良さで、60年代、70年代のサイクリングのスタイルと現代的なものを融合させています。とにかくただ速いだけでなく、人間的に素晴らしいことが重要で、「コッシー」はそれを体現してくれています

バイクロア6のシングルスピードでシクロクロスレースに参加するコッシー Photo: Motocross internationalバイクロア6のシングルスピードでシクロクロスレースに参加するコッシー Photo: Motocross international

 そういって、日本でアンバサダーを務めるKOSSY(コッシー)こと腰山雅大さんを紹介した。腰山さんはBMXフリースタイル出身ながら、シクロクロスレースにも進出。レース中に大ジャンプをメークしたり、シングルスピードで最高位のC1カテゴリーに出場するなど、まさに速さとスタイルを持って自転車を楽しんでいる一人だ。世界に配られる冊子のトップで「スピード&スタイル」の重要人物として紹介されている。

大阪では、ナイトライドを決行。黄色く色づいたイチョウの葉と華やかなライトアップが印象的だった Photo: Motocross international大阪では、ナイトライドを決行。黄色く色づいたイチョウの葉と華やかなライトアップが印象的だった Photo: Motocross international

 腰山さんは「C1のレースで上位に残っても記憶に残らないかもしれないれども、シングルスピードで同等に走れば、みなさんの記憶に残ってくれるんじゃないですか」とオールシティーの「Natureboy853」(ネイチャーボーイ853)で各地を転戦している。

 また、レースだけでなく今年は広島や名古屋でもオールシティーに乗るサイクリストを集め、ライドを開催。今回のジャパンツアーでも地元大阪でナイトライドを企画し、イルミネーションの中を走ったりした。

プレゼンテーション後のパーティーで自らDJを務めたジェフ・フレインさん Photo: Kenta SAWANOプレゼンテーション後のパーティーで自らDJを務めたジェフ・フレインさん Photo: Kenta SAWANO

 最後まで、真面目にかつ分かりやすくブランド説明を行ったジェフさんは、また違った一面で参加者(お客)をリラックスさせた。別名「パーティーブランド」のオールシティーを体現するべく、ステージに上がるとターンテーブルに向かいDJを始めたのだ。

 しかもアメリカから7インチのレコードを自ら持ち込み70年代のファンクから最近のものまで、昔にリスペクトを忘れない「オールシティー」ならではの選曲で楽しませた。ホストとして音楽でもサイクリストをもてなしたジェフさんはレコードを回しながら満足そうに、踊るサイクリストたちを眺め、楽しい夜が過ぎていった。

終盤にパンクをしたため担いで2周を走ったコッシーを労うジェフ Photo: Motocross international終盤にパンクをしたため担いで2周を走ったコッシーを労うジェフ Photo: Motocross international
サンセットレースをブッチギリで優勝したALL-CITY創設者のジェフ・フレイン Photo: Motocross internationalサンセットレースをブッチギリで優勝したALL-CITY創設者のジェフ・フレイン Photo: Motocross international
秋ヶ瀬の森バイクロア2日目に行なわれたALL CITY presents FAST CLASS。こちらはガチなシクロクロスレース。スタート直後の様子 Photo: Motocross international秋ヶ瀬の森バイクロア2日目に行なわれたALL CITY presents FAST CLASS。こちらはガチなシクロクロスレース。スタート直後の様子 Photo: Motocross international

 翌日、オールシティー一行は、埼玉県で行われた「秋ヶ瀬の森 バイクロア6」(12月3、4日)に参加。ジェフさんは3日のサンセットレースで見事にぶっちぎりで優勝。プレゼンテーションでは「スピードとは速さだけでない‥」と言い切りながら、その言葉を覆して勝ってしまうところがまたご愛敬だった。翌12月4日にはレースもスポンサードし「オールシティー プレゼンツ ファストクラス」を開催。ネイトさん、腰山さんとともにレースに参加し、日本のシクロクロス大会も盛り上げた。

フォトギャラリー


この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

モトクロスインターナショナル

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載