title banner

栗村修の“輪”生相談<88>31歳男性「腕が長いことによるメリット、デメリットがあれば教えてください」

  • 一覧

 
いつも楽しく記事を拝見しております。本格的にロードバイクに乗り始めてから2年程の、31歳男です。

 当方身長が172cm、股下77cmで、ウイングスパン(両手を横に広げて左右指先の距離)が181cm程度です。身長や日本人らしい股下の割には腕が長いような気がしています。

 ふと、腕が長いことによるデッドウェイト、また空気抵抗の面でも若干不利になってしまっているのだろうかと考える事があります。栗村さんが考える、腕が長いことによるメリット、デメリット、生かし方などがあれば教えて頂きたいです。

 また逆に、腕が短い場合に悩みになるような事はあるのでしょうか?

(31歳男性)

 脚の長さは、欧米人と比較した場合の日本人の特徴としてよく話題になりますよね。胴長短足だから日本人は自転車に向かない、とか。しかし腕の長さに着目された方はなかなか少ないのではないでしょうか。

 一般に、胴体に対して脚は長いほうがいいと思います。単純に「脚の長さ=直接的にパワーを生み出す筋肉量」に繋がりやすいからです。また、相対的に胴が短いということは重量面でも空気抵抗の面においても有利になることが多いでしょう。

 じゃあ、腕はどうでしょうか。通常、欧米人は腕も長いですが、それは強みなのでしょうか。

欧米人と日本人では、腕や脚の長さがかなり異なっている =2016年5月29日、ジロ・デ・イタリア第21ステージ Photo: Yuzuru SUNADA欧米人と日本人では、腕や脚の長さがかなり異なっている =2016年5月29日、ジロ・デ・イタリア第21ステージ Photo: Yuzuru SUNADA

 上体を支えるという仕事はありますが、脚みたいに、直接的に推進力を生むわけじゃないですよね。その意味では、質問者さんがおっしゃるように、脚と比べるとデッドウェイトに近い。それに、空気抵抗という面でも、腕が長いことはデメリットになりそう。

 あと、腕が長いと通常はハンドルを低く遠くしなければいけません。見栄えはいいんですけど、ステムやトップチューブの長さを確保しなければいけないので、ワンサイズ大きいフレームを選ぶなど、機材関連で工夫が要ることもあります。

 じゃあメリットはというと、まずはダンシングでしょうか。自転車を振ったりするのは腕ですから、長いほうが可動範囲は広がります。操作性という点では、下りでも有利かもしれません。確実に前後左右への体重移動はし易くなると思います。

 以上、メリットとデメリットを比べましたが、正直、どっちもそんな致命的じゃないですね。腕が長いことの重量増や空気抵抗もそれほどではないと思いますし、逆に、腕が長いからといってすごく有利になるかというと、そんなこともなさそうです。

 しかし、です。実はここからが本題なのです。

 腕が長いとですね、ガッツポーズが綺麗、ないし綺麗に見せやすいのです。ガッツポーズ評論家である僕にとって、これは見逃せない点です。

 ガッツポーズの重要な要素に、前から見たときのインパクトがあります。ところが、腕が短い人が両手を広げるガッツポーズをしても、リーチの短さによっていまいち迫力が出ない場合が見受けれられるんですね。

ガッツポーズで歓喜のゴールを切るヨン・イサギレ(スペイン、モビスター チーム) =2016年7月23日、ツール・ド・フランス第20ステージ Photo: Yuzuru SUNADAガッツポーズで歓喜のゴールを切るヨン・イサギレ(スペイン、モビスター チーム) =2016年7月23日、ツール・ド・フランス第20ステージ Photo: Yuzuru SUNADA

 その点、腕が長いと有利です。両腕を斜め45度に上げる、お菓子のグリコのポーズは、腕が長い人向きと言えるでしょう。リーチが生かせます。なお、腕はできるだけまっすぐに伸ばすことがポイントです。トレーニングを重ねてください。

 補足すると、腕の短さを問題にしないガッツポーズというのもあるので、腕の長さに自信がない方もご安心ください。たとえば、片手で握りこぶしを振りかざすようなスタイルですね。腕を広げてしまうと長さがバレますので、動きと情熱で勝利の喜びを表現するようにしてください。

 ということで、腕が長い人には「ガッツポーズを美しくしやすい」という強みがあることがわかりました。問題は、レースに勝たなければこの強みを生かせないことくらいでしょうか。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

栗村修の“輪”生相談

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載