11月14日は「世界糖尿病デー」スポーツバイクを通して1型糖尿病を理解 チーム ノボノルディスクが体験型イベント

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 選手全員が1型糖尿病患者でありながら、UCI(国際自転車競技連合)で上から2番目のカテゴリーであるプロコンチネンタルチームとして活躍する「チーム ノボノルディスク」。そのチームを率いる製薬企業「ノボノルディスク ファーマ」と日本糖尿病協会が共催する「スポーツバイク エクスペリエンス」が11月13日、東京・明治神宮外苑で開催された。11月14日の「世界糖尿病デー」を前に開催されたイベントで、サイクリングによる血糖値の変動を知る血糖値測定会など、スポーツバイクを通じて糖尿病への理解を深めるさまざまなイベントが催された。

「チーム ノボノルディスク」の選手やゲストライダーの益子直美・山 本雅道ご夫妻と共に、参加者20人がおそろいのジャージで東京の街をサイクリング  Photo: Kyoko GOTO「チーム ノボ ノルディスク」の選手やゲストライダーの益子直美さん、山本雅道さん、今中大介さんと共に参加者20人がおそろいのジャージで東京の街をサイクリング  Photo: Kyoko GOTO

世界100人から成る「チームノボ ノルディスク」

 チームノボノルディスク、関係者らが当日、人文字で世界糖尿病デーのシンボル「ブルーサークル」を作成 ©novonordisk チームノボノルディスク、関係者らが当日、人文字で世界糖尿病デーのシンボル「ブルーサークル」を作成 ©novonordisk

 1型糖尿病とは自己免疫反応の異常やウイルス感染などが原因ですい臓のβ細胞の働かなくなり、体内でインスリンが分泌されなくなる疾患。インスリンが分泌されないと血中のブドウ糖が分解されず、エネルギー源となるグリコーゲンが筋肉や肝臓に蓄えられないため、体外からインスリンを補う治療が必要となる。血糖コントロールがうまくいかないと低血糖による意識障害、最悪の場合は命の危険に関わるため、血糖値の適切な管理が重要となる。

世界糖尿病デーのシンボル「ブルーサークル」を上空から望む ©novonordisk世界糖尿病デーのシンボル「ブルーサークル」を上空から望む ©novonordisk

 その1型糖尿病を抱えながら過酷なレースに挑み、活躍する「チームノボ ノルディスク」の選手たちは「しっかりと血糖管理をすれば病気は克服でき、自分の夢を実現できる」というメッセージを発信し、今年は3回目となる「ジャパンカップサイクルロードレース」への出場を果たした。いまや活躍の場はロードレース以外にも広がり、現在はマラソン、トライアスロンなどを含めて100人以上の1型糖尿病患者がチームメンバーとして登録、活動している。

サイクリング前後で血糖値を測定

 スポーツバイクを通じて糖尿病への理解を深めることを目的としたイベントだけあり、会場で催されていた試乗会もユニーク。コルナゴをはじめとする各メーカーのニューモデルが出そろうなか、試乗する前後に血糖値の測定を行うというワンステップが組み込まれている。血糖値とは何か、20分程度のサイクリングによって血糖値がどれくらい変動するのかといったことを併せて体験するという試乗会で、試乗コースへの出口付近では「血糖値は測りましたか?」というスタッフの声が飛び交っていた。

たくさんの来場者でにぎわうイベント会場 Photo: Kyoko GOTOたくさんの来場者でにぎわうイベント会場 Photo: Kyoko GOTO
「チーム ノボノルディスク」のチームバイクをサポートするコルナゴが協力 Photo: Kyoko GOTO「チーム ノボノルディスク」のチームバイクをサポートするコルナゴが協力 Photo: Kyoko GOTO
バイクの試乗前後に血糖値を測定 Photo: Kyoko GOTOバイクの試乗前後に血糖値を測定 Photo: Kyoko GOTO
血糖値測定器。シャープペンのような操作で指に針を刺して出血させ、測定器の先に血液を付けると画面上に値が表示される Photo: Kyoko GOTO血糖値測定器。シャープペンのような操作で指に針を刺して出血させ、測定器の先に血液を付けると画面上に値が表示される Photo: Kyoko GOTO
 子ども向けスポーツバイク教室も。講師はプロコーチの須田晋太郎さん Photo: Kyoko GOTO 子ども向けスポーツバイク教室も。講師はプロコーチの須田晋太郎さん Photo: Kyoko GOTO
右からゲスト出演した益子直美さん、山本雅道さん、今中大介さん Photo: Kyoko GOTO右からゲスト出演した益子直美さん、山本雅道さん、今中大介さん Photo: Kyoko GOTO

 さらにステージイベントでは、山本雅道選手(シエルヴォ奈良レーシングチーム)・益子直美さん夫婦と今中大介さんがサイクリングによる血糖値の変動を体験。ローラー台に乗る前後で血糖値を測定し、その値を比較した。筋肉量が多いほど血中の糖分がグリコーゲンとして体内に蓄積されるという理屈をもとに、正常値内での血糖値の低さを競う展開に。

ラスト2分、アウタートップで轟音を立てて踏み始める今中大介さん Photo: Kyoko GOTOラスト2分、アウタートップで轟音を立てて踏み始める今中大介さん Photo: Kyoko GOTO

 「食後5分程度しか経ってない」といいつつ、運動前もそれほど高くない値だった今中さんはラスト2分でもがきを見せるも減少幅は小さく、安定した変動を見せた様子だった。一方、最初の測定で「衝撃的な数値が出た」という山本選手は、前後で大きく値が変動したようで、「たった20分でこんなに変動するものなんですね」と結果に一喜一憂。今中さんも、「乳酸値の測定は慣れているが血糖値は意識したことなかった。運動で糖分がエネルギーになるということがわかりやすく、興味深い」と感想を語った。

血糖値を測定する益子直美さんと山本雅道さん。血糖値の変動に驚きの表情 Photo: Kyoko GOTO血糖値を測定する益子直美さんと山本雅道さん。血糖値の変動に驚きの表情 Photo: Kyoko GOTO
真剣な表情で看護師さんの指示を受ける今中大介さん Photo: Kyoko GOTO真剣な表情で看護師さんの指示を受ける今中大介さん Photo: Kyoko GOTO

自転車は健康維持に不可欠

 当日行われたトークショーでは、「チーム ノボノルディスク」の代表として自らも1型糖尿病患者である元ロードレーサーのアーロンさん(29)と、自転車トラック競技選手のステファニー・マッケンジーさん(23)、そして宇都宮ブリッツェンの鈴木真理選手(41)が登場した。

トークショーに登壇したアーロンさんとステファニーさん Photo: Kyoko GOTOトークショーに登壇したアーロンさんとステファニーさん Photo: Kyoko GOTO

 鈴木選手が、「初めてこのチームの存在を知ったとき、全員1型糖尿病といわれても我々と同じように走っている姿を見て、何が違うのかまったくわからなかった」と印象を語ると、アーロンさんは、皮下組織に専用のセンサーを装着し、連続的にグルコース濃度の変動をみる持続グルコース測定(CGM)を使ってモニタリングしていることを説明。レース中はほとんど見ないが、ときどきチェックして血糖管理をしてレースに臨んでいることを説明。「それ以外は普通の選手と同じ。血糖値のコントロールをしっかりやればやるほど良い結果につながる」と述べた。

元選手として活躍していたアーロンさん。現在はアイアンマンを完走するのが目標 Photo: Kyoko GOTO元選手として活躍していたアーロンさん。現在はアイアンマンを完走するのが目標 Photo: Kyoko GOTO
宇都宮ブリッツェンの鈴木真理選手。自らも脚に血栓を患い、スポーツによる健康管理の重要性を痛感したという Photo: Kyoko GOTO宇都宮ブリッツェンの鈴木真理選手。自らも脚に血栓を患い、スポーツによる健康管理の重要性を痛感したという Photo: Kyoko GOTO
「健康な人と同じ生活することは大事だし、スポーツは生きがい」と話すステファニーさん。 Photo: Kyoko GOTO「健康な人と同じ生活することは大事だし、スポーツは生きがい」と話すステファニーさん。 Photo: Kyoko GOTO

 「健康な人と同じ生活をすることが大切。何よりスポーツは生きがいだし、続けることで自分の体をよりうまく使える」というステファニーさんに対し、自身も脚に血栓ができるという疾患を抱えている鈴木選手は「僕自身も血栓で悩み、何度か選手を辞めようと思ったが、体を管理する意味で続けるべきだと思っている。彼らにとっても自転車は健康維持に不可欠なものなのだろう」と述べた。

さまざまな思いを胸に走る‟親善大使”

 また、同日はチーム ノボノルディスクと約16kmのコースをサイクリングする「BIKE TOUR in TOKYO」も開催された。「チーム ノボ ノルディスク親善大使」としてチームの活動を応援できる人などを参加条件として抽選で選ばれた20人の参加者による人数限定のイベントだ。

東京サイクリングツアー「BIKE TOUR in TOKYO」 の出走準備をする参加者ら。1型糖尿患者の大原慎人(まなと)くん(12)とお父さんの姿も Photo: Kyoko GOTO東京サイクリングツアー「BIKE TOUR in TOKYO」 の出走準備をする参加者ら。1型糖尿患者の大原慎人(まなと)くん(12)とお父さんの姿も Photo: Kyoko GOTO
山本選手、益子さんと挨拶する大原慎人くん Photo: Kyoko GOTO山本選手、益子さんと挨拶する大原慎人くん Photo: Kyoko GOTO

 当日は、自ら1型糖尿病という自転車競技部所属の女子高校生や、ジャパンカップでチームの存在を知り、関心を抱いたという男性など、さまざまな思いをもった人々が集まった。

 中には10歳で1型糖尿病を発症して以来、チーム ノボノルディスクをお手本に自転車の練習を頑張っているという大原慎人(まなと)くん(12)の姿もあった。現在、山本選手が営むサイクルショップ「BYCYCLE FACTORY YAMAMOTO」(神奈川県藤沢市)のサイクリングチームで週4回の練習を積み、チームノボノルディスクでプロ入りすることを目標としている。山本選手は、「(1型糖尿病について)最初はこちらがどう接したら良いのか気を使ったこともこともあるが、本人がすでに自己管理をしっかり行えている様子」と語った

1型糖尿病患者の女子高校生(左)とステファニーさん。彼女も高校で自転車競技部に所属 Photo: Kyoko GOTO1型糖尿病患者の女子高校生(左)とステファニーさん。彼女も高校で自転車競技部に所属 Photo: Kyoko GOTO
自身も1型糖尿病患者という大田真奈美さん。糖尿病クリニックで栄養士として勤務するなか、「チーム ノボノルディスク」の存在を知った Photo: Kyoko GOTO自身も1型糖尿病患者という大田真奈美さん。糖尿病クリニックで栄養士として勤務するなか、「チーム ノボノルディスク」の存在を知った Photo: Kyoko GOTO

 サイクリングに出走したノボノルディスク ファーマ社長のオーレ・ムルスコウ・ベックさんは、「こんなにたくさんの来場者と協賛ブランドが参加してくれて本当に感謝している。私たちのチームの活動を通じて、1型糖尿病は管理次第で克服できる病気なんだということをもっと多くの人たちに知ってもらいたい」と述べた。

明治外苑前を出発して16kmの東京サイクリング Photo: Kyoko GOTO明治外苑前を出発して16kmの東京サイクリング Photo: Kyoko GOTO
ノボノルディスク ファーマ社長のオーレ・ムルスコウ・ベックさんもサイクリングツアーに参加 Photo: Kyoko GOTOノボノルディスク ファーマ社長のオーレ・ムルスコウ・ベックさんもサイクリングツアーに参加 Photo: Kyoko GOTO

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