ファンサービスで参加者と交流那智山の激坂に挑戦した「熊野古道ヒルクライム」 キナンチームがプロの走りを披露
紀伊半島南東部の和歌山県那智勝浦町で11月6日、「熊野古道ヒルクライム」が開催された。同町に隣接する新宮市を拠点とする「KINAN Cycling Team」(キナンサイクリングチーム)がゲスト参加し、約300人の一般ライダーにプロの走りを披露すると同時に、ファンサービスに努めた。
熊野那智大社で安全祈願
今年で第11回目を迎えるこのイベントは、例年5月から6月にかけて行われる「ツール・ド・熊野」(UCIアジアツアー2.2)と同じ、NPO法人「SPORTS PRODUCE熊野」が主催している。
熊野三山のひとつ「熊野那智大社」のある那智山を舞台に、日頃ロードバイクで鍛えた健脚を試す場となっている。


コースはA、B、ママチャリと3つに分けられ、Aコースは那智海水浴場前をスタートし、那智山頂上の大雲取にフィニッシュする30.5km・高低差960m(パレード区間含む)。Bコースは同じく那智海水浴場前をスタートし、中腹の阿弥陀寺にフィニッシュする、15.2km・高低差560m(パレード区間含む)。ママチャリ部門は、那智山麓をスタートして阿弥陀寺を目指しながらのサイクリングだ。

キナンサイクリングチームからは、キャプテンのジャイ・クロフォードを筆頭に、阿曽光佑、リカルド・ガルシア、マルコス・ガルシア、野中竜馬、中西重智の6選手が参加。また、 傘下の育成チーム「KINAN AACA」からも3選手が招かれた。大会前日には、関係者とともに熊野那智大社での安全祈願に臨み、事故なくイベントを成功させることをチーム全員で誓った。
「これぞプロ」の走りを見せたジャイ・クロフォード

そして迎えた当日は、全選手Aコースに出走。交通事情に配慮し、パレード走行後は約50人ずつでのグループスタートが採用され、キナンサイクリングチームのメンバーも各グループに分かれて一般ライダーとともにコースへと那智山の頂を目指した。
そんな中、「これぞプロ」の走りを見せたのがジャイ。

正式スタートからグングンと飛ばし、途中の激坂区間やダウンヒルも難なくクリア。急峻な上りをこなして頂上でのフィニッシュタイムは、参加者中ただ1人1時間を切る59分台をマーク。ゲスト参加のため記録はオープン扱いとなったが、一般ライダーを前にプロの実力を披露した。
その他メンバーも、トレーニングを兼ねて走りながら、ときに一般ライダーとコミュニケーションをかわしながらフィニッシュを目指した。



険しい山道でのライドだけに、頂点を制した一般ライダーは一様に喜びに満ちた様子。和歌山市から参加した崎濱卓司さんと久保充司さんは、ともに「強力馬力自転車屋」の名で活動するチームのメンバー。普段は和歌山市内や高野山、海南高原を走ることが多いという。初参加となったこのイベントを振り返り、「激坂が多くて苦しかった。初めて上ったけれど、自分のペースで走るのが難しいコースだった」と述べる。それでも表情は明るく、「実力が分かったので、来年は絶対にリベンジしたい」と声を弾ませた。
ファンとともに養う英気

ヒルクライム後は、メイン会場である那智海水浴場前へと戻って、キナンサイクリングチームのメンバーによるトークショーや抽選会で盛り上がった。那智勝浦町はユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の中でも有数の観光地として知られ、近海で獲れた魚介類の旨さも魅力。会場では、まぐろの解体ショーが行われるなど、新鮮な海の幸が多数振る舞われた。

キナンサイクリングチームは、11月13日にツール・ド・おきなわ(UCIアジアツアー1.2) に出場し、2016年のUCIレースを締めくくる。その後はファンとの交流イベントが控えており、レースシーズンが終わっても精力的に活動を続ける。同時に、来たる2017年シーズンへの準備も進め、チームとしての充実度を高めていくこととなる。