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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<182>第100回ジロ・デ・イタリアのルートが発表に 歴史と文化を祝いほぼ全域をカバー

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 シーズン最初のグランツールとして開催されるジロ・デ・イタリア。第100回大会となる2017年のルートがこのほど発表された。開幕地となるのは、地中海に浮かぶサルデーニャ島。そこから、イタリアのほぼ全域を通過する壮大な3週間の旅が続く。そこで今回は、ジロ2017のルートについて詳しくお届けする。

ジロ・デ・イタリア第100回大会のコースプレゼンテーションに出席したファビオ・アール(左)とヴィンチェンツォ・ニバリ。おなじみのトロフィ「トロフェオ・センツァ・フィーネ」を手に記念撮影 © ANSA/CLAUDIO PERIジロ・デ・イタリア第100回大会のコースプレゼンテーションに出席したファビオ・アール(左)とヴィンチェンツォ・ニバリ。おなじみのトロフィ「トロフェオ・センツァ・フィーネ」を手に記念撮影 © ANSA/CLAUDIO PERI

イタリアの文化と歴史を祝う3週間

ジロ・デ・イタリア2017ルートマップ © RCSジロ・デ・イタリア2017ルートマップ © RCS

 第100回ジロのコースプレゼンテーションは10月25日、イタリア・ミラノで大会主催者のRCSによって行われた。

 大会は、2017年5月5日開幕。旅の始まりは、かねてからの公式発表通りサルデーニャ島となっている。その後、同じく地中海に浮かぶシチリア島を経て、イタリア本土での戦いを進める。最後は、ミラノでの28km個人タイムトライアル。その間、同国内ほぼ全域をカバーする21地域を通過(通過しないのは4地域)する。

 第100回大会にふさわしいルートセッティングとなったが、そこにはイタリアの文化と歴史、そしてこれまでのジロ勝者を祝い、称える意味合いが込められている。

総距離3572km、ステルヴィオ峠がチーマ・コッピ

 それではルートをチェックしていこう。

 開幕地サルデーニャ島では、3ステージを実施。栄えある第1ステージのスタート地は、同島北西部のアルゲーロ。開幕早々アップダウンに富んだレイアウトが待ち受け、レース展開や変化しやすいこの時期のイタリアの気候次第では、大会序盤から思わぬ波乱が起きることもあり得る。

ジロ・デ・イタリア2017第4ステージレイアウト © RCSジロ・デ・イタリア2017第4ステージレイアウト © RCS

 第3ステージを終えると、移動のため最初の休息日が設けられる。サルデーニャ島から、南のシチリア島へと移る。そのシチリア島では、第4ステージに第100回大会最初の山場となるであろう、エトナ火山の頂上フィニッシュが登場。ここで総合争いの有力選手たちによる絞り込みが早くも展開される。

 イタリア本土へと足を踏み入れるのは、第6ステージから。前半戦最後となる第9ステージは、イタリア中部のアペニン山脈の1つであるブロックハウスの頂上フィニッシュ。平均勾配9~10%が7km続く上りは、簡単に1日を終えることが不可能なレベル。

 2度目の休息日が明ける第10ステージは、39.2kmの個人タイムトライアル。緩やかな上り基調ではあるものの、独走力が試される長距離TTだけに有力選手間でのタイム差がはっきりと示されることになりそうだ。

ジロ・デ・イタリア2017第9ステージレイアウト © RCSジロ・デ・イタリア2017第9ステージレイアウト © RCS
ジロ・デ・イタリア2017第10ステージレイアウト © RCSジロ・デ・イタリア2017第10ステージレイアウト © RCS
ジロ・デ・イタリア2017第14ステージレイアウト © RCSジロ・デ・イタリア2017第14ステージレイアウト © RCS

 シチリア島からイタリア本土へと移動後、徐々に北上するプロトンは、第14ステージから北部の山岳地帯へ。いよいよ総合争いが激化する。その第14ステージは、登板距離11.8km、最大勾配13%、平均勾配7%のオローパの頂上フィニッシュ。続く第15ステージは、10月1日に行われたイル・ロンバルディアと同じ、ベルガモでのフィニッシュとなる。

ジロ・デ・イタリア2017第16ステージレイアウト © RCSジロ・デ・イタリア2017第16ステージレイアウト © RCS

 3度目の休息日を経て、運命の第3週。その幕開けとなる第16ステージが2017年のクイーンステージ。標高1854mのモルティローロ峠を通過後、中盤に名峰ステルヴィオ峠へ。標高2758mの頂点から一気に標高900mほどまで下り、一旦スイスへと入国。もう一度ステルヴィオへと戻るような針路をとり、標高2502mのウンブライルパスから高度1300m下ってボルミオへとフィニッシュする。レース距離227kmに対し、獲得標高は脅威の5400m。コース周囲が雪に覆われている可能性も高く、寒さによるトラブルも起きかねないポイントだ。なお、ステルヴィオ峠が大会の最高標高地点「チーマ・コッピ」に決定している。

ジロ・デ・イタリア2017第18ステージレイアウト © RCSジロ・デ・イタリア2017第18ステージレイアウト © RCS

 第18ステージも見もの。137kmと距離こそ短いものの、その間に5つの山を越える。主催者は「ドロミテのクイーンステージ」と称し、第16ステージと並ぶ注目の1日だとする。ポルドイ峠、ヴァルパローラ峠、ガルデーナ峠、ピネイ峠と、この地域を代表する山々を走り、最後はオルティセイの頂上へ。こちらも獲得標高が4000mに上る。ピアンカヴァッロの頂上を目指す第19ステージ、その翌日の第20ステージと難易度こそ高めだが、第16、18ステージには及ばないため、やはりこの2日間で総合首位の証であるマリアローザを狙って、多くの選手が攻撃に出ることだろう。

 大会の締めくくりの28km個人タイムトライアルは、F1イタリアグランプリやスーパーバイク世界選手権でおなじみのモンツァ・サーキットをスタート。サーキット内を1周した後、公道へと出てミラノ市街地を戻る。3週間の戦いを終えた勇者たちの凱旋だ。

ジロ・デ・イタリア2012年大会では、総合優勝争いが最終日の個人タイムトライアルまでもつれ込んだ。このとき勝利したライダー・ヘシェダル Photo: Yuzuru SUNADAジロ・デ・イタリア2012年大会では、総合優勝争いが最終日の個人タイムトライアルまでもつれ込んだ。このとき勝利したライダー・ヘシェダル Photo: Yuzuru SUNADA

 もっとも、2012年には最終日の個人TTまで総合争いがもつれ、ライダー・ヘシェダル(カナダ、当時チーム ガーミン・シャープ)がホアキン・ロドリゲス(スペイン、当時カチューシャ チーム)を大逆転したケースもある。マリアローザを賭けた戦いにおいては、最後の最後まで気の抜けない日々が続く。

 魅力溢れる山岳ルートが満載の第100回大会だが、主催者の発表ではスプリント(平坦)ステージが6つとされている。その最後が第13ステージとなっており、スプリンターにとっては、このステージを最後にリタイアすることを前提として参戦することもできる。ある意味、後に控えるツール・ド・フランスなどのビッグレースとの掛け持ちもしやすいセッティングとなっている。

島の英雄、アールとニバリがプレゼン出席

 コースプレゼンテーションには、ミゲル・インドゥライン氏(スペイン)、フェリーチェ・ジモンディ氏(イタリア)、イヴァン・バッソ氏(イタリア、現・ティンコフ スタッフ)ら、かつての王者たちがVIPとして出席。そして、彼らと並び現役ライダーを代表したのが、サルデーニャ島出身のファビオ・アールと、シチリア島出身のヴィンチェンツォ・ニバリ(ともにアスタナ プロチーム)の2人だ。

ジロ・デ・イタリア第100回記念大会のプレゼンテーションに出席したファビオ・アール(左)とヴィンチェンツォ・ニバリ。ルートマップの前に立ち記念撮影 © ANSA/CLAUDIO PERIジロ・デ・イタリア第100回記念大会のプレゼンテーションに出席したファビオ・アール(左)とヴィンチェンツォ・ニバリ。ルートマップの前に立ち記念撮影 © ANSA/CLAUDIO PERI

 ニバリはルート発表を受け、「素晴らしいイベントになるはずだ。ルートにシチリア島が含まれているのを見て興奮している」と喜びを語った。戦いを展望し、同島内のエトナ火山を走る第4ステージを重視すべきだと見る。そのうえで、自身が生まれ育ったメッシーナにフィニッシュする第5ステージで、マリアローザを着て凱旋できればこの上ない喜びだと続けた。また全体を見通しては、第10、21ステージに個人TTが設定されたことで、バランスのよいステージ構成だと感想を述べた。

 アールも、サルデーニャ島での開幕を「特別なこと」と喜ぶ。続けて、「どんな幕切れになるかは分からないけれど、美しい大会になるだろうし、ファンには素晴らしいショーをお見せできると思う」とコメントした。

 ジロ2017への出場が望まれる両者だが、ニバリは来シーズン新規参入予定のバーレーン・メリダの絶対的エースとなることもあり、レースプログラムを慎重に組む姿勢を見せる。出場が決まればディフェンディングチャンピオンとして、マリアローザ防衛を目指すが、その決定はもう少し先になるとしている。

 ニバリの移籍により、名実ともにアスタナ プロチームのエースとなるアールは、初制覇を目指してジロへと乗り込む構えだ。サルデーニャ島での大声援をバックに3週間を戦い抜き、目的地ミラノでバラ色に包まれているか。すでにモチベーションは上々の様子だ。

2017年のジロ・デ・イタリアは誰が王者となるか? © ANSA/CLAUDIO PERI2017年のジロ・デ・イタリアは誰が王者となるか? © ANSA/CLAUDIO PERI

ジロ・デ・イタリア2017 ステージ一覧(星の数は難易度)

第1ステージ 5月5日 アルゲーロ~オルビア 203km ★★
第2ステージ 5月6日 オルビア~トルトリ 208km ★★
第3ステージ 5月7日 トルトリ~カリアリ 148km ★
休息日 5月8日
第4ステージ 5月9日 チェファル~エトナ 180km ★★★★
第5ステージ 5月10日 ペダーラ~メッシーナ 157km ★
第6ステージ 5月11日 レッジョ・カラブリア~テルメ・ルイジャネ 207km ★★
第7ステージ 5月12日 カストロヴィッラリ~アルベロベッロ 220km ★
第8ステージ 5月13日 モルフェッタ~ペスキチ 189km ★★★
第9ステージ 5月14日 モンテネーロ・ディ・ビザッチャ~ブロックハウス 139km ★★★★
休息日 5月15日 
第10ステージ 5月16日 フォリーニョ~モンテファルコ 39.2km個人TT ★★★★
第11ステージ 5月17日 フィレンツェ~バーニョ・ディ・ロマーニャ 161km ★★★★
第12ステージ 5月18日 フォルリ~レッジョ・エミリア 237km ★
第13ステージ 5月19日 レッジョ・エミリア~トルトーナ 162km ★
第14ステージ 5月20日 カステッラーニア~オローパ 131km ★★★
第15ステージ 5月21日 ヴァルデンゴ~ベルガモ 199km ★★★★
休息日 5月22日 
第16ステージ 5月23日 ロヴェッタ~ボルミオ 227km ★★★★★
第17ステージ 5月24日 ティラーノ~カナツェーイ 219km ★★★
第18ステージ 5月25日 モエーナ~オルティセイ 137km ★★★★★
第19ステージ 5月26日 サン・カンディド~ピアンカヴァッロ 191km ★★★★
第20ステージ 5月27日 ポルデノーネ~アジアーゴ 190km ★★★★
第21ステージ 5月28日 モンツァ~ミラノ 28km個人TT ★★

今週の爆走ライダー-ヨン・イサギレ(スペイン、モビスター チーム)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシスト や逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 2017年シーズンの目玉チームとなるであろう、バーレーン・メリダ。ニバリ、新城幸也(ランプレ・メリダ)らビッグネームが次々と新規プロジェクトへの参加を決め、戦力の充実に間違いがないことは誰もが理解する。

6月のツール・ド・スイス総合2位など、ヨン・イサギレにとって2016年はキャリア最高の1年となった =ツール・ド・スイス第8ステージ、2016年6月18日 Photo: Yuzuru SUNADA6月のツール・ド・スイス総合2位など、ヨン・イサギレにとって2016年はキャリア最高の1年となった =ツール・ド・スイス第8ステージ、2016年6月18日 Photo: Yuzuru SUNADA

 現在、クロアチアでチームビルディングキャンプを行っているが、その輪の中にイサギレの姿もある。近年は1週間前後のステージレースで大活躍。参戦するレースでは次々と上位入りし、ツールでは第20ステージで優勝。2016年はキャリア最高の1年となった。

 モビスター チームとは契約を1年残しての移籍。サイクルロードレース界では珍しいケースとなったが、「チームを変える予定はなかった。ただ、バーレーン・メリダが私に興味を持っていると知り、コンタクトをとったところ魅力的なプロジェクトだと知ったんだ」と理由を説明する。今年のUCIワールドツアー個人ランキング11位と健闘したが、シーズンを通して得たポイントも新チームへ還元したいとの思いも強かった。

 3年間所属した現チームへの不満もないし、これまでのキャリアをともに歩んできた兄のゴルカと仲が悪くなったわけでもない。だが、自らが勝負する機会を得られる環境があるのならと決めた移籍。ニバリと並び、ステージレースでは総合エースを務める公算だ。得意とするタイムトライアルで、どれだけアドバンテージを築けるかがポイントとなる。

 2017年最初のターゲットはパリ~ニースとなる見込み。そうなれば、チームの船出を飾る大役を担うことになる。乗り出すと決めた新たな冒険が、もうすぐ始まろうとしている。

新チーム「バーレーン・メリダ」結成メンバーに名を連ねるヨン・イサギレ。エースを務めるステージレースで会心の走りを見せられるか =ツール・ド・フランス2016第20ステージ、2016年7月23日 Photo: Yuzuru SUNADA新チーム「バーレーン・メリダ」結成メンバーに名を連ねるヨン・イサギレ。エースを務めるステージレースで会心の走りを見せられるか =ツール・ド・フランス2016第20ステージ、2016年7月23日 Photo: Yuzuru SUNADA
福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。自転車情報のFacebookページ「suke’scycling world」も充実。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。

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