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栗村修の“輪”生相談<87>10代男性「クラリスの自転車でレースに出て好成績を残すことはできますか?」

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高2の田舎(山)暮らしです。

 今年からロードバイクを始めたのですが、最初の1台は何もわからずネットでロードバイクもどきみたいなものを買ってしまい、安物買いの銭失いでした…。

 そこで、2台目にはちゃんとしたロードバイクを購入しようと思うのですが、予算が全く無く、大手メーカーの最低ランクの物や、最低ランクの型落ちの物しか選べないです。最低ランクの物なので、コンポがクラリスしか無いです。フレームも10kgや9kg台の物で、アルミやクロモリしか無いです。

 ショップへ行って聞くと、どのお店でも、「最低ランクだから…」「レースマシンとは別」などと言われてしまいます。この条件で、レースは出場できるのでしょうか? また、ツーリング会などに参加して、軽蔑されたりしないでしょうか?

 自分は、今工具込み17kgの自転車でヒルクライム、ロングライドをしていますが、自転車のグレードが心配で集団走行をしたり、他のローディーと走ったことが無いです。この状態で、自転車を買って、レースに出場することはできますか?

 また、レースで好成績を残すことはできるのでしょうか?

(10代男性)

 これまでも、似たようなご質問はなんどかありました。皆さん、自転車のグレードについては心配されているようですね。

 大丈夫です。結論から言いますと、さほど問題はありません。

 日本のサイクリストのパーツグレードはやたらと高いんですね。ヨーロッパだと、ハイレベルな選手でも、アルテグラはもちろん、105を使っている場合も多いんです。みんながみんなデュラエースということはありません。

 それに、機材は日々進化しています。たとえば、僕が現役だったころのデュラエースよりも今の105のほうがずっと性能はいいはずです。ということは、クラリスもけして悪くないということです。

 だいたい、僕が現役のころはダウンチューブの変速レバーまで手を伸ばさなければ変速できなかったんです(Wレバーといいます)。ハンドルを持ちながら変速できないわけですよ。それと比べると、ハンドルを持ったまま変速できるクラリスは、なんと素晴らしいことでしょうか。

シマノ・クラリスはリア8段変速のロードコンポ。完成車価格で10万円前後のロードバイクに多く採用されている Photo: Ikki YONEYAMAシマノ・クラリスはリア8段変速のロードコンポ。完成車価格で10万円前後のロードバイクに多く採用されている Photo: Ikki YONEYAMA

 ギアも、当時は7速しかありませんでした。クラリスの8速よりも少なかったんです。

 重量だって、デュラエースで組んだ最高峰のマシンでも、めちゃめちゃ軽量化をしてもせいぜい9㎏です。9㎏を切ったら大騒ぎするレベルです。

 そんなロードバイク(ちなみにかつてはロードバイクでなくロードレーサーと呼んでいました)で皆バリバリレースを走っていたわけです。走行速度もいまの時代と大差ありません。つまり、大きな問題ではないんです。高校生なら脚力でカバーできるレベルです。プロとして、コンマ秒の争いをするなら別ですが…。ブレーキ性能など、安全性も問題ないでしょう(そもそも、問題があるものは売らないでしょう)。

 ここまでコンポーネントの話ばかりをしてきましたが、他のパーツにも目を向けるなら、ホイールですね。ホイールの重量や剛性は、確かに走りに影響があります。

 でも、ですよ。上で触れた安全性という点なら、安価な自転車についている重くてスポークが多いホイールのほうが、高級なカーボンリムのホイールよりも上だったりします。カーボンディープリムホイールは、確かによく進むんですが、ブレーキングに癖があったり、風の影響を受けやすかったりと、一概に「高価=安全」とは言い難い部分もあります。

 パーツをアップグレードするなら、タイヤですね。お小遣いをためて、タイヤだけはいいものにしてください。前後で1万円くらいでしょうか。それで、自転車としては一切心配いりません。

1995年のツール・デ・フランドルを制したヨハン・ムセウ(ベルギー)。使用している当時のデュラエースはリア8段変速だ Photo: Yuzuru SUNADA1995年のツール・デ・フランドルを制したヨハン・ムセウ(ベルギー)。使用している当時のデュラエースはリア8段変速だ Photo: Yuzuru SUNADA

 17kgのバイクでヒルクライムをしているということですが、いいですね。漫画の主人公みたいですね。だた、レースを考えると、集団走行の経験がないのはちょっと問題ですので、人と走る経験は積んでおいてください。

 レースにもいろいろあります。ロードレースやクリテリウムはちょっと難易度が高いので、まずはヒルクライムや、あるいはロングライドイベントに出てみてください。ロングライドイベントも、案外馬鹿にはできないんですよ。

 レースで好成績を残せるか? というご質問が最後にありますね。

 …あなたの脚次第です。でも、なんども言うようですが、僕はヨーロッパで、機材面で不利な選手がぶっちぎりで勝つレースをいっぱい見てきました。若いうちは、そんな勝ち方を目指すくらいでいいのではないでしょうか。

 だから、大丈夫ですよ。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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