工具はともだち<104>コンビネーションレンチのお話(前篇) ~スパナの形状も進化~

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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 昼間は暑い日もありますが、朝晩はめっきり冷え込んで秋が深まってきました。秋はあちこちでサイクルイベントが開催されていて、サイクリストにとっては楽しいシーズンの到来です。「工具はともだち」の原稿に追われる私も新幹線の駅で輪行されている方を見かけるとついつい目がいってしまうようになりました。

 KTCもたくさん行われるイベントのいくつかに参加する予定で、例えば11月6日にはKTCの地元京都で開催される「ツアー・オブ・茶いくるライン in 京都やましろ」のメインスポンサーとして協賛していますし、その他自転車以外のイベントも含めると、私は毎週のように西へ東へと行ったり来たりすることになりそうです。

今年もCyclistとイベント

昨年のイベントの様子。KTCスタッフによる工具の説明に参加者は真剣な表情 Photo: Kyoko GOTO昨年のイベントの様子。KTCスタッフによる工具の説明に参加者は真剣な表情 Photo: Kyoko GOTO

 そんな中、昨年に続いて今年もCyclist編集部の皆さんとKTCでイベントを企画しました!昨年はツアー・オブ・ジャパン(TOJ)の京都大会開催が決まったという事で、「KTC工具セミナー& TOJ先取りライド」と題して決まったばかりの京都ステージのコースを先取りライドしよう!というイベントで、ゲストに日向涼子さんを迎え、ミニトークショーやトルクレンチのお話しなど、盛りだくさんの内容で参加した皆さんにも大変満足していただけました。

ゲストの3人。男性ゲストのRENさんと女性ゲストの2人。ポタガールの龍野雅美さん(中央)と金子千鶴さん(右) 提供写真ゲストの3人。男性ゲストのRENさんと女性ゲストの2人。ポタガールの龍野雅美さん(中央)と金子千鶴さん(右) 提供写真

 今回は、「私にもできる!ライド&メンテナンス」と題し、エントリーユーザーを中心にライドとメンテを楽しんでいただこうという企画です。TOJのライドコースは基本そのままに、工具の基本知識やパンク修理のお話しなどもご用意。ライドについては、脚力に合わせてショートコースも考えていますし、サポートライダーもつくので、初心者の方でも安心してご参加いただけます。

 そして、今回のゲストは「Cyclist」読者の方には「ゆるゆる自転車女子旅」でおなじみのポタガール「まさみん」こと龍野雅美さんと同じくポタガールの金子千鶴さん、更に“RENの「自転車のススメ」”を執筆されているモデルのRENさんといった「Cyclist」にゆかりのある方をお招きします。詳しくはイベント告知をご覧下さい!

 さて、大半をイベント告知に費やしてしまいましたが、今回はアーレンキーやトルクス、ドライバーの次にスタンダードな工具のコンビネーションレンチのご紹介(前半)です。

元祖便利ツール

ネプロスのコンビネーションレンチ ⒸKTCネプロスのコンビネーションレンチ ⒸKTC

 コンビネーションレンチは片側がスパナで片側が同サイズのめがねというレンチですが、早回しに使用するスパナと本締めやトルクを掛ける際に使用するめがねが一つになっているある意味合理的なレンチです。元祖便利ツールと言っても過言ではありません。

 そんなコンビネーションレンチですが、先ずはスパナ側のお話しをしたいと思います。スパナの形状には「丸形」と「やり形」があるのですが、元々は丸形が主で、というより、はじめJIS規格には丸形しかなく、後から出てきた「やり形」がその便利さから普及したことでJIS規格に追加された経緯があります。

 読んで字のごとく丸い形状をしている「丸形」のスパナは少しずんぐりむっくりしていて、先端部分が邪魔になっていました。そこで、先端部がスリムな「やり形」が開発され「丸形」から主役の座を奪ったという訳です。しかし、KTCではその「やり形」の形状も以前のものとは異なっています。

 これは、1995年に発売されたネプロスを開発した際に形状をはじめあらゆることを一から見つめ直した事に端を発します。ネプロスが開発された当時は既に「やり形」が主流で、開発者もおそらくはじめはスパナの形状を見直すことになるとは思っていなかったのではないかと思います。

 しかし、調査を進めると、「やり形」でも頭部があたって入りにくい箇所があると言われ、なんとか薄くする方法を検討しました。そこで活躍したのが「応力解析」です。「応力解析」とはつまりレンチに力を加えた時どこにどのような力が加わるかを分析するもので、逆に言えば力が掛らない部分は薄くしても問題がないという事が言えます。

「従来のやり形スパナと現在の形状」現在ではネプロスだけでなく一般の商品も同様にモデルチェンジされている ⒸKTC「従来のやり形スパナと現在の形状」現在ではネプロスだけでなく一般の商品も同様にモデルチェンジされている ⒸKTC

 その結果、これまで厚みを持たせていたところ全体には意外にも大きな力は加わっておらず、非常に少ない範囲に力が集中していることが判りました。そこで、その一番力が加わるところだけ厚みを持たせて他はできるだけ肉をそいだ結果、現在の形状にたどりついたのです。「やり形」という形状が浸透していた時代、よりユーザーニーズをくみ取るため、あえてその形状を見直すことに踏み切った当時の開発者には頭が下がる気持ちです。

 何事も今あるものが当たり前と思ってみているうちは物の進化は無いのだとこのスパナを見るたびに思わされます。もし、昔のKTCの工具をお持ちの方がいらっしゃれば、是非今のモノと比べてみて下さい。そのわずかな形状の違いに開発者の息吹を感じて頂けるかもしれません。

Cyclistロゴ入りエプロン付き「デジラチェ工具セット」販売中

Cyclist × KTC オリジナルデジラチェ工具セット Photo: SANKEI netShopCyclist × KTC オリジナルデジラチェ工具セット Photo: SANKEI netShop

 CyclistとKTCとのコラボレーションによる自転車メンテナンス向け「オリジナルデジラチェ工具セット」が好評です!

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(産経デジタル)

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重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。


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