完璧なチームプレイに応えるイエローのトレックがレースを制圧、別府史之が2連覇 ジャパンカップクリテリウム詳報
宇都宮駅前の目抜き通り「宇都宮市大通り」で10月22日、ジャパンカップサイクルロードレースクリテリウムが開催され、チームメートにリードアウトされた別府史之(トレック・セガフレード)がスプリントで勝利し、昨年に続く2連覇を果たした。別府はゴール後に「パーフェクトな完全勝利です」と嬉しさをあらわにした。
コースが延長しハイスピードな展開へ

1周2.25kmの特設コースを15周するクリテリウムレースは、計33.75kmで争われた。途中、4、8、12周目に先頭でゴールラインを通過した選手にはそれぞれスプリント賞が与えられ、レース展開を単調にしない“スパイス”が設けられた。なお、ことしはコースが延長し、ストレートが長くなったことで、よりハイスピードな展開が期待された。
4周目のスプリント賞を狙いに動いたのは新城幸也(ランプレ・メリダ)で、コース折り返し付近でアタック。しかし、後方から迫った井上和郎(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が獲得した。


中盤以降はトレックの独壇場
中盤に入るとトレック・セガフレードによってレースの大半が組み立てられた。今レースをもって引退するファビアン・カンチェッラーラ(スイス)やバウケ・モレマ(オランダ)が隊列の先頭を引くと、逃げを試みたジョセフ・ロスコフ(アメリカ、BMCレーシングチーム)とベンジャミン・ヒル(オーストラリア、チーム アタッキ・グスト)は計算通りに吸収された。
逃げている間にロスコフは8周目と12周目のスプリント賞を獲得。吸収こそされたものの、グランツールでも逃げを決めた経験を持つ独走力を大勢の観客の前で披露し健闘した。



レースは逃げを吸収後、大きな動きがないまま集団は一つで最終周回にハイスピードで突入。勝負は集団スプリントへ持ち込まれた。先頭を走るのはことしパリ〜ルーベを制したマシュー・ヘイマン(オーストラリア)を率いたオリカ・バイクエクスチェンジ勢。また、その後ろにはトレック・セガフレードで、最後尾にはスプリント勝利を狙う別府が位置した。その近辺には単独でポジションを上げた地元から出場の小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)の姿が見える。小野寺は昨年、強豪スプリンターを相手に7位に入り、スプリント力を示していた。
大久保が別府の番手に
残り600mの折り返しコーナーを目前に、オリカ・バイクエクスチェンジに並んだのは阿部嵩之、大久保陣の宇都宮ブリッツェン勢。阿部がコーナー中ほどで離脱すると、大久保はヘイマンの前にポジションを取り、別府の番手につけた。

腰を上げてフィニッシュに向かう集団内では、国内外のスプリントシーンで圧倒的な力を見せつけた純スプリンターのジョン・アベラストゥリ(スペイン、チームUKYO)が前方へと上がる。また、マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)がテクニックを駆使し好位置へとついた。
圧倒的なスプリントを見せた別府

残り200mを切ると先頭を走るジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)がリードアウトで離れ、別府がスプリントを開始した。番手の大久保やアベラストゥリが背後に迫るも、別府は差されることなくフィニッシュ。2年連続の勝利を果たした。2位にはアベラストゥリ、3位にはモーリが入った。


レース後のコメントでモーリは「別府が速く、勝つことは不可能だった。常に速く難しいレースだったので、3位でハッピーだよ」と話し、翌日のロードレースへ弾みをつけた。また、最終コーナーで観客を沸かせた大久保は「チームで上がり、別府さんの番手につけた。地元で勝ちたかったが、力不足だった」と肩を落とした。
別府は表彰式で「チームの仕事が素晴らしかった。呼吸の合ったチームワークで自分が走れて、勝って当然の展開だった。去年に引き続き、皆が応援してくれる中で勝てたのは最高に嬉しかったです」と2連覇の喜びを観客とともにした。
翌日の23日には宇都宮市森林公園を舞台に、国内最高峰のワンデーレース「ジャパンカップサイクルロードレース(1.HC)」が開催される。1周10.3kmのコースを14周する144.2kmのコースで、名物の上り「古賀志林道」やテクニカルな下り、見通しが良い平坦区間などバラエティに富んだ設定で見所は満載だ。
ジャパンカップクリテリウム
1 別府史之(トレック・セガフレード) 43分04秒
2 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、チームUKYO) +0秒
3 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
5 マッティ・ブレシェル(デンマーク、キャノンデール・ドラパック)
6 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)