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栗村修の“輪”生相談<86>20代女性「自転車を漕いでいる間のオススメの呼吸法はありますか?」

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20代後半の女です。元々ランニングが好きで走っていたところ、仲間に自転車を勧められてロードバイクに乗り始めました。

 しばらく乗ってみて感じた事なのですが、自転車を漕いでいる間とても息がし辛いです。

 ランニング中は、主に鼻呼吸で吸って吸って吐いて吐いてを自分のペースに合わせてしているのですが、ロードバイクではそれが合わせ難く通用しませんでした。

 そこで質問なのですが、自転車を漕いでいる間のオススメの呼吸法はありますか? いつかエンデューロやロングライドなど走ってみたいと思っています。長距離に適した呼吸法などもありましたら教えていただきたいです。

(20代女性)

 ユニークなご質問ありがとうございます。

 ランニングのときは、呼吸をご自分のペースに合わせて行っていたとあります。ネットでちょっと調べてみたんですが、ランニングの世界で、自転車でいうケイデンスに相当するものをピッチというそうですね。で、それがだいたい170から180の間に収まる場合が多いそうです。

 これは、1分間に両足が地面に触れる回数ですよね。一方の自転車界では、1分間に90回転くらいのケイデンスが多用されます。数字を見るとちょうど半分くらいですが、ケイデンスの「1」はクランク一回転を意味していますから、ケイデンス一回当たり、両足が一回ずつ上げ下げをするわけです。だから、ケイデンス90回転≒ピッチ180といっても、まあ、間違えではないと思います。

 質問者さんはランニング中、ピッチに合わせて呼吸されていたと思うんです。ということは、自転車の上でも呼吸のリズムは同じだということですよね。でも呼吸がしにくい。原因はリズムじゃないということです。

 自転車って、足のリズムがしょっちゅう変わるのが特徴なんです。たとえば、ランニング中に足を止めると、止まるか転ぶかしかありませんが、自転車なら惰性で進みます。あと、90回転のケイデンスが基本と言いましたが、上りでは普通、ケイデンスは一気に落ちますよね。でも、下りに入ったら高回転で回したり。

ロードレースのアタック時には大きく口も開け必死の形相に Photo: Ikki YONEYAMAロードレースのアタック時には大きく口も開け必死の形相に Photo: Ikki YONEYAMA

 なので、ランニングでいうピッチをあまり意識しないほうがいいと思います。足のリズムにとらわれず呼吸をしてみてください。

 また、ランニングは基本的に運動強度が一定だとは思いますが、ロードバイクは脚を止めても前に進む、要するに「慣性の法則」が働いていることから、ペダルにかかるパワーは一定で走っているつもりでもかなり大きく変動しています。

 道のアップダウン、赤信号からの加速、風向きなどなど、速度は一定でも運動強度は大きく変わり、ベースは有酸素運動ながら、無酸素域、もしくはそこに近い能力も常時要求されます。

 ですので、高強度域やインターバルが苦手、もしくは慣れていない方は、そういった観点で呼吸が乱れやすくなる恐れがあります。

 ちなみに呼吸法にもいろいろありますが、意識的に「息を吐く」ことをしている選手は多いですね。タイムトライアルのスタート直前や、競技中、ヒルクライムの最中に、ほっぺたを膨らませながら「吐くことを意識している」選手は結構います。ただ、最初から最後までずっと続けているわけでもありません。

 ひとつ、お勧めの呼吸法があります。これは著書などにも書いてきたことなんですが、「先取り呼吸」です。ほら、激しい運動をすると、息が荒くなるじゃないですか。それを先取りするんです。

選手時代、1999年のジャパンカップで激走する栗村さん Photo: Yuzuru SUNADA選手時代、1999年のジャパンカップで激走する栗村さん Photo: Yuzuru SUNADA

 どういうことかというと、近い将来に激しい運動が予想される場面、たとえば、長い下りのあとに一気に上りに突入する局面とかに、激しい運動よりも先に深い呼吸を先にスタートさせるんです。すると、体がたくさん酸素を取り込んだ状態で、高強度の運動にかかれます。

 僕はこれを、タイムトライアル出走前の選手が深い呼吸をしているのを見て思いつきました。まだスタート台の上で運動を開始していないのに、深い呼吸をはじめているんですよ。その仕組みを走行中にも取り入れるわけです。

 僕はアップダウンが連続する伊豆の日本CSCが得意だったんですが、その理由の一つが、下りの終わり部分から意識的に呼吸を深くして、いきなりはじまる上りに備えたことだったかもしれません。

 レースじゃないですが、質問者さんが目標にしているロングライドやエンデューロも、けっこう運動のオン・オフが極端なんですね。だから、オフのうちから深い呼吸をする習慣を身に着けておくと、役立つかもしれません。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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