日本代表3選手それぞれ見せ場作る與那嶺が中盤まで逃げ、吉川美穂がスプリントで21位 UCIロード世界選手権女子エリート

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 カタール・ドーハで開催中のUCI(国際自転車競技連合)ロード世界選手権は10月15日、大会6日目として女子エリートロードレースを実施。3選手が出場した日本勢は、吉川美穂(Live GARDEN BICI STELLE)がチーム最高位となる21位だった。

UCIロード世界選手権、女子エリートロードレースで日本人最高位の21位となった吉川美穂の走り Photo: Yuzuru SUNADAUCIロード世界選手権、女子エリートロードレースで日本人最高位の21位となった吉川美穂の走り Photo: Yuzuru SUNADA

與那嶺がスタートアタック

 大会は終盤に突入し、いよいよロードレースのエリート種目を残すのみとなった。この日唯一の競技となる女子エリートロードレースは、ドーハ近郊のカタール・ファンデーションを出発し、メイン会場である「ザ・パール・カタール」を目指す134.1km。スタートから28kmはワンウェイで、その後ザ・パール・カタール内の15.2kmのサーキットをおおむね7周回する。

ファーストアタックを決め、レース前半をリードした與那嶺恵理 Photo: Yuzuru SUNADAファーストアタックを決め、レース前半をリードした與那嶺恵理 Photo: Yuzuru SUNADA

 日本からは、スプリンターの吉川、11日の個人タイムトライアルに出場した與那嶺恵理(ポワトゥー-シャラント・フュテュホスコープ・86)、昨年のこの大会でジュニア4位に入った梶原悠未(筑波大学)の3人が臨んだ。

 レースは、しばしのパレードを経てアクチュアル(正式)スタートへ。早速動いたのは與那嶺だ。まさにファーストアタックの動きで、あっという間にメイン集団との差を広げる。集団もこれを容認し、與那嶺の単独逃げが始まった。

 メイン集団は、サーキットに入ってからの動きを見据え、與那嶺との差を30秒前後にとどめる。ザ・パール・カタールへと入り、2周回目には集団からニコール・ハンセルマン(スイス、サーヴェロ・ビグラ プロサイクリングチーム)がブリッジを仕掛け、與那嶺に合流。2人は先頭交代を繰り返しながら、4周回目途中までレースをリードした。

中盤の重要局面で前方へと上がった梶原悠未の走り Photo: Yuzuru SUNADA中盤の重要局面で前方へと上がった梶原悠未の走り Photo: Yuzuru SUNADA

 與那嶺らが吸収されてからは、オランダを中心にメイン集団のペースをコントロール。スピードの上下が激しくなる中、梶原が集団前方へと上がってくる。

 レースに動きが見られたのは、6周回目。残り42kmをとなったところで、個人タイムトライアルの女王に輝いたアンバー・ネーベン(アメリカ、ビーピンク)が単独アタック。残り35kmで集団と45秒差となったのを境に、タイム差は少しずつ縮まっていった。

 ネーベンの逃げは最終周回にキャッチ。そこからは、オランダのトレインが集団を牽引。ライバル国に前方を明け渡すことなく、そして残り10kmを切ったところからは一気にペースアップし集団を縦長にした。

スプリント勝負は、アメリー・ディデリクセン(右)が勝利 Photo : Yuzuru SUNADAスプリント勝負は、アメリー・ディデリクセン(右)が勝利 Photo : Yuzuru SUNADA

 迎えた最終局面。完璧にレースを支配したオランダは、キルステン・ウィルド(オランダ、ハイテックプロダクツ)を発射。だが、レース前半で落車に見舞われていたためか、スピードに伸びが見られない。その脇から加速しているのは、ウィルド同様に落車していたアメリー・ディデリクセン(デンマーク、ボエルス・ドルマンス サイクリングチーム)。僅差ながらディデリクセンがウィルドをかわし、トップでフィニッシュ。近年、男女ともに若手の活躍が著しいデンマークだが、ついにエリートカテゴリーでのマイヨアルカンシエルがもたらされた。

 もっとも、ディデリクセンは早くから同国の若手筆頭格として活躍している選手。2013年と2014年にはジュニアでロードレース2連覇を達成。実質、3度目のアルカンシエル獲得となった。

 最高のポジションからスプリントしたウィルドは2位。ロッタ・レピスト(フィンランド、サーヴェロ・ビグラ プロサイクリングチーム)が3位に続いた。

 日本勢は、吉川がスプリントに絡むも、直前で中切れに遭い4秒差の21位。後半は吉川のアシストに徹した梶原が18秒差の64位、與那嶺は42秒差の86位だった。

女子エリートロードレース上位3選手。左から2位キルステン・ウィルド、1位アメリー・ディデリクセン、3位ロッタ・レピスト Photo : Yuzuru SUNADA女子エリートロードレース上位3選手。左から2位キルステン・ウィルド、1位アメリー・ディデリクセン、3位ロッタ・レピスト Photo : Yuzuru SUNADA

チームとしての戦いに手ごたえ

 3選手で臨んだ日本女子エリートメンバー。平坦なコースにマッチした、スピードのある選手たちで編成し、各々が得意な展開で力を発揮できるよう努めた。

 レース前のねらいは、與那嶺が序盤から逃げ、中盤から大人数での先行が起こるようであれば梶原が、そしてスプリントになれば吉川で勝負する、というものだった。

 早くから逃げを公言していた與那嶺が有言実行のアタック。中盤のペース変化には、予定通り梶原が反応。大方の予想通り、スプリント勝負となり吉川が出番をまっとうした。

フィニッシュ後取材に応じる吉川美穂。スプリントに悔いが残る Photo: Syunsuke FUKUMITSUフィニッシュ後取材に応じる吉川美穂。スプリントに悔いが残る Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 21位でフィニッシュした吉川の表情は、悔しさがにじみ出ていた。「與那嶺さんがポジションを引き上げてくれて、ボトルも手渡してくれた。梶原もよくアシストしてくれて、あとは私が勝負するだけだった。それなのにスプリントのかかりが悪くて・・・」と、レースを振り返った。「最終局面でのポジショニング、そしてそもそもの走力。世界との差はかなりの開きがあった。得意のスプリントでこれでは・・・」と続けた。

 やはり、中盤以降のペースの上げ下げでダメージがあったという。少しでもよいポジションをキープしようとすると、脚を使ってしまう。1レースをフルに、しっかりと走ったうえでラスト勝負ができるよう、総合的な力の向上が必要だと感じたようだ。

中盤の動きに対応した梶原悠未。終盤のアシストに課題が残ったという Photo: Syunsuke FUKUMITSU中盤の動きに対応した梶原悠未。終盤のアシストに課題が残ったという Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 梶原も「後半もう少しアシストできていればという思い。大事な局面で機能できず吉川さんに申し訳ない」と反省を口にする。後半は吉川の近くで走るようチームオーダーが出ていたといい、「流れの中でどうしても吉川さんから離れてしまう場面があった。もう少し長い時間サポートできていれば、吉川さんがもっと上位にいけたと思う」と、自らの走りを悔やんだ。

 とはいえ、3選手がそれぞれに明確な役割を持ち、オーダー通りにフィニッシュまでたどり着いたあたりは収穫と言えるだろう。「與那嶺さんの逃げは、私たちにとっても前半を楽に走るうえで大きな助けになった。チームとして戦えた実感があるし、この先にきっとつながると思う」と吉川が言えば、「中盤にストップ・アンド・ゴーがかかった時点で、どんな動きにでも対応できるよう集団内でのポジション確保ができた。そこはオーダー通りに走れていた」と梶原も続いた。與那嶺も「逃げははじめから決めていた。集団に吸収されてからはチームメートにボトルを渡したり、自分にできることをやった」と話す。

 それぞれに見せ場を作った3人。悔しさとともに、世界との差を縮めるための課題は残されているが、それらを1つひとつクリアした先に、より大きな結果が待っているに違いない。

3人それぞれが見せ場を作った女子エリート日本代表。チームとして戦った実感を今後へとつなげる。左から吉川美穂、與那嶺恵理、梶原悠未 Photo: Yuzuru SUNADA3人それぞれが見せ場を作った女子エリート日本代表。チームとして戦った実感を今後へとつなげる。左から吉川美穂、與那嶺恵理、梶原悠未 Photo: Yuzuru SUNADA

女子エリートロードレース(134.1km)結果
1 アメリー・ディデリクセン(デンマーク、ボエルス・ドルマンス サイクリングチーム) 3時間10分27秒
2 キルステン・ウィルド(オランダ、ハイテックプロダクツ) +0秒
3 ロッタ・レピスト(フィンランド、サーヴェロ・ビグラ プロサイクリングチーム)
4 エリザベス・デイグナン(イギリス、ボエルス・ドルマンス サイクリングチーム)
5 マルタ・バスティアネッリ(イタリア、アレ・チポッリーニ)
6 ロクサーヌ・フルニエ(フランス、ポワトゥー-シャラント・フュテュホスコープ・86)
7 クロエ・ホスキング(オーストラリア、ウイグル・ハイファイブ)
8 シェイラ・グティエレス(スペイン、サイランス プロサイクリング)
9 ジョエル・ヌメインヴィル(カナダ、サーヴェロ・ビグラ プロサイクリングチーム)
10 ヨリエン・ドーレ(ベルギー、ウイグル・ハイファイブ)
21 吉川美穂(Live GARDEN BICI STELLE) +4秒
64 梶原悠未(筑波大学) +18秒
86 與那嶺恵理(ポワトゥー-シャラント・フュテュホスコープ・86) +42秒

大会最終日は男子エリート世界一決定戦

大会最終日は男子エリートロードレース。いよいよ新城幸也(左)と別府史之が登場する Photo: Syunsuke FUKUMITSU大会最終日は男子エリートロードレース。いよいよ新城幸也(左)と別府史之が登場する Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 9日に幕を開けた大会は、ついに最終日を迎える。16日は、男子エリートロードレースを実施。ドーハ市内のアスパイア・ゾーンをスタートし、ザ・パール・カタールを目指す257.3kmで勝負が決する。スタートから151kmは、砂漠地帯を南北に横断するワンウェイコース。ザ・パール・カタールに入ってからは、7周回してフィニッシュする。

 レースは199人がエントリー。日本からは別府史之(トレック・セガフレード)と新城幸也(ランプレ・メリダ)が出場。われらが誇るエース2人が、大トリを務める。

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