工具はともだち<103>カムアウトに負けない!ドライバーを使う時に大切なこと

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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 ネプロスの木柄ドライバー ©KTC
ネプロスの木柄ドライバー ©KTC

 「アーレンキー」に続いて「トルクス®」のお話しをしましたので、やはり次はドライバーのお話しをしたいと思います。アーレンキーやトルクスレンチと共にドライバーのことを「内回し工具」と呼んだりしますが、内側から回す工具の共通した悩みの種がビスやボルトの頭をなめてしまう事。読者の皆さんもねじ頭の穴をつぶした経験が一度や二度はあるのではないでしょうか。この原因となっているのが、実は「カムアウト」という現象なんです。

回そうとするものが外に逃げる

 「カムアウト」とは辞書を引くと「カミングアウト」の動詞形で、出る、現われる、抜ける、世に出る、出版される、咲く、なんて訳もあるようですが、別に何か告白する訳でもありません。

 ねじを回そうとした際に回そうとするものが外に逃げようとする現象のことで、ねじ穴そのものが斜めになっているプラスねじでは特に注意が必要になります。
 
レンチとねじ穴の外側まで掛り代(かかりしろ)のある六角穴付きボルトやトルクスと違いドライバーで回す十字穴は外側にいくほど掛り代が浅くなりますので、どうしてもこの「カムアウト」により先端が外れやすくなります。

 ドライバーを回す際はこの「カムアウト」に負けないようにしっかりと押すことが求められます。この「押す力」が弱いとドライバーの先端はせり上がってしまい、最悪の場合、ねじ穴をなめてしまいます。

押す力と回す力の比率は7対3 ©KTC押す力と回す力の比率は7対3 ©KTC

一般的に、回す力3に対し押す力7というように言われていますが、あくまで目安で、固く締まったビスを緩める際などはより強い力で押す必要性があります。

 そしてあまり言われないことなのですが、実はもう一つ大切な事があります。それは「軸をぶらさない」ことです。ドライバーの回し方の基本は「押し回し」とは言われますが、実際にやろうとすると結構難しいものです。一つの物で違う方向の力を同時に出そうとしているのですからある意味当然と言えば当然です。そこで大切になってくるのがこの「軸をぶらさない」ということです。

アーレンキーも軸をぶらさないことが大切 ©KTCアーレンキーも軸をぶらさないことが大切 ©KTC

 アーレンキーやトルクスレンチの場合、そもそもまっすぐにしか入りませんからドライバーに比べると軸はぶれ難いのですが、それでもこの「軸をぶらさない」ということは内回しをする工具全般に言えることで、なめさせない共通の勘所だと思います。

 例えば、アーレンキーの場合、回す際に曲がっている辺り、つまりボルトに対して垂直方向に押えながら回したり、ボルトから近い所を持って回したりすることも「軸をぶらさない」ちょっとしたコツです。特に大きなトルクを掛ける際はどうしてもレンチの端を持ちますから、その際はしっかりボルトに対して垂直に押してやることが大切です。

“最終兵器”のボルスター

KTCのスタンダードドライバの構造 ©KTCKTCのスタンダードドライバの構造 ©KTC

 さて、話をドライバーに戻して、こうした事をわかった上でもやっぱり固いねじやボルトに遭遇することはどうしてもあります。そんな時は、まずは潤滑剤のようなものを吹き付けてしばらくおいた後に、ドライバーの最終兵器「ボルスター」を使いましょう。「ボルスター」とはドライバーの軸の根本についている「六角」のことで、ここにめがねレンチを掛けてしっかり押しながら回します。

 こうすると手で押し回しをするより、より理想的な押し回しができます。固いとついつい叩く方が多いですが、叩くことはねじやボルト、そして工具も痛めてしまいますので、あまりお勧めしません。是非一度「ボルスター」を使ってみて下さい。「押し回し」の大切さが良くわかりますよ。

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Cyclist × KTC オリジナルデジラチェ工具セット Photo: SANKEI netShopCyclist × KTC オリジナルデジラチェ工具セット Photo: SANKEI netShop

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重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

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