史上最多タイの4度目の優勝トニー・マルティンが男子エリート個人TTで圧勝 UCIロード世界選手権

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 カタールの首都・ドーハで行われているUCI(国際自転車競技連合)ロード世界選手権は10月12日、男子エリート個人タイムトライアルを実施。過去3度の優勝を誇るトニー・マルティン(ドイツ、エティクス・クイックステップ)が2位に大差をつけて圧勝した。

UCIロード世界選手権、男子エリート個人タイムトライアルで4度目の優勝を果たしたトニー・マルティン Photo: Yuzuru SUNADAUCIロード世界選手権、男子エリート個人タイムトライアルで4度目の優勝を果たしたトニー・マルティン Photo: Yuzuru SUNADA

3年ぶりのTT2冠を決める快走

男子エリート個人タイムトライアルコースマップ © DOHA 2016男子エリート個人タイムトライアルコースマップ © DOHA 2016

 競技4日目は、タイムトライアル種目の最後として男子エリート個人タイムトラアルのみが行われた。コースは、ドーハの北にあるルサイル・スポーツコンプレックスをスタートし、今大会のメイン会場であるザ・パール・カタールを目指す40km。9日に行われた男女チームタイムトライアルと同じルートが採用され、序盤と終盤がコーナーの多いテクニカルなレイアウトだ。一方で、大きなアップダウンは存在せず、おおむねフラットだといえる。

 70人がエントリー(出走66人)し、第1走者から1分30秒おきにスタート。まず好タイムを出したのは、13番目にコースへと飛び出したライアン・マレン(アイルランド、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム)。13.6km地点の第1計測、26.4km地点の第2計測ともに暫定トップに立ち、勢いそのままにフィニッシュへ。46分4秒74が当面の基準タイムとなった。

 その後、ヨス・ファンエムデン(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)がマレンのタイムに迫ったが更新とはならず。以降も各選手伸び悩み、マレンが首位のまま有力選手たちの結果を待つこととなる。

銅メダルを獲得したホナタン・カストロビエホの走り Photo: Yuzuru SUNADA銅メダルを獲得したホナタン・カストロビエホの走り Photo: Yuzuru SUNADA

 この流れを断ち切ったのは、最後から6人目で出発したマチェイ・ボドナル(ポーランド、ティンコフ)。中間計測こそマレンから遅れをとっていたが、後半にペースアップ。4秒上回り、ついにトップの座が入れ替わった。

 すると、次々とトップタイムが塗り替えられた。ボドナルの次の走者、ホナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター チーム)も後半にかけて一気に加速。さらに5秒短縮した。

40kmのコースを44分42秒99で走破したトニー・マルティン Photo: Yuzuru SUNADA40kmのコースを44分42秒99で走破したトニー・マルティン Photo: Yuzuru SUNADA

 そして圧巻だったのは、ボドナル、カストロビエホに続いてスタートしていたマルティン。第1計測でマレンの記録を7秒上回ると、ここからギアを全開に。第2計測では30秒以上の差とすると、あとはスピードを落とさずにフィニッシュラインを目指すのみとなった。そのタイムは44分42秒99。カストロビエホに1分10秒もの差をつけた。

 優勝争いに加わると見られていたローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)、トム・デュムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン)は、ともにマルティンの後からのスタートだったが、両者ともに記録は伸ばせず。残すは、昨年の覇者であるヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ)のみとなった。

前回覇者のヴァシル・キリエンカは2位 Photo: Yuzuru SUNADA前回覇者のヴァシル・キリエンカは2位 Photo: Yuzuru SUNADA

 キリエンカは、第1計測こそマルティンから2秒遅れと射程圏内に位置したが、じわじわと差を広げられ、第2計測では19秒差に。最終的に45秒ものリードを許す格好となり、2連覇はならず。それでも2位は確保し、得意のレースでしっかりとまとめてみせた。

 マルティンは優勝の瞬間、チームスタッフと大喜び。それもそのはず、近年はトップの座を奪われ、昨年のこの大会では7位と惨敗。今年8月のリオデジャネイロ五輪でも12位に沈み、復権をかけてドーハへと乗り込んでいた。9日のチームタイムトライアルでは、エティックス・クイックステップを牽引し3年ぶりの優勝に貢献。2013年以来のタイムトライアル種目2冠を達成した。

ポディウムで健闘を称えあう3選手。左から2位ヴァシル・キリエンカ、1位トニー・マルティン、3位ホナタン・カストロビエホ Photo: Yuzuru SUNADAポディウムで健闘を称えあう3選手。左から2位ヴァシル・キリエンカ、1位トニー・マルティン、3位ホナタン・カストロビエホ Photo: Yuzuru SUNADA

マイヨアルカンシエルをまとって新天地へ

優勝を決めた直後のトニー・マルティン Photo: Yuzuru SUNADA優勝を決めた直後のトニー・マルティン Photo: Yuzuru SUNADA

 レース後の記者会見に臨んだマルティンは、「この日に向けてあらゆる手を尽くしてくれた、エティックス・クイックステップのみんな、ドイツ代表のチームスタッフに心から感謝している」とコメント。この大会までの調整は順調で、スタートしてからもコンディションのよさを感じていたという。

 3年ぶりに世界王者へ返り咲いたが、4度目の優勝はファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック・セガフレード)に並ぶ、この種目では最多タイ記録だ。「光栄なことだが、ファビアンは偉大だ。彼に並んだとは思っていない」と謙虚さを見せる。

レース後の記者会見では、移籍するチーム カチューシャ・アルペシンでの活躍を誓った Photo: Syunsuke FUKUMITSUレース後の記者会見では、移籍するチーム カチューシャ・アルペシンでの活躍を誓った Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 そして、5年間歩んだ現チームに別れを告げ、来シーズンからはチーム カチューシャ・アルペシンへと移籍することが決まっており、マイヨアルカンシエルを新天地にもたらすこととなる。会見では、「個人TTのマイヨアルカンシエルは新チームに持っていけるけど、チームTTのチャンピオンワッペン(チームTTの優勝チームにはジャージの左胸にワッペンを加えることができる)は持っていけないね」と突っ込みともいえる質問が飛び、これには思わず苦笑い。それでも、「この先に待つ新たな冒険が楽しみなんだ」と答え、移籍先での活躍を誓った。

男子エリート個人タイムトライアル(40km)結果
1 トニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 44分42秒99
2 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ) +45秒
3 ホナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター チーム) +1分10秒
4 マチェイ・ボドナル(ポーランド、ティンコフ) +1分16秒
5 ライアン・マレン(アイルランド、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム) +1分21秒
6 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1分27秒
7 イヴ・ランパールト(ベルギー、エティックス・クイックステップ) +1分45秒
8 ヨス・ファンエムデン(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +1分45秒
9 レト・ホレンシュタイン(スイス、イアム サイクリング) +1分51秒
10 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +1分56秒

13日からロードレース種目が開始

 競技5日目となる13日から、ロードレース種目が幕開け。まずは、男子アンダー23(23歳未満)ロードレースが行われる。コースは、今大会のメイン会場であるザ・パール・カタールに設けられた15.2kmのサーキットをほぼ10周回する165.7km。

 エントリーは187選手で、最大で1カ国6人でレースへと臨む。人数の多いチームが主導権を握って展開していくことだろう。毎年この年代で優勝を争う、フランス、ノルウェー、イタリア、イギリス、ベルギーといった国が有力視される。

 なお、日本は出場枠を確保できなかったため、選手の派遣は行っていない。

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