男子ジュニアは渡邉62位、沢田72位女子エリートの與那嶺恵理は21位 UCIロード世界選手権個人タイムトライアル

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 カタールの首都・ドーハで開催中のUCI(国際自転車競技連合)ロード世界選手権は10月11日、男子ジュニアと女子エリートの個人タイムトライアルを実施。男子ジュニアに出場した渡邉歩(エカーズ)が62位、沢田桂太郎(日本大学)は72位だった。また、女子エリートに出場した與那嶺恵理(ポワトゥー-シャラント・フュテュホスコープ・86)は21位で終えた。

UCIロード世界選手権女子エリート個人タイムトライアル、21位となった與那嶺恵理の走り Photo: Yuzuru SUNADAUCIロード世界選手権女子エリート個人タイムトライアル、21位となった與那嶺恵理の走り Photo: Yuzuru SUNADA

女子エリートは41歳のネーベンが快勝

 女子エリートと男子ジュニアは前日の男子アンダー23と同じく、メイン会場である「ザ・パール・カタール」内のコースをおおむね2周回する28.9kmで争われた。女子エリートには41人がエントリー(出走40人)し、日本からは與那嶺のみの参戦となった。

 しばらくの間ターゲットとなったのは、ハンナ・バーンズ(イギリス、キャニオン・スラムレーシング)の39分0秒37。18番目にスタートする與那嶺も、このタイムを上回ることが求められた。

女子個人タイムトライアルで21位となった與那嶺恵理は、後半にペースを落としてしまった Photo: Yuzuru SUNADA女子個人タイムトライアルで21位となった與那嶺恵理は、後半にペースを落としてしまった Photo: Yuzuru SUNADA

 與那嶺の第1計測ポイント(7.4km地点)通過は、バーンズから12秒差の暫定2位。1周回目終了となる13.7km地点の第2計測ポイントも12秒差と変わらず。

 だが、2周目に入りペースを落としてしまった。與那嶺に続いて出発した3選手が軒並み好タイムをマークしたこともあり、徐々に順位を落としてしまう形になった。

女子個人タイムトライアルで8年ぶりに優勝したアンバー・ネーベン Photo: Yuzuru SUNADA女子個人タイムトライアルで8年ぶりに優勝したアンバー・ネーベン Photo: Yuzuru SUNADA

 何とか踏ん張り、フィニッシュへとやってきた與那嶺だったが、タイムは39分38秒83とバーンズには届かず。さらに、與那嶺の3人後ろでスタートしたアンバー・ネーベン(アメリカ、ビーピンク)が36分37秒04と大幅にトップタイムを更新し、結果的に3分以上もの差を開けられてしまった。

 優勝争いは、後半のグループに控えていたエレン・ファンダイク(オランダ、ボエルス・ドルマンスサイクリングチーム)、カトリン・ガーフット(オーストラリア、オリカ・AIS)らがネーベンのタイムに迫ったものの、いずれも上回ることはできなかった。

 これにより、ネーベンの優勝が決定。41歳の大ベテランにとって、個人タイムトライアルでのマイヨアルカンシエルは2008年以来、8年ぶり2度目の獲得。ここ3年は代表から遠ざかっていたが、復帰早々に女王へと返り咲いた。

女子エリート個人タイムトライアルの上位3人。左から2位エレン・ファンダイク、1位アンバー・ネーベン、3位カトリン・ガーフット Photo: Yuzuru SUNADA女子エリート個人タイムトライアルの上位3人。左から2位エレン・ファンダイク、1位アンバー・ネーベン、3位カトリン・ガーフット Photo: Yuzuru SUNADA

レース途中の体調変化に苦しんだ與那嶺

 アメリカやヨーロッパでの活動、さらに全日本選手権での2冠からリオデジャネイロ五輪出場と、飛躍のシーズンとなった與那嶺。その集大成として上位進出を狙った今回の個人タイムトライアルだったが、21位と不本意な結果に終わった。

日本ナショナルチームスタッフ、武井享介コーチ(左)とレースを振り返る與那嶺恵理(中央) Photo: Syunsuke FUKUMITSU日本ナショナルチームスタッフ、武井享介コーチ(左)とレースを振り返る與那嶺恵理(中央) Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 懸命の走りは、フィニッシュ後の姿にも表れた。チームスタッフに抱えられ、ようやくミックスゾーンへとやってきた與那嶺は、「練習をこなしてきて、しっかりとコンディションも整えることができていた。それなのに走ってみたら力が入らなくて・・・」と、レースフィニッシュまでの過程を振り返る。

 ドーハの暑さも関係しているのかもしれない。「途中から喉が焼けるような感覚に陥ってしまった」といい、ここぞという場面での体調の異変に、出すべき力を奪われてしまったようだ。

 この結果には、與那嶺を指導する武井享介コーチも厳しい表情。「アメリカのレースで勝っていた相手(ネーベン)に3分の差をつけられてしまっている」と、悔しさをにじませる。15日に控えるロードレースに向けては、いかに体調をコントロールするかがポイントとなりそうだ。

 個人タイムトライアルに集中していたからこそ、「今年最低のパフォーマンスだった」と無念さをあらわにした與那嶺。それでも、15日のロードレースに向けて「ワクワクしてもらえるような走りができるよう、もう一度調整し直す」と前向きなコメントが返ってきた。気持ちを切り替えて、再度のトライに期待したい。

女子エリート個人タイムトライアル(28.9km)結果
1 アンバー・ネーベン(アメリカ、ビーピンク) 36分37秒04
2 エレン・ファンダイク(オランダ、ボエルス・ドルマンスサイクリングチーム) +5秒
3 カトリン・ガーフット(オーストラリア、オリカ・AIS) +8秒
4 オルガ・ザベリンスカヤ(ロシア、ビーピンク) +11秒
5 アンネミーク・ファンフルーテン(オランダ、オリカ・AIS) +25秒
6 リサ・ブレナウアー(ドイツ、キャニオン・スラムレーシング) +57秒
7 トリクシー・ウォラック(ドイツ、キャニオン・スラムレーシング) +1分11秒
8 アンソフィー・ダイク(ベルギー) +1分27秒
9 カタリーナ・パウロウスカ(ポーランド、ボエルス・ドルマンスサイクリングチーム) +1分36秒
10 アレナ・アミアリウシク(ベラルーシ、キャニオン・スラムレーシング) +1分41秒
21 與那嶺恵理(ポワトゥー-シャラント・フュテュホスコープ・86) +3分1秒

男子ジュニアは世代最強のマクナルティが圧勝

男子ジュニア個人タイムトライアルコースマップ。女子エリートも同じコースで行われた © DOHA 2016男子ジュニア個人タイムトライアルコースマップ。女子エリートも同じコースで行われた © DOHA 2016

 83人もの大人数が出走した男子ジュニア個人タイムトライアル。走行中の選手同士の接触や混乱を避けるため、6グループに分けられ、日本から出場の沢田は第2グループ、渡邉は第5グループに振り分けられた。

 まず好タイムをマークしたのは、第2走者のマッキー・カーター(オーストラリア)。36分58秒29のタイムが当面の基準となった。その後、ロバート・スタナード(ニュージーランド)が13秒、さらにヤカ・プリモヂッチ(スロベニア)が8秒トップタイムを更新していく。

男子ジュニア個人タイムトライアルで72位となった沢田桂太郎の走り Photo: Yuzuru SUNADA男子ジュニア個人タイムトライアルで72位となった沢田桂太郎の走り Photo: Yuzuru SUNADA

 25番目にコースへと飛び出した沢田は、7.4km地点の第1計測ポイントでトップから45秒遅れ。ここからペースを上げていきたいところだったが、1周回目を終了する頃には2人後ろでスタートしていたプリモヂッチに追い抜かる苦しい走りとなってしまった。

 後半も思うようにスピードを上げられなかった沢田は、41分26秒62でフィニッシュ。最終的にトップからは6分44秒差に終わった。

 一時はプリモヂッチのタイムがトップとなったが、これを上回ったのがミッケル・ビェルグ(デンマーク)の35分17秒47。ここからターゲットタイムが大幅に上がったことにより、後半グループの選手たちでも苦戦を強いられることとなった。

男子ジュニア個人タイムトライアル、62位で終えた渡邉歩の走り Photo: Yuzuru SUNADA男子ジュニア個人タイムトライアル、62位で終えた渡邉歩の走り Photo: Yuzuru SUNADA

 そんな中でスタートを切った渡邉。序盤は落ち着いて入り、その後も淡々とペースを刻んだが、上位陣との差は中間計測のたびに広がっていく。フィニッシュタイムは40分2秒42。トップからは5分以上のタイム差をつけられる格好となった。

 暫定上位3選手が座ることのできるホットシートに長い時間身を置いていたビェルグだったが、最終走者として登場したブランドン・マクナルティ(アメリカ)が大きく立ちはだかった。第1計測ポイントでトップタイムを記録すると、その後も次々と更新していく。前に出発した2人を前半のうちにパスするなど、異次元の走りを披露。ただ1人34分台となる、34分42秒29をマーク。フィニッシュラインを通過した瞬間に雄たけびを上げながらのガッツポーズで勝利をアピールした。

 現在のジュニア年代ではナンバーワンの実力と言われるマクナルティだが、今回の走りで改めてその差をライバルたちに突きつけてみせた。

実力通り、ジュニアナンバーワンの走りを見せたブランドン・マクナルティ Photo: Yuzuru SUNADA実力通り、ジュニアナンバーワンの走りを見せたブランドン・マクナルティ Photo: Yuzuru SUNADA

暑さに苦しむも走りの内容には悲観せず

 17歳から18歳(1998~1999年生まれ)の選手たちによって争われた男子ジュニア個人タイムトライアル。日本勢は渡邉が62位、沢田が72位だった。

ミックスゾーンで取材に応じる沢田桂太郎 Photo: Syunsuke FUKUMITSUミックスゾーンで取材に応じる沢田桂太郎 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 前半は抑え、後半勝負と考えていたという両者。先にレースを終えた沢田は「前半はゆっくり入ったつもりだったが、1周目の中盤から暑さを感じ始めたこともあって後半思うように踏むことができなかった」と表情を歪めた。特に、大会直前の最終調整では好調だっただけに、悔いが残る走りだったよう。

 前日の女子ジュニア個人タイムトライアルを走った下山美寿々(大阪教育大学附属高校天王寺校舎)を含め、各選手とも想定以上の暑さに苦労している印象だ。それでも、ジュニア陣の指揮を執る柿木孝之コーチは「まずはこの暑さに慣れること。タイムトライアルを1本走って、その後のロードにつなげられたらと考えている」と前向きだ。

力走する渡邉歩 Photo: Syunsuke FUKUMITSU力走する渡邉歩 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 また、渡邉は「自分でも遅すぎるのではないかと感じるくらい前半は抑えた。ダメージを残さないようにしながら、ロードに結びつくような走りを心がけた」とテーマを持って臨んだという。順位については、「タイムトライアルにおいてはこれが実力」としながらも、「今日はしっかり走れたし、内容は悪くないから、重視しているロードで結果を残したい」と続けた。

 選手たちや柿木コーチの言葉からは、悲観している様子は感じられない。1レース走り、汗をかいたことでコンディションはより整うことだろう。14日に控えるロードレースに向け、「スプリントになれば沢田で勝負。そうなれば僕はサポートに回る。もし中盤に大人数の逃げができるようなら、僕がそれを逃さないようにしたい」と渡邉。次は結果にこだわって世界へ挑む。

男子ジュニア個人タイムトライアル(28.9km)結果
1 ブランドン・マクナルティ(アメリカ) 34分42秒29
2 ミッケル・ビェルグ(デンマーク) +35秒
3 イアン・ガリソン(アメリカ) +53秒
4 ユリウス・ヨハンセン(デンマーク) +1分2秒
5 ルーベン・アペルス(ベルギー) +1分24秒
6 イヴェール・クノッテン(ノルウェー) +1分32秒
7 アウェト・ハブトム(エリトリア) +1分40秒
8 マルク・ヘルシ(ドイツ) +1分43秒
9 ヤカ・プリモヂッチ(スロベニア) +1分53秒
10 ヤモ・モバフ(オランダ) +2分0秒
62 渡邉歩(EQADS) +5分20秒
72 沢田桂太郎(日本大学) +6分44秒

大会5日目は男子エリート頂上決戦

 12日の競技は、男子エリート個人タイムトライアル(40km)のみ。69選手が独走力世界ナンバーワンを決める戦いへと挑む。日本人選手のエントリーはないものの、日頃UCIワールドチームに所属し、トップシーンで活躍する選手たちの頂上決戦が楽しめるはずだ。今大会のタイムトライアル種目の最後を飾る、熱き戦いに注目しよう。日本時間午後7時30分から競技が始まる。

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