チーム戦で挑む冒険レース初開催の「松野四万十バイクレース」 大自然を駆け抜けた130kmの国内最長MTB大会

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 チーム戦によるマウンテンバイク(MTB)のマラソンレース「松野四万十バイクレース」の第1回大会が10月2日、愛媛県松野町をスタート・ゴールに、愛媛県・高知県にまたがる四万十川源流地域を舞台に開催された。国内最長となる130kmの難コースに挑んだ日本MTBマラソンの第一人者、池田祐樹選手(トピークエルゴンレーシングチームUSA)によるレポートをお届けします。

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いよいよスタート5分前!これから始まる130kmの大冒険を前に興奮、緊張、期待、いろいろな感情が入り混じる Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACEいよいよスタート5分前!これから始まる130kmの大冒険を前に興奮、緊張、期待、いろいろな感情が入り混じる Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

スーパーロング&アトラクション

 総距離130kmという国内最長MTBイベント、国内では非常に珍しいチーム戦(2〜4人)、斜度20%以上のエンドレス激坂が待ち構える過酷なコース、アトラクションがあるエイドステーションなど、魅力満載の前評判を聞いていたのでレースが待ち遠しくワクワクしていた。

今回の移動は大会を協賛しているANA(全日空)で松山空港へ移動。大会参加者はバイクを無料で預けられるという嬉しい特典付き Photo: Yuki IKEDA今回の移動は大会を協賛しているANA(全日空)で松山空港へ移動。大会参加者はバイクを無料で預けられるという嬉しい特典付き Photo: Yuki IKEDA
レースナンバープレートと発煙筒。安全面を考慮して各チーム大会側が用意する発煙筒の携帯が義務付けられる Photo: Yuki IKEDAレースナンバープレートと発煙筒。安全面を考慮して各チーム大会側が用意する発煙筒の携帯が義務付けられる Photo: Yuki IKEDA

 私の参加部門は130kmのアルティメット。チームはMTB長距離界のトップレーサーが3人集まった「ナショナルチーム」。チームメイトは今大会のアドバイザーでもあり、MTBマラソン世界選手権日本代表の門田基志選手(GIANT)、UCIマラソンポイント保持者である若手筆頭の西山靖晃選手(焼鳥山鳥レーシング)の2人だ。

工夫されたコースサイン Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE工夫されたコースサイン Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 大会ルールとして、安全上の問題からチームメイトが常に視界に見える位置でレースを進めないといけない。2人以上のチームで参戦することが義務付けられており、チームメイトが欠けて1人での走行となった場合は失格となる。お互いに助け合いながらゴールを目指すチーム戦も、今大会の魅力の一つだ。

 距離が長いため、コースサインの工夫も今大会の特徴。コーステープは張り巡らすのではなく、分岐や交差点に3本組の白色コーステープが、コースサイドに垂らされるように設置される。分岐を右折する場合は右側に、左折する場合は左側に、合図のように分岐手前2カ所、分岐地点に1カ所、計3カ所設置。さらに分岐を曲がった先に1本のコーステープが設置されている

スタート前の「ナショナルチーム」メンバー。左から門田基志選手(GIANT)、西山靖晃選手(焼鳥山鳥レーシング)、私。国内トップの長距離レーサーがここに集結した Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACEスタート前の「ナショナルチーム」メンバー。左から門田基志選手(GIANT)、西山靖晃選手(焼鳥山鳥レーシング)、私。国内トップの長距離レーサーがここに集結した Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 レース当日は朝3時起床。スタートは6時、消化時間も考えて3時半までに朝食を終えてレースへの準備を万全に整える。5時前に会場入りバイクの最終整備を行う。会場ではスポーツアロマ・コンディショニングのマッサージが受けられるので、足をほぐしてもらい心身のスイッチを入れる。とてもありがたいサービスだ。気温はこの時間でも半袖なほど。日中の猛暑が容易に想像できた。

和太鼓に後押しされ最初の頂上へ

 スタートには國井敏夫選手、吉元健太郎選手、合田正之選手、アルバート・キクストラ選手を始めとする国内トップの長距離選手とXCOエリート選手が名を連ねる。

 朝6時、たくさんの声援に送り出されながら、ついに国内最長のMTB大冒険が始まった。オートバイの先導が消えるとバトルがスタート。ペースを一気に上げて早々と先頭集団を形成した。オフロードの上りに突入しても門田選手と共にハイペースを崩さずレースをコントロールし、後続を引き離した。

たくさんの観客に見送られるレーサーたち。いよいよスーパーアドベンチャーの始まりだ Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACEたくさんの観客に見送られるレーサーたち。いよいよスーパーアドベンチャーの始まりだ Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
最初の峠はスタートから約16km。滑床林道を駆け上がるナショナルチーム Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE最初の峠はスタートから約16km。滑床林道を駆け上がるナショナルチーム Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
深い緑に囲まれた大自然のバックカントリーを舞台にした大冒険。レースは130kmのアルティメットと95kmのアドバンスの2部門、20kmとキャニオニングがセットとなったレクリエーションコースも用意され、誰もが楽しめるイベントとなっている Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE深い緑に囲まれた大自然のバックカントリーを舞台にした大冒険。レースは130kmのアルティメットと95kmのアドバンスの2部門、20kmとキャニオニングがセットとなったレクリエーションコースも用意され、誰もが楽しめるイベントとなっている Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 緑の深い林道の中、どこからともなく和太鼓の音が聞こえ始める。幻聴か、と一瞬戸惑うがレースアトラクションの一つで和太鼓隊が奥深い山の中のコース脇で生演奏して選手を応援してくれるものだった。力強い太鼓の演奏にチームのテンションも一気に上がる。とても嬉しい演出だ。

和太鼓隊の迫力ある応援演奏に疲れも忘れてテンションマックス! Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE和太鼓隊の迫力ある応援演奏に疲れも忘れてテンションマックス! Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
序盤からハイペースを刻み、後続を引き離すナショナルチーム Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE序盤からハイペースを刻み、後続を引き離すナショナルチーム Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
美しい朝日をバックに滑床林道をハイペースで上るナショナルチーム Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE美しい朝日をバックに滑床林道をハイペースで上るナショナルチーム Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 スタートから1時間強で最初の上り、滑床林道の頂上の「鹿のコル」へ1位で到着。ここでのアトラクションはなんと、表千家流の先生がお抹茶を一人一人に点ててくれるという豪華サービス。さらに今回使用していたお茶碗は今大会のために特別に焼いたものだというから驚きだ。3人でほっと一息ついてありがたく美味しく頂いた。

 頂上からの景色は素晴らしく、美しい山々の向こうには宇和海まで望める絶景。長い舗装路下りからの林道の上り返しも安定したテンポペースでトップを独走した。

真剣勝負の束の間の休息。表千家流の先生が点てたお抹茶とお茶菓子を美味しくいただきました Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE真剣勝負の束の間の休息。表千家流の先生が点てたお抹茶とお茶菓子を美味しくいただきました Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
第1チェックポイントにて表千家の先生が丁寧に点てるお抹茶をいただく参加者。お茶碗も今大会のために焼いた特別なものを使用。なんという贅沢なレースだろうか! Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE第1チェックポイントにて表千家の先生が丁寧に点てるお抹茶をいただく参加者。お茶碗も今大会のために焼いた特別なものを使用。なんという贅沢なレースだろうか! Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
1つ目の峠を越えると美しい山々と宇和海まで一望できる絶景が待っている Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE1つ目の峠を越えると美しい山々と宇和海まで一望できる絶景が待っている Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

山を越え、川を越え…

第2エイドステーションでは地元の鹿肉ソーセージをその場でシェフが焼いてくれる Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE第2エイドステーションでは地元の鹿肉ソーセージをその場でシェフが焼いてくれる Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 第2エイドステーションでは地元の鹿肉ソーセージをその場で焼いて振舞うという、これまた豪華サービスが待っていた。脂っこくなく、程よい歯応えと塩味でレーサー達は舌鼓を打った。

 台風の影響でコースには落ちてきた枝や岩が多く、荒れているセクションも少なくなかった。落車、パンク、枝の巻き込みなどを避けるために極限まで集中して綺麗なラインをトレースした。

第2エイドステーションで地元の鹿肉ソーセージを笑顔でいただく参加者の皆様。旨味と程よい塩味が疲れた身体に染みます Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE第2エイドステーションで地元の鹿肉ソーセージを笑顔でいただく参加者の皆様。旨味と程よい塩味が疲れた身体に染みます Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
台風の影響で落ちてきた枝や岩で路面がかなり荒れているセクションも。落車やトラブルを避けるために集中してラインを選んでの走行が必要だ Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE台風の影響で落ちてきた枝や岩で路面がかなり荒れているセクションも。落車やトラブルを避けるために集中してラインを選んでの走行が必要だ Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 西谷林道のループセクションでは一部対面通行区間があるので、他レーサーとすれ違う度にお互いに「頑張って〜!」と励ましあった。他レーサーとのこういうアクションは純粋に嬉しく、エネルギーをたくさんもらうことができた。

大会名物の一つ「リバークロス」。川床は岩がゴロゴロしているのでバランスコントロールも必要だ。水しぶきが火照った身体をクールダウンしてくれるのも嬉しい Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE大会名物の一つ「リバークロス」。川床は岩がゴロゴロしているのでバランスコントロールも必要だ。水しぶきが火照った身体をクールダウンしてくれるのも嬉しい Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 玖木林道に入ると今大会名物の一つ「リバークロス」いわゆる川横断セクションが待ち構える。川床にあるゴロゴロした岩で転ばないようにバランスを取りながら向こう岸へと渡り3人とも難なくクリアー。とても暑かったので冷たい水しぶきが気持ち良く、リフレッシュできたセクションでもあった。

 日が昇るにつれてぐんぐん気温が上がり始める。サイクルコンピューターには30℃の表示。第3エイドステーションではタイミング良く冷えたドリンク(メダリスト)が用意されていた。これは、暑さで苦しんでいたレーサーにとってはたまらないご褒美。他にもGIANTメカニックテント、スポーツアロマ・コンディショニングのマッサージテントも設置されてあり、他に類を見ないほどに充実したステーションであった。ここでしっかりと補給を行い、後半戦に備える。

実力が近しいライバルがチームメイトということもあり、常に刺激しあいハイペースをキープ Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE実力が近しいライバルがチームメイトということもあり、常に刺激しあいハイペースをキープ Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
エイドステーションに設置されたスポーツアロマ・コンディショニングではマッサージも受けられる。後半戦へ向けてのリフレッシュができる最高のサービスだ Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACEエイドステーションに設置されたスポーツアロマ・コンディショニングではマッサージも受けられる。後半戦へ向けてのリフレッシュができる最高のサービスだ Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
大会名物のリバークロスを果敢にチャレンジするレーサーたち Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE大会名物のリバークロスを果敢にチャレンジするレーサーたち Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

激坂上りもチームで集中

獅子舞が待ち受けるチェックポイントも Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE獅子舞が待ち受けるチェックポイントも Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 73km付近からは20%を超える激坂が次々と姿を表す。しかも、路面は岩や砂利でとても滑りやすく、乗車するのは至難の業。極限の集中力、体力、スキルが必要となる。私の一番軽いギアは前32、後42。ケイデンスは40前後まで落ちることも。門田選手と西山選手も必死に乗車している。さすがだ。

斜度20%を超える激坂区間。ここはまだまだ序の口ということを私はまだ知らなかった Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE斜度20%を超える激坂区間。ここはまだまだ序の口ということを私はまだ知らなかった Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
大会名物のエンドレス激坂区間。斜度がキツイ上にテクニカルな路面が参加者を苦しめる。その分、登頂した時の達成感は最高だ Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE大会名物のエンドレス激坂区間。斜度がキツイ上にテクニカルな路面が参加者を苦しめる。その分、登頂した時の達成感は最高だ Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
斜度20%以上の激坂が参加者に襲いかかる Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE斜度20%以上の激坂が参加者に襲いかかる Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 一人では集中が途切れそうな場面でも、刺激しあえる強いライバルがチームメイトだとより集中力を増すことができる。暑さもピークで身体中から滝のような汗が吹き出る。門田選手が斜度の緩くなったところで「しっかり飲んで行こう!」と補給を促してくれる。脱水や熱中症になれば命にも関わる。永遠に続くと思われた激坂地獄もついに登頂。海外のタフなコースにも全く引けを取らない強烈にきつく長い坂だった。

 途中通過する沈下橋では、子供の和太鼓隊が元気よく演奏してくれる嬉しい応援と、刀と槍を持った鎧武者もお出迎えしてくれる。妥協ないこだわりの演出がレーサー達の心を癒し、楽しませてくれる。

沈下橋では刀と槍を持った鎧武者達が選手を激励。大会の想像もつかない選手を楽しませる趣向とこだわりに脱帽 Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE沈下橋では刀と槍を持った鎧武者達が選手を激励。大会の想像もつかない選手を楽しませる趣向とこだわりに脱帽 Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
四万十川沿いのダイナミックな景色を楽しみながら走るレーサーたち Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE四万十川沿いのダイナミックな景色を楽しみながら走るレーサーたち Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
山間に広がる美しい田園風景を駆け抜ける Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE山間に広がる美しい田園風景を駆け抜ける Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 最後の山へ向かう前の平坦区間も高速ペースでローテーション。一人では出ないスピード領域で進めるのもチーム戦の魅力だ。この時点で6時間以上レースをし続け、さすがに疲労も溜まってきてはいるが、3人の足並みは揃っている。

 いよいよ最後の30kmループに突入。長い林道の上りが容赦なく続くが、最後のエイドステーションに辿り着くと浴衣美人と一緒に松野音頭を踊れるという素晴らしい特典がある。それをモチベーションに3人でペースを落とすことなく上り続けた(笑)。

レース終盤でも3人の足並みは崩れることなくハイペースをキープ。ナショナルチームの意地を見せる Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACEレース終盤でも3人の足並みは崩れることなくハイペースをキープ。ナショナルチームの意地を見せる Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 念願の浴衣美人のいる最終エイドステーションへ到着。疲れ切っている身体に鞭を打ちつつも松野音頭を楽しく踊り、満足しながら最終ダウンヒルへと突入。きついけれどなぜか笑いが止まらない。大会のレーサー達への献身的なホスピタリティに加えて、面白すぎるエンターテイメント、感動して嬉しくて楽しくて自然と笑みがこぼれてしまっていた。

 あとはゴールまでのダウンヒルを残すのみ。「大きくリードしているから」「最後の下りだから」といって決して気を抜いてはならない。集中力を失った時が一番落車やパンクの確率が高いのだ。チームで「最後まで気を抜かずにフィニッシュまで行こう」と声をかけて改めて気を引き締めた。

120km地点の最後のエイドステーション。どんなに疲れていても浴衣美人を目の前にしたら、一緒に松野音頭を踊り出してしまうレーサーたち Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE120km地点の最後のエイドステーション。どんなに疲れていても浴衣美人を目の前にしたら、一緒に松野音頭を踊り出してしまうレーサーたち Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
120km走った後でも浴衣美人を目の前にするとこの笑顔 Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE120km走った後でも浴衣美人を目の前にするとこの笑顔 Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

コースもアトラクションも味わいつくして

 約7km続く高速ダウンヒルは最速ラインで駆け抜ける。この時に思ったことは「楽しい!」という気持ち。長くタフなコースだったが、この最後のダウンヒルでレースが終わってしまうと思うと少し寂しい気持ちになり、もっとこの世界を楽しんでいたい、とまで思っていた。これも実力が近しい最強のチームメイト達と高め合えたおかげだろう。特に若手の西山選手は本当に素晴らしい走りを見せてくれた。他の強豪チームを引き離すペースにもかかわらず、遅れを取ることなく最後まで一緒に戦い抜き、むしろ門田選手と私を刺激してくれた場面もあった。来年は、MTBマラソン世界選手権の代表選手の一員として活躍が期待できる選手となってくれるだろう。

 まだまだ私たちは強くなれる。その可能性を十分に感じる走りでフィニッシュゲートをくぐった。結果は7時間42分4秒で1位、初代優勝チームとなった。

ナショナルチーム優勝の瞬間。最高のチームワークで終始リードして勝つことができた。これからもこのメンバーで日本の長距離MTB界を盛り上げていきたい Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACEナショナルチーム優勝の瞬間。最高のチームワークで終始リードして勝つことができた。これからもこのメンバーで日本の長距離MTB界を盛り上げていきたい Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 各エイドステーションのアトラクションも十分に楽しみつつも、レースとしてしっかりと勝負ができる非常に興味深いイベントだった。チーム戦という新しいアイデアもとても面白かった。真剣勝負と遊びを見事に融合した、全く新しいタイプの長距離MTBイベントがここに誕生した。

松野町のガラス工房で特別に作られた兜トロフィー Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE松野町のガラス工房で特別に作られた兜トロフィー Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE
地元のお米30kg、お野菜詰め合わせ、お酒、ローラー台など豪華賞品が用意された Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE地元のお米30kg、お野菜詰め合わせ、お酒、ローラー台など豪華賞品が用意された Photo: MSBR MATSUNO SHIMANTO BIKE RACE

 国内で新しく素晴らしいマラソンレースが出来たことは、マラソンレーサーとして純粋に嬉しく、心からありがたく思う。国内でもきっと長距離MTBが盛り上がっていくことだろう。

 ぜひ来年は、松野四万十により多くの参加者が集まり、このレースの持つ魅力を存分に味わってほしいと思っている。

池田祐樹池田祐樹(いけだ・ゆうき)

トピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属プロライダー。日本人初、米国自転車連盟認定コーチ。MTB競技で国内外の耐久や長距離レースをメインに参戦する、MTBマラソンの国内第一人者。6年連続MTBマラソン世界選手権日本代表、「セルフディスカバリー・イン・王滝」4回の優勝経験、2016年はスリランカ「ランブル・イン・ザ・ジャングル4日間ステージレース」優勝。東京都在住。ブログ「Yuki’s Mountainbike Life」、フェイスブック:http://www.facebook.com/yukimtb

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