宇都宮以来のアジア開催ロード世界選手権が開幕 エティックス・クイックステップが男子チームTTで王座奪還

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 2016年のロード世界王者を決める、UCI(国際自転車競技連合)ロード世界選手権がカタールの首都ドーハで開幕した。競技初日の10月9日は、男女のチームタイムトライアルが行われ、女子はボエルス・ドルマンス サイクリングチームが初優勝、男子はエティックス・クイックステップが3年ぶりに王座返り咲きを果たした。

男子チームタイムトライアルで3年ぶりの優勝を果たしたエティックス・クイックステップの走り Photo: Yuzuru SUNADA男子チームタイムトライアルで3年ぶりの優勝を果たしたエティックス・クイックステップの走り Photo: Yuzuru SUNADA

実力者をそろえたボエルス・ドルマンスが圧勝

男女チームタイムトライアルコースマップ © DOHA 2016男女チームタイムトライアルコースマップ © DOHA 2016

 チームタイムトライアル(TT)種目は、レギュレーションや40kmというレース距離は男女共通。ポイントとなるのは、1チームあたりの出走人数が6人であり、8人または9人で臨むグランツールやその他ステージレースのチームTTとは勝手が違う点だ。チーム内4番手でフィニッシュした選手のタイムが有効となる。コースは前半こそ直線が多いものの、後半に入るとテクニカルなコーナーが多くなる。砂漠からの砂が舞い、思わぬ形での落車やパンクトラブルには注意が必要だ。

 また、この種目に限り国別ではなく、トレードチーム(UCI登録チーム)単位での出場となる。したがって、現時点でのチーム力がおおむね反映されやすいあたりも注目される。

 大会最初の種目となった女子チームTTは、8チームが出場。第1出走のトゥエンティ16-ライドバイカーから順に、2分30秒おきに各チームがスタートしていった。

 40km先のフィニッシュを目指し、どのチームも意気揚々とスタートを切った。しかし、気温37℃にも上った暑さも相まって、多くのチームが早くから脱落者を出したり、突然の体調不良で落車する選手、または嘔吐する選手が見られた。

女子チームタイムトライアル優勝のボエルス・ドルマンス サイクリングチームの走り Photo: Yuzuru SUNADA女子チームタイムトライアル優勝のボエルス・ドルマンス サイクリングチームの走り Photo: Yuzuru SUNADA

 そんな中、強さを発揮したのはボエルス・ドルマンス。実績十分のエリザベス・デイグナン(旧姓アーミステッド、イギリス)やエヴェリン・スティーヴンス(アメリカ)、エレン・ファンダイク(オランダ)のほか、シャンタル・ブラーク(オランダ)、キャロル-アン・カヌエル(カナダ)、クリスティーヌ・マジェラス(ルクセンブルク)も実力者。強力な布陣を擁し、期待に違わぬ快走を見せる。13.6km地点の第1計測ポイントこそ2番手だったが、それ以降はトップタイムをマークし、フィニッシュではそれまでのトップタイムを1分56秒上回る圧倒的な走りだった。

 スペシャライズド・ルルレモン時代からこの大会では負けなしだったキャニオン・スラムレーシングは、第1計測こそトップタイムで通過したが、その直前に1人脱落者を出したことが響き、26.4km地点の第2計測ポイントでボエルス・ドルマンスから大きく遅れてしまった。何とか2位でまとめたものの、トップタイムからは48秒遅れと大きく差を付けられた。

 ボエルス・ドルマンス、キャニオン・スラムに続き、3位にはサーヴェロ・ビグラ プロサイクリングチームが入っている。

金メダルの表彰を受けたボエルス・ドルマンス サイクリングチームの選手たち Photo: Yuzuru SUNADA金メダルの表彰を受けたボエルス・ドルマンス サイクリングチームの選手たち Photo: Yuzuru SUNADA

女子チームタイムトライアル(40km)結果
1 ボエルス・ドルマンス サイクリングチーム 48分41秒62
2 キャニオン・スラムレーシング +48秒
3 サーヴェロ・ビグラ プロサイクリングチーム +1分56秒
4 ビーピンク +2分46秒
5 トゥエンティ16-ライドバイカー +2分46秒
6 ハイテックプロダクツ +3分23秒
7 BTCシティリュブリャナ +3分43秒
8 ラボ・リヴ ウィメンサイクリングチーム +6分3秒

エティックス・クイックステップが歓喜の勝利

 女子に続けてスタートが切られた男子チームTT。こちらは17チームが出場し、そのうちトップカテゴリーにあたるUCIワールドチームは10チームが参戦。なかでも、最後に登場する5チーム、チーム スカイ、オリカ・バイクエクスチェンジ、モビスター チーム、エティックス・クイックステップ、BMCレーシングチームは、主戦場であるUCIワールドツアーの戦いから見てどのチームにも勝機は十分だ。

砂漠地帯を進むエティックス・クイックステップの6人。前半からトップタイムを刻んだ Photo: Yuzuru SUNADA砂漠地帯を進むエティックス・クイックステップの6人。前半からトップタイムを刻んだ Photo: Yuzuru SUNADA

 やはり第1計測ポイントから、UCIワールドチームが次々とトップタイムを塗り替えていく。この段階でエティックス・クイックステップがトップに立った。昨年まで2連覇し、今回の最終出走チームであるBMCレーシングチームも3秒差と、まだまだ射程圏内だ。

 第2計測を目指す中盤には、BMCが実力を見せペースアップ。第2計測通過のトップタイムこそエティックス・クイックステップだったが、BMCが0秒07差にまで迫った。一方で、後続はトップから30秒以上の遅れとなり、この時点で優勝争いはエティックスとBMCに絞られる格好となった。

中盤までトップに迫る走りを見せていたBMCレーシングチームは2位 Photo: Yuzuru SUNADA中盤までトップに迫る走りを見せていたBMCレーシングチームは2位 Photo: Yuzuru SUNADA

 いよいよ運命のラスト13.6km。ここで踏ん張ったのはエティックス・クイックステップだった。オリカ・バイクエクスチェンジが残した暫定のトップタイムを37秒更新。残すはBMCのタイム待ちだ。そして、フィニッシュにやってきたBMCのタイムは11秒遅れの2位。この瞬間、エティックス・クイックステップの優勝が決定した。

優勝決定の瞬間、喜びを爆発させたエティックス・クイックステップの選手と関係者 Photo: Syunsuke FUKUMITSU優勝決定の瞬間、喜びを爆発させたエティックス・クイックステップの選手と関係者 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 オメガファルマ・クイックステップ時代の2013年以来、3度目の世界王者となり、喜びもひとしおだ。メンバーは、マルセル・キッテル、トニー・マルティン(ともにドイツ)、イヴ・ランパールト、ジュリアン・ヴェルモート(ともにベルギー)ニキ・テルプストラ(オランダ)、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)の6人。TTに強いメンバーをそろえたあたりに、チームの本気度がうかがえる。スプリンターのキッテルも、先頭でフィニッシュする気迫の走り。1週間後に控えるロードレースに向け、調子のよさを見せた。

 エティックス・クイックステップ、BMCレーシングチームに続き、オリカ・バイクエクスチェンジが銅メダルを獲得している。

上位3チームの表彰。左から2位BMCレーシングチーム、1位エティックス・クイックステップ、3位オリカ・バイクエクスチェンジ Photo: Yuzuru SUNADA上位3チームの表彰。左から2位BMCレーシングチーム、1位エティックス・クイックステップ、3位オリカ・バイクエクスチェンジ Photo: Yuzuru SUNADA

男子チームタイムトライアル(40km)結果
1 エティックス・クイックステップ 42分32秒39
2 BMCレーシングチーム +11秒
3 オリカ・バイクエクスチェンジ +37秒
4 チーム スカイ +54秒
5 チーム ロットNL・ユンボ +54秒
6 モビスター チーム +1分11秒
7 チーム ジャイアント・アルペシン +1分26秒
8 チーム カチューシャ +2分1秒

史上2度目のアジア開催

オープニングセレモニーでスピーチするUCI会長のブライアン・クックソン氏。1990年の宇都宮に続くアジア開催を喜んだ Photo: Syunsuke FUKUMITSUオープニングセレモニーでスピーチするUCI会長のブライアン・クックソン氏。1990年の宇都宮に続くアジア開催を喜んだ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 競技に先立ち、10月8日の夜にはドーハ近郊にてオープニングセレモニーが行われた。カタール五輪委員会会長、大会委員長の挨拶と並び、UCI会長のブライアン・クックソン氏がスピーチに登壇した。

 クックソン氏は、今大会が宇都宮で開催された1990年大会に続くアジア開催であることに触れ、「サイクリングのグローバル化を象徴する大会にしたい」と高らかに宣言。8日間の競技を成功させることを誓った。

日本人選手は10日から登場

 今大会、日本からは11選手がエントリー。まずは、10日午前に行われる女子ジュニア個人TTに下山美寿々(大阪教育大学附属高校天王寺校舎)が出場。出走予定40人中、25番目に登場し、日本時間では午後4時7分30秒にスタートする。

 ロードレース種目は男子アンダー23(23歳未満)を除く全カテゴリーに参戦。別府史之(トレック・セガフレード)、新城幸也(ランプレ・メリダ)がエントリーしている男子エリートロードレースは、大会最終日の16日に実施される。

UCIロード世界選手権2016 大会スケジュールと日本人選手エントリー

■10月10日
女子ジュニア個人タイムトライアル(13.7km) 下山美寿々(大阪教育大学附属高校天王寺校舎)
男子アンダー23個人タイムトライアル(28.9km)

■10月11日
男子ジュニア個人タイムトライアル(28.9km) 沢田桂太郎(日本大学)、渡邉歩(EQADS)
女子エリート個人タイムトライアル(28.9km) 與那嶺恵理(POITOU-CHARENTES.FUTUROSCOPE.86)

■10月12日
男子エリート個人タイムトライアル(40km)

■10月13日
男子アンダー23ロードレース(165.7km)

■10月14日
女子ジュニアロードレース(74.5km) 下山、細谷夢菜(浦和工業高校)
男子ジュニアロードレース(135.5km) 沢田、渡邉、蠣崎優仁(伊豆総合高校)、重満丈(北中城高校)

■10月15日
女子エリートロードレース(134.1km) 與那嶺、吉川美穂(Live GARDEN BICI STELLE)、梶原悠未(筑波大学)

■10月16日
男子エリートロードレース(257.3km) 別府史之(トレック・セガフレード)、新城幸也(ランプレ・メリダ)

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