背景に高齢化や「実用車」衰退も特注「サイドカー付き自転車」風前の灯 高松から消えゆく「いただきさん」

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特注のサイドカー付き自転車に乗って魚を行商する「いただきさん」の橋本まき子さん (共同)特注のサイドカー付き自転車に乗って魚を行商する「いただきさん」の橋本まき子さん (共同)

 特注のサイドカー付き自転車に乗って魚を行商する香川県高松市の「いただきさん」が徐々に減少している。担い手の高齢化や実用自転車の衰退などの影響を背景に、駅前の路肩や商店の軒先で見られた昔ながらの風物が姿を消しつつある。

 いただきさんは、魚をさばく台と冷蔵用の大きな箱をサイドカーに載せ、町中を転々としながら主に地元の瀬戸内海の魚を販売。自転車は「横付け」と呼ばれ、雨よけの屋根も付いている。

 担い手は多くが高齢女性。60歳の橋本まき子さんさえ仲間内では「若手」。売り場に着くと、常連客が「今日は何があるん」とその日のお薦め品を求めて集まる。「アジ。ベロコ(ベラ)もありますよ」。早朝の市場で仕入れた魚をお客さんの目の前でさばき、「アコウは煮付けがええ」とアドバイスも忘れない。義理の母から継いだ商売を30年近く続けている。

 行商の許可を出す高松市保健所によると、平成15年には58人が許可を受けていたが、今年7月には17人に。平均年齢は75歳を超える。市場の管理人は「実際に続けているのは10人ほどでは。高齢になり辞めてしまう人が多い」と話す。

町中を転々としながら、瀬戸内海の魚などを販売する橋本さん(右)=香川県高松市 (共同)町中を転々としながら、瀬戸内海の魚などを販売する橋本さん(右)=香川県高松市 (共同)

 続けるのが厳しい事情もある。市内で自転車店を営む横付け考案者の前田正文さん(83)によると、横付け用の自転車はタイヤが一回り太く、荷重に耐える「実用車」。新聞配達などに使われた昔ながらの実用車は、大手メーカーが数年前に生産を終了し、車体やパーツが手に入らず、いただきさんに必須の横付けを新しく作ることができなくなった。

 それでも橋本さんは「顔の見える商売が楽しい」と話し、まだまだ現役を続けるつもりだという。長年のお得意さんに魚を届けるため、30分かけて売り場へ通い、いただきさんの声が響く光景を守ろうとしている。(共同通信)

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