イル・ロンバルディア2016シーズンの終わりを告げる「落ち葉のクラシック」 オリカのチャベスが初制覇

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 2016年のUCI(国際自転車競技連合)ワールドツアー最終戦となるイル・ロンバルディアが10月1日にイタリアで開催され、中盤からサバイバル化した戦いをヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)が勝利。大会史上初めて、優勝の栄誉がヨーロッパを越え、コロンビアへと渡った。また、NIPPO・ヴィーニファンティーニからは2人の日本人選手が参戦し、小石祐馬、山本元喜ともにリタイアで終えている。

ヨアンエステバン・チャベス(右)が3選手によるスプリント勝負を制し、イル・ロンバルディア初優勝を挙げた Photo: Yuzuru SUNADAヨアンエステバン・チャベス(右)が3選手によるスプリント勝負を制し、イル・ロンバルディア初優勝を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

レース序盤にサイクリストの聖地「ギザッロ教会」を通過

 大会の名にあるように、イタリア北部のロンバルディア州が戦いの舞台。今年はコモをスタートし、ベルガモにフィニッシュする241kmで争われた。

サイクリストの聖地「ギザッロ教会」の前を通過するプロトン Photo: Yuzuru SUNADAサイクリストの聖地「ギザッロ教会」の前を通過するプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

 コースは大小あわせて8つの登板区間がポイントとなった。合計すると、獲得標高にして4000mを優に越えるうえ、中盤以降の上りはいずれも最大勾配10%前後とあって、クラシックハンターよりもクライマー向けとの前評判だ。

 この大会では必ずといってよいほどコースに組み込まれる、マドンナ・デル・ギザッロの上りは最初の登板区間として登場。サイクリストの聖地「ギザッロ教会」の鐘を聴きながら、先に待つ戦いへと向かう格好となった。

中盤にメイン集団を飛び出した選手たちによる優勝争いへ

 例年9月下旬から10月上旬と、サイクルロードレースシーズンの終盤に開催され、秋を代表するクラシックレースでもあることから「落ち葉のクラシック」とも称されるこの大会。今年もUCIワールドツアー最終戦に位置づけられ、今大会の結果を持って年間のUCIポイントランキングが確定する。チームによっては、来季の登録カテゴリーにも影響する可能性があるため、長いシーズンの疲れを抱えながらも参戦を決めた有力選手も少なくない。

スタートを控えた小石祐馬(左)と山本元喜 Photo: Yuzuru SUNADAスタートを控えた小石祐馬(左)と山本元喜 Photo: Yuzuru SUNADA

 そんなレースは、序盤に4選手がリード。やがて、そのなかからダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム)とリュディ・モラール(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)に絞られ、メイン集団に対し3分から4分程度の差で先を目指した。途中、カルーゾがチェーントラブルに見舞われ、モラールのために控えていたコフィディスのチームカーがサポートを申し出るシーンも見られるなど、しばし順調に協調体制を築いた。

 動きが出始めたのは、後半に入り迎えたサンタントニオ・アッバンドナート(登板距離6.5km、平均勾配8.9%、最大勾配15%)の上りから。先頭ではカルーゾが独走となり、後方ではメイン集団の人数が一気に絞られていく。集団は活性化し、ピエールロジェ・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が2番手を走っていたモラールに単独で合流。そこにダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)が加わるなど、出入りが激しい。

 メイン集団は、ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ プロチーム)が主に牽引。ハイペースで上りをこなし、ラトゥールらの動きを止めたばかりか、残り45kmとなったところでは先頭を走っていたカルーゾをキャッチ。レースを振り出しに戻した。この頃には集団の人数は16人となっていた。

残り35kmでメイン集団を抜け出し、優勝争いを演じた4選手。右からディエゴ・ローザ、ヨアンエステバン・チャベス、ロマン・バルデ、リゴベルト・ウラン Photo: Yuzuru SUNADA残り35kmでメイン集団を抜け出し、優勝争いを演じた4選手。右からディエゴ・ローザ、ヨアンエステバン・チャベス、ロマン・バルデ、リゴベルト・ウラン Photo: Yuzuru SUNADA

 決定的な瞬間は残り35km地点で訪れた。セルヴィーノ(登板距離6.9km、平均勾配5.4%、最大勾配9%)の上りでチャベスがペースアップ。これにリゴベルト・ウラン(コロンビア、ガーミン・ドラパック プロサイクリングチーム)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が続いた。さらにしばらくしてローザも加わり、4人が先頭グループを形成。今年のグランツールをにぎわせた好メンバーがそろい、勢いではメイン集団をはるかに凌ぐ。タイム差は広がる一方で、残り11km地点で約1分のリード。この時点で逃げ切りが濃厚となった。

チャベスがスプリント勝負を制する

 残り5kmで迎える最後の上りは、最大で12%という勾配もさることながら、石畳の路面が選手たちを苦しめる。このポイントを前に勝負に出たのはローザ。一瞬の隙を突いたアタックは、決まったかに思われたがチェックされてしまう。そして上りに入り、石畳区間でチャベスがアタック。ここで対応できたのはウランのみ。その後の下りでローザがチャベスとウランに追いつき、優勝争いは3人に絞られた。ローザは残り1.6kmでもアタックしたが、これも失敗となる。

優勝をかけた3選手によるスプリント勝負 Photo: Yuzuru SUNADA優勝をかけた3選手によるスプリント勝負 Photo: Yuzuru SUNADA

 長丁場のレースの行方は、3人のスプリントにゆだねられた。ラスト400mで仕掛けたのはローザ。早めのスプリント開始だが、最終コーナーを利用して加速する。すぐ後ろにつけたのはウラン。

 だが、一番後ろに控えていたチャベスがラスト100mを切ってスピードに乗せる。ウランをかわし、さらにはローザもパス。車輪半分の差ながら、フィニッシュラインを通過してすぐに優勝を確信。両手でVサインを作り、高々と掲げて喜びを示した。

 今シーズンは、5月のジロ・デ・イタリアで総合2位、8月から9月にかけて行われたブエルタ・ア・エスパーニャでは総合3位と、大躍進のシーズンだったチャベス。1週間前には、今大会の前哨戦であるジロ・デル・エミーリア(UCI1.HC)を制していたが、好調さそのままに、ビッグクラシック初優勝につなげた。

 レース後のインタビューでは、「信じられない。プロ入りして初めて出場した思い出深いクラシックレースで、数年後に優勝ができて驚いている」と笑顔。レースを振り返り、「石畳のあとが勝負だと考えていた。最後までトライした結果、勝利に結びついた」と述べた。

 チャベスと接戦を繰り広げた2選手。中盤以降は集団牽引やアタックと、果敢な走りに終始したローザが2位。ウランは3位。いずれも表彰台に上がり、祝福を受けた。

ポディウムで祝福を受ける3選手。右から2位ディエゴ・ローザ、優勝のヨアンエステバン・チャベス、3位リゴベルト・ウラン Photo: Yuzuru SUNADAポディウムで祝福を受ける3選手。右から2位ディエゴ・ローザ、優勝のヨアンエステバン・チャベス、3位リゴベルト・ウラン Photo: Yuzuru SUNADA

 これで今年のUCIワールドツアーは終了。今後は、ジャパンカップサイクルロードレース(10月22~23日)など、数レースを残すのみとなっている。

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UCIワールドツアー イル・ロンバルディア2016

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