“自転車乗り”こそトライアスリートに!<4>ついに迎えた本番! 「九十九里トライアスロン」初挑戦サイクリストが体感した醍醐味

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 ついにその日がやってきた! 初のトライアスロン挑戦に向け、不慣れなスイムやランの練習を重ねてきたCyclist編集部記者、松尾修作は9月24日、千葉・外房で開かれた「九十九里トライアスロン」(99T)に出場した。山あり谷ありの”本番”の結果は後ほど詳しくお話しするとして、トライアスロンの醍醐味、興奮を存分に堪能。未体験のサイクリストにはぜひ挑戦してほしい競技だと断言したい。

スイムを終え、トランジションエリアを走る筆者、松尾修作 Photo: Masami SATOスイムを終え、トランジションエリアを走る筆者、松尾修作 Photo: Masami SATO

前日、ビギナー説明会で完走へ万端

前日に行われた事前説明会には多数のビギナーが参加し、真剣に耳を傾けていた Photo: Shusaku MATSUO前日に行われた事前説明会には多数のビギナーが参加し、真剣に耳を傾けていた Photo: Shusaku MATSUO

 99Tは完走率が高く、ビギナーにも優しいと前評判がある。前日の受付会場で大会説明会が開催され、「この中で初めてトライアスロンに参加する人」の問いかけに来場者の多くが手を挙げていた。種目と種目を繋ぐ「トランジションエリア」の様子や、スイムエリアでの注意事項など、トライアスロンならではのポイントを丁寧に説明してくれた。初心者が安全に完走を果たすためにはこうした説明会が欠かせない。完走率が高いのも納得できる。

 いよいよ大会当日を迎え、受付で受け取った選手キットの準備を始める。腕にはゼッケンナンバーが記入されたタトゥーステッカーを張り、バイクやヘルメット、ジャージにもゼッケンを取り付ける。バイクはトライアスロンに適した形状の「ヴェンタム ワン」を使用。今回はトライスーツではなく、ウエイブワンでオーダーしたCyclist編集部ジャージ(レジェフィット プロ)で挑む。

会場となった一ノ宮海岸 Photo: Masami SATO会場となった一ノ宮海岸 Photo: Masami SATO
トランジションエリアに並んだバイクは壮観だった Photo: Masami SATOトランジションエリアに並んだバイクは壮観だった Photo: Masami SATO

いきなり苦戦、スイムで軽くパニック!

スタート前の筆者。この日のウェットスーツは腕をまわしやすい肩が出たタイプ Photo: Masami SATOスタート前の筆者。この日のウェットスーツは腕をまわしやすい肩が出たタイプ Photo: Masami SATO

 ふだんのロードレース出場の際と同じように、競技2時間前にしっかりと食事を取って3種目に備えた筆者は、ウェットスーツに身を包みスタートを待った。99Tは参加者が1800人を超えるため、一斉スタートではなく、主に年代別で時間差が設けられている。筆者のスタートは20代が中心の組分け「第5ウェーブ」だ。

 スタート5分前で水に入る。9月下旬とあって水温は低め。河口付近のためほぼ淡水だ。周りの参加者は静まり返るサイクルロードレースと比べてテンションが高い。にぎやかに煽るMCと相まって、自然と気分が高揚してきた。

 そしてついにスタートが切られる。「5割位のペースでいこう」と考えていたが、オーバーペースになってしまい息があがる。まるでタイムトライアル(TT)で失敗した時のようだった。

密集して泳ぐため、カラダの接触も多く、見た目以上に厳しかったスイムパート Photo: Masami SATO密集して泳ぐため、カラダの接触も多く、見た目以上に厳しかったスイムパート Photo: Masami SATO
濁った水とペース配分ミスで苦しんだ Photo: Masami SATO濁った水とペース配分ミスで苦しんだ Photo: Masami SATO

 それに加え、濁った水で視界がほぼゼロに近く、プールとの環境の違いに軽いパニックになった。練習と本番は違うものだと実感しながら平泳ぎに切り替えて落ち着きを取り戻した。いきなり壁にぶち当たったが、スイム後半では自分のペースを取り戻し、集団中盤でスイムパートを終えることができた。

奥が深い“第4の種目”

 「やっとバイクに乗れる!」と極度の安心感を味わいながらトランジションエリアヘと急いだ。ウェットスーツを脱ぎ、カラダをタオルで拭いてから準備を整える。このときモタモタとしてしまい、だいぶタイムを失ってしまう。トランジションが“第4の種目”といわれている意味がわかる。

「差をつけるならここで!」と意気込んだバイクパート Photo: Masami SATO「差をつけるならここで!」と意気込んだバイクパート Photo: Masami SATO
トランジションエリアでバイクパートの準備を行うが、濡れているカラダへソックスやジャージを着用するのに苦戦し、タイムロスしてしまう Photo: Masami SATOトランジションエリアでバイクパートの準備を行うが、濡れているカラダへソックスやジャージを着用するのに苦戦し、タイムロスしてしまう Photo: Masami SATO

 いざバイクエリアへと向かうが、いつまでたってもスタートラインが見えてこない。クリート付きのビンディングシューズでカツカツと走る辛さは“自転車乗り”ならお分かりいただけるだろう。ようやくバイクエリア入り口にたどり着き、バイクに跨ってホッと胸を撫で下ろした。バイクパートは40kmで、フラットなコースを3周するレイアウトだ。

得意のバイクでは100人抜き?

 ちょっと安心したところで、参加者のバイクを見渡してみた。8割がロードバイクにDHバーを取り付けた仕様で、2割がTTバイクといった印象。バイクの距離は短いため、十分にロードバイクでも走りきることができるだろう。しかし、筆者はエアロ効果に特化したTTバイクを武器に挑んだ。いや、バイクパートしか活躍できる見込みがなかったので、機材に頼ったというのが正直なところだ。

トライアスロンバイク「ヴェンタム ワン」は快調だった Photo: Masami SATOトライアスロンバイク「ヴェンタム ワン」は快調だった Photo: Masami SATO

 その効果は抜群で、様々なウェーブの参加者が走るコースながら、前方にいるライダーを少なくとも100人以上は抜くことができた。自転車のレースではまず経験できない状況に爽快さを感じた(とはいえ、後にツケを払うことになるのだが…)。

呼吸はOK、脚はNG

封鎖された有料道路を対面通行するコース。見通しも良く、折り返しコーナー意外落車の目撃は無かった Photo: Masami SATO封鎖された有料道路を対面通行するコース。見通しも良く、折り返しコーナー意外落車の目撃は無かった Photo: Masami SATO

 気持ちよくバイクパートを終え、再び長いトランジションエリアを走り、自分の荷物が置いてある場所へと戻った。バイクをラックにかけ、ランニングシューズに履き替え、10kmのランへと出発。すると、走り始めて10秒で「バイクで調子に乗りすぎた!」と気づいた。バイクパートで飛ばし過ぎ、全く脚が動かないのだ。

 それに加えて、スタート前に”しっかり食べた朝食”のせいか、わき腹が痛み始める。自転車はサドルの上での運動だが、ランニングは上下にカラダを動かす運動なので、胃に残る食べ物がシェイクされたらしい。想定外の状況だが、惰性が効くバイクと違い、脚を止めたらおしまいだ。歯を食いしばって脚を前に運ぶ。

3つの種目を終え、完走を果たした Photo: Masami SATO3つの種目を終え、完走を果たした Photo: Masami SATO

 走り始めて3kmで落ち着きを取り戻し、呼吸は乱れてはいないが、カラダ全体の筋肉が悲鳴をあげている。道端の距離表示がなかなか減らず、心が折れかけるも、地元に人の声援が励みになった。時速は10km/hほどしか出てないのでロードレースよりもダイレクトに耳へと声が届く。

 ようやく残り2km看板を過ぎると、観客で賑わうゴールエリアが見えてきた。辛さは常にあったが、終わりが見えると意外に脚は軽い。ゴール地点では完走者が全員ゴールテープを切れるよう、スタッフが準備してくれている演出が嬉しい。ゴール直前ではランニングの小林博幸コーチとハイタッチし、達成感を噛み締めながら2時間22分53秒で初のトライアスロンを完走することができた。

 一緒に「オープンウォーター」(海や川でのスイム)の練習をしたグラビアアイドルの青山ひかるさん、佐山彩香さんら「チームCHINTAI」のメンバーも、全員がリレーや個人の競技で完走を果たし、喜びを分かち合った。

リレーと個人で挑んだ「チームCHINTAI」のグラドルたちは全員がそれぞれの競技で完走を果たした Photo: Masami SATOリレーと個人で挑んだ「チームCHINTAI」のグラドルたちは全員がそれぞれの競技で完走を果たした Photo: Masami SATO

“自転車乗り”こそトライアスリートに!

完走者にはメダルが授与される。メダルのクオリティが高く、嬉しさがこみ上げる Photo: Masami SATO完走者にはメダルが授与される。メダルのクオリティが高く、嬉しさがこみ上げる Photo: Masami SATO

 結果的には25~29歳の年齢区分では9位とまずまずのリザルトを得ることができた。しかし、トライアスロンは結果以上に楽しさが印象に残る。老若男女問わず参加者の“楽しもう”という姿勢、主催者の“楽しませる”演出がマッチしていたと思う。目を三角にしなくてもよいという安心感は常にあった。99Tがビギナーにも優しいとされる理由がよく分かった。

 失敗もあり、辛いと思ったことも多々あったが、トライアスロンは「自転車乗りも楽しめる競技だ」と断言でき、今後も続けていきたいと思う。サイクリストが日ごろから鍛えている心肺機能も生きることも確認できた。ぜひ、挑戦することに面白さを感じてトライアスロンを始めてみて欲しい。

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