ブルーノで行く!ヨーロッパ自転車旅<2>夢に見たツール・ド・フランスの舞台 ニースではサガンに出会い応援してもらう奇跡

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 旅する自転車「BRUNO」(ブルーノ)が取り組むキャンペーン「BRUNOが応援する『旅』 ~世界の自転車旅をサポート~ 若者よ旅に出よ!」で挑戦者に選ばれた溝口哲也さん(20)のヨーロッパの旅がいよいよスタート。前回の足慣らし日本旅から、一気にスペインバルセロナへと飛び、ペダルを漕ぎ出します。

フランス・ゴルドの街並みと溝口哲也さん Photo: Tetsuya MIZOGUCHIフランス・ゴルドの街並みと溝口哲也さん Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

◇         ◇

バルセロナをスタート 早速のベンチ野宿に

 初めての海外自転車旅行へと出発。一体どんな旅になるのだろう、希望や不安に胸を膨らませながら8月24日出国した。

ブルーノのバイクでの旅がスタートした Photo: Tetsuya MIZOGUCHIブルーノのバイクでの旅がスタートした Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 8月25日、スペインのバルセロナ空港に着陸すると、周りの人は何語とも分からない言語で話していて、独特な臭いや雰囲気は、8年前に父親の転勤で連れられてタイのバンコクに入国した時を思い出す。当時と違う点は、私は一人で、そして自転車という移動手段を持っていること。バンコクでの中学時代はマンションに閉じこもる退屈な日々だった。けれども、今回は空港を一歩外に出れば、とてつもなく広い大陸を前に完全な自由である。

 バルセロナには自転車道があり、快適に走りながら、私は初めて見る町並みや人々に興味津々。おそらくそれは、荷物満載の自転車に乗る私に対して相手も同じなのだろう。顔を合わせお互い笑顔で「ブエノスディアス!(おはよう)」とあいさつをする。

野宿した道沿いのベンチ Photo: Tetsuya MIZOGUCHI野宿した道沿いのベンチ Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 旅行初日ということで、はしゃいで走り回っていたら、寝床も見つかっていないのに日が暮れてしまった。ふと休憩がてら道沿いのベンチに座ったら、疲労と時差ボケが重なって猛烈な眠気に襲われた。街中に野宿できそうな場所はないので、うたた寝したふりして夜を越そうと企み、そのままベンチで就寝。気が付いたら朝になっていたが、今思えば半ば自暴自棄な行為であったと反省した…。

ピレネー山脈の小国アンドラで最高地点へ

 フランスとスペインの間のピレネー山脈にアンドラという小さな国がある。そこには今年のツール・ド・フランスでは最高標高地点になった峠があり、海沿いのバルセロナからひたすら上りが続いた。

 そのなかでも、走っていくと海が見える町、草原の丘から連なる山々、そしてダムや絶壁の岩山が待ち受ける山岳地帯へと目まぐるしく景色が変化した。

 この日も初めての国境越えにはしゃぎすぎて、夜になってしまった。観光地なのでホテルは高そうだと判断し、暗闇の森で、テントも張らずマットと寝袋だけで野宿を敢行した。

絶壁の岩山 Photo: Tetsuya MIZOGUCHI絶壁の岩山 Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
テントを張らずに野宿を決行 Photo: Tetsuya MIZOGUCHIテントを張らずに野宿を決行 Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
アンヴァリラの勾配を示す標識 Photo: Tetsuya MIZOGUCHIアンヴァリラの勾配を示す標識 Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 ピレネー山脈に位置するアンドラでの野宿は、気温が低く肌寒かった。ウィンドブレーカーを羽織って、今回の旅で最も標高のあるアンヴァリラ峠(2408m)を目指す。サイクリストも数多く走っていて、お互いを励まし合いながら上っていた。言語や人種は違えど、同じように自転車で同じ場所を目指すのだから、自然と仲間意識が生まれてくる。自転車という道具にそれだけの力があることに驚かされた。

 頂上に着いた瞬間、彼らと祝福しあった。

フランスへと入国 セートからアヴィニヨンへ

ポン・デュ・ガールをバックに撮影する溝口さん Photo: Tetsuya MIZOGUCHIポン・デュ・ガールをバックに撮影する溝口さん Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 フランスのカルカッソンヌの要塞都市に到着すると、スイス人のご夫婦が声をかけてくれた。彼らも自転車で旅をした経験があるそうで、旅話に花が咲いた。特に「BROOKS」(ブルックス)のサドルやパニアバッグに興味を持ったよう。一緒に食事をし、支払いをしようと財布を出すと、「今夜は私たちがあなたのスポンサーだ」と、結局ごちそうになってしまった。

 これから彼らの住むスイスへと自転車を走らせていく予定なので、そこでまた会えることを願って別れた。ピレネー山脈からの丘陵地帯を抜けて平坦な道が続いていた。延々と定規で線を引いたような直線路の退屈を吹き飛ばしてくれたのは、ポン・デュ・ガールという水道橋だ。石造りの美しい橋を夕陽が照らしており、その下から川で遊ぶ人達の声が聞こえてきた。さらに橋の上からは遠くの村まで見渡すことができ、とても心地のよい場所だった。

名峰モン・ヴァントゥーの麓で対決

 9月に入り、フランスのアヴィニョンからマルセーヌに向かって走っていると、目の前にひときわ大きな山が迫ってくる。自転車レースで数々の名勝負を生んだ名峰「モン・ヴァントゥー」だ。

 そこに近づくにつれ、自転車乗りが増えてくる。その中の一人が声をかけてきた。「モン・ヴァントゥーを上るんだ」と伝えると、付いてこいといった素振りで彼は加速をしはじめた。荷物のハンデを背負いながらもしばらく付いていってみるが、相手は一向にペースが落ちない。その姿は「俺に付いて来られなきゃ、モン・ヴァントゥーは上れないぜ!」とでも言うかのよう。結局、最後には握手をして別れたが、明日の登坂を前に、その労力の代償は大き過ぎた。

モン・ヴァントゥーを上る溝口さん Photo: Tetsuya MIZOGUCHIモン・ヴァントゥーを上る溝口さん Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 次の日、太陽が上って暑くならないうちに、前日の晩にキャンプ場で出会った男性、ユルゲンさんと共に自転車で上る。一人ではキツいことも二人なら頑張れる。いろんな話をしながら、40kg超えの「ブルーノ 700C ツーリング ドロップ ワールドツアー」を漕ぎ上げる。

ユルゲンさんと頂上で Photo: Tetsuya MIZOGUCHIユルゲンさんと頂上で Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 山頂へと到達すると、自然と拍手が沸き起こり、多くの人が祝ってくれて本当に嬉しかった。何よりペースが遅い自分と共に走ってくれたユルゲンさんに感謝している。

 夢にまで見たツール・ド・フランスの舞台モン・ヴァントゥー。よく見ると、頂上はたくさんの自転車乗りで賑わっていた。お土産屋で「MONT VENTOUX」と記されたプレートを購入し、自分のブルーノに取り付けた。それ以後、その文字を見た人たちが嬉しそうに話しかけてくる。

 そう、ここは自転車を愛する者にとって特別な場所なのだ―。

頂上で買ったプレートとモン・ヴァントゥー Photo: Tetsuya MIZOGUCHI頂上で買ったプレートとモン・ヴァントゥー Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

「私は、あなたのおじいさんだ」

 フランスの地中海に面した都市ニースを走行中に何やら人だかりができていたので、分け入ってみると、ロードレース界では最も有名なスロバキア出身の選手、ペテル・サガン選手(ティンコフ)だった。偶然に会うことができ、応援までしてもらったのだ。本当に驚いた!私が尊敬する選手と握手できたなんて。以後、ペダルを回す脚が軽くなったのは言うまでもない。

「良い旅を」と応援してくれたペテル・サガン選手と Photo: Tetsuya MIZOGUCHI「良い旅を」と応援してくれたペテル・サガン選手と Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 その後、世界で二番目に小さなミニ国家、モナコに入国。モナコは世界最高峰のカーレース、F1で大変有名な地だ。私はここをゲームの中で何度も走っている。よって、初めて来たという感じはなかった。慣れ親しんでいる道が嬉しくて、ひたすらF1のコースを自転車で駆け巡ったのだった。

ニースの夜景と三日月 Photo: Tetsuya MIZOGUCHIニースの夜景と三日月 Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
キツかったブロー峠 Photo: Tetsuya MIZOGUCHIキツかったブロー峠 Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
親切にしてくれたおじいさん Photo: Tetsuya MIZOGUCHI親切にしてくれたおじいさん Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 再びフランスに戻り、キャンプ場で出会ったおじいさんにお世話になった。当初、国境越えをしようとしていたフランスとイタリア間が自転車では通れないと知り、仕方なく自転車と共に車に乗せてもらい入国した。イタリアに入った後、景色の良い所があるといい、ラ・ロンバルド峠を案内してもらった。

 「私は、あなたのおじいさんだ」

 私には生まれたときから祖父が居ないので、車でドライブし、一緒にパンを焼き、古い写真を見せてくれた時に、もし祖父が居たらこんな感じだったのだろうかと想像した。

◇         ◇

 旅先での偶然のようで必然のような出会いや別れを繰り返し、標高2000m超の峠を越えてイタリアの中心地へと向かう予定の溝口さん。地中海に面したスペイン、フランスの夏期は乾燥する地中海性気候なので、快晴の連続で一回も雨に降られていないそうです。町に入るとピザやパスタの美味しそうな香りが漂ってきて、ついお店に入ってしまうとのことなので、次回は美味しい写真を期待しましょう!

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