初参加の大宅陽子さんがレポート「益田I・NA・KAライド」で信号のない田舎を快走 滑走路ライドや人情おもてなしに感動

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 島根県益田市で9月4日、サイクリングイベント「第5回 益田I・NA・KAライド」が開催されました。田舎(いなか)ならではの「100km信号なし」という抜群の走行環境や、現役の飛行場滑走路を走ることができる珍しさ、そして地元の人たちの人情に触れられる大会として、人気を集めています。今年はサイクリストでヨガインストラクターの大宅陽子さんが、益田のライド初挑戦の様子をレポートします。

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「益田I・NA・KAライド」に初挑戦した大宅陽子さん(左)。パラサイクリストの末吉政己さんと Photo: Makoto SATO「益田I・NA・KAライド」に初挑戦した大宅陽子さん(左)。パラサイクリストの末吉政己さんと Photo: Makoto SATO

羽田から2時間ほどで会場入り

メイン会場の「グラントワ」は地元産の有名な石州瓦が敷き詰められています Photo: Makoto SATOメイン会場の「グラントワ」は地元産の有名な石州瓦が敷き詰められています Photo: Makoto SATO

 「益田I・NA・KAライド」に参加してきました!

 距離とスピードに応じて参加できるこの大会、エントリーできるグループは、「160kmスーパーうさぎグループ」「160kmうさぎグループ」「120kmうさぎグループ」「120kmかめグループ」「ホッとHot60」の5つに分かれています。ちなみに私は、120kmかめグループ(一時スーパーうさぎ)で参加しました。「うさぎ」はいいペースで、「かめ」はゆっくりと走ります。「今日はうさぎですか? 私はかめなんです」という会話も。それぞれの楽しみ方が伝わってくるネーミングです。

 一つだけ趣の異なるネーミングの「ホッとHOT60」は、匹見(ひきみ)温泉までの約60kmを走った後、なんとそのまま温泉と食事へ。帰りは自転車ごとゴール地点まで運んでもらえる(食事で一杯やってしまってもOK!)というとっても贅沢なグループです。電動自転車で参加していた方もいました。

温泉コースの「ホッとHOT60」には、電動アシスト自転車での参加者も Photo: Yoko OYA温泉コースの「ホッとHOT60」には、電動アシスト自転車での参加者も Photo: Yoko OYA
うれしい空港からの荷物送迎サービス Photo: Yoko OYAうれしい空港からの荷物送迎サービス Photo: Yoko OYA

 益田へは今回、飛行機で向かいました。益田市内には萩・石見空港があり、羽田からの航空便が1日2往復運航されています。空港からメイン会場となる県芸術文化センター「グラントワ」までは車で10分。羽田を離陸してから2時間ほどでイベント会場に到着できるのです。1泊2日でも参加できます。

 さらにこのイベントに飛行機で来た場合、宿泊先のホテルまでバスで送迎してくれます。飛行機輪行は箱や丈夫な輪行袋で行うことが多く荷物も多いので、これは本当に嬉しいサービスでした。

どこまでも続くかのような広い滑走路

 大会当日の朝7時、ライドは山本浩章・益田市長のピストルの合図でスタートしました。沿道には沢山の地元の方々。笑顔で旗を振って応援してくださいました。

山本浩章・益田市長の号砲でスタート Photo: Yoko OYA山本浩章・益田市長の号砲でスタート Photo: Yoko OYA
沿道で応援してくださった地元の方々 Photo: Yoko OYA沿道で応援してくださった地元の方々 Photo: Yoko OYA

 益田の市街地を抜けて最初の目的地、萩・岩見空港に到着。なんとこのイベントでは現役で使用されている滑走路を自転車で駆け抜けることができます。前日に飛行機で着陸した滑走路を、自転車で走ってしまいました。

地平線まで続くかのような滑走路 Photo: Yoko OYA地平線まで続くかのような滑走路 Photo: Yoko OYA

 広い道幅、どこまでも続くかのようなまっすぐな道。飛行機のタイヤ痕が気分を盛り上げます。参加されている方々も、とても嬉しそう。誘導灯毎にボランティアの方々が立って、手を振ってくださっていました。誘導灯の保護と、私たちが走り終えた後に滑走路に落下物がないか確認をしてくださるためだそうです。地元の方々の支援によって貴重な体験をすることができました。

雄大な景色のなかを走ります Photo: Makoto SATO雄大な景色のなかを走ります Photo: Makoto SATO
誘導灯ごとに立証員が付きます Photo: Masamitsu NAGASHIMA誘導灯ごとに立証員が付きます Photo: Masamitsu NAGASHIMA
エイドの前に青汁の提供が。はちみつ入りでまろやかな味 Photo: Yoko OYAエイドの前に青汁の提供が。はちみつ入りでまろやかな味 Photo: Yoko OYA
青汁飲んで元気いっぱい Photo: Yoko OYA青汁飲んで元気いっぱい Photo: Yoko OYA
家族みんなで参加したという方も Photo: Yoko OYA家族みんなで参加したという方も Photo: Yoko OYA

ゆるやかに流れる時間

海沿いの国道191号線 Photo: Yoko OYA海沿いの国道191号線 Photo: Yoko OYA

 空港の外に出ると、日本海沿いの国道191号線へ。道幅が広く、車どおりも少ないので快適です。途中から左折し、一気に森の中へ。一緒に走っていた益田出身の方は「このルートは走ったことがない。新鮮」とふるさとを新しい目線で楽しんでいました。

 1時間ほどで最初のエイドステーション「横田」へ到着。茄子の浅漬け、バナナ、杏仁豆腐で小腹を満たしました。ミニベロで参加されていた方は、なんと宇都宮から「青春18きっぷ」と自走で益田まで来て、今回のライドに参加されたそうです。

茄子の浅漬け Photo: Yoko OYA茄子の浅漬け Photo: Yoko OYA
杏仁豆腐 Photo: Yoko OYA杏仁豆腐 Photo: Yoko OYA
まだまだ余裕の笑顔 Photo: Yoko OYAまだまだ余裕の笑顔 Photo: Yoko OYA

 トンネルをいくつもくぐり、山間の道を走ります。時折車が追い抜いて行きますが、今回のライドでクラクションを聞いたり、危ない思いをしたりすることは1度もありませんでした。“益田時間”というのでしょうか。車を運転されている方々にも参加されている方々にも、心の余裕を感じました。

スーパーうさぎさんグループは早くてスムーズ! Photo: Yoko OYAスーパーうさぎさんグループは早くてスムーズ! Photo: Yoko OYA

 途中、右側をすーっとトレインが抜いていきました。これはスーパーうさぎグループ! スピード重視のグループです。

 元プロ選手で埼玉県の総合サイクリングステーション「シクロパビリオン」の自転車インストラクター、アイカワショウ(相川将)さんが先導しているため、トレインはマナーよく流れる風のように進んでいきます。私もちょっとトレインに乗せてもらいました。見通しの良い沢沿いの道を風を切って進むのは心地よく快適でした。

沿道では地元の方が沢山応援してくださいました Photo: Makoto SATO沿道では地元の方が沢山応援してくださいました Photo: Makoto SATO
いたるところで応援が Photo: Yoko OYAいたるところで応援が Photo: Yoko OYA

のんびりたっぷり走れるのが魅力

 第2エイドは「匹見」。トレイに乗ったそば、山葵(わさび)とろろ飯、かき揚げにそうめん、うり、梨、ブルーベリー…地元の食材をふんだんに使ったおもてなしをいただきました。山葵とろろ飯は、匹見の山葵と真砂のとろろを使った料理です。山葵の香りと辛みが程よく、ごはんが進みます。

美味しい地元の食材を生かした食事が並びます Photo: Masamitsu NAGASHIMA美味しい地元の食材を生かした食事が並びます Photo: Masamitsu NAGASHIMA
サポートライダーのアイカワショウさんも嬉しそう Photo: Yoko OYAサポートライダーのアイカワショウさんも嬉しそう Photo: Yoko OYA
美味しい野菜のてんぷら Photo: Yoko OYA美味しい野菜のてんぷら Photo: Yoko OYA
 Photo: Yoko OYA Photo: Yoko OYA
匹見ワサビの妖精、わさまる君と Photo: Yoko OYA匹見ワサビの妖精、わさまる君と Photo: Yoko OYA

 ここからは、全日本パラサイクリング選手権3位のハンドバイク選手、末吉政己さんと進みます。緩やかな上りの続く匹見峡を、末吉さんは両手でクランクを力強く回し進んでいきます。

力強くハンドバイクを操縦する末吉政己さん Photo: Yoko OYA力強くハンドバイクを操縦する末吉政己さん Photo: Yoko OYA

 次のエイドは「美都」(みと)。ゆずゼリーを配っていた中学生は、地域に貢献したいと思いボランティアに立候補したそう。自転車乗りを「強そう」「かっこいい」と言ってくれたのが嬉しかったです。

 今回福岡から参加されたグループは、のんびりとしたペースで走れるところを魅力に挙げていました。このライドはなんと100kmの間、1つも信号がないのです。そして、上りも短く勾配も緩やか。そのため、多くの仲間と参加することができたそうです。

ゆずゼリーを配ってくれた地元中学生ボランティアの3人 Photo: Yoko OYAゆずゼリーを配ってくれた地元中学生ボランティアの3人 Photo: Yoko OYA
美都エイドステーションで、福岡から参加されたグループと Photo: Yoko OYA美都エイドステーションで、福岡から参加されたグループと Photo: Yoko OYA

地元の人たちの応援を受けて

アップダウンを力強くこなす末吉さん Photo: Yoko OYAアップダウンを力強くこなす末吉さん Photo: Yoko OYA

 休憩を終えて最後の上り区間へ。100kmを過ぎてもなお「あと1km上りじゃき、がんばって」「もうすぐ下りよー!」と沿道から声援が続きます。

 末吉さんが乗るハンドバイクは、下りや平地はとても速いのですが(私は何度も離され、ダンシングでやっと追いつきました)上りは大変なのだそうです。それでも頑張る姿を見て、地元のおばあちゃんや子どもが驚き、喜び、応援していました。末吉さんの走る姿はとても力強く、パラサイクリングの価値観が大きく変わりました。きっと応援していた方々、みなさんがそうだったのではないかと思います。

 100km地点を越え、最後のエイドは「真砂」(まさご)。ゆずアイスと真砂の豆腐で、上り終えて火照った体を冷やします。

「コラーゲン入り」とは見逃せません Photo: Yoko OYA「コラーゲン入り」とは見逃せません Photo: Yoko OYA
島根県産の大豆でローテク工法で作られる「真砂の豆腐」 Photo: Yoko OYA島根県産の大豆でローテク工法で作られる「真砂の豆腐」 Photo: Yoko OYA
イベント初参加という女性2人もとても満足だった様子 Photo: Yoko OYAイベント初参加という女性2人もとても満足だった様子 Photo: Yoko OYA

 ここで話した女性2人はイベント初参加との事。益田I・NA・KAライドの評判を聞き参加を決めたそうです。「豆粒にみえるくらい遠くにいるおじいちゃんが、手をふって応援してくれて嬉しかった」と話してくれました。

 最後はゆっくりと坂を下り、旧益田と呼ばれる情緒の残る町並みを巡ってゴールしました。

グラントワに戻ってきました Photo: Makoto SATOグラントワに戻ってきました Photo: Makoto SATO
無事ゴール! 末吉さん(右)、ウエイブワンの中田社長(左)と Photo: Yoko OYA無事ゴール! 末吉さん(右)、ウエイブワンの中田社長(左)と Photo: Yoko OYA
ゴール後、末吉さんにハンドバイクの乗り方を指導していただきました Photo: Yoko OYAゴール後、末吉さんにハンドバイクの乗り方を指導していただきました Photo: Yoko OYA
益田市町おこしの会の皆さんをはじめとした運営スタッフで記念写真 Photo: Yoko OYA益田市町おこしの会の皆さんをはじめとした運営スタッフで記念写真 Photo: Yoko OYA

一流の田舎へようこそ!

離れた場所からも沢山手を振っていただきました Photo: Masamitsu NAGASHIMA離れた場所からも沢山手を振っていただきました Photo: Masamitsu NAGASHIMA

 今回のイベント、何千人という益田の方々と手を振り合い、言葉を交わしました。民家の近くだけでなく、畑仕事の手を休め、遠くから大きく手を振ってくださる方もいました。沿道の方に声をかけると「これが田舎のよさよー」と照れながらも嬉しそうに話してくれました。評判になっていた「おもてなし」は、イベントの枠を超え、益田全体に広がっていました。

 I・NA・KAライドは「I・一緒に」「NA・ネイチャー(自然)を」「KA・感じませんか」の略だそうです。この記事を読んでくださっているあなたも、来年は一流の田舎・益田の魅力を一緒に感じてみませんか?

大宅陽子大宅陽子(おおや・ようこ)

自転車情報番組NHK BS1『チャリダー☆』(毎週土曜18:00~18:25)に坂バカ女子部メンバーとして出演。坂を上ることをこよなく愛する。2013年まえばし赤城山ヒルクライム大会年代別1位。また、ヨガインストラクターとして、サイクリストへのヨガレッスン「サイクリストヨガ」を提供している。Facebookページ

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