事故防止へ全国で保険加入の義務化進む広がる自転車安全教室 親子で学び意識高める

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 自転車が加害者となる事故で高額な損害賠償事例が多発し、条例で「自転車保険」の加入を義務づける自治体が増えている。事故を未然に防ぐための教育活動も活発化しており、親子で学べる交通安全教室が注目されている。(産経新聞文化部・木ノ下めぐみ、玉崎栄次)

保護者も戸惑い

 「自転車は、歩く人の仲間だと思う人?」
8月下旬、堺市の自転車博物館で開かれた「こども自転車安全教室」。大阪府警堺署員から質問を投げかけられた約30組の親子連れの中には、戸惑った表情を浮かべる保護者もいた。「自転車は車両の仲間。道路の左側を走りましょうね」と署員。講習の後は、博物館近くのコースを自転車で走行し、正しい乗り方を学んだ。

 教室を主催するのは、公益財団法人「シマノ・サイクル開発センター」(堺市)。5歳以上の子供を対象に毎月開催しており、他の自治体からの参加者も多い。

 6歳と5歳の姉妹を連れて参加した高木裕美子さん(37)=堺市=は「子供に教えるほどルールを知っているのか自信がなかったので助かる」。高田朱美さん(36)=大阪府泉大津市=は7歳の長男を連れ2度目の参加。「小学生は1人で出かける機会も多く目が行き届かないので、事故を起こさないか心配」と話していた。

「こども自転車安全教室」で指導員とともに信号や道路標識を確認する子供たち=堺市、木ノ下めぐみ「こども自転車安全教室」で指導員とともに信号や道路標識を確認する子供たち=堺市、木ノ下めぐみ

条文では教育強化も

 自治体が条例で自転車の使用者に保険の加入を義務づける動きも活発化している。兵庫県は昨年、全国で初めて条例を制定。大阪府でも今年7月に義務化がスタートし、滋賀県も10月からの開始を決めている。

自転車の安全ルール ©Sankei-shinbun自転車の安全ルール ©Sankei-shinbun

 近年、自転車保険を扱う保険会社が増えているが、保険料は年間数千円かかり、年齢制限も設けられているものが多い。兵庫県では、一般財団法人「兵庫県交通安全協会」(神戸市)に自転車保険制度の創設を依頼。「損害保険ジャパン日本興亜」(東京都新宿区)が受け皿となる保険を提供している。

 1億円の賠償補償(本人の死亡・後遺障害補償なし)で保険料は年額1000円。年齢制限もなく、開始1年で契約件数は約8万件に上った。兵庫県交通安全室の担当者は「条例化した以上、誰でも入ることができる受け皿を作る必要があった。周知もしやすい」と話す。

 一方、いずれの条例にも保険加入義務とともに、安全教育の強化が盛り込まれている。一般財団法人「日本交通安全教育普及協会」(東京都港区)の彦坂誠企画部課長は「交通安全教育は保護者が日常生活の中で教えることが望ましい」と話す。しかし、運転免許もなく個人によって知識が一定ではないため、シマノ・サイクル開発センターの指導員、徳田勇さんは「『わが家には重大事故は関係ない』という意識の保護者もいる」と危惧する。

保険付き免許証

 安全教育を進めようと、ユニークな取り組みも活発だ。神奈川県大和市では、市立小学校の5、6年生の高学年児童約3800人を対象に、最大1億円を補償する自転車保険付き免許証を10月から交付する。来年度からは、市内の中学生にも適用する方針。対象となるのは、各校で実施する交通安全教室などを受講した児童で、同市が団体加入するため、自己負担はない。

 東京都武蔵野市では平成20年から、自転車の安全運転を伝える講習会の受講者に、駅駐輪場の優先使用権を与えている。受講者は30~50代を中心に延べ2万6500人。同市交通対策課の担当者は「正しく自転車に乗る人が増えた。講習で学んだ内容を子供に伝えてほしい」と話す。

 国も安全運転の普及に取り組む。昨年6月に施行された改正道路交通法では、信号無視や酒酔い運転など、悪質な自転車運転14項目を危険行為として指定しており、14歳以上で3年以内に2回以上摘発されると講習の受講が命じられる。

産経新聞・生活欄より)

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