1350の出展ブースから独自に厳選自転車見本市「ユーロバイク」で光ったイノベーション 洗車機から女性思いのビブスまで

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 ドイツの南、フリードリヒスハーフェンで8月31日から9月4日に行われた「ユーロバイク」は、欧州最大の自転車見本市。25回目の開催となる今年は、業者と報道関係社のみ立ち入りができる“ビジネスデイ”と一般客が入場できる“フェスティバルデイズ”が設けられ、3万4400人の自転車ファンが訪れた。フェスティバルデイズのテーマは「試して、体験して、祝い、楽しもう」。3000台の試乗車用意されるなど、メッセに訪れたからこそ実際に触れて体験できるというメリットが前面に押し出された会場では、各出展社もチャレンジングな製品を展示し来場者の声に耳を傾けていた。会場でキラリと光ったイノベーションを紹介する。

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およそ3万4千人の来場客で沸いた会場は、出展側もイノベーション精神旺盛で画期的。自転車専用の洗車機「サイクルウォッシュ」もお目見えした Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAおよそ3万4千人の来場客で沸いた会場は、出展側もイノベーション精神旺盛で画期的。自転車専用の洗車機「サイクルウォッシュ」もお目見えした Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

重い自転車をラクに洗車

会場のステージで催されたファッションショーでは、ノリの良い音楽に合わせてモデルたちが最新ウェアと華麗なダンスを披露した Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA会場のステージで催されたファッションショーでは、ノリの良い音楽に合わせてモデルたちが最新ウェアと華麗なダンスを披露した Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 「この手があったか」と言うべきか「作ってしまったのか…」と言うべきか、通りがかった人々の足を止め視線を奪っていた製品のひとつが、洗車機「サイクルウォッシュ」だ。ガソリンスタンドにあるようなクルマの洗車機のミニチュア版といった外観で、側面には「3分+300mlの水=クリーンな自転車」と書かれていた。開発をしたサチン・クマールさん(Sachin Kumar)は、筆者がメディアと知るや機能や開発の経緯を早口にまくし立てた。

 プロトタイプができあがったのは、今年の5月。クマールさんは、「ショップやサイクルステーション、サイクリスト向けホテルに設置するなど設置可能な場所はたくさんある」と自信たっぷりだ。「ポイントは、1回に使う水は300mlという点。ろ過システムを搭載し、10のノズルそれぞれにもフィルターを配している。ペイパル決済やカードなどの支払い方法と連動させれば、“1回500円”というようなサービスを提供できる」

「サイクルウォッシュ」に内蔵されたろ過システム Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA「サイクルウォッシュ」に内蔵されたろ過システム Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
10のノズルそれぞれにフィルターを装備 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA10のノズルそれぞれにフィルターを装備 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
断面は十字型というブラシ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA断面は十字型というブラシ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 サイクルウォッシュの洗車ブラシは見た目より柔らかく、1本1本の断面は十字型。水と共に汚れを効率的に落とし、自転車本体を傷つけにくくするための工夫だという。現在試作中のMTB向け製品では、より太いブラシが採用されている。水が放出されるノズルはサイクルウォッシュ中央に集中させ、「自転車の本体をよく洗えるようにした」という。

 クマールさんは「電動アシスト自転車に乗る高齢のライダーも増加している。そんなライダーたちが重い自転車を楽に洗えるようにするには、と考えたのが開発のきっかけ。元気いっぱいの世代だけでなく、高齢者向けの自転車関係の製品がなくちゃダメだと思うんだ」と話した。筆者が、日本では子乗せタイプの電動アシスト自転車が主流と説明すると、「学校やスーパーマーケットに設置して、お母さんたちに利用してもらうっていうのもいいね! 日本での利用も大歓迎だよ」と期待を膨らませた。

重い自転車でもスムーズにセットできるようにローラー式コンベアーを備えた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA重い自転車でもスムーズにセットできるようにローラー式コンベアーを備えた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
「サイクルウォッシュ」背面の台では、高圧洗浄でプレウォッシュできる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA「サイクルウォッシュ」背面の台では、高圧洗浄でプレウォッシュできる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

スマートな都市型ホイール照明

ホイールを挟みこむようにして取り付ける「レボライト」(写真はフロントライト) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAホイールを挟みこむようにして取り付ける「レボライト」(写真はフロントライト) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 日本国内ですでに販売実績がある「Revolights」(レボライト)は、2013年に発売された自転車のフロント・リアホイールに取り付ける照明だ。ホイールを挟みこむような形で取り付け、走行時常に、フロントは前方から路面にかけてホワイトカラーの明かりを、リアは後方へ向けてレッドカラーの明かりを放つ。レボライトを創設したケント・フランコヴィッチ(Kent Frankovich)さんはフロントのデイティングについて、「フロントライトと併用するライダーも多いので、照明範囲を下方に振って路面が見やすくなるようにした」と説明した。

「レボライト」のフロントはホワイト、リアはレッドカラーとなる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA「レボライト」のフロントはホワイト、リアはレッドカラーとなる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
「レボライト」の創設者ケント・フランコヴィッチさん Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA「レボライト」の創設者ケント・フランコヴィッチさん Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
「レボライト」スマートモデルにはスマホアプリもあり、Bluetoothで接続して左右方向指示、走行速度・距離の確認などが可能になる(画像はアプリ画面)「レボライト」スマートモデルにはスマホアプリもあり、Bluetoothで接続して左右方向指示、走行速度・距離の確認などが可能になる(画像はアプリ画面)

 今年9月末に販売が予定されている“スマートモデル”では、新たにウインカー機能が追加された。方向指示をした側のリアライトが点滅をして、後続の自転車やクルマのドライバーに方向を伝える仕組みだ。ウインカーの左右指示には、ハンドルバーに取り付けられる小さなスイッチも別途生産するという。

 レボライトのスマートモデルは、Bluetoothによりスマホとの連携が可能になる。スマホにインストールしたアプリ上では、ウインカーの左右指示に加えて、ライトのオン・オフ、バッテリー残量の表示、走行速度・距離の表示が可能になる。バッテリーはフル充電で4時間の連続使用が可能。

スマートモデルの「レボライト」では方向指示)ウインカー)が出せるようになった Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAスマートモデルの「レボライト」では方向指示)ウインカー)が出せるようになった Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
バッテリーはマイクロUSBケーブルを用いて充電する Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAバッテリーはマイクロUSBケーブルを用いて充電する Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

女性のトイレ問題を解決したビブショーツ

 ベルギーのアパレルブランド「Bioracer」(ビオレーサー)は、女性向けの画期的なビブショーツ「Epic」(エピック)を発表。肩紐付きビブショーツの女性にとっての最大の難点、トイレ問題に着目した新製品だ。通常のビブショーツでは、個室に入ってソックスとブラを除くすべてを脱ぎ捨てるまで用を足せないので、冬場など厚着をした際はかなりの時間を要する。エピックは、背中に配したジッパーでそれを解決。ジッパーは腰まで開くようになっており、伸びの良い素材を下ろすだけで用を足せるのだ。

「エピック」のパッド部分。パッド周りには縫い目がなくサドル上の不快感を最小化 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA「エピック」のパッド部分。パッド周りには縫い目がなくサドル上の不快感を最小化 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
「エピック」の腿部分には、男性よりもやわらかな体に優しくフィットする伸縮性に富んだ素材を採用 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA「エピック」の腿部分には、男性よりもやわらかな体に優しくフィットする伸縮性に富んだ素材を採用 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ビオレーサーの女性向けビブショーツ「エピック」。ブース外壁の写真とイメージが、男性からも目を引いたという Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAビオレーサーの女性向けビブショーツ「エピック」。ブース外壁の写真とイメージが、男性からも目を引いたという Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ユニークなデザインが並んだビオレーサーの女性向けウェアコーナー Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAユニークなデザインが並んだビオレーサーの女性向けウェアコーナー Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 ブースの外壁には木の陰から意味ありげに覗く女性の写真と、トイレでのステップのイラストを掲載。ブースのスタッフは、「『?』という顔で立ち止まった男性も、意味がわかると笑顔で歩き去って行くわ」と紹介した。エピックは、ユーロバイクの賞も獲得。審査員からは、「女性アスリートが求める機能をみごとに製品に体現してみせた」として評価されている。

 縫い目をなくしたパッドも、受賞理由のひとつ。エピックのパッドはビオレーサーが女性のために開発をしたオリジナルパーツで、座面の段差による不快感を極力排した自信作だ。幾何学模様や色鮮やかな植物柄といった、トップスと共にコーディネートできるビブショーツデザインもユニークだ。発売は2017年2月以降を予定している。

前面のジッパーは倒すとロックがかかる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA前面のジッパーは倒すとロックがかかる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
袖全体にフォット感を重視した素材を採用 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA袖全体にフォット感を重視した素材を採用 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
今回ユーロバイクでは初めて、トラベルやショーなど11の目的別エリアを設置。その中のひとつが女性エリアで、女性のための情報交換の場となった Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA今回ユーロバイクでは初めて、トラベルやショーなど11の目的別エリアを設置。その中のひとつが女性エリアで、女性のための情報交換の場となった Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

“個”を表現するバックパック

ウォータープルーフバッグを展開するオルトリーブが、ユーザー自ら好みの画像でデザインできる「カスタムショップ」を開始 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAウォータープルーフバッグを展開するオルトリーブが、ユーザー自ら好みの画像でデザインできる「カスタムショップ」を開始 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 ドイツのウオータープルーフバッグブランド「Ortlieb」(オルトリーブ)は、容量24Lの定番バックパック「Velocity」(ベロシティー)のカスタムショップを8月後半にオープン。お気に入りの写真やデザインデータをアップロードして、自分だけのオリジナルデザインを作ることができる。

 オルトリーブのベロシティーは、単色のみならず多彩なデザインも展開している。ブースでも、オレンジにブルーの大胆な文字をレイアウトしたデザインなど、カラフルでポップなバックパックが並んでいた。それにも関わらず、「既存デザインでは満足せず、違うデザインを希望するユーザーも多くいて…」と話すスタッフ。カスタムショップは、「それなら自分たちでデザインしてみては」というところから生じた企画なのだそうだ。

「カスタムショップ」を用いたデザインのイメージ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA「カスタムショップ」を用いたデザインのイメージ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
既存デザインの「ベロシティー」も展示された Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA既存デザインの「ベロシティー」も展示された Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 オーダー方法は、専用ウェブページで画像をアップロード・デザインし、3〜4週間後の最寄り販売店での受取り・支払いを待つだけ。サービス開始後、すでに多くの注文があるという。残念ながらカスタムショップは現在ドイツ国内のみとなっている。

会場にはペダルを回してカート対戦できるゲームブースもあった Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA会場にはペダルを回してカート対戦できるゲームブースもあった Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
シュルテ柄沢亜希シュルテ柄沢 亜希(しゅるて・からさわ・あき)

1982年生まれ、ドイツ在住。東京を拠点に4年間記者生活を送った後、フリーランスへ。書くこと、レポートすることが生きがい。執筆ジャンルは自転車・アウトドアアクティビティ、スポーツ、旅、食、アート、ライフスタイルなど文化全般。幼少期の5年間をドイツ・ハンブルクで過ごしたことがアイデンティティのベースにある。ブログ「ドイツのにほんじん」ほか、多媒体にて執筆中。

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