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ブエルタ・ア・エスパーニャ2016 第14ステージヘーシンクが悲願のステージ優勝 オリカ勢の前待ち作戦でイェーツが総合4位浮上

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージが9月3日に行われ、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)が超級山岳オービスク峠の頂上ゴールを制し、グランツール初勝利を挙げた。総合ではナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が首位をキープ。新城幸也(ランプレ・メリダ)は90位、別府史之(トレック・セガフレード)は113位でフィニッシュしている。

ステージ優勝を飾ったロベルト・ヘーシンク Photo: Yuzuru SUNADAステージ優勝を飾ったロベルト・ヘーシンク Photo: Yuzuru SUNADA

40人を超える逃げ集団

 ウルダクス-ダンチャリネアからオービスク-グレットまでの196.1kmで争う、今大会随一の難関山岳ステージ。スタートして間もなくフランスに入国しピレネー山脈を舞台に3つの1級山岳を越えて、最後はツール・ド・フランスでお馴染みのオービスクにゴールするレイアウトだ。

 スタート直後から逃げを狙う選手がアタックを繰り広げ、約15kmほどでメイン集団が逃げを捕まえかけたが、そのタイミングで集団に中切れが起きた。これにより40人を越える大きな逃げ集団が形成された。

この日、リタイアしたフィリップ・ジルベール Photo: Yuzuru SUNADAこの日、リタイアしたフィリップ・ジルベール Photo: Yuzuru SUNADA

 この逃げ集団には、総合首位のキンタナと3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)を擁するモビスターが3選手を送り込んだ。なかでも、ダニエル・モレノ(スペイン)は5分38秒遅れの総合12位につけており、総合でさらに上位に浮上するチャンスを得た。ほかにも、ヘーシンクのロットNL・ユンボや、オリカ・バイクエクスチェンジなどからも3選手が入った。

 逃げに大きなリードを与えられなくなったメイン集団では、リーダーチームのモビスターではなく、総合2位につけるクリストファー・フルーム(イギリス)のためチーム スカイが先頭に出てペースをコントロール。モビスターにとっては、総合争いの最大のライバルであるチーム スカイの戦力を奪える、有利な展開となった。

 第1、2山岳は山岳賞争いで3位につけるオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)が1位通過し、ポイントを一気に加算した。逃げ集団は5分を超えるリードを得て、モレノがバーチャルリーダーに立つ場面もあった。

チームメイトの牽引でオービスクへ

 第3山岳に入ると、オリカ・バイクエクスチェンジが攻勢に出た。3分25秒差の7位につけるサイモン・イェーツ(イギリス)の総合ジャンプアップを図った。まずは上りでジャック・ヘイグ(オーストラリア)を先行させ、遅れてイェーツがアタック。ヘイグのアシストを受けたイェーツは、メイン集団との差を広げながら頂上を目指した。

 逃げ集団では遅れる選手の姿が見え始め、フライレが脱落。総合18位でスタートしたジョージ・ベネット(ニュージーランド、チーム ロットNL・ユンボ)のためにヘーシンクが先頭を引く場面も見られた。頂上が近づくとケニー・エリッソンド(フランス、エフデジ)がペースを上げて1位を獲得、フライレとのポイント差を縮めた。

 イェーツが集団と1分ほどの差で頂上にたどり着くと、逃げ集団から降りてきたチームメイトたちが待ち構えていた。マウヌス・コー・ニールセン(デンマーク)、サイモン・ゲランス(オーストラリア)、イェンス・クークレール(ベルギー)と次々に合流。下りと平坦区間で体力を温存しながら、メイン集団に対し1分半のリードを得てオービスクへ突入した。

フルームがキンタナを徹底マーク

 オービスクは登坂距離16.5km、平均勾配7.1%という上りで最大勾配は15%に達する。上り始めた時点で先頭集団は6人。その20秒ほど後方にヘーシンクやモレノを含む追走集団、3分半遅れでイェーツ、5分遅れのメイン集団という状況で、逃げ切りもメイン集団が吸収する可能性もあるタイム差だった。

 残り10kmになると先頭はエリッソンド、ベネット、ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、エゴル・シリン(ロシア、チーム カチューシャ)の4人に絞られ、追走集団からはヘーシンクが追撃を開始した。アシストとしてベネットのために脚を使ったヘーシンクだが、力強いダンシングで追いつくと、残り7kmでアタック。食らいつこうとしたバークランツは脱落し、エリッソンドとシリンが徐々に差を詰めてヘーシンクと合流した。

ケニー・エリッソンドとロベルト・ヘーシンクの争い Photo: Yuzuru SUNADAケニー・エリッソンドとロベルト・ヘーシンクの争い Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団ではバルベルデが早々に脱落し、タイムを大きく失うこととなった。また、総合6位スタートのレオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ)らのアタックがかかるなか、総合上位勢は反応を見せず牽制状態となった。一度キンタナがアタックを見せるが、フルームにチェックされると踏むのをやめ集団はペースダウン。イェーツとの差は2分近くまで広がっていった。

 残り約6kmで、フルームとの差を広げたいキンタナが再びアタックを仕掛けた。フルームはアシストの力を借りながらマイペースで追い上げ、アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)、ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)がそれに続く。フルームがキンタナとの差を詰めると一気にペースが落ち再び牽制状態に。チャベスが間隙を縫って飛び出しても構いもせず、互いの勝負に集中している様子だ。

 次にコンタドールがアタックを仕掛けると、キンタナがこの動きに合わせてカウンターアタック。フルームはこのスピードに対応するが、コンタドールは脱落。ダンシングで突き放そうとするキンタナと、徹底マークするフルームという、総合上位2人による一騎打ちになった。

ダンシングで踏み続けたヘーシンク

山岳リーダーとなったケニー・エリッソンド Photo: Yuzuru SUNADA山岳リーダーとなったケニー・エリッソンド Photo: Yuzuru SUNADA

 イェーツは追い上げたもののステージ優勝争いには届かず、勝負は先頭3人に委ねられた。残り400mからヘーシンクがペースを上げ、シリンとエリッソンドが必死に食らいつく。189cmという大きな体格でダンシングするヘーシンクと、その後ろでは169cmのエリッソンドがシッティングでチャンスをうかがう。しかし残り150m、エリッソンドとシリンがついに引き離された。アタックしてから一度も腰を下ろさず、一度も振り返ることなく踏み続けたヘーシンクが、オービスクの山頂を制した。2位に入ったエリッソンドは、山岳ポイントを加算してリーダージャージのモンターニャを獲得した。

 旧ラボバンク時代から現チーム一筋のヘーシンクは、30歳になりベテランの域に入ってきた。昨年のツール・ド・フランス総合6位などの実績を誇り、グランツールでエースを務める実力者だが、ステージ優勝は初めてのこと。レース後には「ここまでつらいシーズンを過ごしてきたけれど、戻ってきたように感じている」と勝利を喜んだ。

 イェーツはステージ優勝には届かなかったが、39秒遅れでフィニッシュしたことで総合4位に浮上。バルベルデが大きく遅れたことで、チャベスも3位に上がり、オリカ勢がともに順位を上げた。キンタナ、フルームは結局タイム差がつかず。マイヨロホはキンタナが守っているが、タイムトライアルの実力で勝るフルームが総合優勝争いで優位に立っているといえそうだ。

第14ステージ結果
1 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 5時間43分24秒
2 ケニー・エリッソンド(フランス、エフデジ) +7秒
3 エゴル・シリン(ロシア、チーム カチューシャ) +9秒
4 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、チーム ロットNL・ユンボ) +31秒
5 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +39秒
6 アイマル・スベルディア(スペイン、トレック・セガフレード) +49秒
7 ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分11秒
8 アンドルー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム) +1分14秒
9 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ) +1分14秒
10 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +1分16秒
90 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +32分37秒
113 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +38分41秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 58時間41分40秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +54秒
3 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ) +2分1秒
4 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +2分17秒
5 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +2分38秒
6 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +3分28秒
7 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシングチーム) +3分59秒
8 アンドルー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム) +4分30秒
9 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ プロチーム) +5分37秒
10 ダニエル・モレノ(スペイン、モビスター チーム) +5分52秒
102 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +2時間6分31秒
110 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +2時間18分3秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 92 pts
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 66 pts
3 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム) 65 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ケニー・エリッソンド(フランス、エフデジ) 49 pts
2 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) 40 pts
3 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 30 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 10 pts
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 15 pts
3 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) 34 pts

チーム総合
1 BMCレーシングチーム 174時間49分59秒
2 チーム スカイ +25分46秒
3 アスタナ プロチーム +25分46秒

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