熾烈な争いを制して長年の夢かなえるブリッツェン増田成幸がツール・ド・北海道総合優勝 最終ステージはモートンが勝利

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・北海道(UCIアジアツアー2.2)は9月3日、最終の第4ステージが219kmで争われ、逃げ切った5人による勝負をラクラン・モートン(オーストラリア、ジェリーベリー p/b マキシス)が制してステージ優勝。総合上位陣は34秒差の集団でフィニッシュ。総合首位のグリーンジャージを着用する増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が持っていたリードを守りきり、第30回の記念大会の覇者となった。

総合上位3選手の表彰。左から2位ピエールパオロ・デネグリ、優勝の増田成幸、3位リカルド・ガルシア Photo: Sonoko TANAKA総合上位3選手の表彰。左から2位ピエールパオロ・デネグリ、優勝の増田成幸、3位リカルド・ガルシア Photo: Sonoko TANAKA

逃げのリードは最大11分15秒に

 9月1日に開幕した今大会は、いよいよ最終日を迎えた。そして、最後を飾るにふさわしいステージが設定された。

スタート準備を整える増田成幸(右から2人目)とチームスタッフ Photo: Sonoko TANAKAスタート準備を整える増田成幸(右から2人目)とチームスタッフ Photo: Sonoko TANAKA

 前日に続き倶知安町のヒラフスキー場前をスタートし、ニセコの山を通過後、洞爺湖と支笏湖をめぐり、札幌市南区の真駒内公園にフィニッシュする。219kmと距離が長いうえ、スタートしてすぐに1つ目の山岳ポイント(KOM)を目指しての上りが控え、ここまで戦ってきた選手たちをさらに苦しめる。また、今大会最後のKOMが終盤に待ち受けるなど、最後の最後まで勝負の行方は分からない。

 第3ステージまでを終えて、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が総合トップ。2位のピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、3位のリカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)とは27秒差。逃げ切り勝利した第2ステージの貯金が生きているとはいえ、追う選手たちにも勢いがある。栄光のグリーンジャージを賭けた戦いは、午前9時30分に始まった。

リーダージャージの増田成幸自らライバルのマークやアタックに動いた Photo: Sonoko TANAKAリーダージャージの増田成幸自らライバルのマークやアタックに動いた Photo: Sonoko TANAKA

 パレードを経て、0km地点を迎えると同時に出入りの激しい展開となる。逃げ狙いのアタックと、それを嫌うチームとの駆け引きがしばらく続く。数人が抜け出し、25秒程度のリードを得る場面こそあるものの、やがてメイン集団にキャッチされる。なかでも、総合6位でスタートしたジャイ・クロフォード(オーストラリア)らキナンサイクリングチーム勢のアタックは増田が自らチェックに動くなど、厳しいマークで抜け出すチャンスを与えない。そのまま17.1km地点に設けられた1つ目のKOMへ。ここはアレクサンダー・ブライコ(モルドバ、ジェリーベリー p/b マキシス)が1位で通過する。

最大で11分以上のリードを得た逃げグループ。フィードゾーンを通過する Photo: Sonoko TANAKA最大で11分以上のリードを得た逃げグループ。フィードゾーンを通過する Photo: Sonoko TANAKA

 その後、野中竜馬(キナンサイクリングチーム)と木村圭佑(シマノレーシング)が飛び出すが、これも失敗に終わると、集団全体のペースが緩んだタイミングで5選手がアタック。リーダーチームの宇都宮ブリッツェンやNIPPO・ヴィーニファンティーニがメイン集団の主導権を確保し、そのまま逃げを試みた5人を容認した。

 レースをリードしたのは、ホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)、西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、木村圭佑(シマノレーシング)、吉岡直哉(那須ブラーゼン)、そしてモートンの面々。この中で総合成績がもっとも上位なのが、吉岡の13位。タイム差にして1分4秒。

 逃げとメイン集団とのタイム差はみるみるうちに広がり、92km地点に設けられたフィードゾーン(補給所)を目前に、11分15秒差にまで広がった。その間、57.5km地点のホットスポット(中間スプリントポイント)を吉岡が1位で通過している。

実績十分のモートンが力を見せつける

 メイン集団が本格的に前を追い始めたのは、レース後半に入ってから。宇都宮ブリッツェンを筆頭に、NIPPO・ヴィーニファンティーニ、チームUKYOなどが集団前方に位置し、その後キナンサイクリングチームや愛三工業レーシングからもアシストが加わり、メイン集団のペースアップを図った。

宇都宮ブリッツェン・大久保陣がコントロールするメイン集団。その右にはリカルド・ガルシアがつける Photo: Sonoko TANAKA宇都宮ブリッツェン・大久保陣がコントロールするメイン集団。その右にはリカルド・ガルシアがつける Photo: Sonoko TANAKA

 縮小傾向にある逃げとメイン集団とのタイム差だが、急激に差が縮まる雰囲気とはいえない。残り60kmとなって3分台となった差は、20kmほど大きく変わることなく推移するなど、逃げメンバーも好ペースを刻んでいるようだ。

 残り43km地点にある今大会最後のKOMは、モートンが1位で通過。メイン集団では、クロフォードらの動きをきっかけにペースアップ。総合上位陣を中心にメンバーが絞られ、この中にはリーダージャージの増田も含まれた。

 逃げ切りに賭けてスピードを緩めない先頭の5人。残り10kmで差がついに55秒と、メイン集団の射程圏内に入った。だが、有力選手同士の牽制が入ったこともあって、残り5kmで差が1分と広がる。先頭5人の逃げ切りは濃厚となった。

逃げ切った5人によるスプリント勝負 Photo: Sonoko TANAKA逃げ切った5人によるスプリント勝負 Photo: Sonoko TANAKA

 そして迎えた最終局面、左コーナーを曲がるとラスト約200m。真っ先に姿を現したのはトリビオだ。木村も負けじと加速する。さらに2人の間から伸びるのはモートンだ。僅差の勝負となったが、ホイール半分ほどの差でモートンがフィニッシュラインをトップで通過。2位にトリビオ、後方から迫った西薗が3位だった。

 モートンは2013年から2年間、当時UCIワールドツアーチームだったガーミン・シャープに所属。2015年から同コンチネンタルチームである現チームで走っているが、今シーズンはUCIアメリカツアーで大活躍。特に、8月のツアー・オブ・ユタ(アメリカ、UCI2.HC)では、UCIワールドツアー勢を退けて総合優勝していた。今大会も優勝候補の1人と目されていたが、第2ステージで大きく遅れていた。

5人の逃げメンバーにステージ優勝を制したのは、実績豊富なラクラン・モートン(左から2人目) Photo: Sonoko TANAKA5人の逃げメンバーにステージ優勝を制したのは、実績豊富なラクラン・モートン(左から2人目) Photo: Sonoko TANAKA

グリーンジャージは増田が守りきる

 逃げ切った5人の一方で、総合優勝争いも最後まで熾烈を極めた。増田を27秒差で追う総合2位のピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)と、同3位のリカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)も、攻撃的な走りを緩めることはなかったからだ。

メイン集団内でフィニッシュした増田成幸(左)。総合優勝を確定させた Photo: Sonoko TANAKAメイン集団内でフィニッシュした増田成幸(左)。総合優勝を確定させた Photo: Sonoko TANAKA

 それでも、増田は総合上位陣がすべて含まれたメイン集団内にとどまり、その座を譲ることはなかった。結果的に、モートンからは34秒差でフィニッシュ。同時に、増田の総合優勝が決定した。

 ツール・ド・北海道初優勝を飾り、チームメートやスタッフと喜びを爆発させた増田。しばらくして、フィニッシュ脇に設けられた放送ブースへと上がり、「ツール・ド・北海道総合優勝という夢がかなえられて本当にうれしい」と述べ感激の面持ち。「チームみんなで優勝の喜びは分かち合えたので、普段から支えてくれる家族や妻にこの勝利を報告したい」と続けた。

総合優勝を決めた増田成幸は清水裕輔監督とがっちり握手 Photo: Sonoko TANAKA総合優勝を決めた増田成幸は清水裕輔監督とがっちり握手 Photo: Sonoko TANAKA

 宇都宮ブリッツェンは、前日の第3ステージで重要アシストの阿部嵩之をリタイアで失い、最終ステージは4人での出走だった。それでも、逃げとの差をコントロールし、ライバルたちの攻撃の幅を狭めるなど、戦術的な走りが光った。

 その他総合勢は、前日と変わらずデネグリが2位、ガルシアが3位。このステージで逃げを決め、5位でフィニッシュした吉岡が総合6位にジャンプアップした。

ポイント賞のピエールパオロ・デネグリ Photo: Sonoko TANAKAポイント賞のピエールパオロ・デネグリ Photo: Sonoko TANAKA
チーム総合優勝のブリヂストンアンカーサイクリングチーム Photo: Sonoko TANAKAチーム総合優勝のブリヂストンアンカーサイクリングチーム Photo: Sonoko TANAKA

 今シーズンのUCI公認国内ステージレースはこれで終了。残すUCIレースは、ジャパンカップサイクルロードレース(10月23日)とツール・ド・おきなわ(11月13日)となった。いずれも国内コンチネンタルチームと海外の強力チームとがしのぎを削るレースとなるはずだ。日本国内のサイクルロードレースシーズンは、もうしばらく続く。

ツール・ド・北海道2016第4ステージ(219km)結果
1 ラクラン・モートン(オーストラリア、ジェリーベリー p/b マキシス) 5時間33分44秒
2 ホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +0秒
3 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +0秒
4 木村圭佑(シマノレーシングチーム) +0秒
5 吉岡直哉(那須ブラーゼン) +3秒
6 リカルド・スタキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +34秒
7 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、チームUKYO) +34秒
8 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) +34秒
9 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +34秒
10 鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +34秒

個人総合時間賞
1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 12時間50分23秒
2 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +27秒
3 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +27秒
4 中根英登(愛三工業レーシングチーム) +29秒
5 シリル・ティエリー(スイス、ヴェロクラブ メンドリシオ) +30秒
6 吉岡直哉(那須ブラーゼン) +30秒
7 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +33秒
8 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO) +35秒
9 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +40秒
10 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +45秒

ポイント賞
ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 39pts

山岳賞
増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 24pts

チーム総合
ブリヂストンアンカーサイクリングチーム 38時間39分38秒

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ツール・ド・北海道2016

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