福光俊介の「寝落ち禁止!ツール三昧」 2013コースプレゼンテーション編<上>ラルプ・デュエズを1日2回、シャンゼリゼはナイトレース 100回目のツール・ド・フランス“新機軸”を解剖

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 「ル・ツール100:100%フレンチ」

 2013年に100回目を迎えるツール・ド・フランスのテーマである。ここ数年、ベルギー、オランダ、スペイン、イタリアなどの近隣国をコースに含んでいたツールは、100回目という記念のレースをフランス国内のみで行うと宣言。ツール初上陸のコルシカ島を筆頭に、ニース、マルセイユ、サン・マロ、モン・サン・ミッシェル、セール・ポンソン湖、アヌシー湖といったフランスを代表するスポットを巡る3週間の戦いとなる。

プロヴァンス、アルプスをリスペクトしたルート

ツール・ド・フランス2013 コースマップ  ©A.S.O.ツール・ド・フランス2013 コースマップ  ©A.S.O.

 1カ月ほど前だっただろうか、実はフランス南東部の地域圏「プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール」の団体がFacebookにツール2013のコースをリークしたものをアップしていた。よほど嬉しかったのだろう、「私たちの地域をリスペクトしたルートになった!」とコメントも添えられていた。

 それを初めて目にした時、ルートの大半がフランス南東部から南部に集中したルートで、さらには休息日の移動距離の長さに驚かされた。選手はもちろん、チーム関係者、プレス、その他レースに携わる人たちの負担はかなりのものになるだろうと。

 一方で、後半ステージがアルプスに集まり、総合争いがかなり白熱したものになるだろうという期待も膨らんだ。そんな思いを抱え、コースプレゼンテーションが行われる10月24日を迎えた。

 ふたを開けてみると、まさにリーク通りのルート。ただ、そのリーク情報を目にしていなかった人にとっては、いろいろとサプライズがあったかもしれない。ということで、全21ステージを見ていきながら、コースのポイントや、ちょっとばかり気の早いツール展望をお届けしたい。

■ツール・ド・フランス2013 各ステージ詳細
 
日程 2013年6月29日~7月21日
総走行距離 3,360km
平坦ステージ 7
中級山岳ステージ 5
超級山岳ステージ 6(うち頂上ゴール4)
個人TT 2
チームTT 1
休息日 2
 
6月29日 第1ステージ ポルト・ヴェッキオ~バスティア 212km
6月30日 第2ステージ バスティア~アジャクシオ 154km
7月 1日 第3ステージ アジャクシオ~カルヴィ 145km
7月 2日 第4ステージ ニース〜ニース 25km(チームTT)
7月 3日 第5ステージ カニュ・シュール・メール~マルセイユ 219km
7月 4日 第6ステージ エクサン・プロバンス~モンペリエ 176km
7月 5日 第7ステージ モンペリエ~アルビ 205km
7月 6日 第8ステージ カストル~アクス・トロワ・ドメーヌ 194km
7月 7日 第9ステージ サン・ジロン~バニェール・ド・ビゴール 165km
7月 8日 休息日①
7月 9日 第10ステージ サン・ジルダ・デ・ボワ~サン・マロ 193km
7月10日 第11ステージ アブランシュ~モン・サン・ミシェル 33km(個人TT)
7月11日 第12ステージ フォルジェール~トゥール 218km
7月12日 第13ステージ トゥール~サンタマン・モンロン 173km
7月13日 第14ステージ サン・プルセン・シュール・シウール~リヨン 191km
7月14日 第15ステージ ジボール~モン・ヴァントゥー 242km
7月15日 休息日②
7月16日 第16ステージ ベゾン・ラ・ロメーヌ~ギャップ 168km
7月17日 第17ステージ アンブリュン~ショルジュ 32km(個人TT)
7月18日 第18ステージ ギャップ~ラルプ・デュエズ 168km
7月19日 第19ステージ ブール・ドワザン~ル・グラン・ボルナン 204km
7月20日 第20ステージ アヌシー~アヌシー・セムノス 125km
7月21日 第21ステージ ヴェルサイユ~パリ・シャンゼリゼ 118km

 2013年のグランデパールは地中海に浮かぶコルシカ島。毎年3月に開催されるステージレース、クリテリウム・アンテナショナルでもおなじみ。第1ステージはほぼフラット、最初のマイヨ・ジョーヌ着用を目指して、有力スプリンターが激しい争いを繰り広げることだろう。第2、第3ステージは難易度が高まることもあり、パンチャーやアタッカーが各賞ジャージを狙っていくことになりそう。

第2ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第2ステージ コースプロフィール ©A.S.O.
第3ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第3ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 コルシカ島での3日間を終えると、フランス本土へ。ニースで行われる第4ステージのチームタイムトライアルで、チーム力が試される。その後はピレネーに向かって進路を西へとる。

 ピレネーが舞台となる第8、第9ステージ。最初の頂上ゴールとなる第8ステージで総合を狙う選手たちの探り合いがスタート。5つのカテゴリー山岳を越える第9ステージを終えると、最初の休息日に。選手たちは空路、フランス北部へと移動する。

第8ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第8ステージ コースプロフィール ©A.S.O.
第9ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第9ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 休息日明けの数日間、我々にとっては観光気分で観戦できるかもしれない。探検家ジャック・カルティエの生まれ故郷で、ランス川に浮かぶ要塞都市サン・マロがゴールの第10ステージ。今大会最初の個人TT(33km)が設けられた第11ステージのゴール地はモン・サン・ミシェル。パリ~トゥールでおなじみのトゥールがゴールとなる第12ステージ。プロトンは南東に進路を向けながら、アルプスを目指す。

 第2週最終日、第15ステージは大会最長ルート。そして最後に迎えるは“魔の山”モン・ヴァントゥー。登坂距離20.8km・平均勾配7.5%のこの山で、総合優勝争いが大方絞られてくることになるだろう。

 最終週は、アルプスの難コースのオンパレード。第17ステージに控える2回目の個人TT(32km)は総合争いにおけるポイントの1つになりそう。そして、ラルプ・デュエズを2回登る第18ステージがツール2013のクイーンステージ。展開次第では、このステージで大勢が決する可能性も。

第15ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第15ステージ コースプロフィール ©A.S.O.
第18ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第18ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 5つのカテゴリー山岳を越える第19ステージ、アヌシー・セムノスの頂上ゴールとなる第20ステージが最終決戦の場。特に第20ステージは125kmと短く、最後のチャレンジとばかりに捨て身の攻撃を仕掛ける選手が現れることも考えられる。ちなみに、一般参加者による山岳レース「エタップ・ドゥ・ツール」は第20ステージと同じコースで7月7日に行われる。

第19ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第19ステージ コースプロフィール ©A.S.O.
第20ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第20ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 最終日はアルプスから場所を移し、恒例のパリ・シャンゼリゼの周回コースで締めくくり。3週間の戦いを経て、記念すべき100回目のツールのチャンピオンが決まる。

大会序盤から難易度が高めな理由

 初日から3日間のコルシカ(フランス語ではコルスと呼ばれる)ステージ。実はちょっとばかり難易度が高めである。初日こそスプリントステージだが、残り2日間はカテゴリー山岳を含めアップダウンが多く、初日にスプリンターがマイヨ・ジョーヌを獲得したとしても1日で手放す可能性が高い。クリテリウム・アンテナショナルなどを見ていると分かるかもしれないが、この島自体が面積の割に山岳部が多く、そのことが関係しているようだ。したがって、実際のレースでも第2、第3ステージは、多少の山岳ならこなせるパンチャーやアタッカーに有利に働くかもしれない。

100回目のツールは観光地巡りの旅?

 100回目を迎えるとあって、フランス各地の有名スポットを巡るステージ設定も魅力だ。特に、前述した第10ステージからの数日間は景色を映し出すヘリコプターからの映像に期待したいところ。第11ステージの個人TTゴール地であるモン・サン・ミシェルはもちろんのこと、筆者は個人的に第10ステージのゴール地であるサン・マロが楽しみなのである。ランス川に浮かぶ要塞都市は、ブルターニュ地方最大の観光地。バカンスシーズンと相まって、レース現場は多くのファンで賑わうことだろう。

 その他、地中海沿いをピレネーに向かう第1週や、アルプスの山々など、どれを取ってもフランスの良さを実感できるはず。

ズプリンター泣かせのコース設定

 前述の大会初日とパリ・シャンゼリゼを除くと、スプリンターが主役となるステージは第1週の地中海沿いと第2週に集中している印象。特にアルプスが舞台となる第3週は生き残るだけで必死の日々を送ることになりそう。シャンゼリゼでの勝利を見据えアルプスにトライするのか、はたまたアルプスを前に帰宅する道を選ぶのか、スプリンターにとっては選択を迫られる。マイヨ・ヴェールを獲得する可能性があるかどうかが1つ判断材料かもしれない。

タイムトライアル総距離は90km

 2012年大会はタイムトライアルの総距離が長く、TTを得意とするブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイプロサイクリング)に有利に働いた感があるが、来年はTTよりも山岳に比重が置かれている。第4ステージのチームTTを合わせると90km。それぞれ30km前後の距離にとどめられている。とはいえ、簡単に1分から2分の差が付く距離でもあり、TT能力に長けていることはやはり有利だ。TTで付けられた差を山で取り戻すのは容易でないだけに、総合を争う選手たちは万全の準備を施して臨みたいところだ。

最終日はナイトレース

2012ツール・ド・フランス最終日、シャンゼリゼを走るプロトン(写真・砂田弓弦)2012ツール・ド・フランス最終日、シャンゼリゼを走るプロトン(写真・砂田弓弦)

 ツールの最終日はパレード走行を経て、パリ・シャンゼリゼの周回コースが恒例。ところが少し前には、2013年ツールの最終ステージが「23年ぶりにシャンゼリゼでの個人タイムトライアルになる」とか「モン・ヴァントゥーの山岳ステージになる」といった噂がどこからともなく浮上。100回目の節目に、主催者が斬新なアイデアを披露するとの見方が強まった。

 今年も、最終日は例年通りシャンゼリゼ通りで締めくくることに。しかし、主催者はわれわれの期待に応え、新たな取り組みを断行する。

 これまで凱旋門前をUターンしていたのを、凱旋門を囲むロータリーを回るコースに変更。さらには、ルーブル美術館の敷地を通るルートを採用するとの情報もある。

 レース時間も、夕方にシャンゼリゼ入りだったのがナイトレースへと様変わり。ゴールは現地時間で21時45分頃、日本時間で翌日の午前4時45分頃の予定。パレード走行の進行具合では、もう少し時間が遅くなる可能性もある。

 パリは夜になると多くのお店が閉店し、街としての機能をほとんど有していない状態になるはずなのだけれど、この日ばかりはきっと戦いを終える選手たちを迎えるべく、街並みは美しくライトアップされることだろう。
 

◇           ◇

 次回は選手を中心に、ちょっと気の早いレース展望をお届けします。
<下>本命は? 推しメンは? ツールはすでに始まっているのだ!

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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