550mの上りスプリントで決着ツール・ド・北海道第3ステージはデネグリがステージ優勝 総合首位は増田が守る

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・北海道(UCIアジアツアー2.2)は9月2日、第3ステージが180kmで争われ、ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)がステージ優勝を挙げた。総合リーダーの証であるグリーンジャージは前日に続き、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が堅守している。

ツール・ド・北海道2016第3ステージはピエールパオロ・デネグリ(左端)が上りスプリントを制し優勝した Photo: Sonoko TANAKAツール・ド・北海道2016第3ステージはピエールパオロ・デネグリ(左端)が上りスプリントを制し優勝した Photo: Sonoko TANAKA

中盤に逃げメンバーが入れ替わる

 大会2日目は、札幌から見て南西に位置する倶知安町が拠点。スキーリゾートとしても名高いヒラフスキー場前を午前9時30分にスタート。周辺6町村をめぐり、ヒラフスキー場前へと戻ってくる。8の字をちょうど横向きにしたイメージで、前半はニセコ連峰の外周を反時計回りに、後半は日本百名山の1つであり、その美しさから“蝦夷富士”とも称される羊蹄山麓を時計回りして倶知安町を目指す。

スタートを待つ選手たち Photo: Sonoko TANAKAスタートを待つ選手たち Photo: Sonoko TANAKA

 コースは、前半に山岳ポイント(KOM)である新見峠を通過。この日唯一のKOMだが、標高747mで今大会最大の難所との呼び声も高い。その後はKOMこそないものの、中盤以降上り基調となり、最終局面は山岳頂上フィニッシュさながらの難易度。同時に、スキーリゾートへのフィニッシュとあって、その趣きはツール・ド・フランスに代表されるグランツールの山岳ステージのよう。

この日唯一の山岳ポイントを1位通過したアレクサンダー・ブライコ Photo: Sonoko TANAKAこの日唯一の山岳ポイントを1位通過したアレクサンダー・ブライコ Photo: Sonoko TANAKA

 美しい景観の中を進むレースは、序盤から逃げを狙って次々とアタック。20km地点を過ぎたあたりで野中竜馬(キナンサイクリングチーム)と木村圭佑(シマノレーシング)が抜け出すと、一旦プロトンは落ち着きをみせる。その後10kmほど進み、今度はジェイ・ダットン(オーストラリア、セントジョージ・メリダサイクリングチーム)とダラ・フィーリー(アイルランド、スピン11ダブリン)、アレクサンダー・ブライコ(モルドバ、ジェリーベリー p/b マキシス)が追走を開始。新見峠の上りで前を行く野中と木村に合流し、5人の逃げとなる。頂上に設けられたKOMはブライコが1位で通過した。

レース中盤以降逃げ続けた選手たち。左から早川朋宏、佐野淳哉、阿曽圭佑 Photo: Sonoko TANAKAレース中盤以降逃げ続けた選手たち。左から早川朋宏、佐野淳哉、阿曽圭佑 Photo: Sonoko TANAKA

 だが、この逃げはそう長くは続かなかった。下りが始まると数人がメイン集団から先行する場面もあり、出入りが激しくなる。やがて逃げメンバーはいずれも集団に吸収され、スタートから60kmを過ぎたところで新たに4人がリードを開始した。

 先頭に出たのは、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、早川朋宏(愛三工業レーシングチーム)、阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム)、山本大喜(鹿屋体育大学)。いずれも総合争いに関係しない選手とあって、メイン集団は逃げを容認するムード。タイム差は100km地点を過ぎたところで4分45秒に開いた。

最後の最後で逃げが力尽きる

 レース後半に入ってメイン集団のコントロールを担ったのは、ジェリーベリー p/b マキシス。今大会へは規定より1人少ない4人での参戦で、数的不利は否めない。しかし、集団のペースを上げ、逃げとのタイム差を徐々に縮めていく。

メイン集団の中でレースを進めた総合首位の増田成幸(中央) Photo: Sonoko TANAKAメイン集団の中でレースを進めた総合首位の増田成幸(中央) Photo: Sonoko TANAKA

 羊蹄山麓に入り迎える127.5km地点のホットスポット(中間スプリントポイント)は、佐野が1位通過。この場所でメイン集団とは3分15秒差となる。さらに距離を追うごとに、タイム差は縮まる一方だ。

 その差が1分40秒になったところで、阿曽がメイン集団へと戻る判断を下す。それとほぼ同時に佐野がアタックするが、ここは早川と山本がしっかりとチェックする。メイン集団が迫ってくるが、3人は粘り続け、そのままラスト10kmを過ぎる。

 メイン集団では、木村と吉岡直哉(那須ブラーゼン)がアタックするも、メイン集団の厳しいマークもあり抜け出すことはできない。また、逃げグループでは山本が後退し、佐野と早川の2人が前を急ぐ。

フィニッシュへの上りを懸命にスプリントする選手たち Photo: Sonoko TANAKAフィニッシュへの上りを懸命にスプリントする選手たち Photo: Sonoko TANAKA

 しかし、2人の懸命の逃げはラスト1kmを迎えようかというところで、終わりを告げた。フィニッシュ前の上りに向けて勢いを増すメイン集団のスピードには勝てず、逃げ切ることはできなかった。

 いよいよ最終局面へ。フィニッシュへは550mの急坂だ。ここで力を発揮したのが、NIPPO・ヴィーニファンティーニ勢。リカルド・スタキオッティ(イタリア)のリードアウトでポジションを確保すると、ラスト100mでデネグリを発射。加速して前方へと躍り出た中根英登(愛三工業レーシングチーム)、NIPPO勢に動きを合わせたリカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)ともにデネグリには届かず。多くの選手が苦しんだ最後の上りを制し、デネグリが勝利。2位にガルシア、3位に中根と続いた。

日本勢では最高となる3位でフィニッシュした中根英登 Photo: Sonoko TANAKA日本勢では最高となる3位でフィニッシュした中根英登 Photo: Sonoko TANAKA
勝利したピエールパオロ・デネグリ(右)とアシストしたリカルド・スタキオッティががっちりと握手 Photo: Sonoko TANAKA勝利したピエールパオロ・デネグリ(右)とアシストしたリカルド・スタキオッティががっちりと握手 Photo: Sonoko TANAKA

リーダージャージは増田がキープ

 展開次第では総合争いに直結するステージともなり得たが、最終的に上りスプリントで勝負が決した。それでも、トップと同タイムフィニッシュは7位まで。8位以下は最低でも5秒のタイム差があった。

このステージをまとめて総合優勝に王手をかけた増田成幸 Photo: Sonoko TANAKAこのステージをまとめて総合優勝に王手をかけた増田成幸 Photo: Sonoko TANAKA

 総合首位のグリーンジャージを着用する増田は、苦しみながらも14秒差の14位でフィニッシュ。前日の第2ステージで確保した貯金を幾分吐き出したものの、依然リードは守り、翌日の第4ステージへとつなげた。

 フィニッシュ後、増田は「逃げ狙いのアタックを自分でチェックに動いたりしていたので、前半から体力的には厳しかった」とコメント。それでも総合上位陣からの遅れを少なくとどめたあたりはさすが。総合優勝がかかる最終日の走りについては、「守りに入らず、自分から攻撃的な走りをしていきたい」と意気込みを見せた。

総合首位のグリーンジャージを着用する増田成幸 Photo: Sonoko TANAKA総合首位のグリーンジャージを着用する増田成幸 Photo: Sonoko TANAKA
ステージ上位3選手の表彰。左から2位リカルド・ガルシア、1位ピエールパオロ・デネグリ、3位中根英登 Photo: Sonoko TANAKAステージ上位3選手の表彰。左から2位リカルド・ガルシア、1位ピエールパオロ・デネグリ、3位中根英登 Photo: Sonoko TANAKA
ポイント賞で首位に立ったピエールパオロ・デネグリ Photo: Sonoko TANAKAポイント賞で首位に立ったピエールパオロ・デネグリ Photo: Sonoko TANAKA

 大会最終日の9月3日は、倶知安町・ヒラフスキー場前から札幌市・真駒内公園までの219kmで争われる。勝負のポイントは2カ所のKOMで、特に終盤に設けられる上りは有力選手・チームが総攻撃に出ると見られる。最後は約20km下って札幌市内へと入る。そして、このステージを終えた時点でグリーンジャージに袖を通した選手が、第30回大会の覇者となる。

ツール・ド・北海道2016第3ステージ(180km)結果
1 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 4時間34分42秒
2 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +0秒
3 中根英登(愛三工業レーシングチーム) +0秒
4 リカルド・スタキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +0秒
5 シリル・ティエリー(スイス、ヴェロクラブ メンドリシオ) +0秒
6 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +0秒
7 岡本隼(日本大学) +0秒
8 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO) +5秒
9 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +7秒
10 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +9秒

個人総合時間賞
1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 7時間16分5秒
2 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +27秒
3 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +27秒
4 中根英登(愛三工業レーシングチーム) +29秒
5 シリル・ティエリー(スイス、ヴェロクラブ メンドリシオ) +30秒
6 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +33秒
7 ベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO) +35秒
8 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +40秒
9 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +45秒
10 マッテオ・バディラッティ(スイス、ヴェロクラブ メンドリシオ) +50秒

ポイント賞
ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 32pts

山岳賞
増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 16pts

チーム総合
1 宇都宮ブリッツェン 21時間55分55秒
2 キナンサイクリングチーム +29秒
3 ヴェロクラブ メンドリシオ +54秒

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