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ブエルタ・ア・エスパーニャ2016 第10ステージキンタナが本領発揮 超級山岳コバドンガを制しマイヨロホを奪還

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ2016は8月29日、第10ステージがルゴネスからラゴス・デ・コバドンガまでの188.7kmで争われ、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)がステージ優勝。超級山岳コバドンガの頂上フィニッシュを制し、総合首位の証であるマイヨロホを2日ぶりに取り戻すと同時に、ライバルに大きな差をつけた。日本勢は、別府史之(トレック・セガフレード)がトップから13分31秒差の86位、新城幸也が13分56秒差の87位でフィニッシュしている。

第10ステージを独走で制したナイロアレクサンデル・キンタナ Photo: Yuzuru SUNADA第10ステージを独走で制したナイロアレクサンデル・キンタナ Photo: Yuzuru SUNADA

16人がレースをリードも決定的な差は奪えず

 8月20日に開幕したブエルタは、ようやく第1週の最終日を迎えた。1回目の休息日を前に、主催者は総合争いにおける重要なステージを設定。今大会最初の超級山岳として、ラゴス・デ・コバドンガの頂上を目指すコースが用意された。

 コバドンガの上りは、フィニッシュを目前に17.5%の激坂区間があるほか、10%前後の勾配がたびたび現れる。また、コバドンガ直前には、最大勾配11.5%の1級山岳ミラドール・デル・フィートを通過。マイヨロホの行方に大きな影響を及ぼす1日となることが予想された。

マイヨロホを着るダビ・デラクルスとプントスのジャンニ・メールスマン。スタート前に笑顔で写真撮影に応じる Photo: Yuzuru SUNADAマイヨロホを着るダビ・デラクルスとプントスのジャンニ・メールスマン。スタート前に笑顔で写真撮影に応じる Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは前半に形成された16人の逃げグループが先行。マイヨロホを着てスタートしたダビ・デラクルス(スペイン)擁するエティックス・クイックスステップがメイン集団のコントロールを担い、逃げグループとの差は4分前後をキープ。1級山岳ミラドール・デル・フィートに入ると、モビスター チームもペースコントロールに加わり、主にこの2つのチームがメイン集団の主導権を握った。

 逃げグループでは、ミラドール・デル・フィート頂上に設けられた山岳ポイントをめがけてオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)がアタック。ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)がチェックに入るが、ここは昨年のブエルタ山岳賞のフライレに一日の長があった。マテとの駆け引きをものにし、1位で1級山岳の頂上を通過した。

 この動きによってフライレとマテはしばらく先行したが、やがて逃げメンバーが続々と合流。その後はヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、チーム ロットNL・ユンボ)が積極的に牽引。一緒に逃げに入ったロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)でのステージ優勝を狙って、メイン集団からのリードを拡大しようと試みた。

 コバドンガの上りが始まると、ここまで逃げていた選手たちが1人、また1人と遅れ始める。ルイ・ヴルヴァーク(ベルギー、ロット・ソウダル)が残り11kmでアタックすると、さらに人数が絞り込まれる。続いて、ピエール・ローラン(フランス、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム)が仕掛けると、一定ペースで追ったヘーシンクとシリンだけがローランに合流。先頭は3人となった。

 一方のメイン集団は、ミラドール・デル・フィート頂上で先頭との差が約5分となったのを境に、タイム差を少しずつ縮め始めた。コバドンガに入る頃にはその差は3分を切り、前を行く選手たちを射程圏内にとらえた。前半から逃げ続けた選手たちにとっては、勝利を濃厚とするには至らず、ステージ優勝のわずかな望みをかけてフィニッシュを目指す格好となった。

キンタナがライバルを圧倒 フルームの追い上げ及ばず

 モビスター チームの牽引によりコバドンガを上り始めたメイン集団に、驚きのシーンが訪れる。なんとクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が遅れ始めたのだ。アシストが2人つき、集団復帰を試みるが思うようにペースが上がらない。フルームはしきりに無線のマイクに手をやり、チームメートかチームカーに何かを伝えている様子。

レース前半からの逃げに入り、最終的にステージ2位となったロベルト・ヘーシンク Photo: Yuzuru SUNADAレース前半からの逃げに入り、最終的にステージ2位となったロベルト・ヘーシンク Photo: Yuzuru SUNADA

 その間もメイン集団のペースは上がる一方。やがて総合上位の数人に絞られ、マイヨロホのデラクルスも脱落。そして、残り7kmを前にアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)がアタック。これに対応できたのはキンタナただ1人だった。

 第7ステージでの落車の影響もあり、左肘と左脚のテーピングが痛々しいコンタドール。しかし、負傷の心配をよそにグングンとスピードを上げていく。続いてキンタナもカウンターアタック。コンタドールもこの動きに合わせ、逃げグループから落ちてきた選手たちを次々とパスしていく。残り6kmとなったところでは、キンタナとコンタドールが会話をかわす場面も。先頭交代を繰り返し、協調してライバルとの差を広げようという意思の表れにも見える。

 しかし、その構図もラスト3.5kmで終わりを迎える。後方からミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ プロチーム)が追いついてきたタイミングで、キンタナがペースアップすると、コンタドールとスカルポーニはついていくことができなかった。ライバルを置き去りにしたキンタナがいよいよ本領を発揮。単独先頭となっていたヘーシンクに残り2.5kmで追いつき、そのまま前へ。フィニッシュに向けて独走態勢に入った。

山岳賞争いでトップに立ったオマール・フライレ Photo: Yuzuru SUNADA山岳賞争いでトップに立ったオマール・フライレ Photo: Yuzuru SUNADA

 その後ろでは、一度遅れたフルームが息を吹き返し追撃体制に入っていた。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)とともにコンタドールやスカルポーニをキャッチ。フルームのペースにコンタドールはついていくことができず、その後のアタックでバルベルデも脱落。フルームの前はキンタナとヘーシンクだけとなった。

 キンタナは最後まで勢いが衰えず、激坂区間も難なくクリア。ライバルとの差を確保するべく、フィニッシュライン通過までしっかりとペダリングを続けた。2位には24秒差でヘーシンクが入り、猛追したフルームはその1秒後に3位でフィニッシュ。一時はキンタナとレースを活性化させたコンタドールだったが、結局1分5秒差の8位に終わった。

キンタナが再びマイヨロホに袖を通す

 ステージ優勝のキンタナは、デラクルスが大きく遅れたこともあり総合首位に返り咲き。2日ぶりにマイヨロホに袖を通した。レース後には「ブエルタを象徴する山岳で勝利できてうれしい」とコメント。また、複合賞のコンビナーダでも首位に立った。

 総合2位には、キンタナのチームメートであるバルベルデが浮上。その差は57秒で、さらに1秒差でフルームが総合3位に続く。総合4位以下はタイム差が2分以上の開きとなっている。

 その他各賞は、ポイント賞のプントスにバルベルデ。山岳賞のモンターニャには、このステージで4位に入り山岳ポイントを稼いだフライレがトップに立っている。

総合首位に返り咲き、再びマイヨロホに袖を通したナイロアレクサンデル・キンタナ Photo: Yuzuru SUNADA総合首位に返り咲き、再びマイヨロホに袖を通したナイロアレクサンデル・キンタナ Photo: Yuzuru SUNADA

 大会は30日、1回目の休息日を迎える。翌31日からレースは再開され、第2週の幕開けはコルンガ.ジュラシックミュージアムからペーニャ・カバルガまでの168.6kmで争われる。

第10ステージ結果
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 4時間50分31秒
2 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +24秒
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +25秒
4 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) +28秒
5 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +28秒
6 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ プロチーム) +28秒
7 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ) +1分2秒
8 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +1分5秒
9 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +1分9秒
10 ファビオ・フェッリーネ(イタリア、トレック・セガフレード) +1分11秒
86 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +13分31秒
87 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +13分56秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 38時間37分7秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +57秒
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +58秒
4 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ) +2分9秒
5 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +2分54秒
6 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +2分57秒
7 ダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ) +3分3秒
8 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +3分6秒
9 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ プロチーム) +3分14秒
10 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシングチーム) +3分20秒
97 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +1時間15分43秒
106 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +1時間21分53秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 65 pts
2 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ) 60 pts
3 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム) 53 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) 20 pts
2 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 19 pts
3 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ) 19 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 10 pts
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 21 pts
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 23 pts

チーム総合
1 モビスター チーム 114時間54分34秒
2 キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム +3分40秒
3 チーム スカイ +4分54秒

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