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ブエルタ・ア・エスパーニャ2016 第9ステージラスト600mで勝負を決めたデラクルス 逃げ切りでマイヨロホも手繰り寄せる

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ブエルタ・ア・エスパーニャは8月28日に第9ステージが行われ、レース前半に形成された逃げグループによる勝負をダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)が制して初のステージ優勝。メイン集団とのタイム差により、総合首位もデラクルスへと移り、マイヨロホに袖を通すこととなった。日本勢は、新城幸也(ランプレ・メリダ)が110位、別府史之(トレック・セガフレード)が111位。ともにトップから12分20秒差のグルペットでのフィニッシュとなっている。

ラスト600mからのアタックでステージ優勝を挙げたダビ・デラクルス Photo: Yuzuru SUNADAラスト600mからのアタックでステージ優勝を挙げたダビ・デラクルス Photo: Yuzuru SUNADA

デヘントとジェニエスの山岳賞争いが激化

 大会の第1週後半は、カンタブリア山脈が舞台となるステージが続く。第9ステージはシスティエルナからオビエド.アルト・デル・ナランコまでの164.5km。前半に2級山岳を1つ越え、その後は終盤にかけて3級を3つ、そしてフィニッシュの2級山岳アルト・デル・ナランコを上る。翌日には今大会最初の超級山岳が控えることもあり、このステージは無理なく終えておきたいところだ。

スタート前にファンにサインをするクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADAスタート前にファンにサインをするクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 序盤のアタック合戦を経て先行したのは12人。この中で総合最上位は、トップから2分46秒差の15位につけるデラクルス。やがてバーチャルマイヨロホとなり、仮にこのまま逃げ切れば実際にマイヨロホが手に入るタイム差にまで広がった。

 カテゴリー山岳を多く通過するステージだけに、山岳賞狙いの選手も積極的に動いた。なかでも、トマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)とアレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ)は互いに意識しあっている様子。結果的に、デヘントが2級1つと3級2つを先頭通過。ジェニエスも3級1カ所で1位通過したため、レース終了時点で山岳ポイントで並んだが、上級カテゴリーでポイントを稼いだデヘントに山岳賞ジャージのモンターニャが渡った。

逃げメンバーによるステージ優勝が濃厚に

 メイン集団は、マイヨロホを着用してスタートしたナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア)擁するモビスター チームが終始コントロール。逃げグループとのタイム差を4分から5分で推移した。総合順位をジャンプアップさせる可能性のあるデラクルスが先行していたが、モビスター チームの動きには一気に追い上げようという気配は見られない。

序盤に形成された逃げグループ。やがて逃げ切りを濃厚とする Photo: Yuzuru SUNADA序盤に形成された逃げグループ。やがて逃げ切りを濃厚とする Photo: Yuzuru SUNADA

 残り距離が減るにつれ、逃げグループでは勝ちを意識した動きが起き始める。残り23kmでは、上りを利用してドリース・デヴェニンス(ベルギー、イアム サイクリング)とヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアル)がペースアップ。後に数人がデヴェニンスとバークランツに合流するが、これをきっかけに逃げメンバーが徐々に絞られていく。

 残り11kmとなったところでデヴェニンスが再びペースアップ。今度はデラクルスがチェックに出る。2人の動きに乗り遅れた選手たちは、たびたび追撃の姿勢を見せるが、アタックと牽制を繰り返す格好となってしまい、思うように追い上げることができない様子。

 最後の上りとなる2級のアルト・デル・ナランコでも2人のペースは衰えず。後続に約40秒のリードを得たところで、逃げ切りが濃厚となった。一方のメイン集団は、終盤に入りペースこそ上げたものの、先行する選手たちを捕まえる姿勢は見せず、そのまま逃げ切りを容認した。

ステージ優勝とマイヨロホを賭けてアタック

 デラクルスとデヴェニンスに絞られたステージ優勝争い。先頭交代を繰り返しながら淡々とフィニッシュを目指してきたが、いよいよ勝負のときがやってきた。

レース後の新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADAレース後の新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA

 勝敗が決したのはラスト600m。先頭交代をしようかというタイミングでデヴェニンスに勢いがないのを見るや、デラクルスが一気にアタック。デヴェニンスはレース後半にたびたびペースアップの動きを見せていたこともあってか、消耗が大きかったようだ。

 こうなるとデラクルスはステージ優勝のみならず、マイヨロホを賭けてのラストスパートに。最後の最後まで力強いペダリングを保って突き進んだ。フィニッシュラインを通過してからようやくガッツポーズを見せたのは、踏みやめることなく攻め続けた証拠だ。

 後続は、優勝を争ったデヴェニンスが27秒差の2位。逃げグループでレースを進め、終盤はデラクルスらを追走したモレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム)が33秒差の3位に入った。そのさらに後ろ、メイン集団は総合上位陣に絞られた状態でフィニッシュへとやってきた。最後はジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)がわずかにリードしてフィニッシュ。その他有力選手たちはいずれもデラクルスから2分56秒差でこのステージを終えた。

 この結果、マイヨロホはキンタナからデラクルスへと移ることが決まった。デラクルスは1位フィニッシュのボーナスタイム10秒に加え、124.6km地点に設けられた中間スプリントポイントも2位通過し2秒のボーナスを得ていたこともあり、総合では2位キンタナに22秒のリードとなった。

 プロ6年目、27歳のデラクルスはバルセロナ出身。3度目のブエルタ出場でうれしいステージ優勝とマイヨロホの獲得。レース後、記者からの質問に「最後の上りで(メイン集団に対し)2分は失うと予想していた。中盤以降に追い上げられることも考え、最大で8分はリードしておきたいと思っていた。ただ、そこまでのリードは得られなかったので、難しいレースになると思ったが、(ステージ優勝とマイヨロホの)両方を目指して走った」と答えた。マイヨロホを着て次のステージに臨むことについては、「簡単ではないが、ベストを尽くしたい」と述べ、できる限りジャージを守る構えだ。

総合首位のマイヨロホに袖を通したダビ・デラクルス。喜びに笑顔がはじける Photo: Yuzuru SUNADA総合首位のマイヨロホに袖を通したダビ・デラクルス。喜びに笑顔がはじける Photo: Yuzuru SUNADA

 ブエルタ第1週の最終日となる29日は、ルゴネスからラゴス・デ・コバドンガまでの188.7kmによる第10ステージが行われる。今大会最初の超級山岳であるラゴス・デ・コバドンガは、フィニッシュ前に最大勾配17.5%の激坂が現れる。また、10%前後の勾配が何度も出てくることから、レース展開に大きく影響することが予想される。総合争いにおいても、重要な局面を迎えることとなる。

第9ステージ結果
1 ダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ) 3時間47分56秒
2 ドリース・デヴェニンス(ベルギー、イアム サイクリング) +27秒
3 モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム) +33秒
4 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム) +51秒
5 マティアス・フランク(スイス、イアム サイクリング) +51秒
6 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ) +53秒
7 バルトシュ・フザルスキー(ポーランド、ボーラ・アルゴン18) +58秒
8 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) +1分4秒
9 ペリョ・ビルバオ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) +1分4秒
10 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム) +1分10秒
110 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +12分20秒
111 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +12分20秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ) 33時間46分24秒
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +22秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +41秒
4 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +49秒
5 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ) +1分19秒
6 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +1分38秒
7 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +2分1秒
8 ホンダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシングチーム) +2分6秒
9 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +2分7秒
10 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシングチーム) +2分8秒
103 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +1時間2分24秒
116 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +1時間8分9秒

ポイント賞(プントス)
1 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ) 60 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 53 pts
3 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム) 53 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 19 pts
2 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ) 19 pts
3 セルゲイ・ラグティン(ロシア、チーム カチューシャ) 10 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 ダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ) 14 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 31 pts
3 ホンダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシングチーム) 38 pts

チーム総合
1 エティックス・クイックステップ 100時間16分58秒
2 モビスター チーム +3分33秒
3 キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム +4分52秒

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