「未来への夢が持てるイベントに育てたい」TOJの栗村修ディレクター、運営の”苦労話”明かす 自活研セミナーで講演

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 アジア最高峰のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)の大会ディレクターで「Cyclist」の人気連載「“輪”生相談」でもおなじみの栗村修さんが8月23日、「ツアー・オブ・ジャパンのウラバナシ」と題して講演しました。今年から「京都ステージ」を加え、さらなる成長への夢を語る一方、厳しい台所事情など“苦労話”も明かしました。講演会を主催したNPO法人自転車活用推進研究会(自活研)理事・瀬戸圭祐さんのリポートでお届けします。

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自活研で講演する栗村修さん Photo: Keisuke SETO自活研で講演する栗村修さん Photo: Keisuke SETO

栗村少年考案「ツール・ド・住宅地」

 講演は栗村さんの自転車との出会いをめぐる話題から始まった。もともと中学校ではサッカー少年だったが、13歳の時にツール・ド・フランスの放送を見て、「ビビッっとキタ」という。「行動せねば、いても立ってもいられない」という気質の栗村さんが、仲間を集めて始めたのが、なんと「ツール・ド・住宅地」。川崎市内の住宅街の中を黄色いジャージを着て、クリテリウムのごとく走り回っていたそうだ。

栗村さんの講演に耳を傾ける参加者 Photo: Keisuke SETO栗村さんの講演に耳を傾ける参加者 Photo: Keisuke SETO

 未舗装や石畳の道路で有名な「パリ~ルーベ」が憧れだったらしく、特に雨の後の泥道でのレースごっこが大好きで、泥だらけの顔を勲章のように思っていたという。コースアウトして民家の庭に突っ込むなど、いまだから話せるエピソードなどを披露。

 「“より良い自転車社会”を目指す自活研でこのような話をするのは、ましてや日本自転車普及協会の主幹としても気が引ける」と言いつつも、サイクルロードレース解説の第一人者によるさすがの話術で集まった聴衆者を虜にし、会場を盛り上げた。

将来的にはワールドツアーへの昇格目指す

 今回で19回目を迎えるTOJは前身の「国際サイクルロードレース」を含めると1982年からすでに34年もの歴史があるアジア最高峰のステージレースだ。しかし現状について栗村さんは、「同じロードレースでも、オリンピックやサッカーワールドカップと並んで世界3大スポーツと称されるツール・ド・フランスとは比較の対象にも参考にもならない」と指摘する。例えばツール・ド・フランスのテレビの放映権料収入が推定数十億円程度であるのに対し、「TOJは逆にテレビ局にお金を払ってやっとBSで放送してもらえる」という実態を明かした。

「2022年頃には世界最高ランク、グランツールなどと同格のワールドツアー昇格を目指したい」と語る栗村さん Photo: Keisuke SETO「2022年頃には世界最高ランク、グランツールなどと同格のワールドツアー昇格を目指したい」と語る栗村さん Photo: Keisuke SETO

 ツアーの運営面でも、大会ディレクター自身が某チームカーのタイヤ交換をしたり会場設営に走り回ったりしながら、8日間色々な方面で頭を下げ、奔走しているというのが実態だという。

 一方で今年の観客動員数は、8日間で延べ36万5000人(主催者発表)と年々増え続けており、スタジアムなどの施設を必要とする他のスポーツに比べて「低コストで大きな集客効果がある」ことを強調。町おこしへの期待から、TOJを誘致したいという自治体は増加しており、「未来への夢が持てるイベントとして育てていきたい」と意欲を示した。

 そして「まずはワンランク上にあたる、UCI(国際自転車競技連合)最上級クラスの『オークラス』(HC)を目指し、さらに将来的には世界最高ランク、グランツールなどと同格のワールドツアー昇格を目指したい。そのためにはTOJと並ぶ自転車レースであるジャパンカップなどとの連携も視野に入れ、検討をしていかねばならない」と、夢を語った。

 四半世紀前にサッカーのJリーグを立ち上げた川淵三郎チェアマン(当時)のように、是非ともその夢を実現してもらいたいと思う。

(レポート:自転車活用推進研究会理事 瀬戸圭祐)

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