被災地の人々に勇気故郷、福島県双葉町の「希望の星」 リオ五輪男子ケイリン・渡辺一成に感謝の声

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 リオデジャネイロ五輪で東北ゆかりの選手たちが躍動している。卓球女子団体で仙台市出身、青森山田高出の福原愛(27)=ANA=が2大会連続のメダルを獲得。バドミントン女子ダブルスでは聖ウルスラ学院英智高(仙台市)出の高橋礼華(26)、松友美佐紀(24)組=日本ユニシス=が決勝に進出し、金メダルに王手をかけた。自転車男子ケイリンに出場した福島県双葉町出身の渡辺一成(33)=日本競輪選手会=は、予選で敗れたものの、福島第1原発事故の被害を受けた故郷の人々に勇気を与えた。(産経新聞福島支局・野田佑介)

リオデジャネイロ五輪男子ケイリンに出場した渡辺一成 =2016年8月16日 Photo: Yuzuru SUNADAリオデジャネイロ五輪男子ケイリンに出場した渡辺一成 =2016年8月16日 Photo: Yuzuru SUNADA

地元は原発事故で全町避難

 郷土の誇りを胸に、渡辺一成はバンクを駆け抜けた。年齢的に「最後」と位置付けて臨んだリオ五輪は予選敗退に終わったが、世界の強者に真正面から立ち向かう姿に、町民は感動を覚えた。「双葉の希望の星だ」「次は私たちが頑張る番」。復興へと歩む自分たちと重ね合わせ、遠く福島の地から感謝の言葉とねぎらいの拍手を送った。

 「さあ行け!」「ここから、ここから」-。8月16日夜、いわき市でのパブリックビューイング(PV)。日の丸のユニホームに身を包んだ渡辺がスクリーンに映し出されると、会場に詰めかけた約50人から大声援が飛んだ。

日本代表発表記者会見に出席した渡辺一成 =2016年4月6日、東京都内 Photo: Kyoko GOTO日本代表発表記者会見に出席した渡辺一成 =2016年4月6日、東京都内 Photo: Kyoko GOTO

 “3度目の正直”で挑んだリオの舞台は競技人生の集大成の場だった。8年前の北京ではチームスプリントで6位。前回のロンドンでも同種目8位と2大会連続で入賞した。だが、ロンドンで出場したケイリンでは11位に終わっていた。

 原発事故で全町避難が続く双葉町の実家は、福島第1原発からわずか3.5km。帰還の見通しが立たず荒廃が進む。自転車などの練習道具を置いていた場所は、放射線量の高い除染廃棄物などを保管する中間貯蔵施設の予定地になった。

「おまえが勝つと元気が出る」

 《自転車を続けていてもいいのか…》。震災後の迷いを拭い去ったのは、生まれ育った故郷の人たちの「おまえが勝つと元気が出る」という言葉だった。

男子ケイリンの渡辺一成 =2016年8月16日 Photo: Yuzuru SUNADA男子ケイリンの渡辺一成 =2016年8月16日 Photo: Yuzuru SUNADA

 息子の活躍を町民らとともに見守った両親は、神奈川県大和市で避難生活を送る。父、善行さん(67)は「精いっぱいやってくれた。ご苦労さんと言いたい」。母の知子さん(63)は「息子の姿が復興への力になれば」とねぎらった。

 会場には「郷土の風よ リオの風になれ!」と記された横断幕も。制作した岩野章一さん(67)は善行さんの友人で、渡辺はわが子のような存在だ。「五輪に3回も出るなんて並大抵じゃない。双葉の星だ。勇気をもらってるよ」

 渡辺のおいで中学2年の遠藤悠太郎君(14)は五輪で戦う叔父の姿に憧れ、競輪選手になると決めた。「僕が金メダルを取って、叔父さんにかけてあげる」。この日、その思いはさらに強くなった。

産経ニュースより)

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