ツール・ド・シンカラ 2016<下>キナンがチーム総合で2位表彰台 リカルド・ガルシアが個人総合3位獲得

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 キナンサイクリングチームが出場する「TOUR DE SINGKARAK」(ツール・ド・シンカラ、UCIアジアツアー2.2)は、8月14日の第8ステージで9日間の戦いに幕を下ろした。キナン勢は第3ステージで優勝したリカルド・ガルシア(スペイン)が個人総合3位を獲得し、またチーム総合も2位表彰台に輝いた。 (加藤智)

最終ステージ後、チーム総合2位の表彰を受けるキナンサイクリングチーム Photo: Satoru KATO最終ステージ後、チーム総合2位の表彰を受けるキナンサイクリングチーム Photo: Satoru KATO

第7ステージ 阿曽は惜しくも逃げ切りならず

8月12日 シジュンジュン-ダハルマサラヤ 133.8km

この日はスタート地点到着からスタートまでの時間が短いので、準備に大忙しだった Photo: Satoru KATOこの日はスタート地点到着からスタートまでの時間が短いので、準備に大忙しだった Photo: Satoru KATO

 第7ステージは、序盤にアップダウンが続き、3級山岳をひとつ越えた後はゴールまでほぼ平坦。

 スタート直後からアタック合戦が続き、30km付近で阿曽圭佑とサクソン・アーバイン(オーストラリア、データ#3シスコレーシングチームP/Bスコディ)の2人が抜け出す。2人は協調してペースを上げ、メイン集団との差は5分以上まで開く。

 残り30km地点で、先行する阿曽ら2人とメイン集団との差は5分40秒。このまま2人の逃げ切りかと思われたが、残り10km付近から2人の間でアタックの掛け合いが始まり、阿曽が脱落。阿曽は残り4kmでメイン集団に吸収される一方、アーバインはその後独走してステージ優勝した。

阿曽圭佑と逃げていたサクソン・アーバイン(オーストラリア、データ#3シスコレーシングチームP/Bスコディ)がステージ優勝 Photo: Satoru KATO阿曽圭佑と逃げていたサクソン・アーバイン(オーストラリア、データ#3シスコレーシングチームP/Bスコディ)がステージ優勝 Photo: Satoru KATO
悔しいレースとなった阿曽圭佑 Photo: Satoru KATO悔しいレースとなった阿曽圭佑 Photo: Satoru KATO
2位争いは集団スプリント。野中竜馬が4位に Photo: Satoru KATO2位争いは集団スプリント。野中竜馬が4位に Photo: Satoru KATO

 メイン集団では、2位争いのスプリント勝負に野中竜馬がチャレンジ。残り200mで番手からまくりにかかるが、わずかに届かず4位に終わった。

 キナンサイクリングチームの他のメンバーは無事集団ゴール。リカルド・ガルシアの個人総合3位をキープして、日曜の最終第8ステージを前に13日は休息日となっている。

メイン集団内でゴールしたリカルド・ガルシア Photo: Satoru KATOメイン集団内でゴールしたリカルド・ガルシア Photo: Satoru KATO
メイン集団でゴールした伊丹健治 Photo: Satoru KATOメイン集団でゴールした伊丹健治 Photo: Satoru KATO

●ジャイ・クロフォードのコメント
 スタートから速いペースの時間が続いて、みんなが逃げようとしていた。ピシュガマンは逃げに行かないと話していて、お前は行かないのか?と聞かれたから、日本人が行くよと話した。
 阿曽は逃げに乗ったけれど、アンラッキーだった。一緒に逃げたアーバインに良いように使われてしまったからね。でも良い経験になったと思う。野中のスプリントも良いチャレンジだった。チームとしては良い日ではなかったけれど、悪くない一日だった。
 最終ステージは今日と同じように逃げが出来るレースになるだろう。

スタート地点への移動前、くつろぐ阿曽圭佑と伊丹健治 Photo: Satoru KATOスタート地点への移動前、くつろぐ阿曽圭佑と伊丹健治 Photo: Satoru KATO

●阿曽圭佑のコメント
 最初からアタック合戦が続きなかなか決まらない状態から、30km前後のところでアーバインと2人で抜け出せました。下りと平坦を全開で踏んでいたのでタイム差が徐々に開き、ラスト30kmで5分40秒差だったので、これはいけると思いました。アーバインにこのままゴールまで行こうと言ったら勝負しろと言われ、ラスト10km過ぎたあたりから先頭交代のタイミングでアタックしてくるようになりました。最初は反応出来たけれど、2回目は足が残っていなくて反応しきれませんでした。逃げている間も、アーバインは余裕があるように見えました。
 最終ステージも逃げが出来るだろうから、もう一回チャレンジしたいと考えています。

●野中竜馬のコメント
 最後の位置取りもぴたりとはまって、自分の中では冷静にまくりに行こうと考えていました。けれど合わされてしまって、届かないと思ったところに1人差されてしまって4位でした。今日のスプリントが自信になったので、最終日もまたチャレンジしたいと思っています。できれば逃げて勝ちたいですね。

ゴールライン上でハンドルを投げあう野中竜馬 Photo: Satoru KATOゴールライン上でハンドルを投げあう野中竜馬 Photo: Satoru KATO
スタート前 補給用ボトルを冷やす氷を準備する森川マッサー Photo: Satoru KATOスタート前 補給用ボトルを冷やす氷を準備する森川マッサー Photo: Satoru KATO
スタート前 補給用ボトルを冷やす氷を準備する森川マッサー Photo: Satoru KATOスタート前 補給用ボトルを冷やす氷を準備する森川マッサー Photo: Satoru KATO
観客の写真撮影に応じるマルコス・ガルシア Photo: Satoru KATO観客の写真撮影に応じるマルコス・ガルシア Photo: Satoru KATO
地元の太鼓演奏 Photo: Satoru KATO地元の太鼓演奏 Photo: Satoru KATO

■第7ステージ結果
1 サクソン・アーバイン(オーストラリア、データ#3シスコレーシングチームP/Bスコディ) 3時間5分15秒
2 ジャマリディン・ヌアドラント(シンガ・インフィニテサイクリングチーム) +19秒
3 トーマス・フバード(データ#3シスコレーシングチームP/Bスコディ)
4 野中竜馬(キナンサイクリングチーム)
33 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +19秒
35 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +19秒
36 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +19秒
65 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +19秒
70 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +3分40秒

休息日にマッサージをうける阿曽圭佑 Photo: Satoru KATO休息日にマッサージをうける阿曽圭佑 Photo: Satoru KATO
休息日、おやつを探しに来たマルコス・ガルシア Photo: Satoru KATO休息日、おやつを探しに来たマルコス・ガルシア Photo: Satoru KATO

第8ステージ 6人揃って完走、リカルドが総合3位

8月14日 ブキティンギ-パダン 145.9km

 最終第8ステージは、ブキティンギから西スマトラ州の州都パダンまでの145.9km。途中、20.9km地点に標高1329mの超級山岳が設定されているが、スタート地点のパダンの標高が約900mあるので、実質的な高低差は400m程度。登った後は一気に下り、海岸にあるパダンまでは平坦。最後はパダン市内の海岸沿いに設定された6.5kmの周回コースを6周してゴールする。

スタートライン周辺は観客でにぎわう Photo: Satoru KATOスタートライン周辺は観客でにぎわう Photo: Satoru KATO
最後のスタートサインが揃った Photo: Satoru KATO最後のスタートサインが揃った Photo: Satoru KATO
20.9km地点のKOM、総合首位のアミール・コラドウズ(イラン、ピシュガマンサイクリングチーム)に、リカルド・ガルシアら上位勢が続く Photo: Satoru KATO20.9km地点のKOM、総合首位のアミール・コラドウズ(イラン、ピシュガマンサイクリングチーム)に、リカルド・ガルシアら上位勢が続く Photo: Satoru KATO

 実質的に個人総合順位は決まっているものの、序盤の超級山岳への上りに向けてリカルド・ガルシアら総合上位3人を含む数人が抜け出し、集団はバラけた状態で山頂をクリアしていく。その後下りで4人が抜け出して先行。個人総合順位に影響しないメンバーだったため、下りきったところで集団はペースダウン。上りで遅れた選手もここで集団に復帰した。

 レース終盤、ゴールのパダンを前にして、データ#3シスコレーシングチームP/Bスコディと、コレイル・サイクリングチームが集団を牽引して先行する4人を追う。しかし、最後の周回コースに入る前に両チーム共に牽引が崩壊。代わってキナンサイクリングチームが集団の前に出て牽引を開始した。

コースの上を通る道にも観客がいっぱい Photo: Satoru KATOコースの上を通る道にも観客がいっぱい Photo: Satoru KATO
海岸沿いに設定された最後の周回コース Photo: Satoru KATO海岸沿いに設定された最後の周回コース Photo: Satoru KATO
伊丹健治を先頭にメイン集団を牽引するキナンサイクリングチーム Photo: Satoru KATO伊丹健治を先頭にメイン集団を牽引するキナンサイクリングチーム Photo: Satoru KATO
逃げを吸収してのスプリント勝負はハンドルの投げ合い Photo: Satoru KATO逃げを吸収してのスプリント勝負はハンドルの投げ合い Photo: Satoru KATO

 周回コースに入った時点でのタイム差は約2分。そこから徐々に差を詰めていき、2周目からはデータ#3シスコレーシングチームP/Bスコディも協力して追走。残り2周の時点で約40秒差まで詰め、最終周回のストレートで逃げを吸収する。最後は集団スプリントとなり、シャフル・マトアミン(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)が優勝。このスプリント勝負に加わった野中竜馬は、行き場を失って前に出られず9位に終わった。

 キナンサイクリングチームのメンバーは、逃げ集団の追走に力を使った阿曽圭佑や伊丹健治が集団から遅れてゴールするも、全員が完走。9日間8ステージのレースを終えた。

 個人総合順位の上位勢はメイン集団内でゴールしたため、リカルド・ガルシアの総合3位が確定。優勝したアミール・コラドウズ(イラン、ピシュガマンサイクリングチーム)が、リーダージャージ、ポイント賞ジャージ、山岳賞ジャージの3賞を第4ステージ以降守り続ける強さを見せた。

スプリントで9位に入った野中竜馬 Photo: Satoru KATOスプリントで9位に入った野中竜馬 Photo: Satoru KATO
最終局面で集団を牽引したマルコス・ガルシア Photo: Satoru KATO最終局面で集団を牽引したマルコス・ガルシア Photo: Satoru KATO
ゴールする伊丹健治 Photo: Satoru KATOゴールする伊丹健治 Photo: Satoru KATO
ゴールするジャイ・クロフォード Photo: Satoru KATOゴールするジャイ・クロフォード Photo: Satoru KATO
ゴールする阿曽圭佑 Photo: Satoru KATOゴールする阿曽圭佑 Photo: Satoru KATO

■第8ステージ結果
1 シャフル・マトアミン(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム) 3時間16分57秒
2 チェン・シェンリャン(台湾、アクションサイクリングチーム) +0秒
3 ジャマリディン・ヌアドラント (インドネシア、シンガ・インフィニテサイクリングチーム)
9 野中竜馬(キナンサイクリングチーム)
19 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)
48 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)
63 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +2分28秒
67 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +3分23秒
71 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +4分31秒

■個人総合成績(最終)
1 アミール・コラドウズ(イラン、ピシュガマンサイクリングチーム) 26時間8分42秒
2 ダディ・スリャディ(インドネシア、トレンガヌサイクリングチーム) +1分22秒
3 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +2分55秒
7 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +9分4秒
29 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +29分52秒
48 阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム) +55分25秒
63 伊丹健治(キナンサイクリングチーム) +1時間8分24秒
68 野中竜馬(キナンサイクリングチーム) +1時間13分17秒

■チーム総合順位
1 ピシュガマンサイクリングチーム 78時間35分9秒
2 キナンサイクリングチーム +28分19秒
3 セブンイレブン・サーバ・RBP +35分27秒

■総合ポイント賞
1 アミール・コラドウズ(イラン、ピシュガマンサイクリングチーム) 39p
2 サクソン・アーバイン(オーストラリア、データ#3スコレーシングチームP/Bスコディ) 36p
3 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)

石田監督「ツール・ド・北海道で総合優勝を狙う」

個人総合の表彰式。リカルド・ガルシアが3位 Photo: Satoru KATO個人総合の表彰式。リカルド・ガルシアが3位 Photo: Satoru KATO

●リカルド・ガルシアのコメント
 総合3位で終われた事はとても嬉しい事だ。ここに来るまででかなり疲れていたけれど、レースをする中でコンディションを取り戻して行く事が出来た。チームはレース期間中を通してよく動けたと思うし、強いチームだと言う事を示せたのではないかと思っている。今後のレースでも強いところを見せ続けていけるようにしたい。

●マルコス・ガルシアのコメント
 チームとしては良い結果だったと思う。ステージ優勝や表彰台に乗れたし、リカルドの総合3位を守れた事も。次はジャパンカップに出るよ。

ポイント賞表彰式、リカルド・ガルシアが3位 Photo: Satoru KATOポイント賞表彰式、リカルド・ガルシアが3位 Photo: Satoru KATO
リカルド・ガルシアの表彰式の写真を撮るマルコス・ガルシア Photo: Satoru KATOリカルド・ガルシアの表彰式の写真を撮るマルコス・ガルシア Photo: Satoru KATO
観戦に来た子供連れの家族と Photo: Satoru KATO観戦に来た子供連れの家族と Photo: Satoru KATO

●野中竜馬のコメント
 今日の目標はリカルド(ガルシア)の総合3位を守る事と、自分がスプリントで勝つ事でした。何事もなければリカルドの総合3位は確実に守れるので、自分のスプリントに集中しました。伊丹さんと(阿曽)圭佑とジャイ(クロフォード)さんで回してもらって、他のチームにも加わってもらってギリギリでゴール前に追いつけたけれど、行き場を失った感じになってしまいました。最低でも表彰台と自分に言い聞かせていたのですが、そこまで行けなくて申し訳ないです。
 今回のシンカラでは、第7ステージのスプリントで良い形のイメージが掴めたので、今後もあの形に持ち込めるようにしていきたいと思っています。

●伊丹健治のコメント
 今回のシンカラは上りがきつくて苦しみましたけれど、自分の得意なコースで逃げにのって表彰台にも乗れたので、良かったと思います。チーム全体でも、毎ステージ誰かが表彰台に乗ったり、リカルドが総合3位になれたので良い結果が出せたのではないかと思っています。

9日間8ステージを終えた選手・スタッフと現地コーディネーターのオザさん Photo: Satoru KATO9日間8ステージを終えた選手・スタッフと現地コーディネーターのオザさん Photo: Satoru KATO
南野メカニックは共に闘ってきた他チームスタッフと記念撮影 Photo: Satoru KATO南野メカニックは共に闘ってきた他チームスタッフと記念撮影 Photo: Satoru KATO

●阿曽圭佑のコメント
 イジェンとフローレスで良いレースが出来たので、今回のシンカラでもチームとして何か出来ると思っていました。リカルドが総合3位になる事が出来ましたし、表彰台に乗ったステージも多かったので、良い結果だったと思います。
個人的には、シンカラに来る前のコンディションが良く、レースが始まってからも好調を維持出来ていました。第7ステージはあと少しで1位か2位というところまで行きましたが、そこで犯したミスを修正していけば、優勝も見えてくるのではないかと思っています。

チーム総合の表彰式 Photo: Satoru KATOチーム総合の表彰式 Photo: Satoru KATO

●石田哲也監督のコメント
 第4ステージでは、チームが発足して以来初めてリーダージャージを着てスタートする事になりました。今回のシンカラで一番厳しいコースだったので、守る事が出来れば自信になると思っていたのですが、相手(イラン、ピシュガマンサイクリングチーム)が強かったです。でも、序盤の第3ステージでリカルドが勝ってくれたおかげで、チームがまとまってくれたのは良かったと思います。
 今シーズンは、国内レースやアジアツアーなどがまだ残っていますが、まずは今回の経験を生かしてツール・ド・北海道では総合優勝を狙っていきます。しいては、来年のツール・ド・熊野に繋げていく事ができればと考えています。

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