飛行機輪行より手間いらず?開梱→乗り回すのに35分 キャニオン「エンデュレース CF SLX」を組み立ててみた <後編>

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 店舗などを介さず顧客へ直接販売するスタイルを取るドイツのバイクブランド「Canyon」(キャニオン)。オンラインで購入したバイクは、専用のダンボールで日本を含む各国の購入者へ直接送られ、届いたその日から乗れるのが魅力だ。ドイツ・コブレンツに位置するキャニオン本社を訪れた筆者は、好奇心でいっぱい。バイクの中身はどうなっているのか? 初心者でも上手に組み立てられるのだろうか? インターナショナル・マーケティングのヤコブ・ルードヴィッヒ氏にポイントやコツなどを教わりながら、実際に「エンデュレース CF SLX」の開梱作業を体験した。

←エンジニアが語った「エンデュレース CF SLX」<前編>

ヤコブ・ルードヴィッヒ氏と一緒にキャニオン「エンデュレース CF SLX」を完成させてみた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAヤコブ・ルードヴィッヒ氏と一緒にキャニオン「エンデュレース CF SLX」を完成させてみた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

残作業は前輪、シートポスト、ハンドルバーの取付け

説明や写真撮影を含めておよそ35分で完成。箱の中には、思っていたよりも簡単に組み立てられる工夫がいっぱいつめ込まれていた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA説明や写真撮影を含めておよそ35分で完成。箱の中には、思っていたよりも簡単に組み立てられる工夫がいっぱいつめ込まれていた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 結論から言うと、組み立てにかかった時間は、説明を聞いたり写真を撮ったりしながらも約35分。筆者にとっては、厳重な梱包を要する飛行機輪行に挑む際よりも手間がかからないという印象だ。その理由は、後輪はすでにセットされているから。後輪を外し輪行をする機会はこれまで何度もあったが、チェーンやディレイラー周りを操作することに対する苦手意識はいまだに抜けないため、とても助かった。

 キャニオンのバイクは工場内で一旦完成車の姿に組み上げられる。スタッフが工場内の試乗レーンを実際に走行し、変速、ブレーキ等の点検を行ってから、配送用に梱包される。そのため、エンデュレース CF SLXの場合、ユーザーは製品を受け取った後、前輪、シートポスト、そしてハンドルバーを組み付ける作業を行うことになる。付属の説明書は日本語なので安心だ。

 なおエンデュレース CF SLX向けに新開発されたハンドルバー「H31 エルゴコックピット」は、ステムと一体型になっている。

ドイツ・コブレンツの工場内でバイクを組んでいくキャニオンのスタッフ Photo: Canyonドイツ・コブレンツの工場内でバイクを組んでいくキャニオンのスタッフ Photo: Canyon
新開発されたハンドルバー「H31 エルゴコックピット」は、ステム一体型 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA新開発されたハンドルバー「H31 エルゴコックピット」は、ステム一体型 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ドイツ・コブレンツのキャニオン新工場で作業が進められる様子 Photo: Canyonドイツ・コブレンツのキャニオン新工場で作業が進められる様子 Photo: Canyon
工具その1。各種ビットも付属する Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA工具その1。各種ビットも付属する Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 同梱物には、日本語説明書のほか組み立てに必要な工具や輪行時にディスクブレーキの間に挟んでおくパーツなどが含まれる。付属する工具は2種類のトルクレンチ。ネジにあわせてビットを交換できるタイプのものと、固定サイズのL字型六角レンチだ。いずれも、ボルトを締める際にどの程度の力“N.m(ニュートンメートル)”を加えるべきかが分かる仕組みになっている。

 ステムを固定するためのボルトを締める際は的確な力加減が求められるが、ボルトの横に小さくN.mで数字が書かれていた。N.mが計測できるレンチを使えば、筆者でも程よい力加減で締め付けることができた。

N.m(ニュートンメートル)が計測できる目盛りが付いたレンチ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAN.m(ニュートンメートル)が計測できる目盛りが付いたレンチ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ホイールを外した際にディスクブレーキの間に挟むプラスチック製パーツ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAホイールを外した際にディスクブレーキの間に挟むプラスチック製パーツ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
細かな箇所に適した工具も付属する(※実際の説明書は日本語版) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA細かな箇所に適した工具も付属する(※実際の説明書は日本語版) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ポイントを押さえて効率的な開梱作業

(1)箱を開ける

 それでは、ダンボールを開けるところから、一連の作業を説明しよう。すぐ目に飛び込んでくるのは、「熱きサイクリストの世界へようこそ」という内容の英文。心待ちにしていた新車と対面する際に喜びを増幅させるメッセージとして、効果抜群だ。まずは付属品が入った箱を取り出す。フレームの真ん中を持つと、フレームに取り付けられているホイールやシートポストも全部一度に引き出せた。

早速乗りに出かけるイメージを膨らませながら開梱 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA早速乗りに出かけるイメージを膨らませながら開梱 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
フレームの真ん中を持つと全部きれいに引き出せる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAフレームの真ん中を持つと全部きれいに引き出せる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ダンボールを開けた扉には「熱きサイクリストの世界へようこそ」の英文。付属品の箱はまず最初に取り出す Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAダンボールを開けた扉には「熱きサイクリストの世界へようこそ」の英文。付属品の箱はまず最初に取り出す Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

(2)空き箱を使ってバイクを固定

 フロントフォークをダンボールの短辺の縁に引っ掛け、後輪には梱包で使われていたボール紙製のホイールホルダーをはめると、バイクが安定する。ホイール、シートポスト、ハンドルバーは、全てクッション材とベルクロが組み合わさったキャニオン独自の梱包グッズでまとまっている。外したベルクロテープ付き梱包グッズは、ダンボールと共にぜひとっておくことをオススメする。輪行時などに役立つはずだ。

ダンボールのサイドにフロントフォークを引っ掛ける Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAダンボールのサイドにフロントフォークを引っ掛ける Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ボール紙製のホイールホルダーは崩さず利用 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAボール紙製のホイールホルダーは崩さず利用 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ベルクロテープを用いた梱包グッズは輪行でも便利に使える Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAベルクロテープを用いた梱包グッズは輪行でも便利に使える Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

(3)ハンドルバーを取り付ける

高さの異なるスペーサーは、揃えて固定 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA高さの異なるスペーサーは、揃えて固定 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 ハンドルの高さを調節するスペーサーは、1cm高が2つ、続いて0.5cm高、0.25cm高が各1つずつ配されている。任意に調節をしつつ、フォークに対して一列にになるよう動かして揃える。

 付属のグリス(アッセンブリーペースト)を少し出してステムの内側とステアリングコラムに塗り、両者を組み付ける。ここでようやく工具を用意。トップキャップのボルトは、止まる程度に締め付ける。ハンドルがグラグラしなければOKだ。ステムのボルト2つは、ホイールを入れてからしっかり締め付けるので一旦保留。

工具はこの袋の中にも入っている Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA工具はこの袋の中にも入っている Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
フォークシャフトの内側 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAフォークシャフトの内側 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

(4)シートポストを取り付ける

 サドルはすでにシートポストに取り付けられているので、あとはシートクランプに差し込めばいいだけ。差し込まれるポスト部分に、やはり付属のグリスを塗りつける。ホイールを入れてから固定をするので、これも一旦保留。

梅ジャムみたいなグリス(食べられません) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA梅ジャムみたいなグリス(食べられません) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
差し込まれるポスト部分にまんべんなく塗る Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA差し込まれるポスト部分にまんべんなく塗る Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
サドルが取り付けられた状態のシートポストが同梱されている Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAサドルが取り付けられた状態のシートポストが同梱されている Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

(5)ホイールを入れて各部を締め付ける

 フロントホイールを入れたら、工具を使ってしっかりと締め付ける。あらかじめリアホイールに付いているスルーアクスルのレバーは、実は工具になるすぐれもの。付属品の工具のほかに、このスルーアクスルの工具でも締め付けられる。マグネット式で、強めに引くと外れる仕組みになっている。

 最後に、ステムのボルト2つをN.mが計測できるレンチで締め付け、高さを決めたサドルを固定したら、完成。ペダルを付け、空気圧をチェックしたりして、早速試し乗りを楽しんだ。

ディスクブレーキのホイールを扱ったのは初めての筆者 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAディスクブレーキのホイールを扱ったのは初めての筆者 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
スルーアクスルのレバーは外すと工具になるすぐれもの Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAスルーアクスルのレバーは外すと工具になるすぐれもの Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
フロントフォークをまっすぐに合わせる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAフロントフォークをまっすぐに合わせる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
的確な力加減が数字で書かれているので締め付けも安心 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA的確な力加減が数字で書かれているので締め付けも安心 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
サドルの高さを決めたら締付け Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAサドルの高さを決めたら締付け Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

◇         ◇

 自分で手がけた完成車は、出会ったその日から気持ちの入り様が違うかもしれない。人に例えるなら、初対面の恥ずかしさや話の分からなさがない感じ。そんなことを考えながらペダルを回していると、あの言葉がフッと浮かんできた――熱きサイクリストの世界へようこそ!

ドイツ・コブレンツのキャニオン本社で開梱作業を体験後に試し乗りを楽しんだ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAドイツ・コブレンツのキャニオン本社で開梱作業を体験後に試し乗りを楽しんだ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
シュルテ柄沢亜希シュルテ柄沢 亜希(しゅるて・からさわ・あき)

1982年生まれ、ドイツ在住。東京を拠点に4年間記者生活を送った後、フリーランスへ。書くこと、レポートすることが生きがい。執筆ジャンルは自転車・アウトドアアクティビティ、スポーツ、旅、食、アート、ライフスタイルなど文化全般。幼少期の5年間をドイツ・ハンブルクで過ごしたことがアイデンティティのベースにある。ブログ「ドイツのにほんじん」ほか、多媒体にて執筆中。

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