女子視覚障害者クラス・タンデム自転車鹿沼由理恵&田中まい、リオパラリンピックで世界選手権の力示す

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 リオデジャネイロ・パラリンピックが目前に迫ったいま、金メダル獲得が期待される自転車競技の日本代表がいる。視覚障害者の鹿沼由理恵(35)=楽天ソシオビジネス=は、パイロット役の競輪選手、田中まい(26)=日本競輪選手会=とタッグを組み、女子視覚障害クラス二人乗り用タンデム自転車に出場する。2014年、世界選手権のロード・タイムトライアルで優勝したあの熱い走りを、リオでも見せてほしい。 (サンケイスポーツ「サイクルnavi」より)

パラリンピックでの活躍を誓った鹿沼由理恵(左)と田中まいパラリンピックでの活躍を誓った鹿沼由理恵(左)と田中まい

壮行会で「メダル」誓う

 日本パラリンピック史上初となる「タンデム女子」出場の“切符”をつかんだ。そんな二人を応援する壮行会がこのほど、田中の出身地・千葉市内で開催され、120人超の支援者が駆けつけた。

 「スタートからゴールまで全力で走りきれば、順位という結果が付いてくる」と負けん気の強い鹿沼が口にすれば、「温かい言葉をたくさんいただいた。それを力に、しっかりメダルを取って帰ってきたい」とおっとりした性格と評される田中も力強く宣言した。

 鹿沼は、クロスカントリーで2010年のバンクーバー冬季パラリンピックに出場した“スーパーアスリート”。クロカンで鍛え上げた持久力を武器に、12年から自転車に転向した。競輪選手として活躍する田中が、前席でコース取りを担うパイロット役になったことでパワーアップ。14年、世界選手権優勝の快挙を成し遂げた。

伊豆ベロドロームの合宿での田中まい(前)と鹿沼由理恵の走行練習伊豆ベロドロームの合宿での田中まい(前)と鹿沼由理恵の走行練習

 右手痛を抱える鹿沼だが、けがのおかげで頭脳を駆使し、パイロットの田中と戦略を練る機会が増えたという。「手から学んでいる。他の選手より考える機会が多い」と“けがの功名”につなげることを誓った。

パワーの源は“日本”の存在

 競技へひたむきに取り組む鹿沼に、「こんな自分を必要としてくれている。全力で応えたい」と田中は、5月から9月末まで“本職”の競輪を休業する決断を下した。いまや、「練習を重ねるごとに課題が見つかり、レベルがどんどん上がっている」(田中)と実感している。

 8月から静岡県伊豆ベロドロームで合宿後、同月末頃、“舞台”へ向かう。田中は、お笑い芸人のDVDを持参し気分転換。鹿沼は、しそワカメのふりかけが必需品。大和なでしこにとって、“日本”の存在がパワーの源だ。

 もうひとつ、鹿沼には大切な“おまじない”がある。クロカン時代から、お世話になった人たちの名前を唱えながらレースに挑んでいるというのだ。自分だけでなく、支えてくれるすべての人たちのために…。

 「リオで全力で走って、これまで二人でやってこられたことに応えたい。あのメダルは奇跡ではないと証明したい」。鹿沼の熱い思いに、田中もうなずいた。お互いの存在をパワーに変え、リオの夏を駆け抜ける。

ペア“復活”、けんかするまでに絆強く

大輪の花を咲かせて!熊谷千葉市長が激励

 2020年東京五輪で3競技、パラリンピックで4競技の会場となる千葉市の熊谷俊人市長も壮行会に出席。「リオではメダルを獲得し、大輪の花を咲かせてほしい。力の限り応援します!」とエールを送った。

権丈監督、最高の舞台を演出

 鹿沼&田中は昨年、ペアを解消したが、パラリンピックを前にペアを“復活”。権丈泰巳監督は、「以前はお互いに気を使いすぎて、“これを言ってはまずいかな”と言葉に出さず距離があった」と明かした。だが、物理的に離れたことで、お互いの存在に感謝し、自分自身へのやる気が高まったという。いまや、けんかをするまでに絆は強まった。同監督は、「彼女たちが力を出し切るのが大前提。“ああしておけばよかった”と後悔をさせたくない」と最高の“サポーター”として舞台を演出する。

田中 まい(たなか・まい)

 1989(平成元)年12月25日生まれ、26歳。千葉市出身。一般社団法人日本競輪選手会千葉支部所属。千葉経大附高で自転車競技を始め、日体大4年時には全日本学生選手権個人追い抜きなどで優勝。12年に日本競輪学校に入学し、13年5月にプロデビュー。同年初勝利し、14年6月に初優勝。162cm、66kg。

鹿沼 由理恵(かぬま・ゆりえ)

 1989(平成元)年12月25日生まれ、26歳。千葉市出身。一般社団法人日本競輪選手会千葉支部所属。千葉経大附高で自転車競技を始め、日体大4年時には全日本学生選手権個人追い抜きなどで優勝。12年に日本競輪学校に入学し、13年5月にプロデビュー。同年初勝利し、14年6月に初優勝。162cm、66kg。

タンデム競技の基礎用語

 ◆タンデム自転車…複数の人が前後に座り、同時にペダルで駆動できる。通常は2人乗り
 ◆パイロット…前席でコース取りなどを担当。パラサイクリングでは、前席に健常者が乗る
 ◆ストーカー…英語で蒸気機関車に石炭をくべる機関助士の意。後席を示す。空気抵抗が少なく、ホイールベースが長いことから、1人乗りより高速走行に向き、安定性も高い。パラサイクリングでは、後席に視覚障害者が乗る。国際大会では、ポイントを後席の障害者だけに与え、ランキングも後席者の名前のみ記載

■リオパラリンピック大会概要

 ・大会ビジョン “A new world” ~新しい世界へ~
 ・大会期間 9月7日(開会式)~9月18日(閉会式)の計12日間
 ・開催地 ブラジル・リオデジャネイロ
 ・参加国・地域 170カ国以上
 ・開催規模 22競技528種目

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