トレーニングとメンテナンスは両輪ヨガインストラクター大宅陽子さん 体験に基づき「サイクリストヨガ」提唱 <前編>

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 パワーヨガやハタヨガなどさまざまな種類があるヨガだが、最近はサイクリストを対象としたヨガも登場し、注目を集めている。特別なカテゴリーではなく、サイクリストが主に使う筋肉や筋などのケアを集中的に行う、いわゆるメンテナンスのためのヨガだ。「サイクリストヨガ」を提唱するヨガインストラクターの大宅陽子(旧姓:若松)さんは、自身もサイクリストとしてヨガで身体の不調を克服した経験に基づき、ヨガを通じたメンテナンスの重要性を呼びかける。

「多くのサイクリストが身体の不調を気にせず自転車を長く楽しめるお手伝いがしたい」と話す大宅陽子さん Photo: Naoi HIRASAWA「多くのサイクリストが身体の不調を気にせず自転車を長く楽しめるお手伝いがしたい」と話す大宅陽子さん Photo: Naoi HIRASAWA

ケガから学んだメンテナンスの重要性

 かつては「ポタガール埼玉」としてイベントなどで活動する傍ら、ヒルクライムでの優勝経験をもつ実力者としても知られる大宅さん。NHKBS1の自転車情報番組『チャリダー☆』(毎週土曜18:00~18:25)内で発足した新ユニット「坂バカ女子部」の1人としても活躍する。

NHKBS1『チャリダー☆』の「坂バカ女子部」で活躍中の大宅陽子さん ©NHKNHKBS1『チャリダー☆』の「坂バカ女子部」で活躍中の大宅陽子さん ©NHK

 2年前、ヒルクライマーとしての才能を発揮し、全日本選手権出場に向けてトレーニングを開始したころ、突然背中から腰にかけての痛みに襲われた。さまざまな検査や治療を受けるも原因は不明。そんなところにヨガと出会い、たった1回の体験で症状が緩和したことに衝撃を受けた。「ここで学べば不調の原因も分かるかもしれない」と、すぐにヨガの受講を始めた。

 体調の改善を喜ぶ一方、「自分だけでなく、多くのサイクリストが身体の不調を気にせず自転車を長く楽しめるお手伝いができたら」という思いが高まり、自らヨガインストラクターになるための勉強を開始。2016年3月、「全米ヨガアライアンス200」の資格を取得し、さいたま市を拠点に「サイクリストヨガ」の教室を定期開催している。

サイクリスト特有の悩みに対応するヨガ

ヨガの導入部。ゆっくりと呼吸を繰り返しながら頸椎を伸ばす Photo: Naoi HIRASAWAヨガの導入部。ゆっくりと呼吸を繰り返しながら頸椎を伸ばす Photo: Naoi HIRASAWA

 ゆっくりとした深呼吸(腹式呼吸)を特徴とするヨガは、自律神経のバランスを調節しながら副交感神経のはたらきを活発にし、リラックス効果を高める作用をもたらすという。

 大宅さんによると「ヨガは身体と対話する時間」。ストレッチが身体の各パーツに物理的な刺激を与えて筋肉をほぐし、血行を改善することを目的としているのに対し、ヨガは心身の状態を総合的に確認する方法であるという。

 自転車は全身運動でありながら一定の姿勢を維持するため、首まわりや背中、腰を中心に強い負荷がかかり続けるという特徴がある。そのため、乗り手のクセによって疲労は同じ箇所に集中し、それに気付かず酷使し続けると身体の不調を引き起こす原因にもなる。特にホビーライダーの多くは週末に集中して高強度の運動をするため、蓄積した不調に気付かずに故障に陥る人も少なくないという。

ケガを克服し、自転車を再開した大宅陽子さん (大宅陽子さん提供)ケガを克服し、自転車を再開した大宅陽子さん (大宅陽子さん提供)

 「サイクリストヨガ」は、そうしたサイクリストの多くが訴える身体の不調や、負担のかかる箇所に効果的なヨガのポーズを取り入れ、プログラムとして構築した。大宅さんのプログラムは、自身の経験やサイクリストへのアンケート結果を反映させているのが特徴だ。

長く楽しめる自転車ライフをサポートしたい

 大宅さん自身、かつてケガをした当時は「強くなりたい一心で、練習時もペダリングを考えずに踏み、痛みを感じても気にしないようにしていた」という。

「メンテナンスはトレーニングと同じくらい大切」という大宅陽子さん Photo: Naoi HIRASAWA「メンテナンスはトレーニングと同じくらい大切」という大宅陽子さん Photo: Naoi HIRASAWA

 それが、ヨガによって関節や筋肉1つ1つに意識が向くようになった。乗り続けるためにはトレーニングと同じくらいメンテナンスが重要だということを身をもって知った。

 「スポーツは楽しむもの。故障して出来なくなるのではなく、ケガをせずに長く続けられることが重要」と大宅さん。「自身の身体を管理できるよう、まずは身体のパーツを意識することから始めましょう。筋肉が緊張しやすい部位がどこかを知るだけで、ライド時にもケアが可能になります」と強調する。

<後編>では、大宅さんの指導をもとに『Cyclist』編集部員が「サイクリストヨガ」を実践した様子をお届けします。

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