全日本MTB選手権クロスカントリー男子エリート五輪代表の山本幸平が「リオをイメージ」して貫禄勝ち 2020年へ若手の奮起促す

  • 一覧

 マウンテンバイク・クロスカントリーのリオデジャネイロ五輪代表、山本幸平(トレック ファクトリーレーシング)が2年連続8度目の全日本タイトルを手にした。身体の不調を感じながらもレース序盤から独走し、世界の舞台で戦う第一人者の実力を見せ付けた。約1カ月後に迫った3度目の五輪出場に向け、レース規模やコースとの相性のよさから「入賞を狙える」と自信を示した。

全日本マウンテンバイク選手権大会クロスカントリー男子エリートを制した山本幸平 Photo: Naoi HIRASAWA全日本マウンテンバイク選手権大会クロスカントリー男子エリートを制した山本幸平 Photo: Naoi HIRASAWA

山本を追う中原、平野

林のなかに設けられたYBPジャンプ Photo: Naoi HIRASAWA林のなかに設けられたYBPジャンプ Photo: Naoi HIRASAWA

 7月17日に長野県富士見町の富士見パノラマリゾートで開催された全日本マウンテンバイク選手権大会クロスカントリーは、1周4.6kmの特設コースが採用された。大小のアップダウンが連続するコースには、バイクに乗ったまま走るのが困難な泥の上りや、大きな岩が設けられた障害物など、さまざまなセクションが用意されている。最長距離を走るカテゴリーの男子エリートは2.79kmに短縮したスタートループ+6周回で争われた。

泥で滑りやすくなった上り Photo: Naoi HIRASAWA泥で滑りやすくなった上り Photo: Naoi HIRASAWA
ゲレンデに設けられたフィードゾーン(左) Photo: Naoi HIRASAWAゲレンデに設けられたフィードゾーン(左) Photo: Naoi HIRASAWA

 好スタートを切った山本、中原義貴(BH・SRサンツアー)、平野星矢(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)の3人を中心にレースは展開した。スタートループは山本と中原の2人が先頭パック、少し遅れて平野が続き、4位以下は引き離された。そして山本は中原のペースが落ちたタイミングで先頭に出た。

スタートを待つ男子エリートの有力選手たち Photo: Naoi HIRASAWAスタートを待つ男子エリートの有力選手たち Photo: Naoi HIRASAWA
男子エリートのスタート Photo: Naoi HIRASAWA男子エリートのスタート Photo: Naoi HIRASAWA
リフト下の急斜面を駆け上がる山本幸平(手前)と中原義貴 Photo: Naoi HIRASAWAリフト下の急斜面を駆け上がる山本幸平(手前)と中原義貴 Photo: Naoi HIRASAWA

 優勝を争う3人は、他の上位選手でもバイクを降りるようなマッドコンディションの上りをシッティングで駆け上がっていく。後続との差は広がっていき、優勝争いは3人に絞られた。

リオ五輪に向けた走りを意識し、終盤にペースを上げた山本幸平 Photo: Naoi HIRASAWAリオ五輪に向けた走りを意識し、終盤にペースを上げた山本幸平 Photo: Naoi HIRASAWA

 独走に持ち込んだ山本はリードを広げたが、決して思い通りの走りではなかったという。「ガシガシと踏んでいきたいけれど、あまり調子がよくない」と感じていたため、イーブンペースで引き離しにかかる。一時は1分ほどリードを奪った山本だが、レース後半に入ると平野の追い上げが始まった。平野は中原をパスすると、山本と30秒差まで詰め寄った。

泥で滑りやすい上りをバイクに乗ったままクリアする中原義貴 Photo: Naoi HIRASAWA泥で滑りやすい上りをバイクに乗ったままクリアする中原義貴 Photo: Naoi HIRASAWA
平野星矢が中原義貴を抜いて2位に浮上 Photo: Naoi HIRASAWA平野星矢が中原義貴を抜いて2位に浮上 Photo: Naoi HIRASAWA
ロックセクションを越える平野星矢 Photo: Naoi HIRASAWAロックセクションを越える平野星矢 Photo: Naoi HIRASAWA

「僕の走りはこんなものじゃない」

 平野が迫っていることを確認した山本は、「リオのことをイメージ」しながら力を振り絞った。終盤に再びリードを広げ、最後は平野との差を1分以上離してゴール。出走69人、完走13人というサバイバルレースを制した。

人さし指をかざし、勝利を喜ぶ山本幸平 Photo: Naoi HIRASAWA人さし指をかざし、勝利を喜ぶ山本幸平 Photo: Naoi HIRASAWA
男子エリート表彰式 Photo: Naoi HIRASAWA男子エリート表彰式 Photo: Naoi HIRASAWA

 山本はレースを振り返って「僕の走りはこんなものじゃない」とパフォーマンスを評価し、リオ五輪では本来の走りを発揮することを誓った。世界の舞台でトップ10入りを目指している山本は、リオ五輪は出場人数がワールドカップより少ないことが有利に働くと分析する。「スタート位置の混雑がないし、後半の粘り強さは自分の持ち味。スタートでいい集団に入れれば、入賞を狙えると思う」と意気込む。

 4年後の東京オリンピック出場も視野に入れているが「自分も出たいけれど、若手も育ってほしいという気持ちが半々」という心情も語った。自分が海外で経験したことを伝えていきながら、切磋琢磨できる選手が育って欲しいと、若手の奮起を促した。

全日本マウンテンバイク選手権大会クロスカントリー男子エリートを制した山本幸平 Photo: Naoi HIRASAWA全日本マウンテンバイク選手権大会クロスカントリー男子エリートを制した山本幸平 Photo: Naoi HIRASAWA

■男子エリート
1 山本幸平(トレック ファクトリーレーシング) 1時間39分18秒
2 平野星矢(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +1分23秒
3 中原義貴(BH・SRサンツアー) +2分37秒

末政が2年連続の2冠達成

 女子エリートと、男女のU23、マスターズ、ジュニアの7カテゴリーは混走でレースが行われた。スタートとほぼ同時に降り始めた雨が路面を濡らした。

 女子エリートでは、2015年にクロスカントリーとダウンヒルの2冠を達成した末政実緒(スラム・ライテック・プライベートパーク)がスタートループから独走体勢に入った。2番手に武田和佳(リブ)がつけ、小林可奈子(MTBクラブ安曇野)がそのすぐ後ろにつけるが、末政に大きなリードを許す展開となった。

女子エリートのトップを独走する末政実緒 Photo: Naoi HIRASAWA女子エリートのトップを独走する末政実緒 Photo: Naoi HIRASAWA
ゴール後、バイクを掲げて勝利を喜ぶ末政実緒 Photo: Naoi HIRASAWAゴール後、バイクを掲げて勝利を喜ぶ末政実緒 Photo: Naoi HIRASAWA

 雨はレース途中で上がったが、末政は路面が濡れたことで「自分のテクニックが生かせる」レースになったと考えて走っていたという。自分のペースを守りながら危なげない走りでゴールへたどり着き、フィニッシュラインでバイクを降りると、高く掲げて喜びを表現。クロスカントリーでは2年連続の優勝、前日に行われたダウンヒルでは17連覇を飾っており、2連続の2冠達成となった。

■女子エリート
1 末政実緒(スラム・ライテック・プライベートパーク) 1時間30分36秒
2 武田和佳(リブ) +2分55秒
3 小林可奈子(MTBクラブ安曇野) +3分17秒

U23は平林が初優勝

スタートで飛び出した男子U23の平林安里 Photo: Naoi HIRASAWAスタートで飛び出した男子U23の平林安里 Photo: Naoi HIRASAWA

 男子U23は平林安里(スペシャライズド レーシングジャパン)と前田公平(ビオレーサー・トンプソン)、竹内遼(ミヤタ・メリダ バイキングチーム)が先頭パックを形成し、そこから平林が抜け出した。平林を前田、竹内の2人が追う展開だったが、前田が負傷により脱落し、竹内の単独追走に。

 平林と竹内はともに1997年生まれで、ジュニアカテゴリーからU23に昇格後初めての全日本選手権。平林が大きなリードを守りきると、ゴール前で観客から声援を受けながらウイリーを披露し、U23カテゴリーでの初優勝を飾った。

ゴールでウィリーを披露した平林安里 Photo: Naoi HIRASAWAゴールでウィリーを披露した平林安里 Photo: Naoi HIRASAWA

■男子U23
1 平林安里(スペシャライズド レーシングジャパン) 1時間29分31秒
2 竹内遼(ミヤタ・メリダ バイキングチーム) +2分29秒
3 宮津旭(パックスプロジェクト) +5分15秒

■男子ジュニア
1 北林力(プロライド) 1時間16分16秒
2 織田聖(弱虫ペダル サイクリングチーム) +3分10秒
3 小林勇輝(イナーメ信濃山形) +3分54秒

■男子ユース
1 山口創平(プロライド) 58分32秒
2 神永真一(プロライド) +1分1秒
3 石川絃(サッサーズ) +1分37秒

■男子マスターズ
1 竹谷賢二(スペシャライズド レーシングジャパン) 1時間17分34秒
2 品川真寛(チーム ユーキャン) +1分7秒
3 多田尚史(チーム スポーツキッド)  +4分47秒

■女子U23
1 相野田静香(クラブ グロウ) 1時間21分17秒
2 中島崚歩(ウィアウィス) +2分2秒

■女子ジュニア
1 佐藤寿美(ミヤタ・メリダ バイキングチーム) 56分36秒
2 吉田雪那(チームBG8) +4分41秒
3 寺田早希(自転車村R) +6分14秒

■女子ユース
1 小林あか里(MTBクラブ安曇野) 47分54秒
2 松本璃奈(マシュン レーシング) +4分45秒
3 光永翔香(バイクルームシンMOMO) +5分16秒

■女子マスターズ
1 辻瑞穂(ハートビュー) 1時間6分49秒
2 久保田珠実(妄想自転車店) 4分36秒

この記事のタグ

MTBレース

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

サイクリストTV

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載

連載