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ツール・ド・フランス2016 第12ステージデヘントが逃げ切りでツール初勝利 終盤のアクシデントで遅れたフルームらに救済措置

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・フランス第12ステージは7月14日、モンペリエからシャレ・レナールまでの178kmで争われ、大人数の逃げから絞り込まれたステージ優勝争いをトマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)が制して、うれしいツール初勝利。一方で総合首位のクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)を含む3選手が最終盤にクラッシュして遅れるアクシデントが発生したが、救済措置によってフルームがマイヨジョーヌを守っている。新城幸也(ランプレ・メリダ)はトップから28分24秒差のグルペットで、183位でレースを終えている。

ツール初勝利となるステージ優勝を飾ったトマス・デヘント Photo: Yuzuru SUNADAツール初勝利となるステージ優勝を飾ったトマス・デヘント Photo: Yuzuru SUNADA

悪天候でフィニッシュ地が変更に

 7月14日はフランス革命記念日にあたり、ツール期間の中でも特にお祭りムードが高まる一日。主催者はこの日にふさわしい舞台として、“魔の山”モン・ヴァントゥーを組み込んだ。しかし、このところの強風と悪天候により、前日にはコースの一部カットが決定。山頂から6km手前のシャレ・レナールがフィニッシュ地点となった。

 それでもフランス人選手たちにとっては大事な日には変わりない。序盤から13人が逃げグループを形成。この中には、ベテランのシルヴァン・シャヴァネルや、若手スプリンターのブライアン・コカール(ともにフランス、ディレクトエネルジー)の姿も見られた。

ステフ・クレメントが先頭を引く逃げグループ Photo: Yuzuru SUNADAステフ・クレメントが先頭を引く逃げグループ Photo: Yuzuru SUNADA

 残り90km付近でメイン集団とのタイム差が18分を超えるなど、大きなアドバンテージを得た逃げメンバーは、超級山岳に向けて着々と進行した。超級山岳の本格的な上りを前に、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が逃げグループから飛び出したが、これは3kmほど進んで吸収。そして急斜面の登板が始まると、あっという間に逃げグループは崩れ、力のある選手だけが残る形となった。

 メイン集団では、残り85km付近から横風を利用した分断作戦が激しさを増した。これにより、山岳賞のマイヨアポワを着るティボ・ピノー(フランス、エフデジ)が後方に取り残された。

 しかし、メイン集団のコントロールを行っていたサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)が下りコーナーで落車。すぐ後ろを走っていたチーム スカイのアシスト陣が数選手巻き込まれてしまい、これを重く見たフルームがいったんメイン集団のスピードを落としアシストを復帰を待つことに。この影響で後方グループが再合流を果たし、実質振り出しに戻った形で終盤を迎えることとなった。また、総合上位陣ではファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)がメカトラブルで数回バイク交換を行ったが、こうした集団の動きによって事なきを得ている。

3人の勝負をデヘントがものにする

 最後の上りが始まると、ステージ優勝争いはデヘント、セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ)、ダニエル・ナバロ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)の3人に絞られた。デヘントは一度後退したが、残り5kmで再合流。そしてフィニッシュまで3.5kmとなったところで最初にアタックしたのはデヘントだった。これはパウェルスが追いつき、すかさずカウンターアタック。デヘントはチェックに動いたが、ナバロが遅れた。

 ステージ優勝の行方は2人のどちらかと見られたが、残り1kmを切って牽制が始まるとナバロが復帰。そのまま3人がフィニッシュ前へと現れ、最後はラスト200mからのスプリントでデヘントが勝利。パウェルスが2位、ナバロが3位で続いた。

 これまで逃げで数々の勝利を挙げてきたデヘントだが、ツールでは初めてのステージ優勝。また、このステージのカテゴリー山岳はすべて1位通過し、ポイントが2倍になる山頂フィニッシュ分も合わせて53ポイントを獲得。山岳賞争いでトップに浮上し、マイヨアポワに袖を通した。

観客が殺到したコースでアクシデント

 後続では総合上位陣による争いが繰り広げられた。最後の上りが始まると、ピエール・ローラン(フランス、キャノンデール・ドラパック)がアタックしたが、これはすぐに吸収。しばらくしてハルリンソン・パンタノ(コロンビア、イアム サイクリング)のアタックをきっかけに、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)が動き、それを集団が追ったことでペースが上がった。

 しばらくしてバルベルデは集団へと戻ったが、直後にチームメートのナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア)がアタック。総合争いでフルームのライバルになるキンタナのアクションには、チーム スカイのアシスト陣がしっかりと対応した。この動きによって、総合3位につけていたダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)が遅れ始めた。

 その後、キンタナ、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)、バルベルデが動きを見せたが、いずれも成功には至らない。そして、満を持してマイヨジョーヌのフルームがアタック。リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)とキンタナがこれに反応した。

 さらにフルームがアタックを繰り返すと、ポートは動きを合わせるがキンタナがついていくことができない。徐々に遅れ、やがて後続に捕らえられてしまった。代わって、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が飛び出し、フルームとポートへのブリッジに成功。モレマはそのまま前へと出てペースアップを図る。

 後続との差を広げようと、ハイペースで上るフルーム、ポート、モレマの3人。しかし、アクシデントは残り2kmを切ったところで発生した。

フィニッシュ目前でのアクシデント。(左から)リッチー・ポート、バウケ・モレマ、クリストファー・フルームが絡む落車 Photo: Yuzuru SUNADAフィニッシュ目前でのアクシデント。(左から)リッチー・ポート、バウケ・モレマ、クリストファー・フルームが絡む落車 Photo: Yuzuru SUNADA

 興奮した沿道の観客がコースをふさぎ、選手たちの前方を走っていたモトバイクが立ち往生。これにポートが突っ込んでしまい、フルーム、モレマが巻き込まれてしまった。モレマはすぐに立ち上がり再スタートを切ったが、ポートはその場でバイクを直しタイムロス。フルームに至ってはフレームが破損し走行不能となったため、バイクをその場に置いて走り出した。後続の選手たちも含んでコース上は大混乱に陥った。

 結局、被害がもっとも少なかったモレマが総合上位陣では最先着。他選手も続々とフィニッシュし、ポートも何とかたどり着いたが、フルームはニュートラルバイクのペダルがシューズのクリートと合わず、しばらくして追いついたチームカーからスペアバイクと交換。大きく遅れてフィニッシュラインを通過した。

バイクを持って走るクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADAバイクを持って走るクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

フルームとポートに救済措置

 ゴール後、この状況に審判団が協議を行い、長時間の話し合いの末にフルームとポートを救済するとの判断が下された。モレマのフィニッシュタイムが基準となり、フルームとポートは同着扱いに。モレマと後続とのタイム差が、そのままフルームとポートにも適用される格好となった。

長時間の協議の末、マイヨ・ジョーヌを守ったクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA長時間の協議の末、マイヨ・ジョーヌを守ったクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 これにより、フルームはマイヨジョーヌのキープが決定。総合2位のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)に対し、総合タイム差を47秒に広げている。

 また、好走を見せたモレマが総合3位に浮上。苦しい走りとなったキンタナの総合4位は変わらないが、フルームとのタイム差は1分1秒に広がっている。

 続く第13ステージは、今大会最初の個人タイムトライアル。起伏のある37.5kmの長距離TTとあって、総合上位陣のシャッフルもあり得る。ここまでのタイム差を元に、各選手がどのような走りを見せるかが注目される。

第12ステージ結果
1 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 4時間31分51秒
2 セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ) +2秒
3 ダニエル・ナバロ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) +14秒
4 ステフ・クレメント(オランダ、イアム サイクリング) +40秒
5 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー) +40秒
6 ベアトヤン・リンデマン(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +2分52秒
7 ダニエル・テクレハイマノット(エリトリア、ディメンションデータ) +3分13秒
8 セップ・ヴァンマルク(ベルギー、ディメンションデータ) +3分13秒
9 クリスアンカー・ソレンセン(デンマーク、フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト) +4分23秒
10 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +5分5秒
183 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +28分24秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 57時間11分33秒
2 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +47秒
3 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +56秒
4 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分1秒
5 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分15秒
6 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分39秒
7 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +1分44秒
8 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分54秒
9 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +1分56秒
10 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +2分11秒
140 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +2時間6分44秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) 309pts
2 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 219pts
3 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 202pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 89pts
2 ティボ・ピノー(フランス、エフデジ) 80pts
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ) 77pts

新人賞(マイヨブラン)
1 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) 57時間12分20秒
2 ルイ・メインティス(南アフリカ、ランプレ・メリダ) +1分42秒
3 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +3分41秒

チーム総合
1 BMCレーシングチーム 171時間28分49秒
2 モビスター チーム +3分50秒
3 チーム スカイ +7分42秒

敢闘賞
トマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)

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