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ツール・ド・フランス2016 第11ステージ風に乗ったサガンが鮮やかに逃げ切り 同調したフルームは総合リードを広げる

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・フランス第11ステージは7月13日、カルカッソンヌからモンペリエまでの162.5kmで実施。横風で激しい展開の中、ラスト12kmで飛び出したペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)が逃げ切り勝利。今大会2勝目を挙げた。このサガンの動きに、総合首位のマイヨジョーヌを着るクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が同調し、ライバルたちからタイム差を奪うことに成功している。日本勢唯一の参戦となっている新城幸也(ランプレ・メリダ)は、5分39秒差の179位でフィニッシュしている。

終盤にメイン集団から飛び出し、逃げ切ったペテル・サガン。ステージ優勝にしてやったりの表情 Photo: Yuzuru SUNADA終盤にメイン集団から飛び出し、逃げ切ったペテル・サガン。ステージ優勝にしてやったりの表情 Photo: Yuzuru SUNADA

連続コーナーと横風を利用して集団がペースアップ

 このところ内陸部や山岳を走ってきたツールは、ここで地中海に沿って東へと針路をとることとなる。おおむね平坦で、スプリンターに有利とされるレイアウトだが、「ミストラル」と呼ばれる地方風が思わぬ展開を呼び込むことがある。過去のツールでもたびたび波乱の要因となっている。

レースは前半からスピードの緩急が激しい展開となった Photo: Yuzuru SUNADAレースは前半からスピードの緩急が激しい展開となった Photo: Yuzuru SUNADA

 そして、その風は今回もレースに影響を及ぼすこととなる。フィニッシュまで90kmを残して、ティンコフが猛然とメイン集団のペースアップを図った。あっという間に縦長になり、ところどころで中切れも発生。はじめは連続するコーナーを利用しての動きだったが、やがて強い風を利用して数チームが集団のスピードを上げようと試み始めた。山岳賞のマイヨアポワを着るティボ・ピノー(フランス、エフデジ)や、前日のステージ覇者マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)らが後方に取り残される状況となった。

逃げたリー・ハワード(右)とアルチュール・ヴィショだったが、残り61kmでメイン集団に捕まってしまった Photo: Yuzuru SUNADA逃げたリー・ハワード(右)とアルチュール・ヴィショだったが、残り61kmでメイン集団に捕まってしまった Photo: Yuzuru SUNADA

 フランスロードチャンピオンのアルチュール・ヴィショ(エフデジ)とリー・ハワード(オーストラリア、イアム サイクリング)が逃げていたが、ハイスピードで突き進むメイン集団の勢いもあって、残り61kmで吸収されてしまった。この直後にはフルームが自らメイン集団の先頭交代に加わるシーンがあるなど、有力選手たちはそれぞれに集団から遅れをとらぬよう工夫してレースを進める必要性があった。

 その間、中間スプリントポイントをマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)が1位通過。サガン、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)と続いた。

サガンとフルームが鼓舞し合い逃げ

 その後メイン集団は新たな逃げを生み出すことなく、一団となって進む。とはいえ、風の影響で速いスピードのまま進み、ときおり中切れが発生しては後続が追いかける状況が繰り返された。

南フランス特有の並木道を行くプロトン Photo: Yuzuru SUNADA南フランス特有の並木道を行くプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

 それでも、有力選手たちはメイン集団にしっかりと位置していたこともあり、勝負はスプリントに委ねられると思われた。だが、残り12kmで思わぬ瞬間が訪れる。

 集団最前列からスルスルと抜け出したマチェイ・ボドナル(ポーランド、ティンコフ)の動きに合わせたのは、ポイント賞首位のマイヨヴェールを身にまとうサガン。落ち着かない集団を尻目に先行を試みる構えか。そして、その動きに合わせたのは、なんとマイヨジョーヌのフルーム。ワンテンポ遅れてチームメートのゲラント・トーマス(イギリス)も加わり、4人の先頭グループができあがった。

 巡航力に定評があり、タイムトライアル(TT)でも力を発揮する4人がチームTT並みの先頭交代を繰り返す。ステージ優勝とともにポイント加算でマイヨヴェールを磐石にしたいサガン、総合でのリードを広げたいフルーム、そしてそれぞれのアシストとして貢献するボドナルとトーマス。4人の利害は一致した。思うように統制がとれないメイン集団の一方で、一糸乱れぬ4人のローテーション。残り2kmでタイム差は17秒にまで広がり、逃げ切りが濃厚となった。

驚きのステージ2位となったクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA驚きのステージ2位となったクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 ラスト1kmのフラムルージュを通過してからは、フルームが強力に牽引。続いて、ボドナルがラスト300mからリードアウトを開始して、満を持してサガンがスプリントを開始。その動きにはフルームが合わせたが、スピードに勝るサガンが余裕のステージ優勝。してやったりの表情でフィニッシュラインを通過した。

 思いがけないリーダージャージ2人のアタック。メイン集団は6秒差まで迫るのが精一杯だった。レース後にサガンは「クレイジーな風だったね。こんな展開になるとは思わなかった」と驚きを隠せない。さらに、「フルームとトーマスが合流した時点で、そのままフィニッシュを目指せる手ごたえがあった。互いに“GO、GO、GO”と声を掛け合ったんだ」と先頭グループの状況を説明した。

総合、ポイント賞ともにリードを広げる

フィニッシュ後、報道陣に囲まれるペテル・サガン Photo: Shusaku MATSUOフィニッシュ後、報道陣に囲まれるペテル・サガン Photo: Shusaku MATSUO

 サガンはステージ優勝と中間スプリントで得たポイントを加算し、309ポイントとした。マイヨヴェール争いのライバルであるカヴェンディッシュが、このステージでは終盤にメカトラブルに見舞われ、フィニッシュでのポイント獲得ならず。その差を90ポイントにまで広げている。

 総合争いでは、フルームがフィニッシュでのタイム差とステージ2位のボーナスタイム6秒とを合わせ、2位のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)との差を28秒と拡大。総合上位陣では、5位につけていたホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)と、9位のルイ・メインティス(南アフリカ、ランプレ・メリダ)がメイン集団からも遅れ、それぞれトップ10圏外へとランクダウンしている。

◇         ◇

 フランス革命記念日にあたる14日に行われる第12ステージは、フィニッシュ地に予定されていた超級山岳モン・ヴァントゥーが猛烈な風のため、6km手前のシャレ・レナールに変更となることが主催者によって発表されている。

第11ステージ結果
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) 3時間26分23秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +0秒
3 マチェイ・ボドナル(ポーランド、ティンコフ) +0秒
4 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +6秒
5 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) +6秒
6 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) +6秒
7 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) +6秒
8 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) +6秒
9 ソンドレ・ホルストエンゲル(ノルウェー、イアム サイクリング) +6秒
10 オリヴル・ナーセン(ベルギー、イアム サイクリング) +6秒
179 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +5分39秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 52時間34分37秒
2 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +28秒
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +31秒
4 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +35秒
5 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +56秒
6 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +56秒
7 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +56秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分13秒
9 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +1分13秒
10 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ) +1分28秒
131 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +1時間43分25秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) 309pts
2 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 219pts
3 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 202pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ティボ・ピノー(フランス、エフデジ) 80pts
2 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ) 77pts
3 トム・デュムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) 58pts

新人賞(マイヨブラン)
1 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) 52時間35分5秒
2 ルイ・メインティス(南アフリカ、ランプレ・メリダ) +1分42秒
3 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +2分35秒

チーム総合
1 BMCレーシングチーム 157時間33分0秒
2 モビスター チーム +6分34秒
3 チーム スカイ +8分44秒

敢闘賞
アルチュール・ヴィショ(フランス、エフデジ)

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