ドレスコードはサイクルジャージ熊本の被災サイクリスト、地元のために「チャリTeaライブ」開催 売り上げを県に寄付

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
  • 一覧

 熊本地震から約3カ月がたった。地震は少なくなったが、自転車で走れない道もまだ多く、観光地の風評被害も依然深刻だ。そんな状況を少しでも打開しようと、熊本在住のサイクリスト3人が7月9日、熊本県南小国町で地元のために義援金を募る「チャリTeaライブ」を開催した。会場には九州各地からサイクリストが集まり、ギター1本の伴奏による生演奏を堪能した。ライブのチケット代として集まった募金とグッズの売り上げは熊本県に義援金として寄付された。

お気に入りのサイクルジャージを着てデュエットする森山夏子さんと福島雄二さん Photo: Sayako TAKATAお気に入りのサイクルジャージを着てデュエットする森山夏子さんと福島雄二さん Photo: Sayako TAKATA

ボーカルはRAPHAイベントで活躍の森山さん

 ライブを企画したのは熊本県内の3人のサイクリスト。阿蘇市在住でボーカル担当の森山夏子さんと、熊本市在住でギターとボーカル担当の福島雄二さん、そして会場の日本茶カフェ「Tea room 茶のこ」オーナーの松崎猛さんだ。松崎さんは2014年の「RAPHA GENTLEMEN’S RACE in OGUNI」の運営にも携わり、店には九州各地から観光客はもちろん、多くのサイクリストが訪れる。自転車好きが集まるという企画の狙いと店名にかけて、ライブは「チャリTea ライブ」と命名した。

福岡を拠点にしたチーム「MOZU COFFEE」の一員としても活躍する森山夏子さん Photo: Mami HIROWATARI福岡を拠点にしたチーム「MOZU COFFEE」の一員としても活躍する森山夏子さん Photo: Mami HIROWATARI

 ボーカルの森山さんは福岡を中心に活動する自転車チーム「MOZU COFFEE」のメンバーでRAPHAの女性イベント「WOMEN’S100」で昨年はライドリーダーを務めた。仕事をしながら、以前住んでいた熊本市や阿蘇市で定期的にライブで歌ってきた。今回の震災は阿蘇市で被災し、しばらく熊本市の知人宅に身を寄せていたという。

ギターは熊本自転車界のレジェンド

 ギター&ボーカルの福島さんは2015年の全日本マスターズ1kmTTで優勝、日本記録も保持している。6月のツール・ド・宮古島114kmの部でも20代、30代に混じって3位に入っており、来年還暦を迎える熊本自転車界のレジェンド的存在だ。不動産会社を経営し、震災後は管理するマンションや駐車場の復旧に追われる一方で、遠方から支援物資を運んだり、福岡の自転車店「正屋」の前でサイクリストを集め被災地支援路上ライブを行ってきた。ギターは8年前から本格的に始め、休みのたびに毎月、老人養護施設などでボランティア演奏している。

2015年の全日本マスターズ選手権トラック競技1kmTTで日本一となった福島雄二さん(福島さん提供)2015年の全日本マスターズ選手権トラック競技1kmTTで日本一となった福島雄二さん(福島さん提供)

 緑に囲まれ、落ち着いた和モダンの会場で、長崎、熊本を中心に22人のサイクリストが観客として集まった。ドレスコードはサイクルジャージ。演奏者はもちろん、観客のほぼ全員が所属チームやお気に入りのチームのジャージを着てライブを盛り上げた。

 2人はお互いの自己紹介を軽く済ませると、松田聖子の「あなたに逢いたくて」や、ゆずの「栄光への架け橋」など7曲をデュエット。その後、福島さんがソロで3曲、特別ゲストとしてオーナーの松崎さんと福島さんのコラボを1曲、そして、最後にまた森山さんと福島さんが3曲ほど歌った。

震災の被害状況も報告

緑が差し込む暖かい内装の店内に森山夏子さん(中央)、福島雄二さん(右)の歌声が響いた Photo: Takeshi MATSUZAKI緑が差し込む暖かい内装の店内に森山夏子さん(中央)、福島雄二さん(右)の歌声が響いた Photo: Takeshi MATSUZAKI

 曲と曲の間のトークでは、自身や熊本県内の震災被害状況に触れつつも、ロードレースの練習での出来事などもとりあげ、明るく場を盛り上げた。ライブ前に2人そろっての合同練習はほとんどできず、しかも、福島さんも初めてのデュエットだったが、曲を重ねる毎にハーモニーがそろっていった。

 温かな雰囲気の店内中で、2人の歌声とギターの音がマイクなしでも優しく響いた。演奏中を涙する女性客もいて「ライブ冥利に尽きます。私はそんなに上手ではないけれど、その分、気持ちを込めて歌っています」と福島さんは話した。

 森山さんも「阿蘇に足を運んでもらうきっかけの一つになればと企画しました。いつもお世話になっているお店で、自転車と音楽とチャリティを盛り込んだイベントができたことがうれしかった。協力してくれたみなさん、参加してくれたみなさんに感謝です」と笑顔で話した。

オリジナルサイクルキャップなどのグッズも販売。売り上げは全額、熊本県に寄付された Photo: Sayako TAKATAオリジナルサイクルキャップなどのグッズも販売。売り上げは全額、熊本県に寄付された Photo: Sayako TAKATA
ライブ後には全員で仲良くディナーを楽しんだ Photo: Sayako TAKATAライブ後には全員で仲良くディナーを楽しんだ Photo: Sayako TAKATA

 観客の1人、田方佐矢子さんは長崎から友人10人と駆けつけた。「普段、生歌を聴く機会はあまりなく、被災された方々のためになればという気持ちで訪ねましたが、逆に被災された方々の歌声で日頃の疲れを癒され、笑顔をもらった。また頑張っていこうという気持ちになりました」と出演者に感謝した。

 会場を提供した松崎さんは、「私も含め演奏者の家の被害は軽度でしたが、生活は大きく変わりました。プロでもないのにお金を払って遠方からも観に来てくれた皆さまには感謝しきれません。まだまだ厳しい状況が続きますが、少しでも前に進もうという勇気をもらいました」と話した。

 会場では、「茶のこオリジナルサイクルキャップ」や大阪の古着屋兼サイクルウェアショップの「Chan Nu」のボトル、サイクルキャップ、Tシャツなどが販売され、売り上げは、全額義援金として熊本県に寄付された。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

熊本地震 熊本復興支援

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載