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ツール・ド・フランス2016 第10ステージマシューズが小集団スプリントを制す チームプレーが生んだツール初勝利

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 ツール・ド・フランス第10ステージが7月12日に開かれ、逃げ切った小集団でのゴールスプリントでマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)がツール初のステージ優勝を飾った。個人総合上位勢の順位に変動はなく、日本の新城幸也(ランプレ・メリダ)はメイン集団内で56位でゴールした。

少人数でのゴールスプリントでステージ優勝を挙げたマイケル・マシューズ Photo: Yuzuru SUNADA少人数でのゴールスプリントでステージ優勝を挙げたマイケル・マシューズ Photo: Yuzuru SUNADA

サガン、マイヨヴェールを奪取

 ピレネー最後のステージは、休息日を過ごしたアンドラのエスカルダス・アンゴルダニから、フランスのルヴェルまでの197km。スタート直後から今大会の最高地点、標高2408mの1級山岳アンバリラ峠の上りが選手たちを待ち受ける。24km地点で頂上を迎え、そこから長い下りへ。コースの中盤にはカテゴリー山岳はなく、ゴールまで7kmの地点に3級山岳が設けられている。下ってからの残り3kmはほぼ平坦なコースとなる。

出走サインを終えたクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA出走サインを終えたクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA
リオ五輪での引退を発表したホアキン・ロドリゲス。地元アンドラの声援を受け、スタート地点に向かう Photo: Shusaku MATSUOリオ五輪での引退を発表したホアキン・ロドリゲス。地元アンドラの声援を受け、スタート地点に向かう Photo: Shusaku MATSUO
スタート直後から積極的な走りを見せたルイ・コスタ Photo: Yuzuru SUNADAスタート直後から積極的な走りを見せたルイ・コスタ Photo: Yuzuru SUNADA

 アンバリラ峠ではペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)らの積極的な動きで逃げ集団が生まれた。そこからルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)がアタックし、先頭で通過した。

 長い下りを経て、逃げ集団は15人になっていた。サガンらトップスプリンターや、ニバリをはじめとする登坂力のある選手など、脚質の異なる有力選手で構成された強力な集団。このなかに、オリカ・バイクエクスチェンジはマシューズとルーク・ダルブリッジ(オーストラリア)、ダリル・インピー(南アフリカ)の3人を送り込んだ。

 メイン集団はリラックスした様子で、峠を下りきった時点では逃げ集団とのタイム差は1分半程度だったが、平坦な区間に入ると大きく広がっていった。

 毎年ポイント賞の「マイヨヴェール」を狙うサガンは、山岳ステージでポイントを積み重ねるのが得意の戦略。中間スプリントポイントが近づいてくると、単独で集団から抜け出し、争うことなく1位通過。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)から首位の座を奪い返した。上位につけているマシューズは、集団の先頭を確保して2位通過した。

オリカ勢の連携攻撃

逃げに加わったヴィンチェンツォ・ニバリ(先頭) Photo: Yuzuru SUNADA逃げに加わったヴィンチェンツォ・ニバリ(先頭) Photo: Yuzuru SUNADA

 残り25km、15人のままレースを展開していた逃げ集団で、サガンがペースを上げたことで中切れが起きた。横風が吹くなか7人が前方に残り、ニバリやミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ)が取り残されないよう追いかけたが、差を詰めきれずにちぎれていった。

 ニバリらが脱落し、先頭集団はスプリンターの多い構成になった。サガンとマシューズ、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、フレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)、サミュエル・デュムラン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)というスプリント力のある選手と、マシューズのチームメイトであるダルブリッジとインピーという7人だ。

 メイン集団はペースを落として逃げ切りを容認し、優勝は先頭集団に絞られた。オリカ勢やサガンがローテーションし、なかでもタイムトライアルスペシャリストのダルブリッジが牽引する時間が目立った。

ステージ優勝本命のペテル・サガンが自ら逃げ集団を牽引 Photo: Yuzuru SUNADAステージ優勝本命のペテル・サガンが自ら逃げ集団を牽引 Photo: Yuzuru SUNADA

 3級山岳に入ると、サガンのアタックによってダルブリッジが脱落した。それでも、サガンの攻撃が止むとインピーがカウンターアタックを仕掛け、サガンの脚を奪いにかかった。サガンにチェックされながらインピーが何度もアタックし、マシューズはサガンの後ろをマーク。ヴァンアーヴルマートらが後方で脚をためていることも意に介さず、サガンにターゲットを絞っている様子だ。

 下りではテクニックとスピードに優るサガンを先頭に、その他のメンバーは離されないよう食らいつく。ボアッソンハーゲンがアタックを試みたがサガンにつぶされ、6人のまま最後の平坦区間へ突入した。

念願の1勝「夢がかなった」

 インピーが先頭を引き、その後ろにサガン、マシューズ、ボアッソンハーゲン、デュムラン、ヴァンアーヴルマートという並びでゴール前の直線へ。コース左側を一列に走りながら、残り300mでヴァンアーヴルマートが腰を上げ、スプリント勝負が始まった。

 ヴァンアーヴルマートの動きに、ボアッソンハーゲン、デュムラン、サガンが反応した。サガンマークのマシューズは前を4人に塞がれる形になったが、先頭に立ったヴァンアーヴルマートのスリップストリームに入ると、ラインをコース右側に変えながら加速。そのスプリントを後ろから見ていたインピーの表情は笑顔に変わり、マシューズも勝利を確信すると両手を広げてフィニッシュ。インピーもガッツポーズでゴールへ飛び込んだ。

 マシューズは2013年ブエルタ・ア・エスパーニャでのグランツール初勝利から、ジロ・デ・イタリアと合わせてグランツールで5勝を挙げてきた。ツールでは過去2年、負傷による不出場や大会序盤での落車で結果を残せなかったが、念願の1勝を「夢がかなった」と喜んだ。また、アシストしてくれた2人のチームメイトについて「彼らは全てを捧げてくれた。言葉にならない」と称賛した。

 メイン集団は終盤に逃げを容認しペースをゆるめ、9分39秒差でゴール。総合上位勢の争いに変動はなかった。

第10ステージ結果
1 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ) 4時間22分38秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) +0秒
3 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チーム ディメンションデータ) +0秒
4 フレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) +0秒
5 サミュエル・デュムラン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +0秒
6 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・バイクエクスチェンジ) +2秒
7 ルーク・ダルブリッジ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ) +1分10秒
8 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム) +3分1秒
9 ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター チーム) +3分10秒
10 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) +3分10秒
56 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +9分39秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 49時間8分20秒
2 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +16秒
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +19秒
4 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +23秒
5 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +37秒
6 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +44秒
7 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +44秒
8 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +44秒
9 ルイ・メインティス(南アフリカ、ランプレ・メリダ) +55秒
10 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分1秒
123 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) 50時間46分0秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) 242 pts
2 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チーム ディメンションデータ) 204 pts
3 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 182 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ティボ・ピノー(フランス、エフデジ) 80 pts
2 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ) 77 pts
3 トム・デュムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) 58 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) 49時間8分36秒
2 ルイ・メインティス(南アフリカ、ランプレ・メリダ) +39秒
3 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +2分35秒

チーム総合
1 BMCレーシングチーム 147時間13分33秒
2 モビスター チーム +6分20秒
3 チーム スカイ +8分50秒

敢闘賞
ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)

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