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雨と寒さ…最大の敵は悪天候アジア初のUCI公認グランフォンド「ニセコクラシック」 140km総合は松田究が優勝

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 北海道・ニセコで7月10日、第3回「ボードマン ニセコクラシック」が開催された。国際自転車競技連合(UCI)によるアマチュアライダー向けロードレースのシリーズ戦「UCIグランフォンドワールドシリーズ」の公認大会で、140kmクラス総合は松田究(きわむ)(ライドファクトリー)、70kmクラス男子総合は高校生の池辺刀那(かたな)(MUUR-ZERO)、70km女子総合は米田和美(Cherry Japan)がそれぞれ優勝した。

北海道出身・在住の松田究(ライドファクトリー)が140kmクラスを制した Photo: Kyoko GOTO北海道出身・在住の松田究(ライドファクトリー)が140kmクラスを制した Photo: Kyoko GOTO

栗村修さん「運営体制も本物のレース」

 「ニセコクラシック」はこれまで2014年、15年と2回開催されており、距離は140kmと70kmの2クラスで構成。ライダーは8つの年齢別カテゴリーに分けられた(19-34、35-39、40-44、45-49、50-54、55-59、60-64、65+)。アマチュア大会とはいえ、一般公道を規制した本格的な山岳コースが特徴で、今大会からUCIの公認レースとなったことも影響し、今大会は140kmと70kmと合わせて過去最多の総勢670人の参加者が出走。前回大会から一気に200人以上の増員となった。

前日のライダーズミーティングの様子。大会の諸注意について説明が行われた 提供:ニセコクラシック実行委員会前日のライダーズミーティングの様子。大会の諸注意について説明が行われた 提供:ニセコクラシック実行委員会
ライダーズミーティング終了後、ゲストライダーのシエルボ奈良・小渡 健悟選手らが経口補水液「OS-1」を参加者全員に手渡しした Photo: Kyoko GOTOライダーズミーティング終了後、ゲストライダーのシエルボ奈良・小渡 健悟選手らが経口補水液「OS-1」を参加者全員に手渡しした Photo: Kyoko GOTO

 大会前日に行われたライダーズミーティングでは、所狭しと会場に選手たちが詰め掛け、レース当日の諸注意に耳を傾けていた。

 国際的なアマチュアレースとあって脱水症対策などの注意喚起も徹底されており、ミーティング終了後とレース終了後に、計850本の経口補水液「OS-1」が配布されていた。

重たい濃霧に包まれた140kmクラスの開会式 Photo: Kyoko GOTO重たい濃霧に包まれた140kmクラスの開会式 Photo: Kyoko GOTO

 UCIは、これまでの「UCIマスターズ・アマチュアグランフォンドシリーズ」を2016年からグランフォンドワールドシリーズへと改称。9月に「UCIグランフォンド世界選手権」を開くとともに、世界各地を転戦する14のシリーズ戦を世界選手権の予選レースに位置づけており、ニセコクラシックアジア初の予選レースとして開催された。この予選大会で各年代の上位25%以内にフィニッシュすれば、9月にオーストラリアのパースで開かれる世界選手権の出場権を得ることができる。

140kmに出走する海外の女性ライダーたち Photo: Kyoko GOTO140kmに出走する海外の女性ライダーたち Photo: Kyoko GOTO
140kmクラスがニセコ・グランヒラフからスタート。シエルヴォ奈良の小渡 健悟(右)と西沢 倭義(後ろ中央)もゲストライダーとして出走 写真提供:ニセコクラシック実行委員会140kmクラスがニセコ・グランヒラフからスタート。シエルヴォ奈良の小渡 健悟(右)と西沢 倭義(後ろ中央)もゲストライダーとして出走 写真提供:ニセコクラシック実行委員会

 当日は生憎の悪天候に見舞われたが、出走するライダーたちも「通常なら雨予報が出た時点で出場を断念するが、今回はUCI公認レースだから」と、ただならぬ意気込み。海外から参加するライダーの姿も多く見られたほか、完全アマチュアレースながら出走者リストには表彰台の常連ともいえる面々が名を連ね、熾烈な優勝争いが予想される大会となった。

 ゲストライダーとして招かれた栗村修さんも70kmクラスの開会式で「ツール・ド・北海道をコントロールしているコミッセールやスタッフの方々がそのままこの会場に来られていて、大会運営からも本物のレースなのだと実感した」とコメントした。

70kmクラスの開会式。徐々に緊張が高まる Photo: Kyoko GOTO70kmクラスの開会式。徐々に緊張が高まる Photo: Kyoko GOTO
蘭越からスタートした70kmクラスのパレードスタート。ゲストライダーの栗村修さんを先頭に Photo: Kyoko GOTO蘭越からスタートした70kmクラスのパレードスタート。ゲストライダーの栗村修さんを先頭に Photo: Kyoko GOTO

選手の体温を奪う雨と気温

7km地点。ジャガイモ畑を横に走る140kmクラス。先頭を引くのは松田究(ライドファクトリー) 提供:ニセコクラシック実行委員会7km地点。ジャガイモ畑を横に走る140kmクラス。先頭を引くのは松田究(ライドファクトリー) 提供:ニセコクラシック実行委員会

 140kmはニセコ蘭越町に位置する「ニセコチセヌプリ」という山(獲得標高800m)をKOMとする前半3つ、後半3つのヒルクライムからなる獲得標高2362mの山岳コース。70kmは140kmの後半にある3つの峠(最大獲得標高400m)を含む獲得標高1125mのコース。壮大なパノラマラインを越えて日本海に到達し、そして最後はニセコヒラフスキーリゾートでフィニッシュを迎える。広大なエリアを惜しみなく使ったコース設定で、相次ぐ長い直登が特徴的でもある。

140kmクラス。70km付近で豪雨に見舞われる先頭集団 Photo: Kyoko GOTO140kmクラス。70km付近で豪雨に見舞われる先頭集団 Photo: Kyoko GOTO
土砂降りの補給地点。スタッフの皆さんも思わず苦笑 Photo: Kyoko GOTO土砂降りの補給地点。スタッフの皆さんも思わず苦笑 Photo: Kyoko GOTO

 140kmクラス全員が6時50分にニセコ・グランヒラフから、そして70kmクラス全員も1時間半後の8時20分に蘭越町からそれぞれスタートを切った。天候は回復する兆しはなく、むしろ悪化の一途をたどった。9時頃にはたたきつける雨へと変わり、選手たちを容赦なく襲い始めた。標高が上がるにつれ気温も低下し、ダウンヒルでライダーたちの体温を奪う。スタート時に脱いでいたレインウェアを再び着用する選手の姿もあるなど、レースは“天候との戦い”の様相を呈した。標高の高い地点では濃霧に覆われ、5m先の視界も確保できない状態になる場面もあった。

140kmクラス。ニセコチセヌプリKOMへの上りは集団で進む 提供:ニセコクラシック実行委員会140kmクラス。ニセコチセヌプリKOMへの上りは集団で進む 提供:ニセコクラシック実行委員会
140kmクラス。ニセコチセヌプリKOMへの上りは霧の中 提供:ニセコクラシック実行委員会140kmクラス。ニセコチセヌプリKOMへの上りは霧の中 提供:ニセコクラシック実行委員会
70kmクラス。57km地点、坂を上る追走集団 提供:ニセコクラシック実行委員会70kmクラス。57km地点、坂を上る追走集団 提供:ニセコクラシック実行委員会
霧に包まれたチェックポイント「日の出関門」を走りぬける Photo: Kyoko GOTO霧に包まれたチェックポイント「日の出関門」を走りぬける Photo: Kyoko GOTO
70kmクラス。ラスト5km、豪雨の中を進む追走集団 提供:ニセコクラシック実行委員会70kmクラス。ラスト5km、豪雨の中を進む追走集団 提供:ニセコクラシック実行委員会

松田「雨で心が折れかけた」

70kmクラスを総合で制したのは高校1年の池辺刀那(MUUR-ZERO〈音威子府美術工芸高校〉)。‟ピストルポーズ”でゴールを飾った 提供: ニセコクラシック実行委員会70kmクラスを総合で制したのは高校1年の池辺刀那(MUUR-ZERO〈音威子府美術工芸高校スキー部〉)。‟ピストルポーズ”でゴールを飾った 提供: ニセコクラシック実行委員会

 10時半過ぎ、トップを切ってゴール地点に飛び込んできたのは70kmクラスの池辺刀那。2時間9分で2位と1分以上の差をつけてゴールした。池辺は地元の高校生で、小学生の頃から自転車に乗っているが、学校ではスキー部に所属している。

 ゴール後の感想について「濃い霧で、逃げた側としては追手から逃れるのには適していたと思う」とコメント。コースの印象については「良い上りがあって、自分の得意な部分を出せたと思う」と語った。表彰時、「これから自転車競技もやってみたいと思った?」と尋ねられると「自転車もスキーも、どちらもともに良い効果があるので、(自転車の練習は)スキーにも生きてくると思う」と冷静に回答した。

70kmクラス総合で優勝を決めた池辺刀那(MUUR-ZERO〈音威子府美術工芸高校〉左)、2位 苗村徹(クラブシルベスト、中央)、3位 江田圭一郎(右) Photo: Kyoko GOTO70kmクラス総合で優勝を決めた池辺刀那(MUUR-ZERO〈音威子府美術工芸高校〉左)、2位 苗村徹(クラブシルベスト、中央)、3位 江田圭一郎(右) Photo: Kyoko GOTO
70kmクラス総合優勝の池辺刀那(MUUR-ZERO〈音威子府美術工芸高校〉)。副賞のローラー台を手に Photo: Kyoko GOTO70kmクラス総合優勝の池辺刀那(MUUR-ZERO〈音威子府美術工芸高校〉)。副賞のローラー台を手に Photo: Kyoko GOTO
140kmクラスで総合優勝を決めた松田究(ライドファクトリー) Photo: Kyoko GOTO140kmクラスで総合優勝を決めた松田究(ライドファクトリー) Photo: Kyoko GOTO

 140kmクラスの総合優勝を勝ち取ったのは松田究(30)。ゴール直前の上りでのスプリントに競り勝ち、3時間56秒でゴールした。高校時代にインターハイ3位、大学時代は学生選手権で3位の成績を修めており、現在は北海道在住で道内のレースを中心に出場しているという。

 レース展開について、「後半の3つ大きな上りがポイントになるだろうとイメージしていた」という松田。「後半最初の上りで岩島啓太選手(MIVRO)がペースを上げたときは少し心が折れかけたけれど、なんとか折れずにくらいついていけた」と笑みをこぼしながら語った。さらに「勝利」の手応えを感じ始めたのはいつかをたずねると、「120km地点を超えたところで現れた2kmほどの急登。そこでずっと僕が上りを引いていたが、うしろの人たちはきつそうで前に出れなかったので、そこで自分の方が多少余力があると感じた」という。

140kmクラス総合で優勝を決めた松田究(ライドファクトリー、左)、2位星野貴也(中央)、3位菅原勇人(札幌じてんしゃ本舗!) Photo: Kyoko GOTO140kmクラス総合で優勝を決めた松田究(ライドファクトリー、左)、2位星野貴也(中央)、3位菅原勇人(札幌じてんしゃ本舗!) Photo: Kyoko GOTO

 レース全体の感想について松田は、「すごい雨で心が折れかけたが、完走できて良かった。とくに日本海に向かうときは海からの向かい風もあった上にペースも遅かったんで、体がガタガタ震えるほどの寒さだった。でも後半はペースも上がり、上りも多かったのでそこで自分の力を発揮できた。僕は暑さにあまり強くないので、とりあえず灼熱地獄はいやだなと思っていた。そういう意味では自分的には良かったなという感じです」と語った。

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