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ツール・ド・フランス2016 第7ステージカミングスが1級アスパン峠で独走勝利 残り1kmのバルーンが倒れイェーツ負傷

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 ツール・ド・フランス第7ステージが7月8日に開かれ、ピレネーの山岳3連戦初日は、スティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)が残り27kmからの独走でステージ優勝を飾った。マイヨジョーヌを着るフレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)は逃げ切って総合首位をキープ。新城幸也(ランプレ・メリダ)は110位でゴールした。

独走でステージ優勝を挙げたスティーヴン・カミングス Photo: Yuzuru SUNADA独走でステージ優勝を挙げたスティーヴン・カミングス Photo: Yuzuru SUNADA

逃げるマイヨジョーヌ

 リル・ジュルダンからパイヨル湖まで162.5kmの山岳ステージ。終盤に向けて徐々に上っていくレイアウトで、155.5km地点には1級山岳アスパン峠(平均勾配6.5%、登坂距離12km)が設定されている。頂上からゴールまでの7kmはほぼ下りとなる。

 レースの序盤はスプリンターのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)やペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)を含む12人が飛び出すも、集団はその逃げを許さなかった。逃げる12人を吸収するためのハイスピードな展開が約1時間続き、レースは一旦振り出しに戻った。

アスパン峠を上るマイヨジョーヌのフレッヒ・ヴァンアーヴルマート Photo: Yuzuru SUNADAアスパン峠を上るマイヨジョーヌのフレッヒ・ヴァンアーヴルマート Photo: Yuzuru SUNADA

 スタートから50kmほどで、今度は29人の大規模な逃げが容認された。このなかにはカミングスやヴァンアーヴルマート、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック・セガフレード)らが入った。ヴァンアーヴルマートは総合優勝候補ではないとはいえ、マイヨジョーヌが序盤から逃げるのは珍しい光景だ。

 メイン集団はクリストファー・フルーム(イギリス)を擁するチーム スカイがコントロールし、モビスター チームやBMCレーシングチームといった総合系チームが前方で列車を組んだ。

 残り45.5kmの4級山岳では、ニバリが先頭通過。その後、逃げ集団からアタックがかかり、ダニエル・ナバロ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)ら3人が抜け出した。カミングスはそれを見逃さずに合流し、4人が先頭集団でゴールを目指した。ヴァンアーヴルマートを含む追走が生まれ、一度は取り残されたニバリもシモン・ゲシュケ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)と協力してブリッジをかけ、8人の追走集団を形成した。

総合争いでピノーが後退

 人数の多い追走集団が先頭4人に迫ると、27kmでカミングスがアタックして独走に持ち込んだ。ナバロらを吸収した追走集団に対し、約30秒差でアスパン峠に入った。追走からはカミングスを捉えるためニバリがペースを上げ、ヴァンアーヴルマート、ナバーロ、ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・バイクエクスチェンジ)、アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム)が続いた。

逃げて積極的な走りを見せたヴィンチェンツォ・ニバリ Photo: Yuzuru SUNADA逃げて積極的な走りを見せたヴィンチェンツォ・ニバリ Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団はカミングスから約4分半の差でアスパン峠に入り、ティボ・ピノー(フランス)を擁するエフデジが先頭を引き始めた。上り始めて間もなくワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン)がアタックを仕掛けるが、それをエフデジのアシスト陣が封じ込めた。

遅れるティボ・ピノー(左から2人目) Photo: Yuzuru SUNADA遅れるティボ・ピノー(左から2人目) Photo: Yuzuru SUNADA

 ニバリは積極的に追走集団を引き続けハウズ、ヴァンアーヴルマートが離れたが、単独で逃げるカミングスとの差は徐々に開いていった。頂上が近づくころには差は1分以上に広がり、ナバーロとインピーがアタックするとニバリは付いていくことができなかった。

 メイン集団を牽引していたエフデジだったが、エースのピノーが集団後方に下がるというピンチが訪れた。ピノーの表情に余裕はなく、ついには集団から遅れ始めた。初の総合優勝を狙うピノーだが、本格的な山岳ステージの幕開けに“バッドデイ”が重なってしまった。

 アスパン峠を先頭で通過したカミングスは、下りも順調に乗り切った。後続に1分以上の差をつけてゴールへたどり着くと、両手を広げゆっくりと勝利を味わいながらフィニッシュラインを越えた。勝負どころを見逃さない嗅覚と力強い独走が生んだ勝利は、昨年の第14ステージに次ぐツール通算2勝目だ。

ステージ優勝を果たしたスティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ) Photo: Shusaku MATSUOステージ優勝を果たしたスティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ) Photo: Shusaku MATSUO

 後続はインピー、ナバーロの順にゴールし、ニバリは4位。ヴァンアーヴルマートは2分57秒の5位でゴールし、総合のリードを広げることに成功した。

フラムルージュが選手を足止め

ゴールする(左から)アレハンドロ・バルベルデとクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADAゴールする(左から)アレハンドロ・バルベルデとクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 一方、メイン集団をめぐっては、残り1km地点のコース上にゲートのように設けられたバルーン、フラムルージュがコースに倒れてくるというトラブルがあり、一部の選手が巻き込まれた。ヴァンアーヴルマートが通過した後、新人賞争いのため集団からアタックしていたアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)がバルーンのため落車。フルームら集団内の選手たちは一旦停止して、倒れたバルーンを持ち上げてくぐり抜けたが、イェーツは落車時にけがを負い、再スタートまで時間がかかってしまった。

 トラブルの影響で集団内の選手たちはバラバラにゴールにたどり着いたが、トップから3分37秒遅れの同タイム扱いという措置が取られた。一方で、上りで遅れたピノーは6分41秒遅れで、総合争いのライバルから3分以上離される結果となった。

レース後には下りで冷えた身体を温めながらクールダウンを行う選手の姿も Photo: Shusaku MATSUOレース後には下りで冷えた身体を温めながらクールダウンを行う選手の姿も Photo: Shusaku MATSUO
ポイント賞を守り、インタビューを受けるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) Photo: Shusaku MATSUOポイント賞を守り、インタビューを受けるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) Photo: Shusaku MATSUO

 また、集団より先行していたイェーツに関しては、着順はゴールした73位のまま、タイムは3分30秒差として扱うことが決定した。表彰式ではジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)が新人賞首位としたが、レース後の措置によってイェーツが1秒上回り、新人賞ジャージのマイヨブランの権利を得ている。

第7ステージ結果
1 スティーヴン・カミングス(イギリス、チーム ディメンションデータ) 3時間48分9秒
2 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・バイクエクスチェンジ) +1分4秒
3 ダニエル・ナバロ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) +1分4秒
4 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分58秒
5 フレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) +2分57秒
6 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) +3分37秒
7 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +3分37秒
8 ヴァウテル・プールス(オランダ、チーム スカイ) +3分37秒
9 ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター チーム) +3分37秒
10 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +3分37秒
110 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +13分21秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 フレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) 34時間9分44秒
2 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +5分50秒
3 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) +5分51秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +5分53秒
5 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +5分54秒
6 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +5分57秒
7 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +5分57秒
8 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +5分57秒
9 ピエール・ローラン(フランス、キャノンデール・ドラパック チーム) +5分57秒
10 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +5分57秒
124 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +43分31秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チーム ディメンションデータ) 204 pts
2 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 182 pts
3 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) 175 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 13 pts
2 フレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) 13 pts
3 スティーヴン・カミングス(イギリス、チーム ディメンションデータ) 10 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) 34時間15分34秒
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) +1秒
3 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +7秒

チーム総合
1 BMCレーシングチーム 102時間43分1秒
2 チーム スカイ +4分16秒
3 モビスター チーム +4分52秒

敢闘賞
ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)

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