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ツール・ド・フランス2016 第1ステージカヴェンディッシュが悲願のマイヨジョーヌ獲得 コンタドールは落車で負傷

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 世界最大のサイクルロードレース「ツール・ド・フランス」(UCIワールドツアー)が7月2日に開幕した。ノルマンディー地方の世界遺産モン・サン・ミシェルからスタートした第1ステージは、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)がゴールスプリントを制し、悲願のマイヨジョーヌを獲得した。新城幸也(ランプレ・メリダ)は終盤に落車しながらも、同タイムの117位でゴールした。

第1ステージを制したマーク・カヴェンディッシュ Photo: Yuzuru SUNADA第1ステージを制したマーク・カヴェンディッシュ Photo: Yuzuru SUNADA

大会最初の山岳賞をめぐる攻防

 第103回を迎えたツールの開幕ステージは、モン・サン・ミシェルからユタ・ビーチ-サント・マリー・デュ・モンまでの188kmで争われた。20.5km地点と39地点に4級山岳があり、レース序盤で山岳賞ジャージ、マイヨアポワの行方が決まるコースが設定された。そこからしばらく続く海岸線では海風を警戒しなければならないが、おおむね平坦基調のスプリンター向けのステージだ。

 スタート前のパレードランで選手たちが向かったのはモン・サン・ミシェル。クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)といった総合優勝候補たちはリラックスした表情で集団前方に陣取った。

 2014年に完成した橋を一旦渡り、Uターンしてから橋の上でストップ。モン・サン・ミシェルを背景にセレモニーが行われ、いよいよ選手たちはアクチュアルスタートの0km地点を目指して走り出した。

モン・サン・ミシェルの前に並ぶ有力候補たち Photo: Yuzuru SUNADAモン・サン・ミシェルの前に並ぶ有力候補たち Photo: Yuzuru SUNADA

 集団内に緊迫した空気が漂い始めるなか、0km地点でボーラ・アルゴン18のヤン・バルタ(チェコ)とポール・ヴォス(ドイツ)、イアム サイクリングのリー・ハワード(オーストラリア)がファーストアタックを決めた。少し遅れてアレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム)とアントニー・ドゥラプラス(フランス、フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト)も飛び出した。

 しかし先頭がペースを緩めなかったため、先頭3人と追走2人という関係のまま4級山岳を目指した。逃げを容認したメイン集団では、マルセル・キッテル(ドイツ)を擁するエティックス・クイックステップやアンドレ・グライペル(ドイツ)のロット・ソウダルが前方でペースをコントロールした。

アントニー・ドゥラプラス(右)ら5人の逃げ集団 Photo: Yuzuru SUNADAアントニー・ドゥラプラス(右)ら5人の逃げ集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 2人を先頭に送り込んだボーラ・アルゴン18が、大会最初のマイヨアポワ獲得を目指して第1山岳で攻勢に出た。バルタが先に仕掛けハワードがチェックするが、直後のヴォスの動きには対応できなかった。ヴォスが第1山岳でポイントを獲得し、そのまま単独で第2山岳へ。追走はハウズらが合流し4人になったが、追い上げも届かずヴォスがポイントを連取し、マイヨアポワを獲得を決めた。

コンタドールの総合争いに暗雲

 レース中盤、キャノンデール・ドラパックが横風の吹く区間でペースアップを図り、これを警戒したチームが集団前方で激しい位置取りを始めた。集団が分断されることはなかったが、118.5km地点の中間スプリントポイントに向けてペースが上がったままレースが進んだ。

 高速のレース展開のなか、集団前方に位置していたコンタドールが右へ曲がるコーナーで落車。すぐに起き上がりアシストのバイクで走り出したコンタドールだが、右半身を地面に打ち付け、肩やひじ、腰のあたりはジャージが破け擦過傷を負っていた。チームメイトが一斉に下がりメイン集団まで引き上げたが、総合優勝を目指すうえで不安の残るダメージを負ってしまった。

落車でシューズが壊れ、アシストに押されながら交換するアルベルト・コンタドール Photo: Yuzuru SUNADA落車でシューズが壊れ、アシストに押されながら交換するアルベルト・コンタドール Photo: Yuzuru SUNADA

 中間スプリントは、ヴォスが遅れ4人になった逃げ集団がハワードを先頭に通過した。5位以下の争いになった集団はグライペルが先着し、キッテル、ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ)らスプリンターが続いた。

 逃げ集団からはコース終盤で地元を通過するドゥラプラスがアタックし、ハウズがチェック。序盤は追走だった2人が、敢闘賞をかけて粘りの走りを見せた。メイン集団は小さなタイム差で2人を逃がしたまま、ゴールへ向かった。

落車し、指に包帯を巻いてゴールする新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA落車し、指に包帯を巻いてゴールする新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA

 そんななか、集団後方にいた新城が単独で落車した。大きなダメージはないような素振りで、すぐに走り出しメイン集団に合流したが、ドクターカーを呼んで左手の治療を受けた。

 地元のドゥラプラスの敢闘賞が決まり、逃げの2人は残り5kmで吸収された。集団はロット・ソウダルやエティックス・クイックステップが一気にスピードを上げた。そこにカヴェンディッシュを引き連れたディメンションデータやアレクサンドル・クリストフのチーム カチューシャなど、スプリンターチームが入り乱れ、残り1kmのフラムルージュを通過。サガンはアシストがいなくなったものの、キッテルの背後でスプリントに備えた。

3度目のチャンスで掴んだ栄誉

 各チームのアシストが次々と役目を終えるなか、ゴール500m手前でミケル・モルコフ(デンマーク、チーム カチューシャ)が激しく転倒したのをきっかけに落車が連鎖した。道が塞がったことで集団が分断され、トップスピードのまま最終局面を迎えたのは15人ほどのグループ。

 先頭を引くグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、ロット・ソウダル)の後ろにカヴェンディッシュ、キッテルが続き、その後方からサガンが先にスプリントを開始した。しきりに後方を確認していたカヴェンディッシュがサガンの動きに反応し付き位置へ。一瞬出遅れたキッテルは自力でサガンに並ぶが、脚をためたカヴェンディッシュが万全のタイミングで飛び出した。キッテルらを引き放し、両手を突き上げてフィニッシュラインを駆け抜けた。

 ステージ優勝の本命同士のスプリントを制したカヴェンディッシュは、ツールでの27勝目を達成。開幕ステージ優勝に挑戦した過去2回は落車などで勝利を逃したが、初めてのマイヨジョーヌを獲得した。

 「3度目のチャンスでようやく手にすることができた。チームとしてもこれが目標だった。(勝利によって)スポンサーのクベカのチャリティーとして、アフリカの子供たちにバイクをプレゼントできる」と語り、自らの悲願達成と、チームの活動に大きく貢献できたことを喜んだ。表彰式ではマイヨジョーヌに袖を通し笑顔が弾けた。

マイヨジョーヌを着たマーク・カヴェンディッシュ Photo: Yuzuru SUNADAマイヨジョーヌを着たマーク・カヴェンディッシュ Photo: Yuzuru SUNADA

 落車によって集団が分断されたため、先頭から遅れてゴールする選手が続出したが、救済措置が取られタイム差はつかなかった。総合の有力選手や新城はトップと同タイム扱いとなった。多くの選手が落車したものの出走した198人が開幕ステージを完走した。

第1ステージ結果
1 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 4時間14分5秒
2 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) +0秒
3 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) +0秒
4 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) +0秒
5 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) +0秒
6 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) +0秒
7 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー) +0秒
8 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +0秒
9 ダニエル・マックレイ(イギリス、フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト) +0秒
10 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、ロット・ソウダル) +0秒
117 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +0秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 4時間13分55秒
2 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) +4秒
3 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) +6秒
4 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) +10秒
5 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) +10秒
6 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) +10秒
7 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー) +10秒
8 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +10秒
9 ダニエル・マックレイ(イギリス、フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト) +10秒
10 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、ロット・ソウダル) +10秒
117 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +10秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 56 pts
2 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 40 pts
3 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) 29 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ポール・ヴォス(ドイツ) 2 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) 4時間14分5秒
2 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) +0秒
3 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー) +0秒

チーム総合
1 ロット・ソウダル 12時間42分15秒
2 トレック・セガフレード +0秒
3 エティックス・クイックステップ +0秒

敢闘賞
アントニー・ドゥラプラス(フランス、フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト)

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