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ツール開幕直前共同インタビューチーム首脳陣から新城幸也の驚異的な復帰に「ブラーボ!」 レースでの“逃げ”は後半に照準

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 ツール・ド・フランス開幕前日となる7月1日、サン・ローで新城幸也(ランプレ・メリダ)の共同インタビューが行われた。今年2月の大腿骨骨折から回復を遂げ、ツール参戦、そして迎えるリオ五輪。ジェネラルマネージャー(GM)、監督、コーチからも驚きの声が聞かれるほどの短期間の復帰について新城自らが振り返り、今回のツール参戦への思いを語った。

7月2日のツール・ド・フランス2016開幕前日に共同インタビューに応じた新城幸也(ランプレ・メリダ) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA7月2日のツール・ド・フランス2016開幕前日に共同インタビューに応じた新城幸也(ランプレ・メリダ) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

大腿骨骨折からの復帰はヴィノクロフだけ

実際に足が動かなくなって「大変さを実感した」と語る新城幸也(ランプレ・メリダ) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA実際に足が動かなくなって「大変さを実感した」と語る新城幸也(ランプレ・メリダ) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 新城は、ツアー・オブ・カタール(2月8~12日)のレース中に左大腿骨を骨折。自転車選手がしばしば見舞われる大腿骨骨折について、それまでは「いまいちピンときていなかった」が、実際に足が動かなくなってその大変さを実感したという。

 「幸いなことに、僕らは、サッカーやバスケットボールのように地面に足を着地する競技ではないので復帰はそれほど遅くならなかった。筋力さえ戻れは歩けなくてもできる。“6月レース復帰”と公言したものの、まさかこうもうまくいくとは」

 自身を「追い込まれたらやるタイプ」と笑い飛ばした新城だが、GMのブレント・コーポランド氏は新城の回復について、「僕ら(チームの首脳陣)も驚いている」と目を見張った。さらに続けて「(回復に向けては)おそらくプロフェッショナルなことをやったのだと思っている。ブラーボ!」と、着実な回復とその努力に賛辞を送った。

フィリップ・モデュイ監督(左)とGMのブレント・コーポランド氏に挟まれる新城幸也(ランプレ・メリダ) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAフィリップ・モデュイ監督(左)とGMのブレント・コーポランド氏に挟まれる新城幸也(ランプレ・メリダ) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 またフィリップ・モデュイ監督は、「ここ10年で14人の選手が大腿骨骨折をし、同じように復帰したのは(カザフスタンのアレクサンドル・)ヴィノクロフだけ」と数字で分析。また「日本で走ることは自信がなさそうに見えたけれど、しっかり結果を出してくれた」と述べ、ツアー・オブ・ジャパン(5月29日~6月5日)での第7ステージ優勝を評価した。

復帰へのモチベーションは「五輪」

ツール・ド・フランス2016の全コースプロフィールを見ながら「逃げは第8ステージ…もしかしたら第6ステージからかな」と新城幸也(ランプレ・メリダ) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWAツール・ド・フランス2016の全コースプロフィールを見ながら「逃げは第8ステージ…もしかしたら第6ステージからかな」と新城幸也(ランプレ・メリダ) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 復帰へのモチベーションについて新城は、「1番は浅田さん(日本代表チームの浅田顕監督)がオリンピックを外さずに選んでくれたこと」と言及。「大々的に記者会見までしてしまったら、どうやっても出なければいけない。間に合わせるしかない」として、リオ五輪代表チームの指揮官からメンバーに抜擢されたことが良いプレッシャーとなったことを明かした。

 ツールの後のオリンピック参戦を念頭に置き、ツールでは「アシストするだけでなく最後に勝負するステージをつくりたい」と意気込む新城。ただし、「オリンピックのためにチカラを残してゆっくり走る…というようなことは全くない。どちらが大事か選ばなきゃいけないとしたら、オリンピックよりもツールを選ぶ」ときびきびと語った。

新城幸也の愛犬、小輪(こりん)ちゃんもランプレ・メリダチームの一員 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA新城幸也の愛犬、小輪(こりん)ちゃんもランプレ・メリダチームの一員 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 また「予定通りになったのは、本当に周りの人たちのおかげ」と復帰をサポートした人たちへの感謝の気持ちを表した新城。「マッサーの中野喜文さんの手を借りながら日々調整し、土井雪広さん(マトリックスパワータグ)と共にトレーニング走行をこなしていった」と振り返った。

 今回のツールでは、「助けてくれた人たちのために走りたい。ツールで走ることが楽しみですね」と、調整を続けた日々の記憶を噛みしめるように語った。

ツールと共に「いまシーズンが始まった感じ」

 新城は、今年でツール参戦は6回目。GMのコーポランド氏やモデュイ監督もその経験を買っている。一方の新城は、過去のツールについて「あまり覚えていない」と笑う。

 「初出場の時はつらい思い出しかない。回を重ねるごとにツールの強度や3週間の過ごし方に慣れてきた。いいこと、悪いことどちらもあった。スタート後の最初の2、3日、ピリピリした集団のつらさは何回参戦しても変わらない。そこでモラル(士気)をやられないように気をつけている」

 レースでのチームからのオーダーは、ルイ・メインティス(南アフリカ)をアシストすることと逃げに乗ること。「最初の1週間は山へ到達する前にメインティスが遅れないようにするのがアシストの仕事。どうやっても風は吹くから(笑)。ルイ・コスタ(ポルトガル)はステージをこなしていって遅れなければ、そのまま総合を狙っていくことになる。状況次第ではルイ・コスタもアシストする」

新城に期待をかけるコーチのダニエーレ・ディーギ氏 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA新城に期待をかけるコーチのダニエーレ・ディーギ氏 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 自身の走りについて「最近のツールではなかなか勝負に絡んだ走りをしていない」と分析しつつも、「前のチームと違ってスプリンターがいないので、僕の調子さえよければ逃げに乗っていいよという日が多いと思う。そこでどれだけ頑張れるか」と、期待と意気込みを語った。

 そして「2015年のブエルタ・ア・エスパーニャでは逃げがうまくいったことがあったので、そういう逃げ集団に滑り込んで勝負したい」と、具体的なビジョンも示した。コーチ(スポーツディレクター) のダニエーレ・ディーギ氏も、「チームのために働くこともあるけれど、もちろん彼の機会はある。逃げに乗った時には優勝の可能性も見いだせるだろう」と期待をかける。

 現在のコンディションについて「全く心配していない」と語った新城。けがでレース参戦数は少なかったものの、炎天下のタイで2度の合宿を実施し「レースで走っていた程度の距離や強度は乗ってきた」と準備万端のようだ。

 「上りがある“山のレース”はツール・ド・スイス(6月11~19日)にしか出ていない。いつもはもっと上りに対して準備してくる。どうなるかわからないけれど、体重もそんなに重くなく、体もフレッシュ。いまシーズンが始まったという感じなので、ツールでも序盤より後半から調子が上がってくると思う」

◇         ◇

 ノルマンディー開催というのも、縁起がいい。2012年の第4ステージで新城は、逃げ続けて敢闘賞に輝いた。折しも今年3月には、2016年度のフランス観光親善大使に任命された。新城は、「ノルマンディーは魚介料理、さらにチーズやバターがおいしく食が豊か。城など見どころも多い。これから21日間かけて、フランスを案内したい」とコメント。全ステージで見られる新城の勇姿に期待が膨らむ。

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インタビュー ツール・ド・フランス2016 新城幸也

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