「強い」も「きれい」もあきらめない 男性サイクリストも必見! 女性プロ選手たちの「夏の肌の守り方」

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 今年も暑い夏がやってきた。サイクリストを悩ます強い日差しは、紫外線による肌へのダメージのみならず、パフォーマンス低下という点でも無視できない。スポーツシーンを想定した日焼け止めクリームは出回っているものの、「汗で落ちる」「塗り直しの手間がかかる」という理由で、つい疎かになりがちな人も。夏の炎天下を走り続ける女性プロ選手たちを対象に和光ケミカルが開いた「スポーツメイクアップレクチャー」に潜入し、紫外線対策のコツを聞いた。

化粧くずれしないファンデーションの塗り方を、講師の橋本ワコさんが女子選手に直接指導 Photo: Shusaku MATSUO化粧くずれしないファンデーションの塗り方を、講師の橋本ワコさんが女子選手に直接指導 Photo: Shusaku MATSUO

吉川さん「日焼けによる体力消耗を痛感」

 この日のレクチャーに参加したのは「Live GARDEN BICI STELLE」の吉川美穂さん、伊藤杏奈さん、針谷千紗子さんと、「Toyo Frame」の福本千佳さん、「弱虫ペダルサイクリングチーム」の唐見実世子さんの5人。自転車ロードレース女子の国内最高峰ツアー「Jフェミニンツアー」で上位を争う豪華な顔ぶれがそろった。

「日焼けでどれだけ体力を消耗するのかを痛感した」という吉川美穂さんという吉川美穂さん(Live GARDEN BICI STELLE) Photo: Shusaku MATSUO「日焼けでどれだけ体力を消耗するのかを痛感した」という吉川美穂さん(Live GARDEN BICI STELLE) Photo: Shusaku MATSUO

 その1人、吉川さん(23)は表彰台の“常連”としてめきめきと頭角を現す一方、そのルックスとスタイルの良さで近年注目を集めている。シミ一つない健康的な肌だが、実は日焼け止め対策を始めたのは昨シーズン。「できることなら日焼けはしたくなかったけど、塗りなおしても汗ですぐ落ちちゃうし、塗らなくても一緒だと思っていた」という。

 しかし、紫外線対策を甘く見ていたがために大変な目にあった。3月にベトナムで開催された女子ロードレース「BIWASE CUP(ビワセカップ)2016」に出場したときの出来事。腕に日焼け止めクリームを塗り忘れて出走し、両腕に水ぶくれができるほどの火傷を負った。「集中しているときは大丈夫だったけれど、集中が途切れた瞬間から痛みと疲労に耐えながら走った」という吉川さん。ゴール後、一目散にクーラーボックスの中の氷に両腕を突っ込んだ。「日焼けでどれだけ体力が奪われるのかを痛感した」という吉川さんは、以来、日焼け止め対策を欠かさない。

汗に強い“噂”の日焼け止めクリーム

アグレッシブデザインの「トップアスリートサンプロテクト“ファイター”」と「ウォータープルーフクレンジングオイル」 Photo: Kyoko GOTOアグレッシブデザインの「トップアスリートサンプロテクト“ファイター”」と「ウォータープルーフクレンジングオイル」 Photo: Kyoko GOTO

 そんな吉川さんが使用する日焼け止めクリームが、アグレッシブデザインの「トップアスリートサンプロテクト“ファイター”」。「アグレッシブデザイン」というブランドは、チェーンオイルなどメンテナンス用ケミカルの老舗、和光ケミカルが今年立ち上げたアスリートのパフォーマンスアップをコンセプトとする新規事業。その第一弾の製品として、日焼け止めクリームを発売した。巷ではすでに「和光ケミカルが日焼け止め?!」という意外性が噂になっており、担当者によると品薄になる店舗も続出しているという。

 「実際に自転車選手からの要望を開発に取り入れた」という日焼け止めクリームの最大の特徴は「落ちにくさ」。長時間野外で大量の汗をかくことを前提に開発された日焼け止めクリームで、同社担当者は、「一度塗った3分後に再度塗り重ねれば、その日は塗り直す必要はない」と太鼓判を押す。

「例年ならこの時期はすでに黒くなっているが、いまはウェア焼けの跡もない」とウェアの袖をまくる吉川さん Photo: Shusaku MATSUO「例年ならこの時期はすでに黒くなっているが、いまはウェア焼けの跡もない」とウェアの袖をまくる吉川さん Photo: Shusaku MATSUO

 街中で使用するタイプとは違って石鹸では落ちず、専用のクレンジングオイルが必要となるが、だからといって塗り心地は重くなく、肌からの発汗はしっかり逃がす。湿布などの使用にも対応できるよう、化学反応を起こす成分の使用を控えるといった配慮もなされている、まさに「絶対日焼けしたくない」というアスリート向けの仕様だ。

 晴れていればほぼ毎日4~5時間、練習などで野外にいるという吉川さん。例年ならこの時点ですでに肌が黒くなり、袖の長さが異なるウェアによって腕が縞々に焼けているそうだが、「いまはまだ普通の肌の色をキープできている。靴下焼けもしていない」と効果を実感している様子だ。

実は盲点だらけ 日焼け止めクリームの塗り方

日本スポーツビューティー協会の代表理事の橋本ワコさん Photo: Shusaku MATSUO日本スポーツビューティー協会の代表理事の橋本ワコさん Photo: Shusaku MATSUO

 当日のレクチャーで講師を務めたのは日本スポーツビューティー協会の代表理事・橋本ワコさん。自身もトライアスリートとして紫外線と戦ってきた経験をもつ橋本さんは、紫外線を恐れてトレーニングができない、あるいは競技中のパフォーマンスが下がるといった女性たちの悩みを解消すべく、自らの実践を交えながら紫外線対策を編み出した。

日焼け止めクリームの塗り方のポイントは手の平にとり、縦・横の格子状に塗ること Photo: Shusaku MATSUO日焼け止めクリームの塗り方のポイントは手の平にとり、縦・横の格子状に塗ること Photo: Shusaku MATSUO

 橋本さんによると、日焼け止めクリームの使用のポイントは、まずよく容器を振って成分を撹拌すること。10回程度で終えてしまう人もいるが、紫外線散乱剤と油が撹拌していない状態で使っても期待した効果が得られないので要注意(「トップアスリートサンプロテクト“ファイター”」の場合は35回)。しっかり撹拌したら肌に直接乗せるのではなく一度の手のひらにとり、体温になじませてから肌に伸ばす。その際、縦と横の格子状に塗ると塗りむらを防ぐことができるという。

吉川さんに日焼け止めクリームの塗り方を教える橋本さん Photo: Shusaku MATSUO吉川さんに日焼け止めクリームの塗り方を教える橋本さん Photo: Shusaku MATSUO

 サイクリストの日焼け対策で盲点になりがちなのは、首の下やあご、そして首裏。橋本さんによると「首の下やあごは直射日光は浴びていないと思いがちだが、地面からの照り返しを強く浴びている」と解説。年齢を重ねたアスリートで首下の皮膚が象の皮膚のように肥厚(ひこう)している人の多くは紫外線が原因であるとし、首裏に紫外線を浴びた場合も同様に皮膚が肥厚して前方にたるんでくることを強調した。

 また、日焼け後の肌には紫外線の刺激から肌を守ろうと生成するメラニンを鎮静化させるため、冷蔵庫などで冷やしたタオルを顔や日焼けした部分にあてることも効果的だとした。一方、生成したメラニンを刺激しないために、日焼け後の肌にはクレンジングシートでこすったり、マッサージのような強い刺激は避けるよう注意を促した。

男子厳禁!“汗だく女子”のお悩み解決

 このほか、橋本さんは女性にうれしいメイクのポイントも解説した。汗とともに流れ去っていくメイクにあきらめを感じ、日焼け止めクリームを塗るだけという女性サイクリストも少なくないこの問題。実践を交えたレクチャーに、女性選手たちの関心もマックスを迎えた。

 まず、日焼け止めクリームのみを使用する場合、保湿成分が少ない場合は乳液を肌に与えた上で日焼け止めを塗り、その上からプレストファンデーションではなく、粉タイプのファンデーションをぶらしを使って振り、最後に顔面にティッシュを当てた上から水分のミストスプレーをふりかけ、ファンデーションを固めることで粒子が固まり、くずれくくなるという方法を紹介した。

「薬を調合する指といわれるくらい繊細な動きができる薬指を使って優しく塗るのがポイント」と橋本さん Photo: Shusaku MATSUO「薬を調合する指といわれるくらい繊細な動きができる薬指を使って優しく塗るのがポイント」と橋本さん Photo: Shusaku MATSUO

 一方、メイクする場合は日焼け止めクリームを下地に、その上から手に取って温めたリキッドファンデーションを頬骨、鼻、額まわりに重点的に乗せる。油分と汗がまじることでメイクが崩れやすくなるため、橋本さんは必ずスポンジなどを使ってファンデーションの余分な油分を取り除くよう注意を促した。

 化粧くずれに次ぐ難題である「眉毛」に関しては、汗に強いフェルトペンタイプを推奨。さらに、描いた眉の上からコーティングするシールのようなものが市販されていることも紹介した。一方、メイクの仕上げに使用するチークは実は要注意であると指摘。パウダータイプのチークには日光に反応する成分が含まれているため、チークを乗せた部分のみ日焼けする危険性があるとして、使用する場合は練りタイプやリキッドタイプなどがおすすめだとした。

左から、吉川美穂、伊藤杏奈、針谷千沙子(以上3名Live GARDEN BICI STELLE)、福本千佳(Toyo Frame)、唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)各選手 Photo: Shusaku MATSUO左から、吉川美穂、伊藤杏奈、針谷千沙子(以上3名Live GARDEN BICI STELLE)、福本千佳(Toyo Frame)、唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)各選手 Photo: Shusaku MATSUO

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