西薗が最終局面でファインプレー初山「スプリントでは負けない」 チーム全員で獲得した全日本選手権のタイトル

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が初優勝を飾った6月26日の全日本自転車競技選手権大会のロードレース男子エリート。最終周回、絞り込まれた集団から木村圭佑(シマノレーシング)が仕掛けたアタックに初山がチェックについて、2人で勝負になるかと思われた。しかし、後方から西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が追いつき、有利な展開でブリヂストンアンカーがレースを進め、初山と西薗で全日本選手権のワンツーフィニッシュを決めた。

全日本選手権男子エリート表彰台。左から西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)、優勝した初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)、3位の木村圭佑(シマノレーシング) Photo: Shusaku MATSUO全日本選手権男子エリート表彰台。左から西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)、優勝した初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)、3位の木村圭佑(シマノレーシング) Photo: Shusaku MATSUO

バランスの取れた公道コース

島では海が近く風が吹きつけ、上り区間も含まれるバランスが良いコースだった Photo: Shusaku MATSUO島では海が近く風が吹きつけ、上り区間も含まれるバランスが良いコースだった Photo: Shusaku MATSUO

 レースは伊豆大島の公道を使用し、11.9kmのコースを13周する154.7kmで争われた。前日行われたU23、女子カテゴリーでは海岸線沿いで風が吹き荒れ、選手を苦しめたが、この日は快晴で前日よりは風も弱い天候となった。

 上り区間は約1.5kmで、上り口は細く、中盤にかけて道幅が広がり見通しがよくなる。斜度に緩急があり、インターバルがかかるレイアウトで、選手の体力を徐々に削っていく。下り区間は高速ながらコーナーは少なく、路面がドライの状況ではテクニックに差が出ない。平地、上りが組み合わさった、どの選手にもチャンスがあるといってよいコース設定だ。

逃げる2人と、コントロールする集団

 序盤から頻発したアタック合戦では逃げが決まらず、集団は一つのまま周回数を刻んだ。4周回目に入ると中根英登(愛三工業レーシングチーム)の飛び出しに鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が反応。2人の逃げグループを形成し、最大約3分差で集団からリードした。

椿大志(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)らがメイン集団を牽引し、逃げの2人との差をコントロールした Photo: Shusaku MATSUO椿大志(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)らがメイン集団を牽引し、逃げの2人との差をコントロールした Photo: Shusaku MATSUO

 一方、メイン集団ではブリヂストンアンカー サイクリングチームの井上和郎と椿大志がコントロール。集団中ほどを走っていた面手利輝(チーム ペイネーム)が「2人が牽引する時間は終始よいペースだった」と話した通り、逃げ2人との差を徐々に詰めていった。

中盤にアシストとしての仕事を全うし、集団をコントロールした井上和郎(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO中盤にアシストとしての仕事を全うし、集団をコントロールした井上和郎(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO

 順調にレースを運んだブリヂストンアンカー勢だったが、リオ五輪に内定している内間康平が単独で落車し転倒。腕を吊られる格好で救急車で病院へ搬送されリタイアとなった。その後、内間は骨折はなく、擦過傷のみと経過を自身のツイッターで報告している。

 残り5周回に入ると、2人で協調してきた逃げグループのうち中根が苦しそうな表情を見せて脱落。鈴木が集団とのタイム差を1分以上保ちながら単独で逃げ続けた。しかし、残り3周回でメイン集団に吸収された、40人ほどの集団内で再びアタック合戦が始まった。ラスト2周回目の上りでは勝負する選手を絞り込むために、さらに激しいアタックの応酬が続いた。

上りで遅れをみせる中根英登(愛三工業レーシングチーム) Photo: Shusaku MATSUO上りで遅れをみせる中根英登(愛三工業レーシングチーム) Photo: Shusaku MATSUO

実力者同士の勝負へ

 分裂と吸収を繰り返しながら集団は最終周回に突入。コース序盤の上りでは、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)が強力にペースを上げ、後方では耐え切れずに選手が脱落していった。頂上付近で前方に残ったのは、ブリヂストンアンカーの西薗、初山、鈴木龍、石橋学(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、土井雪広(マトリックスパワータグ)、木村で、7人に勝負は絞り込まれた。

最終周回の上りでは実力者がペースアップを図り、人数が絞り込まれた Photo: Shusaku MATSUO最終周回の上りでは実力者がペースアップを図り、人数が絞り込まれた Photo: Shusaku MATSUO
中盤から単独で逃げ続けた鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO中盤から単独で逃げ続けた鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO

 この中で最初に仕掛けたのは木村で、ラスト7kmをきった平地区間で単独でアタック。これに反応したは初山で、合流後は2人でローテーションを開始した。逃がしたくない石橋学(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が得意の独走力を生かしこれを追走。しかし、西薗が石橋の後方に着き、チームメートが前方を行くためローテーションには加わらない。

 石橋が2人に追いつくかという距離にまで迫ったところで、後方で力を温存していた西薗が石橋を抜き去り、前方の2人に合流した。3人になった先頭グループの速度に石橋はついていくことができない。

ゴールへ最初に飛び込む初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)と後方で喜ぶチームメートの西薗良太 Photo: Shusaku MATSUOゴールへ最初に飛び込む初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)と後方で喜ぶチームメートの西薗良太 Photo: Shusaku MATSUO

 「全力のスプリントだった」と語る初山が、背後で手を上げる西薗と共にゴールに飛び込み、自身初の全日本選手権優勝のタイトルを手にした。3位は木村が入り、4位は粘りの走りで後続に吸収されなかった石橋が入った。

チームで得た勝利

スプリントで魅せた初山と、全日本TT王者の実力を発揮した西薗 Photo: Shusaku MATSUOスプリントで魅せた初山と、全日本TT王者の実力を発揮した西薗 Photo: Shusaku MATSUO

 ブリヂストンアンカー サイクリングチームは24日に行われた西薗の全日本TT選手権優勝とあわせて2冠。初山はチームに2004年以来のタイトルをもたらした。初山は1年間、日の丸が入ったナショナルジャージを着用する権利を取得。「ジャージに恥じない選手になる」と意気込んでいた。

2位の西薗は終盤、誰も連れずに初山へブリッヂをかける活躍で、初山の優勝を助けた Photo: Shusaku MATSUO2位の西薗は終盤、誰も連れずに初山へブリッヂをかける活躍で、初山の優勝を助けた Photo: Shusaku MATSUO
最終局面の展開を作り、3位に入った木村 Photo: Shusaku MATSUO最終局面の展開を作り、3位に入った木村 Photo: Shusaku MATSUO

 ゴール後の会見で初山は「まだ実感がわかない。3人になった時点で一番スプリント力があるのは自分だと思っていたが、脚がつりかけていたので油断ができなかった」とレースを振り返った。

「スプリントになったら負けないと思った。ジャージに恥じない選手になる」と意気込んだ初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO「スプリントになったら負けないと思った。ジャージに恥じない選手になる」と意気込んだ初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO

 また、「引退した清水都貴さんが自分にとって転機となった。彼がプレッシャーの中で勝ちを狙いにいく姿勢は尊敬していた。そんな彼でも勝てなかった全日本選手権は自分にとって特別なもの。都貴さんに『もう勝負を任せても大丈夫だ』といわれたことはとても印象に残っている。彼が引退をしたタイミングから、勝ちを狙う選手を目指した」と、勝利をかみ締めるように話した。

ブリヂストンアンカー サイクリングチームにとって、チーム全員で得た勝利となった Photo: Shusaku MATSUOブリヂストンアンカー サイクリングチームにとって、チーム全員で得た勝利となった Photo: Shusaku MATSUO

全日本選手権大会男子ロードレース結果
1 初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) 4時間14分57秒
2 西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)
3 木村圭佑(シマノレーシング) +2秒
4 石橋学(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +42秒
5 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +43秒
6 鈴木龍(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +43秒
7 野中竜馬(キナンサイクリングチーム) +44秒
8 平井栄一(チームUKYO) +44秒
9 土井雪広(マトリックスパワータグ) +44秒
10 山下貴宏(シエルヴォ奈良 MIYATA-MERIDA)

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