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ツール・ド・フランス2016 コースプレビュー<前編>世界遺産モン・サン・ミシェルで開幕 ピレネーを目指し南下する前半ステージ

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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ツール・ド・フランス2016 ルートマップ ©A.S.O.ツール・ド・フランス2016 ルートマップ ©A.S.O.

 世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランスが7月2日に開幕する。今回のグランデパール(開幕地)には、史上初めてモン・サン・ミシェルが選ばれた。世界遺産に登録され、「西洋の脅威」と称されるカトリックの巡礼地から始まる3週間のフランス一周の旅。

 サイクルロードレース界最高峰の戦いに挑むのは、全22チーム・198選手(1チーム9人編成)。彼らが目指すのは、パリ・シャンゼリゼ。そして、エトワール凱旋門の前で表彰台の上に立つのは誰か。

 今回から3回にわたってお届けするツール2016のプレビュー。まずは、ピレネーの小国・アンドラ公国を目指し南下する前半ステージの特徴から押さえていきたい。しっかりとチェックして、ツール開幕に備えよう。

ツール・ド・フランス2016 ステージ概要

総距離3519km(ステージ平均約168km)
全21ステージ
平坦ステージ 9
中級山岳ステージ 1
上級山岳ステージ 9(うち山頂フィニッシュ4)
個人タイムトライアルステージ 2
休息日 2

第1ステージ(モン・サン・ミシェル~ユタ・ビーチ-サント・マリー・デュ・モン、188km) 7月2日

第1ステージ コースマップ ©A.S.O.第1ステージ コースマップ ©A.S.O.

 2013年第11ステージ以来のツール登場となるモン・サン・ミシェル。ただ、このときは個人タイムトライアルのフィニッシュ地点だった。

 今回、晴れてグランデパールとなったが、そのきっかけとなったのが2年前に完成した橋の存在。長年にわたって懸念された潮の流れが改善され、本来の「島」としての姿を取り戻したのだ。

 さて、レースはスタート以降北上し、1944年のノルマンディ侵攻作戦で上陸地の1つとなったユタ・ビーチにフィニッシュ。おおむね平坦で、最初のマイヨジョーヌ着用者はスプリンターが有力。序盤に2カ所設定された4級山岳では、山岳賞のマイヨアポワ争いも見られるはずだ。

ツール2013第11ステージでは個人タイムトライアルのフィニッシュ地点として登場したモン・サン・ミシェル。このときはクリストファー・フルームが快走し、マイヨジョーヌを確たるものにした =2013年7月10日 Photo: Yuzuru SUNADAツール2013第11ステージでは個人タイムトライアルのフィニッシュ地点として登場したモン・サン・ミシェル。このときはクリストファー・フルームが快走し、マイヨジョーヌを確たるものにした =2013年7月10日 Photo: Yuzuru SUNADA

第2ステージ(サン・ロー~シェルブール・アン・コタンタン、183km) 7月3日

第2ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第2ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 前日はスプリンターが手にすると見られるマイヨジョーヌだが、あっという間に手放すことになってしまいそうだ。

 シェルブール・アン・コタンタンのフィニッシュは、直前の3級山岳ポイントよりさらに上った先にある。最大勾配14%、フィニッシュ手前700mは5.7%の勾配で、上りスプリントによる勝者決定を見ることになるか。

 活躍が期待されるのは、アルデンヌクラシックで活躍するタイプの選手。もしかすると、上れるスプリンターが登板力とスピードを武器にチャンスをつかむこともあり得る。

第3ステージ(グランヴィル~アンジェ、223.5km) 7月4日

第3ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第3ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 グランヴィルをスタートした一行はノルマンディに別れを告げ、南下を始める。目立ったアップダウンはなく、スプリントステージとなることが予想される。

 終盤は確実に集団のスピードが上がっていることだろう。各チームがトレインを形成し、最終局面に備える。スプリンターチームはもとより、総合争いの有力選手擁するチームもエースの危険回避を目的に、集団前方に顔を見せるはずだ。

 そして、ポイント賞のグリーンジャージ、マイヨヴェールの行方もこのステージから楽しみなものとなるだろう。

第4ステージ(ソミュール~リモージュ、237.5km) 7月5日

第4ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第4ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 今大会の最長ステージ。237.5kmという距離は数字上は過酷だが、せめてのも救いとしてはアップダウンの少ない“移動ステージ”である点だ。

 定石通りであれば、このステージもスプリンターが中心となるはずだが、注意をしたいのが風。強い横風が吹こうものなら、確実に集団分断に動くチームが現れる。そうなると、後方に取り残された選手は集団復帰が難しくなってしまう。特に、この先が大切な総合系ライダーは気を抜くことが許されない。

第5ステージ(リモージュ~ル・リオラン、216km) 7月6日

第5ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第5ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 今大会最初の上級山岳ステージは、レース後半に3級山岳が3つ、2級山岳が2つ登場。特に、残り約30kmから続く2級山岳パ・ド・ペイロル、2級山岳ル・ペルテュス峠、3級山岳フォン・ド・セール峠、フィニッシュのル・リオランと、立て続けに上りをこなさなければならない。

 ややもすると、マイヨジョーヌの行方に影響を及ぼすことも考えられる。もっとも、このステージで遅れをとるような選手は、この先の戦いに加わるのは難しいだろう。まずは、自身が勝負できる状態であることをこのステージで確かめなければならない。

第6ステージ(アルパジョン・シュル・セール~モントーバン、190.5km) 7月7日

第6ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第6ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 いくつかの峠や丘越えがあるものの、勝負に影響はすることはなさそう。メイン集団のコントロールができていれば、スプリントによるフィニッシュになると予想される。

 一方で、そろそろ逃げ切りを狙う選手たちにもチャンスがやってくる。前日のステージで大きく遅れた、または意図的にゆっくりフィニッシュした選手が、小手調べに逃げを打つことも考えられる。メイン集団は油断していると、勢いづいた逃げメンバーにチャンスを奪われてしまいかねない。

第7ステージ(リル・ジュルダン~パイヨル湖、162.5km) 7月8日

第7ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第7ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 プロトンはいよいよピレネーへと足を掛ける。まずは1級山岳アスパン峠。平均勾配6.5%、登坂距離12kmと、総合系のオールラウンダーやクライマーでないと攻略は難しい。この頂上でフィニッシュまで7km。この上りでアタックが決まるようなことがあれば、先行する選手はその後6kmのダウンヒルを一気に攻めるだろう。

 これまで、大会前半の上級山岳ステージで先手を奪うべく圧倒的な攻撃力を見せる選手たちをわれわれは目にしてきた。また今年も、それもこのステージでそんなシーンを目撃するのかもしれない。

第8ステージ(ポー~バニエール・ド・リュション、184km) 7月9日

第8ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第8ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 ツールに魅せられたわれわれにとって、馴染みのあるポイントと、初お目見えの箇所とが混在するユニークな1日。

 今大会最初の超級山岳は、トゥールマレー峠。前半に上った選手たちは一度下り、2級山岳ウルケット・ダンシザン、1級山岳ヴァル・ルーロン・アゼ峠へと進む。この道のりの一部がツールでは初採用となるルートで、これまでとは違った景色を見ることができそうだ。

 この日最後の上り、1級山岳ペイスルド峠からフィニッシュのバニエール・ド・リュションまでは、15.5kmのダウンヒル。下りで攻撃を成功させる選手が増えてきているのが、このところの傾向。クラッシュと紙一重のアグレッシブな走りにも注目だ。

同じ発着地で行われたツール2012第16ステージでは、トマ・ヴォクレールが鮮やかな逃げ切り勝利を収めた =2012年7月18日 Photo: Yuzuru SUNADA同じ発着地で行われたツール2012第16ステージでは、トマ・ヴォクレールが鮮やかな逃げ切り勝利を収めた =2012年7月18日 Photo: Yuzuru SUNADA

第9ステージ(ビエリャ アラン渓谷~アンドラ・アルカリス、184.5km) 7月10日

第9ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第9ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 第7ステージから始まったピレネー3連戦は、ついに前半戦の目的地であるアンドラへと入国し終わりを迎える。獲得標高が4960mにも上り、今大会最も厳しいステージとの呼び声も高い。マイヨジョーヌ争いの形勢が一気に見えてしまうことだって起きかねない。

 この日はスタートからスペイン領内を進み、残り約50kmをアンドラ領内で走る。スタート以降、1級山岳を3つ、2級山岳を1つ越えるが、何といっても最後に待ち受ける超級山岳アンドラ・アルカリスへの上りがすべてを決める。ここを制した選手がマイヨジョーヌに袖を通していることも考えられる。

 そして、このステージを終えると大会の前半戦が終了。アンドラで1回目の休息日を送り、次なる戦いへと英気を養う。

第9ステージは2009年第7ステージ以来のアンドラフィニッシュとなる =2009年7月10日 Photo: Yuzuru SUNADA第9ステージは2009年第7ステージ以来のアンドラフィニッシュとなる =2009年7月10日 Photo: Yuzuru SUNADA

◇         ◇

 第10~21ステージについては、次回で解説する。

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